浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2018年7月9日 それでも花は咲く

どうして、こんなにも大きな被害となったのだろう。
西日本の記録的な豪雨。
こちらを記している8日午後8時現在、
全国で78人が死亡し、60人の安否が不明。
高知県の3日間の雨量は900ミリを超えた。
先月28日の降り始めからの雨量は1600ミリを超えている。
なぜ、長期間、同じ場所で雨が降り続いたのか。
気象庁の分析によると、先ず、日本に近い海域では
このところ海水温がおよそ27度と高い状態が続き
雨雲が発達しやすくなっていた。
そこを7月3日から4日にかけて台風7号が通過。
日本海を北東へ進んだ。
台風7号がもたらした非常に湿った空気が日本付近に留まった。
さらに台風が北上する際に纏めきれなかった
非常に大きな積乱雲の塊が日本の南に残っていた。
この積乱雲の塊から本州付近に停滞する活発な前線に向かって
これまでに見たことのないほどの大量の水蒸気が
次々と流れ込んだことが豪雨の要因となったとみている。
通常、台風が去っていくと、大雨の可能性は低下するが
今回の場合は台風が去っても大雨の潜在能力の高い状態が続いた。
さらに、これまでに見たことのないほどの大量の湿った空気の
流れ込みだったという。
今回は、数十年に一度という異常な大雨の恐れがある
大雨特別警報が11府県に出された。
(福岡・佐賀・長崎・愛媛・高知・広島・鳥取・岡山・兵庫・岐阜・京都)
すべて解除されたとはいうものの
これまでに降った雨で、各地で土砂災害や川の氾濫が相次いでいる。
既に災害が発生している地域では、引き続き安全を確保するとともに
各地で地盤が緩んでいる状態が続いているとして
土砂災害や川の氾濫に警戒が必要だ。
一方、大きな浸水の被害もでた。
岡山県倉敷市真備(まび)町では、4か所の堤防決壊が確認されている。
何故浸水は大規模に広がり長時間に及んでいるのか。
背景には、真備町を流れる2つの川の存在だ。
浸水した地域は高梁(たかはし)川と小田川に囲まれている。
住宅地や市街地があるのは標高10メートルの所。
そして、中心地辺りを流れる小田川も10メートルの水位があったという。
一たび決壊すると、広い地域で5メートルくらいの浸水
つまり、2階建ての家が水没するくらいの水が襲ってくると
懸念されていた。
専門家は、今回「バックウォーター」現象が起きていたと指摘している。
これは、本流(高梁川)の水位が高くなり
支流(小田川)の水が流れにくくなったというのだ。
今回の豪雨で、本流の高梁川の水位が上がり
合流する小田川の水が流れにくくなった。
そこで小田川の堤防が決壊した可能性が指摘されている。
さらに、2つの川の合流地点のすぐ下流で
川幅が狭くなっていること。
加えて、川がカーブし流れが遅くなることで
ボトルネックとなって水位が上がりやすくなっているのだ。
そして、浸水が続いている地域は2つの川の堤防に
囲まれている上、住居側より堤防がかなり高いため
たまった水が抜けにくく、長時間浸水が続いていると
見られている。
こうした地形が理由で、何度か氾濫がおきていたことから
国交省は今年からこの地域の改修工事を始める予定だった。
仮に工事が進んでいたならば、今回の様な大きな被害は
なかったと、専門家は悔しがる。
早めの避難は勿論だが、
早急な防災対策も改めて必要と痛感する。
それでも花は咲く
それでも花は咲く

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