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diary

2016年12月26日 祖母譲り?

前回、この世に生を受け、初めて指先のヒビの痛みを経験したと記した。
主に家事をする方、美容師、様々な人たちが悩んでいるようだ。
また一つ、人の痛みが分かった。
痛みは尋常ではなく、夢に出てくるほど。
その夢の中に、可愛がってくれた祖母が出てきた。
丸っこい中肉中背、何も言わずにニコニコしている。
起床し、祖母を思い出す。
「96の大往生だったが、手が若々しかったなあ・・・」
そう言えば、こんなことがあった。
私が8歳の冬の日。
「ナオ、お手伝いしてくれるかい?」
モノを頼むときの常套句だ。
「おばあちゃん、ちょっと具合が悪いんだよ」
何か面倒くさくなったか・・・訝りながら祖母を見る。
すると、祖母の顔が赤い
「熱がありそうなんだよ」
「何をすればいいの?」
薄くなっている髪がやや乱れた祖母が続ける。
「糠みその甕、かき回してくれんかい?」
ぎょっとした。
ただでさえ、あの子供には強烈な臭いの物体。
当時は糠が何かも知らなかった。
「だって、あれ臭いし、冷たいよ」
すると、祖母が両の手を、私の前に出し
かき回す仕草をする。
「本当は、私(わし)がやりたいんだ。
でも、病気の素が入ったら大変だ。
おばあちゃん元気になったらハリスのガム買ってやる・・」
その手は、年齢にしては張りがあった。
息を止めて甕に手を入れる。
冷たい!
引き抜きたい気持ちと抗う。
一方で、ほんのり温もりを感じたのに驚いた。
「底の方からゆっくりかき混ぜて」
息が持たず、口呼吸に変える。
「ナオ、お前が食べてる漬物、そこから栄養を貰うんだよ」
手を動かしながら、せめて白色ならばよいのにと思った。
そんな祖母が、夢に。
ん?糠みそは肌に良いと聞いたことがある。
よし!おばあちゃん、糠床作ってみるよ。
思い立ったら動きは速い。
インターネットで検索し、量販店の安売りコーナーで、
ぬか漬け用ホーロー鍋を1000円で購入。
さらに、糠、塩、ミョウバンをかごに入れる。
こんなことなら祖母にもっと聞いておけばよかった。
説明書通りに、糠床を作る。
塩分は控えめ。
粉末に湯冷ましを注ぎ、手を入れた。
冷たさよりも、栄養の温もりを感じた。
あの時から、丁度半世紀。
糠を捏ねるうちに、
「美味しくなれ!」
心を集中。
祖母の愛情を改めて感じた。
かき回して2日目。
指先の痛みは治まった。
糠の効果とは言い切れないが
祖母が私の中で生きていてくれることが嬉しかった。
2016年、年の瀬
私がここにいるのは、
先祖による
命のバトンタッチ
私たちは、皆、奇蹟の結晶なのだ。
メリークリスマス!

祖母譲り?
祖母譲り?

男の漬物!
男の漬物!

あとは、漬け場があれば
あとは、漬け場があれば