原油高対策で政府が石油備蓄の放出へ。「国家備蓄」とは? ~11月22日ニュースワイドSAKIDORI!

原油高対策で政府が石油備蓄の放出へ。「国家備蓄」とは? ~11月22日ニュースワイドSAKIDORI!

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原油価格の高騰を抑えるための国家備蓄の石油放出。桃山学院大・小嶌正稔教授が文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAIDORI!」で解説。

原油価格の高騰が続く中、岸田総理は24日、アメリカと協調し、国家備蓄の一部を
放出すると表明した。石油備蓄法で義務付けられている国家備蓄とは何か、放出に
よって状況はどう変わるのだろうか。

石油備蓄法とは、1973年に起きたオイルショックの経験を踏まえて制定されたもの。
国や石油会社などが石油の供給不足に備えて、石油やガソリン、灯油をすぐに
供給できるよう国内に保管を義務づけている。
備蓄の方法には以下の3種類がある。
まずは、民間の石油会社が義務づけられている「民間備蓄」。これは、民間企業が
石油流通の施設に在庫を多めに持つ方式。
次に、国内の民間のタンクを産油国の石油会社に貸して備蓄する
「産油国共同備蓄」。普段は産油国の石油会社の東アジア向け中継備蓄基地として
使ってもらい、日本への原油供給が不足した場合にタンクの在庫を国内向けに
優先供給してもらう。
そして、国が備蓄する「国家備蓄」。国が備蓄基地を建設して、原油の形で保管
するもので、経済産業大臣の指示がある時のみ、出し入れができるもの。

ただしこれらの石油放出は石油備蓄法によって、供給不足の恐れがある場合や
災害の場合に限定されており、今回のような価格上昇への対応策としての放出は
想定されていない。

そこで桃山学院大学経営学部、小嶌正稔教授に聞いた。
現在日本には国家備蓄で145日分、民間備蓄で90日分、産油国共同備蓄で6日分、計242日分の備蓄があるとのこと。
小嶌教授は、「今回政府は国家備蓄の放出量は明らかにしていない。しかし過去には
民間備蓄の放出を3回行っており、その内訳は1990年の湾岸戦争の時に4日分、
2005年のハリケーン・カトリーナによるメキシコ湾岸石油施設被害の時に3日分、
2011年のリビアの石油供給不安の時に3日分だった。おそらくこれを参考にして
放出量を検討するのではないか」と推し量った。

続いて、現行法上、価格を抑えるための放出は認められるかという点については、
「あくまで法律上は供給不足、災害などの非常時を想定している。しかし今回の
場合、法律の適応範囲外ではあるが、個人的には認められると考えている。
これまで国家備蓄の放出をしたことが一度もないため、いざと言うときに本当に
迅速に対応できるかという非常時の対応のオペレーションとして行ってみるべき
ではないか。また、IEA=国際エネルギー機関の基準で備蓄量は90日分とされて
いるが、先ほど述べたように日本は国家備蓄で145日分持っているため、これを
機に備蓄法の適応範囲を見直していいのではないかと個人的には思っている。
あらゆるシチュエーションを想定して運用を変えていくことが重要だ」と
見解を述べた。

小嶌教授はまた、備蓄分を放出した場合、原油価格には影響が出るとした上で、
「ガソリンは原油を輸入して精製するという工程があるため、小売価格に影響が
出るまでにはタイムラグが発生する。そのため放出によるガソリン価格の押し下げ
効果は極めて限定的で、すぐに下がるとは思えない。おそらく2週間以上かかると
思う」と述べた。

ここで月曜コメンテーターの元衆議院議員、金子恵美氏から、今回、法律の
適応外でもあえて国家備蓄を放出する道を政府が選んだ背景について質問が出た。
小嶌教授は「今回の原油価格上昇により、アメリカまでもが産油国に対して
生産量増加を要請したが、圧力をかける状況ではなかった。そこで各国が協調して
備蓄を放出すれば、サウジアラビアを始めとするOPECプラスは
『石油消費国がここまでやるのか』と、無視することはできなくなり、明らかに
産油国に対するシグナルとなることが背景にある」と答え、
「普通ならアメリカの言うことは聞かない国でも、今回に関してはアメリカに
同調することの方がメリットが大きいと判断している」と解説した。

現に、バイデン政権が中国、日本、インドなどに備蓄放出検討を要請したことで、
世界的に原油価格が下がっていると、小嶌教授。
「各国のファンドは原油価格が上がるから投資するわけで、その反対にこれから
下がるとなれば、利益を確保して逃げるのが常套だ」と述べた。

アメリカからの要請を受け、主要消費国の中国やイギリス、韓国、インドも
足並みをそろえる見通しだが、投資家には効果を疑問視する見方も。
我々が消費するガソリン価格に反映される時期は、まだ不透明なようだ。

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