11月28日に行われた第503回文化放送番組審議会についてご報告いたします。

議題は、10月17日(火)に放送しました『武田鉄矢 宵の三枚おろし』を取り上げました。この番組は、平日の毎朝全国ネットで放送している「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」のスペシャルバージョンです。長寿番組の「今朝の三枚おろし」は、スタートから30周年を迎え、今回はそれを記念して特番を制作しました。制作担当者は、「今朝の三枚おろし」の収録の休憩時間に話す武田さんの話があまりにも面白いということで2時間の生放送に至ったということです。

30年続く人気コンテンツだが、ちょっとしっくりこなかったというのが正直な所だ。男と女の意識調査という箇所でデータを紹介したが、深堀りする訳でもなく、「なるほど」というものが有ったかというとそうでもなかった。最初の1時間は時間を持て余し気味の企画だったなと思う。

私は退屈せずに楽しく聴けた。個人的に武田さんの話が好きだというのも有るが落ち着いた声が一つの魅力で、あの声で喋られると、大した事の無いセリフでも真実を持って聞こえて来る。野村アナウンサーの発言が非常に少なかったので、むしろ野村さんがどんどん喋った方が、新鮮味が出て面白かったんじゃないかと思った。

生放送という事でリスナーからの色々な問い掛けと、それに対して回答していく武田さんのやりとりが良かった。普通は外側にポロポロと落ちちゃうが、上手く拾い込んで、リスナーの声と武田さんの連結感が有って、ラジオを聴いているというよりもその場で武田さんが話しているという、空気の厚みを感じさせる特異な番組だと思ったし、武田節があちこちで炸裂していて内容の濃かった。

夜の放送ならではのテーマを選び、武田さんが言葉を大事に選びながら持論を展開していた。面白い企画だし音楽も程よく組み込まれており、基本的にトークを楽しませて頂いたが、好き嫌いが分かれるのではないかとも感じた。武田さんのオシが強く、他の方が武田さんに合わせているようで、もう少し幅のある意見や武田さんへの異論が飛び出しても良いのではないかと思った。

番組30周年は凄い事だと思う。今回は文化放送の誇るラジオスターの生放送の共演という事で、楽しみにしていた。もう少し水谷さんの意見や考え方を汲み上げても良かった。「加奈ちゃんならどう思う?」と聴いた方がリスナーとしてもより興味深い物になると思う。

今回も武田節全開のトーク番組だった。色々な課題に対して、迷回答がポンポン飛び出して、いつの間にか納得させられてしまうという武田マジックがあった。野村邦丸さんであればもっと突っ込んで武田さんを追い詰めても面白かったかなという気がした。武田さんは、さすがに金八先生、真のエンターテイナーだと感心した。

文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史氏、副委員長・加藤タキ氏、そして松永真理氏、荒川洋治氏、福本容子氏、そして吉野隆氏の6名です。

2023年12月18日
文化放送番組審議会事務局