浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2018年12月3日 大舞台

私の携わる「放送」は意外に厳しい部分がある。
それは、「時間を守ること」。
例えば、「アナ尻59分20秒」とあれば
音楽がバックに流れていない場合
喋りを「59分20秒」までに終わらせなければならない。
「いや、それをこなすのが『アナウンサー』なのでしょ?」
その通りである。
今でこそ、何とか時計を見ながら話を纏めている。
しかし新人の頃、この作業がドキドキもので
連日寿命を縮める思いで事に当たっていた。
時間を超えるとどうなるか・・。
『事故』までには至らないが
『不体裁』なのだ。
つまり「カッコ悪い~」なのである。
ベテランと呼ばれる現在も、毎朝、アナ尻には気を遣っている。
1秒延びても次の音が容赦なく出て来るのだ。
この1秒の感覚が養えれば勝ったも同然。
これを業界では『1秒息災』と呼ぶ。

冗談である。

12月1日『8ミリメートルで失格』というニュースに驚いた。
起きたのは、ノルウェーで行われたスキージャンプ女子の
ワールドカップ個人でのことだ。
それも日本のエース、我らが「サラちゃん」高梨沙羅選手が犯した。
原因はスーツの規定違反。
ワールドカップで2シーズンぶりの総合優勝を目指す高梨選手は
開幕戦で3位に入り、1日はノルウェーで行われた個人第2戦に出場。
高梨選手は、予選をグレーのスーツで臨み、
86メートル50で全体の9位で通過した。
その後、予選に続いて行われた決勝で
開幕戦と同じ黒のスーツに着替えて臨んだが、
1回目のジャンプの前に行われたスーツの検査で違反が見つかり、
失格となった。
国際スキー連盟よると、高梨選手はブーツを履いた状態で
股下の長さが規定より8ミリ短かったという。
スキージャンプのスーツは、空中で下からの揚力を受ける
「翼」の役目を果たす。
国際スキー連盟は、性能や形で飛距離が大きく変わるため、
スーツの素材や厚み、構成するパーツの数や空気が通る量などについて
細かく規定を設けている。
今回、高梨選手が規定違反となったのは、股下のスーツの長さ。
スーツの表面積が大きくなるとより揚力を受けることができ
有利となるため、選手はシーズン前に測定した股下の長さに応じて
規定の範囲以上にスーツがたるまないようにする必要がある。
ワールドカップなどの国際大会では、不正を防ぐために
検査員が、ジャンプの前に特殊な機械を使って
スーツの股下の長さを確認するのだという。
高梨選手は1日に行われた個人第2戦では、
3位に入った開幕戦と同じスーツを着たものの、
ブーツを履いた状態で股下の長さが規定より8ミリ短かったとして失格。
第2戦と同じ日に行われた第3戦の予選でも、高梨選手は同じスーツを着たが、このときは規定違反にならなかったのに。
高梨選手「前日に測定した時も、試合前に測定した時も大丈夫だったので、
信じられなかった」。
第2戦ではスーツの着方によって規定の数値よりわずかに短くなったと
見られる。
高梨選手を含むスキージャンプの日本代表は、
「ミズノ」のスーツを着ていて、
シーズン中でも微妙に変化する選手の体型などにミリ単位で対応するため、
1シーズンで選手1人当たり20着から30着ほど異なるスーツを使うという。
ただでさえ、高い所から滑り始め。ジャンプするのに
こんなに厳しい規定があるとは。
トップアスリートは様々なことを教えてくれる。
大舞台
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