今週も自他ともに認める相撲好き、作家の内館牧子さんをお迎えしました。

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クボジュンさん「今週は内館さんの子供時代のお話を伺いたいと思います。どんなお子さんでしたか?」
内館さん「誰も信じないから言うのがすっごく恥ずかしいんだけど、内気でシャイでね、言葉もうまく声に出せないの。初めての孫で初めての子供だったから、すごく可愛がられたわけ。結局社会性がゼロになっちゃった。幼稚園で1人でトイレも行けない。母が作ったお弁当も人が見てると食べられないの。身体検査ではボタンが外せない。最悪の子供でねぇ。」
クボジュンさん「あらー!」
内館さん「で、親が呼ばれて六カ月で幼稚園を強制退園。辞めさせられて、すっごくホッとしたの。」
クボジュンさん「えっ!ホッとしたんですか!落ち込むのではなく!?」
内館さん「だって行きたくなかったんだもの。いじめられるし。辞めて良かったんだけど、小学校に行くまで一年半くらいかな。家で過ごしてた。その間にラジオでひたすら相撲を聞くようになったのね。だから私、4歳の頃からの相撲オタクなの。」
クボジュンさん「それはすごいですね!」
内館さん「これはね、理由があってね。いじめられている時にね、力道山に似た体の男の子が「逃げな」って逃がしてくれたの。"かない君"って男の子だったわねぇ。」
クボジュンさん「今もお名前を覚えてらっしゃるんですね!」
内館さん「その時以来、体の大きな男は絶対私を騙さない・いじめないってインプットされちゃって。4歳の時からもう、鏡里が好きで好きで。ずーっとですね、相撲は。」
クボジュンさん「じゃ、ずーっと大きな体の男の子が好きだったんですか。」
内館さん「そう、体が大きいってだけでなんとなく好きになっちゃうのよ(笑)」
クボジュンさん「その後、"かない君"にお会いになる機会はないんですか?」
内館さん「全然会ってないの。いい子でしたよ~、ハンカチとか貸してくれるの。あれ以来やっぱりずっと鏡里からね、大相撲・・・。」
クボジュンさん「相撲ノートもとってらっしゃったとか。」
内館さん「幼稚園を辞めさせられてから、お友達もいないから、父の大きな木の机の下にもぐって、暗ーいところで、カレンダーの裏とかチラシの裏にね、相撲ノートをつけて。それから相撲の小説を書いてたの。『吉葉山の少年時代』とか、『千代の山の一日』とか。」
クボジュンさん「妄想を通り越して作品になっていたわけですか!」
内館さん「もう無いんですよ。取っておけば良かったわ。あとは、紙相撲やると鏡里が好きだから必ず勝たすのね。もう叩き方が全然違うの!それで星取表を作って。鏡里・吉葉山・安念山、難しい漢字は全部相撲で覚えて。」
クボジュンさん「すごいです、相当ですねぇ。」
内館さん「それで小学校に入ったら、もう神童と言われたわけ。漢字は書けるし、15までの数字は暗算ですもん。8勝7敗とか、2勝13敗とか。」
クボジュンさん「なるほど、取り組みを見ていたから!小学校に入るや否や、内気でシャイだった内館牧子さんが・・・」
内館さん「すっかり変わりましたね。4月に褒められて、5月の遠足では旗振って先頭歩いてた。だからやっぱり褒められるってことは大きいなって思いましたよ。」
クボジュンさん「相撲が変えてしまったわけですねぇ!でもどうして相撲にそこまでのめり込んでいったんでしょう?」
内館さん「最初は大きな体の人がいいな、優しそうって思っていたけど、だんだんだんだん大きくなっていくと相撲の歴史ね。相撲史が面白いのよ~!」
クボジュンさん「はぁ~、すごく深いんですね!」

横綱審議員になるにあたり、理論武装しようと、東北大学の大学院で学んだ内館さん。
その期間は作家として"書くこと"もせず、相撲漬けで学べば学ぶほど、本当に面白かったとお話してくれました。
内館さん「今スージョ(相撲女子)と呼ばれている人たちにも、ずっと長くファンで居続けて欲しいから・・・。力士はいずれ引退していくでしょう。どの力士が好きっていうのもいいんだけど、例えば土俵まわりにあるすごく不思議なものとかね、力士はなんで塵手水(ちりちょうず)っていう土俵入りするときに手を揉むのかとかね。そういうことに興味を持ってもらうと抜けられなくなりますよね。面白くて。」と、4歳からスージョだった内館さんからのアドバイスも!


【本日の1曲目】 Take it Easy /Eagles
【内館牧子さん 選曲】 さくら貝の歌 /芹洋子  
内館さん、今週は「今の時代ももちろん良い曲はあるけれど、真正面から抒情的な曲はなくなったように感じる」と、この曲を選んでくれました。
【久保純子 My Sweet Home】 2017年5月12日 12:44