1月27日に行われた第524回文化放送番組審議会についてご報告いたします。

1月は委員の講演と新年懇談会とを合わせて開催されました。文化放送田中社長の挨拶、弘兼憲史・番組審議会委員長の挨拶があり、講演に移りました。

今回の講演者は荒川洋治委員で、テーマは「小型国語辞典の世界」です。

「小型国語辞典の世界」

国語辞典の話をしてみたいと思います。
けさ、2026年1月27日の朝刊各紙が、紙の書籍の売り上げが、1996年のピーク時、ちょうど30年前の4割になったということを伝えています。電子書籍を合わせた書籍全体でも事情は同じようです。
そんな中で、携帯も可能な小型国語辞典は、中高校生の学習にも役立つし、社会人にも便利で、重宝です。小型国語辞典はいつも身近にあって、支えてくれる国語辞典だといえます。
小型国語辞典には、意外なことに、普段はあまり使われない特殊なことばもあることがわかります。そして当然のことに、それぞれの辞書で違いがあり、あるものにはあり、ないものにはない。ことばを知りたい時には、期待できない時もあるし、そして期待できる時もある。それが小型辞典の妙味なのだと思います。
おとなは、2万語くらいを認識していれば、日常生活、社会生活ができると言われています。小型辞典は平均8万語ですので、それ以外の6万語が、小型辞典に収められていることになります。ある人には理解しにくいことばでも、ほかの人たちには必要なことばも収録されるわけで、多様な人たちに対応していることになります。
小型辞典の中をどこでもいいので見つめると、自分がしっかり把握していないことばや、未知のことばがとても多く、自分に足りないものが見えてきます。辞典を引く人の姿を映し出してくれる。自分の知識を見つめなおしてみようという気持ちになります。それも小型辞典が与えてくれる、大きな恵みだと思います。
小型辞典は容量に限界があるので、人名・地名など、いわゆる固有名詞の扱いについて、それぞれ方針・原則をもちます。「アメリカ」や「フランス」などの固有名詞が載っていない小型辞典があるのです。一方で、中型辞典の『広辞苑』は主要な人名・地名をたくさん載せているので、その意味では万全で、中型辞典の利点でもあります。
最後に、小型・中型を問わず、それぞれの辞典の地名の扱いと記述は、激動する社会で不安定な状態に置かれています。グリーンランドは、どう記述されるのか。ウクライナは、パレスチナは、あるいはカシミールは、という問題です。もちろん辞典は、数年に一度、書き換えられますが、世界の現実をみると、どうなるのか、わからないことがたくさんあります。辞典がどのように向き合っていくのか。そうした点にも注目したいと思います。

以上荒川洋治委員で、講演のテーマ「小型国語辞典の世界」の概要でした。

文化放送番組審議委員は、弘兼憲史委員長、加藤タキ副委員長、そして松永真理委員、荒川洋治委員、福本容子委員の5名です。

2026年2月16日
                        文化放送番組審議会事務局