2008年08月13日

<山形放送・茅葺の里を守りたい>

8月5日(火)

山形県村山市の山間にある五十沢集落。
ここにはかつて39件の茅葺屋根の家があった。
しかし、過疎化が進み、現在は16世帯が残るだけである。
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元県庁マンの平山さん(60)は茅葺の空家の保存活動を
始め、古くなった萱の差し替え作業に追われている。
 「本当に、消滅していっていいのだろうか。でも、
今は一人でもくもくやるしかない」と、作業に励んでいる。

清流の近くに群生する萱は屋根に使われる他、古くなれば
家畜のエサや堆肥に使われる。環境にやさしい茅葺は
かつての循環型社会の象徴である。
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東北芸術工科大学の温井准教授は
 「使い捨て社会が行き詰まってきている。循環型の社会の
象徴である茅葺はヨーロッパでは、今でも新築で使われる。
それも、1億、2億の豪邸で・・・。」と、茅葺の必要性を訴える。

過疎化や高齢化の進む五十沢集落であるが、茅葺を残そうと
興味のある大学生が空家を借りて、茅葺の補修作業をしている。

平山さんは「やるだけやらないと、悔いが残る。いろいろな人が
参加してくれれば」と話す。
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茅葺を守る為、いろいろな模索は続いている。

<宮崎放送・宮崎の森をどげんかせんといかん>

8月4日(月)
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「山をあらさず、再造林することによって、土砂の流出を防ぎ、
地域住民の安全を守っていきたい」と、言葉に力を込めるのは、
宮崎県西都市で、スギの生産会社を営む
NPO法人「ひむか維森の会」の代表、松岡 明彦さん(47)さん。
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NPOを発足させたのが、丁度、1年前…木材価格の低迷や
後継者不足で、元気をなくした林業を盛り上げたいという思いから、
林業仲間に呼びかけた。
松岡さんを突き動かしたのは、急速に機械化が進み、
大量伐採や計画性のない作業道によって、荒れ果てた
山林の光景だった。

心を痛めた松岡さんは、まずは、自分たちが山を見つめ
直さなければと思い、今年5月、松岡さんたちは、
木材の伐採や搬出について、独自にガイドラインを作成した。

ガイドラインのルールは、重要な動植物を避けて伐採することや、
土砂が大量に流れ出ないように広い範囲で伐採する際は、
時間や場所を分散させるなど、76にものぼった。

環境への配慮を第一に考えたガイドラインだが、
時間や費用など作業コストが、かさんでしまうのが 悩みのタネ。
ガイドラインを全国に広めたい!理解と協力を促すために、
松岡さんたちは、 ある認証制度の実現もめざしている。
ガイドラインを守れば、学識経験者や行政が、お墨付きを与え、
木材価格にも反映させようというのだ。

ひむか維森の会・松岡 明彦代表理事は
「しっかり作業することによって、丸太を採算のあう価格で
買ってもらいたい、そういうことで宮崎の林業を活性化したいと
思っている」と話す。
スギ生産量日本一の宮崎県で、山の男たちが発案した
森林伐採のルール。

原油高騰や、輸入木材の増加で、厳しい競争にさらされる中、
環境にこだわることで生き残りを図ろうとしている。

2008年08月06日

<九州朝日放送・黄砂最前線!中国緊急リポート>

8月1日(金)

今年3月福岡は中国からの黄砂で、市民もびっくりした。
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全国で、黄砂の観測日数が2000年以降急増している。

KBCの中村記者が中国の実態を取材した。
日本から2000キロ離れた内モンゴルの砂漠都市「アラシャン」
ここが黄砂の発信源。
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ここでは、目が痛み開ける事ができないくらいの砂嵐が吹き、
中国の砂漠化はかなり進んでいる。
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この地に住んで40年のマさんは「10年前は緑豊かな場所だった。
200メートル以内に砂漠はなかった」と、進む砂漠化を証言した。

10頭の牛と暮らしている張さんは「15年前くらいから急に
押し寄せてきた。砂嵐は年に十数回来る。昼でも真っ暗になる。
子孫はどうやって暮らせばいいのか」と嘆いている。
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環境難民の現実を見た中村記者。
中国では毎年、神奈川県の面積と同じくらいが砂漠になっている。
日本と中国との2000キロは地図以上縮待っている。

<ラジオ沖縄 ・ てんぷら油でゆいまーる!>

7月31日(木)

食用油の使用量が日本一の沖縄。

うるま市にある社会福祉施設のゆい作業所は
うつ病などの心の病を抱えながら社会復帰を目指す人たちを
受け入れている施設である。
ここで、使用済みのてんぷら油を回収し乗用車の燃料になる
「バイオディーゼル」に作り変える事をしている。
 所長の比嘉さんは「あんたの車はてんぷらの匂いがする。
この車が街中を走っていたら、街中がてんぷらの匂いがするね」
と笑いながら話した。
 
 バイオディーゼルは従来のディーゼルに比べると、排出する
二酸化炭素が少なく、クリーンエネルギーとして注目されている。

比嘉所長は「資源を回収し、リサイクルしてバイオディーゼルを
作れば、またエネルギーとして活用できる。地球環境を守る
大きな力になると思う」と意欲的だ。
1リットル100円で環境にやさしいと評判は口コミで広がっている。
地域の人たちも、家庭で余ったてんぷら油を届けてくれるなど、
支援の輪が広がってきている。
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 作業所のメンバーも「てんぷら油から作って、みんなに提供する
仕事はやりがいがある」と話す。

沖縄ではてんぷら油が地域の潤滑油になっている。

<信越放送 ・ 信州の温泉旅館エコロジーへの挑戦>

7月30日(水)

 信州は全国でも北海道に次いで温泉地が多い。
ここで、昨年から自然や環境にやさしい御もてなしをしようという
宿泊施設の環境運動が行われている。
その一環として「信州エコ博覧会」があるが、何と142軒のホテル、
温泉施設が登録している。

 滋賀高原の麓にある渋温泉。その老舗旅館「金具や」も登録している。
9代目の若主人は「くつろぎに、快適な場所を求めてこれまでの旅館、
ホテルですが、そればかりではだめ」とこんな取り組みをしている。
お湯を屋上にくみ上げ、熱交換器にかけ、広間や客室に届ける事で
冬の暖房を行っている。これまでは灯油だけで、年間6万キロリットルを
使っていたが、このやり方で8千キロリットルに減った。
CO2に換算すると15万キログラムから2万キログラムに減った計算に
なる。さらに、使い終わったお湯は温泉街の道路の下に流し、
雪を溶かす事に使われている。

 1300年の歴史を誇る北信濃の温泉地野沢温泉でも、20軒の旅館が
エコ博に登録している。
温泉旅館「かわもとや」は摂し65度の熱い温泉を使って、観光客の
暖房に「湯たんぽ」を出している。
かわもとやの社長はこう話す。
「好評です。文明が進み燃料の無駄使いが多くなり
環境にやさしくなかった。エコ博に参加し、エコロジーをあらためて
考えるようになった」

「エコロジー」のキーワードは若い経営者の意識を確実に変えつつある。

<北海道オホーツク・アザラシが警告する流氷消滅の危機>

7月29日(火)

北海道オホーツクの冬の風物詩「流氷」に
異変が起こっている。
氷と氷がこすれ合う「キュー、キュー」という音を
ここ数年めっきり聞くことがなくなったという。

 北の海の異変は北海道の北の端・稚内市の
日本海側にある抜海港でもおきている。
5年程前から「冬の間」ゴマフアザラシが急増し、
観光名所に生まれ変わってきたのだ。
 観察小屋の管理人・伊藤幸さんはここで、5年間
冬の間、ゴマフアザラシの数を調査している。
「毎年、1割から2割増えている傾向」と、話す。
 日本海側でゴマフアザラシが急増する原因について
東京農業大学の小林万里講師は
「宗谷海峡の氷が減った事で来やすくなった。
そして、彼らは流氷の上で出産するので
戻りやすくなった」と分析している。
 減少していく「流氷」は地球温暖化が原因。
北海道立流氷科学センターの青田昌秋所長は
「オホーツク海は流氷南限の海と言われ
かろうじて凍っている。50年後,100年後には
この沿岸から流氷がなくなる恐れがある。」と
将来のオホーツク悔の姿を予想する。
 オホーツク海側の流氷が減ったために日本海側に
押し寄せるゴマフアザラシたちは地球温暖化の危機を
私たちに知らせようとしているのかもしれない。

<東海ラジオ・日本一暑い多治見市の壁面タイル>

7月28日(月)

岐阜県多治見市は昨年8月40,9度という気温を観測。
74年ぶりに国内の観測記録を更新した事を機会に
上昇する気温の対策に乗り出し、画期的な商品の開発を
始めた。

商工会議所の斎藤専務理事は
 「市とともにヒートアイランド対策を地場産業の技術を生かして
新製品を作る事を始めた。」
多治見市はタイルの全国シェア6割弱を誇る地場産業の技術と
名古屋工業大学の研究理論の融合で出来上がった
「壁面タイル クールアイランド」
白や黄色の明るい色で、断面が波打っているのが特徴だ。
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これまでの平らなタイルは建物の壁に当たった太陽光が
路面に反射し熱を上げてきたが、波型タイルは
反射角45度、反射率50%以上と熱を空中へ反射する為
建物の壁や路面の温度が上がりにくくなる。
その効果は空中の太陽光を反射させる事によって、それを
防ぐ冷却効果があり、実験では最大30度の差が出た。
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まもなく商品化される「クールアイランド」
昨年日本一の暑さを記録した岐阜県多治見市。今後、地元で
開発した壁面タイルを使った学校や公共施設が広がっていく事
でしょう。

 

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