ドコモ団塊倶楽部

放送レポート

7月14日 ゲスト:西田善夫さん

テーマ
  『 テレビは一緒に見るもの、
     ラジオは語りかけるもの!
             ―― 西田善夫 

 
ロンドン・オリンピック開幕まであと2週間。

そこでこの日は
過去のオリンピックで生まれた名場面を
“言葉”で彩る実況にスポットを当てた2時間。
 
ゲストは、東京オリンピックからスポーツ実況をスタートし、
夏冬あわせてオリンピック10大会で実況を担当――
高校野球 甲子園大会でも
数々の名実況を残している
元NHKアナウンサーの西田善夫さん。
 
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(画像をクリックすると拡大します)
 
名勝負、名場面あるところに名実況あり!
 
懐かしいオリンピック名場面を現場で伝えた
西田善夫さんの実況人生に迫りました。
 



実況 ベスト3
 
西田善夫さんに、ご自身の実況で
最も印象に残っている試合・実況の
「ベスト3」を挙げていただきました。
 
◆ベスト3
 
 ●1972年 ミュンヘン・オリンピック
 
 男子レスリング・フリー52キロ級
 加藤喜代美選手の金メダル

 
  優勝インタビューで
  「この優勝を誰が一番喜んでくれますか?」の質問に
  加藤選手は
  「僕はオリンピックのために結婚を1年延ばしています。
   だから待っていてくれている婚約者です」

  と答えました。
 
  婚約者とは、加藤選手と同窓の
  専修大学卓球部キャプテンで
  世界選手権にも出場している平野美恵子選手。
 
  そこで、西田さんは
  「婚約者の平野美恵子さん!お待ちどうさま。
   加藤選手は4日の月曜日、
   その一便で日本に帰ります」
と実況。
 
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◆ベスト2
 
 ●1972年 ミュンヘン・オリンピック
 
 男子バレーボール 日本の金メダル
   
◆ベスト1
 
 1980年 レイクプラシッド・オリンピック
 アイスホッケー決勝リーグ ソ連 vs アメリカ

 
  プロ選手の参加が認められていなかった当時、
  ソ連をはじめ、かつての共産主義国からは
  “ステート・アマ”と呼ばれる
  国家の後ろ盾を持ち、実質的にプロ選手といえる
  強豪選手がオリンピックに出場し
  活躍していました。
 
  ソ連絶対有利という大方の予想の中で行われた
  決勝戦は、
  アメリカがリードを許しながら1点差に詰め寄り
  第2ピリオドを終了。
 
  スタンドを埋める地元の観客は
  予想を超えるアメリカの健闘に大興奮。
  
  第3ピリオドで同点に追いつくと
  「USA!USA!」の大合唱。
 
  さらには、アメリカがロングシュートを決め逆転!
  観客はもちろん、報道陣も総立ちに。
 
西田 「モニターは見えますけど
     リンクが見えないわけですよ。
     そこで何をあれしたか、放送してる時に・・・
     みんなが立ち上がってる、報道席も立ってる・・・
     『この際、私も立ち上がります!』
     って言ったんです。
     あとから『全く意味のないコメントだ』
     と言われました」

 
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  また、この大会は、前年暮れの
  ソ連のアフガン侵攻により
  異様な雰囲気に包まれた中で開会式が行われ
  西田善夫さんは・・・
 
  「4年たって閏年が来れば、
   オリンピックはやってくるものと思っていました。
   今、失いかけて、オリンピックが開ける価値を
   始めて知りました」

 
  と伝えました。
 
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名フレーズ と 名実況
  
西田 「“考えた言葉”は意外にあてはまらない。
     一瞬、思い浮かんだものを
     大事にしたほうがいい」

 
2004年のアテネ・オリンピック「体操男子団体」で
日本の冨田洋之選手が
「鉄棒」の演技でフィニッシュを決める際の
実況が大きな反響を呼びました。
 
実況を担当したのは
NHKの刈屋富士雄アナウンサー。
 
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架橋だ!」
 
感動の名場面・名実況と高く評価される一方、
一部の先輩アナウンサーからは
「作った言葉を言うのはおかしい」
批判の声も上がったそうです。
 
西田 「僕はあれもすばらしい言葉だと思います」
 
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刈屋アナは帰国後、放送博物館に
実況で使用した自身の“資料”を提出。
 
そこには「栄光の架橋」「伸身の」といった言葉が
バラバラに書き込まれていたそうです。
 
西田 「僕は、どこでどう作ろうが、
     みんなを感銘させたことはすばらしい
(と思う)
 
また、刈屋アナの実況について
西田善夫さんが
フィニッシュよりも注目した点として
演技開始直前のフレーズを紹介してくださいました。
 
 「冨田が冨田であることを証明すれば、
  日本は勝てます

 
『勝ちます』ではなく
勝てます』とした点に、
メダル争いにおいてギリギリの状況下に置かれている
日本の様子を“掴んでいる”と指摘。
 
西田(『勝てます』としたのは)彼の実感だと思います。
     僕はそこを評価します。
     だから、後の言葉も素晴らしいけども、
     『・・・・・・日本は勝てます』
     素晴らしいと思ってますね」

 
弘兼 「『勝ちます』と『勝てます』じゃ
     ちょっと意味が違いますね」

 
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お送りした曲目
 
霧のロンドンブリッジ / ジョー・スタッフォード
 (弘兼セレクション)
白い恋人たち / フランシス・レイ
 (弘兼セレクション)
ヘイ・ジュード / ザ・ビートルズ
 
虹と雪のバラード / トワ・エ・モア
 
栄光の架橋 / ゆず
 


西田善夫さんの名言・好きな言葉(PC版)はこちらをご覧ください。
 
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