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diary

2011年2月28日 温かな霧に包まれて

息子の受験慰労を兼ねて温泉に行った。
近頃は1泊しなくとも、日帰りで天然温泉に浸かれる。
客側のニーズに合わせ、様々な形態に応えてくれるのだ。
彼のリクエストで、何度か行ったことのある、
硫黄の香りがする湯を目指した。
「ゆ」・・紺地に白く染め抜いた暖簾の切れ目に頭を潜らせる。
いつもだと大賑わいの脱衣所は驚くほど静か。
まるでエアポケットのようだ。
20近くある唐編みの籠が全部伏せてある。
ニコニコしながら、競うように服を籠に放り込む。
浴槽へ通じる引き戸を開けた。
あっという間に花火の残り香に似た霧に包まれる。
桶に手をやった。
「カラン!」という音が壁に当たる。
それは湯気に包まれ、少し丸くなって戻ってくる。
早く肩まで沈みたい・・・体を洗う行為ももどかしい。
その時、お互いどんな単語が発せられるだろう。
いよいよ湯船に足を入れる。
共に「うお~!!」という雄叫び。
それは、正確に言えば驚きと忍耐の表現だった。
60度近い源泉は加水されているとはいうものの、
冷えた体には一瞬火傷するほど熱く感じたのだ。
10秒ほど耐え、そろりそろり体を沈める。
湯面が首に近づく頃には体がほぼ馴染んでいた。
去年までの彼ならば、他に客がいなければ迷うことなく温泉水泳大会。
それが今回は首の後ろを揉みながら湯をかけている。
15歳のその行為は、大人しいというか爺臭いというか・・・
「泳がないのか?」
思わず聞いた。
「あはは、温泉の良さが分かってきたと言うのかな・・」
何という台詞だ!?
湯気の中、じっくり浸かる息子をながめながら思った。
「大人への階段を上がっている・・・か」
帰りの車中、堪えきれず助手席で眠る息子を見つつ、にんまり。
「おい、まだまだ階段はあるぞ・・・俺も上っている最中だ」

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ほっとする

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温かな霧に包まれて

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癒しの源

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湯気の行方