5月26日に行われた第528回文化放送番組審議会についてご報告いたします。
議題は、3月11日に放送された特別番組、『15年。「私」の震災、どこから話そう?』です。東日本大震災から15年が経ち、震災の記憶がない若い世代も多く出てきている中で、この番組は、震災への向き合い方や発信の在り方について、リスナーと一緒に考えることを目的に制作されました。
審議委員の意見の概要
パーソナリティの声優・伊達さゆりさんと、ゲストの俳優・富田望生さん。共に震災をこどもの頃に経験した若い二人の会話というのは他にはなく、同世代なのにそれぞれのことばやまなざしをしっかり受け止めて、話を進めている。ひとつの問題を、心の問題として見つめていくことが、さわやかな会話を通して心にしみてきました。震災の経験に限定せず、人間の経験の意味が、二人の対話から伝わってきたように思えました。
当時、まだ小学生だった被災者が15年の歳月を経て大人になり、震災を語るというのは、新しい着目点として面白いと思いましたが、残念ながらその経験を十分に引き出せていなかったように感じました。個別のゲストやパーソナリティ自体に問題があるというよりも、企画の狙いをまとめ切れていないところに最大の課題があると思います。
2時間ゆっくり聴けましたが、その感想の域を出ていないので、ここでの視点というものをもっと明確にしたほうが良いと思います。今、ホルムズ海峡では大変なことが起こっていますが、エネルギー問題や、原発問題に全く触れなくていいのか。毎年やっていくなら、そういうことに問題提起できるような企画であってほしいと思います。
震災への向き合い方と発信の在り方というのは一番大事なことですが、今回は何を訴えたいのかが絞り切れていないように感じました。課題は多くありますが、毎年やるべきだし、「3.11ありき」「特番ありき」だからやるのではなく、制作者として伝えたいこと・作りたいものを時間をかけて着実に作り上げる、是非これからも必ず作ってほしい番組です。
震災に関する特番を毎年マンネリにならないように作るのは難しいのですが、邦丸さんがゲストの1時間はちょっと変わっていて、面白く聴けました。邦丸さんが被災者の方に、「俺たちはかわいそうじゃないんだよ」という言葉を明るく喋らせるのが、凄いと感じました。前に進むという意味では、こちらの意見を多く取り上げたほうが、聴きやすい番組になると思います。
文化放送番組審議委員は、弘兼憲史 委員長、加藤タキ 副委員長、そして松永真理 委員、荒川洋治 委員、福本容子 委員の5名です。
2026年6月22日
文化放送番組審議会事務局
