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2020.05.18

税金の専門家と語る、コロナ渦で知っておきたい税金の知識 前編『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』

大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司さんと、団塊世代プロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。毎週土曜朝6時25分から放送中です。


5月2日の放送では、特別ゲストとして三木義一先生(前・青山学院大学学長、現弁護士)に、お電話でご登場いただきました。


盛り沢山の内容を、前・後編に分けてお伝えします。前編となる今回は、在宅勤務の経費申請や、10万円の給付問題など、今皆さんが気になっている問題について語りました。後編はこちらよりお読みいただけます。



在宅勤務、家で働いたときの光熱費って経費にならないの?

大垣 さて、世間はコロナで本当に大変な時期を迎えているわけですが、こういう状況でも生活は続いていくわけです。生活していく中では、もちろん税金のことも考えなければならないですよね。税の大家である先生に、コロナ渦で知っておきたい税についての知識をおうかがいできればと思います。

いくつか質問をいただいておりまして、在宅勤務、10万円の給付、それから今話題のコロナ離婚についてですね。結構どの問題も、税金のことを考えないといけないのかなと思うのですが。

たとえば、ラジオ宛にいただいているお便りで、テレワークをしている場合、光熱費や家賃は経費で落ちないんですかという質問がきていて、確かにそうだな、と思うのですが。

三木 面白い論点だ。いいこと言ってくれるね。この問題、これからどんどん具体的な議論が進んでいくでしょうね。

大垣 在宅をすることでもらえるお金のことを、仮に在宅手当と呼びましょうかね。

三木 在宅手当と似たような立ち位置にある手当に通勤手当があるんですが、これはテレワークをするともらえなくなりますよね。

大垣 体感としては、通勤手当でもらっている分が、そのまま在宅手当にスライドするということになるのでしょうかね。そういえば、通勤手当って、もらいすぎると課税されるんですよね。今は、15万円以上だと課税で。

三木 さすが。そういうことよく知ってるね(笑)。じゃあ、通勤手当が非課税になったのはいつだと思う? ヒントは、僕にとってはつい最近。

大垣 じゃあ、70年代。

三木 70年代? 昭和41年。

大垣 (笑)。じゃあ、1966年か。

三木 そう。昭和40年頃から約9割のサラリーマンが通勤手当を受けるようになったので、初めて非課税にされました。それ以前は、会社から定期券を現物でもらった場合は非課税で、定期代を現金で渡すと課税になっていたのです。

大垣 そうすると、在宅手当も、15万円ぐらいまでは非課税で受け取れるということになるのかな。

残間 在宅で仕事しても、そんなにお金かからないよ。

大垣 確かに。ただ、そもそも通勤手当の代替物として考えられるのかどうかも分からないし、まだこの問題って、これまで日本ではあまり考えられてこなかったんですね。

三木 新しい問題ですよね。



10万円の給付金、税の大家はどう考える?

残間 一律10万円の給付金についてはどう思われますか。最初は30万円にするとかで、ごたついていましたが。

三木 30万円の給付は、あまり今の状況を解決できる策にはなっていなかったですね。給付になる基準が不明確で、本来助けてあげなきゃいけない業界の人ももらえなかったりしていましたから。

一律で10万円にしたのは、困窮している全員に確実に給付金がいくという意味ではよかったですが、しかし、非課税の給付金というのは、僕らからするとどうなのかと思いますよ。

というのも、この給付金は、コロナ渦で生活が大きく落ち込んだ人のためのものなわけでしょう。特に生活レベルに変化の出なかった高額所得者には、ちゃんと年末に税金の形で返してもらえばいいんですよ。

大垣 10万円を受け取るか受け取らないかという議論も出ていますよね。

三木 みんなが受け取って、所得の大きかった人は税金で返せばいいだけの話ですよね。そういうお金の動きを把握するためにマイナンバーがあるわけで。

そもそも、一番最初、民主党政権がマイナンバーの考えを出したときは、災害時に国民の利便に資するため、ということが念頭にあったわけなんですよ。

まさに今回のときのようなケースを想定していたわけなんですよ。

大垣 マイナンバーはでも、個人情報が悪用されたり、漏洩するんじゃないかという反対も強かったですからね。

三木 それは分かりますよ。そういう懸念はもちろんわかるんだけど、そういうことのみを懸念してきたために、結局、素早い支援というのは何もできなかったわけだ。

残間 学生も今困ってますよね。実家を出て春に向けて一人暮らしを始めた子なんかは特に、下宿代は払えないし、かといって実家に戻るのもいけないって言われるし。

三木 学生は今、一番困っていますよね。

大垣 私は教員の立場ですが、録画での授業なんて誰も経験したことがないですから、かなり大変ですよ。先生、去年で学長の任期を終わられて、ちょっと不謹慎だけどラッキーだったんじゃないですか。

残間 あのね。先生がいてくださったらまたもっと違う局面になったとか、そういうことを言いなさいよ(笑)。

大垣 (笑)。すいません。

三木 (笑)。僕も学生に向けた1分間のメッセージビデオを作ったりしていますがね、まだこの状況は続きそうですし、悩ましいですね。


後編では、コロナ離婚で払うことになる税金について、残間さんの実体験も交えて語り合います。


大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

◆放送日

土曜 6:25~6:50

◆出演者

大垣尚司(青山学院大学教授・JTI代表理事)

残間里江子(団塊世代プロデューサー、club willbe代表)

鈴木純子アナウンサー

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