10月28日に行われた第522回文化放送番組審議会についてご報告いたします。
議題は、毎週土曜日の午前3時から放送している「ヴァイナル・ミュージック~for.EK~歩け♪歌謡曲」です。今年の4月から前身となる番組をリニューアルして放送しています。まだ人気のない時間帯の散歩やウオーキングのお供として、そして大人のラジオ好きと、演歌・歌謡曲が好きな人のための番組です。今回は9月6日の放送回を取り上げました。
審議委員の意見の概要
小林奈々絵さんのテンポのよい、明るく柔らかな語りが印象的でした。小林さんの語りは、日常の、つくりものではない、自然な光景にふれるので、威圧感がなく、こちらも楽しいひとときを過ごすことができる。いい番組なので、このままで、つづいてほしい。特に注文や要望はなく、身をゆだねて聴くことができる、そういう番組だと思いました。
あえて疑問に感じたことをいくつか申し上げます。まず番組タイトルの「EK」がわかりづらく、相応しくないと感じます。そしてもう一つは、深夜枠から早朝感を出そうとしているようですが、かける曲やゲストなど、これが本当に「歩け♪歌謡曲」だろうかと違和感がありました。文化放送の長く続いた「走れ!歌謡曲」から「歩け♪歌謡曲」にした時に、今後どういう方向性に持っていくのか、パーソナリティは安定感があって安心して聴けるので、もう少し押さえどころ、収めどころが定まってくるといいのではと思いました。
番組タイトルはシンプルな方が良いと思います。また選曲について、朝の歩くイメージということでガチガチにやる必要はないけれど、やはりコンセプトと番組のタイトルと、そして実際の番組内容は、ある程度一致させないといけないと思います。それから、会社が推薦する「今週の歌」ならば、曲紹介の際に選ばれた理由や面白い裏話とか感想でもいいので、何か説明があると他との差別化ができると思います。
私はいつも言うのですが、音楽は作詞、作曲、編曲があって、はじめて一つの音楽だと思うのです。曲を紹介する時に、せっかく年代まで言うのであれば、歌手だけが取り上げられるのではなく、カバー曲であることなど、曲にまつわる情報もあっていいのではないかと思いました。
これからラジオをよく聴いてくれる人というのは高齢者なんですよね。もう若い人向けということは考えずに、選曲は高齢者に向けたものだけにした方が、馴染みが深いような気がします。ラジオの将来を考えると、ラジオ局としてこれからどういう方向性を持って会社を経営していくのかということを考えつつ、番組を構成していくべきだと思います。
文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史氏、副委員長・加藤タキ氏、そして松永真理氏、荒川洋治氏、福本容子氏の5名です。
2025年11月17日
文化放送番組審議会事務局
