10月27日に行われた第422回文化放送番組審議会について御報告いたします。
議題には、「大竹まこと ゴールデンラジオ!」内のコーナー番組、『大竹発見伝〜ザ・ゴールデンヒストリー』が取り上げられました。
毎週・月曜から金曜日の14:00〜14:10に放送されているもので、一つのテーマに基づいて5日間に5人の体験談を大竹まことさんの朗読で紹介していきます。
委員が試聴したのは、9月28日の週の「子どもの貧困・私たち大人が出来る事」というテーマの5日分です。
では、審議委員の意見の概要です。
◇ 午後2時台の10分番組というのは聴きやすく成功していると思う。
5人の人をそれ程貧困と感じなかったが、貧困なるが故に素晴らしい人格者に成長したり、あるいは世の中の為になる事をしなくてはと思っていく。裏側にあるそのあたりをしっかりと捉えるといい。
ラジオとして面白いし、もう少し足したら、とてもいい番組になるんじゃないか。
◇ 大竹さんがきちんと読み、コメントを言わないのがいい。
国や公共団体の救済策でなく、個人の立場でその救済を行っているところが、この番組の特徴でいいと思う。
ベタに向き合っていると、ある種のメッセージは伝わってくる。
音読は人の心に響く。しっかりした姿勢で取り組んで、誰かにメッセージを伝えるのは、ラジオだからこそ出来る事なので、構成取材班の方は頑張って、このコーナーを充実させていただきたい。
◇ 個人に焦点を合わせて、そこから私たちの考え方を積み上げさせるという手法はラジオでないと出来ない事かと思う。
ただ、5人とも人生的に同じような着地点という共通感に抵抗がある。もう少し多様性が欲しい。タイトルに「私たち大人が出来ること」と添えているので、やはり大竹さんから何らかの言葉があった方がいい。
音楽はそれぞれの人たちの想いの中にある曲で落ち着きがあった。
全体にはとてもいい番組だと思う。
◇ ラジオならではのアプローチで、テレビで扱えないテーマも、10分ごとのシリーズにして5日間続ける手法もいい。
「大人が出来ること」という副題ならば、後半の1、2回は専門家の声を聞いて何をするのか、何がいけないのかを提示したほうが良い。
結局は苦労を乗り越えてという事例ばかりだが、これはごく一部で、多くはそうではない。養子縁組や里親制度が根付かない日本の現状にも触れてほしい。
一番問題なのは貧困の連鎖で、「子供の貧困」を取り上げるならば、問題の核心にもう一歩迫ってほしい。
◇ 子供の貧困という見えづらいものを、きちんと紹介し、その人が選んだ曲をかけるので、いつもに増して歌詞に耳を傾けるというモチベーションになった。
これだけ丁寧に事例を集めているので、大人たちに何が来るのか、このメッセージを
私たちはどう受け止めたのか、という別の企画に繋げていければいい。
事例の丁寧な紹介は、実態を把握する上では良いが、全部福祉に持って行かずに、それぞれの生き方をもう少し見せたほうが良かった。
全体は素晴らしく、いい企画になっていたと思う。
◇ 企画、進行、構成、ラジオならではの番組だ。聴いていて状況が想像できる。いい機会を頂き、上から目線だった反省もした。曲を丁寧にかけているのもよく、人を勇気づけ、それを支えに生きてきたぐらい強いものが音楽にはあるという事を改めて感じた。
今日はどのパートナーが喋ったのか、途中から聴いたリスナーの為にも名乗ってもらえると判りやすい。
◇ このコーナーは、ポプラ社から『手のひらにおさまる77のちょっとした幸せ』という本になるほど評判が良かったので、今回リスタートした。ゴールデンラジオというのは、全体的にくだけた番組なので、このコーナーとのギャップが面白い。大竹さんもいつもの語りではなく情感たっぷりの読み方で、そのギャップもまた興味深い。
ラストの一言があって曲が出るという流れ、タイミングがとてもよく、絶妙の文章でポンと投げつけるような言葉で切るところが上手いと思った。
文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史氏、副委員長・加藤タキ氏、委員・白井勝也氏、寺尾睦男氏、松永真理氏、荒川洋治氏、福本容子氏の7名です。
平成27年11月15日
文化放送番組審議会事務局 |