浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2010年9月27日 待熟( ときをまつ)

9月26日、富士山で初冠雪が観測された。去年より12日早いという。
猛暑日の続いた2010年。
てっきり、冬も遅いかと思いがちだが、それは勝手な推測に過ぎない。
私達は自然を理解している気になっているが、まだまだ、泣かされることが多いのも事実だ。
先日、近くの田んぼに足を運んだ。
5月の連休明け、一人の老人と呼ばれても怒らない位の男性が、野球帽に長靴姿で田植えをしていた。
小振りの機械が、規則正しく苗をさしていく。
鴨が来て、水面をついばんだ。
5ヶ月の営みが、穂を伸ばし、花を咲かせ、黄金の結実をもたらした。
そろそろ!というとき、嵐がきた。
稲があらかた倒れた。
機械が使えない。
被るものを麦わらに変えた老人が佇んでいた。
田んぼの大きさから推察すれば、きっと、自分達が食べる分の米を作っているのだろう。
嵐の去った、残酷な程の青空を腰に手をあて見上げている。
一瞬肩が上がり、落ちた。収入には影響はない。
しかし、親類や可愛い孫達が楽しみに待っているであろう、自然の恵みが・・。でもどうすることもできない。
男は歩き始めた。
一方で、今年も彼岸花は秋分の日に間に合った。
金木犀の優しい香りが漂いはじめ、幸せな気分にしてくれる。
自然は私たちに何を教えようとしているのだろう。
宮沢賢治が頭に浮かんだ。

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試練

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恵み

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待熟( ときをまつ)

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