浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2019年10月21日 静かに香る

桜の戦士の挑戦が終わった。
強い気持ちと犠牲の躍進は、準々決勝で膝をついた。
4年前のラグビーワールドカップ・イングランド大会で
優勝候補の一角、南アフリカを破るジャイアントキリング、
大金星を挙げて話題を集めた日本チーム。
今回は、つい先日まで世界ランキング1位のアイルランドに
7点差をつけて勝利するという歴史的快挙。
試合前時点での日本のランキングは10位。
対戦成績は、これまで10戦全敗。
「勝ちたいというメンタリティと、勝てるという自信が一番の勝因だと思う」
試合翌日に日本チームのキャプテン、リーチ・マイケル選手は、そう語った。
強く希望する精神と、やり遂げられるという自信。
共に気持ちの問題だが、スポーツでも仕事でも、
あらゆる困難に立ち向かう時、一番必要なものは、
「気持ちで負けないこと」と、ラグビーから教えられた気がする。
どんなに入念に準備をしても、「ダメかもしれない」と
弱気のままでは、目標を成し遂げる可能性は低くなる。
リーチ選手がキャプテンとして、チーム全員に気持ちを強く持つことを徹底し、
全員が前向きな気持ちを失わずに戦ったことが歴史的勝利に導いたのだ。
一方で、ただ単に気持ちだけ強ければよいのではない。
そこには希望と自信を裏打ちする努力が欠かせないのだ。
アイルランド戦勝利直後のインタビュー
田村選手は興奮気味に語った。
「試合前、ジェイミー(ヘッドコーチ)が俳句を詠んでくれて。5行(ママ)
誰も勝つと思ってないし
誰も接戦になると思ってないし
誰も僕らがどんなに犠牲にしてきたか分からないし
信じているのは僕たちだけ
というメッセージがあって、その通りになったと思う。
僕らは1週間、アイルランドに勝つって信じて準備していた」
そして、4戦全勝で1次リーグを突破。
決勝リーグ、準々決勝を迎えた。対戦相手は南アフリカ。
観客のカウントダウンで試合が始まった。
前半、日本代表は、3-5で折り返す。
しかし後半、ペナルティーゴールやトライを許し
3―23 でノーサイド。
今大会スタジアムを沸かせた日本の攻撃は爆発しなかった。
試合直後、4回目のワールドカップ出場
最年長38歳のトンプソン選手が今の思いを語った。
「チョットサビシイ。あの・・ムズカシイ(今の思いは?と聞かれ)
このチーム、特別なチーム。
一緒にプレー、スゴイ、ホコレマス。
今日、マケタ・・残念ケド、ホコレマス!
日本人の皆サン、素晴らしい応援シタ。有難うございマス!カンドウシタ。
これはサイコウ!
準々決勝アエタ、4試合カッタ、新しいレキシツクッタ
スバラシイ!スバラシイ
南アフリカ素晴らしいチーム
私タチ、スゴイタタカイ、頑張ったケド、チョット南アフリカ
強いチーム、スゴイガンバッタ・・皆さんアリガトウ」

ドレッドヘアでおなじみワールドカップ3回出場、堀江選手は
「自分たちの用意していたものは全部出したかなって思いです。
南アフリカが強くて、かなわなかったってだけ。
前半は相手苦しめることもあった。レベルの違いが見えた。
若い選手たちが自分たちの姿見て
上に上がろうという気持ちを持ってくれれば幸い。
最高のチームでした。最後まで諦めない姿っていうのは全員持ってました。
年重ねるごとにいいチームになっていって。
歓声も凄かった。有り難かった。期待に沿えなかったのは残念です」
それは、勇気、闘志、不屈、努力・・・
私達は、桜の戦士から、様々な「パス」を受けとった。

一所懸命やって勝つことの
つぎにいいことは
一所懸命やって負けること
L.M.モンゴメリ

さて、次は何に気づけるだろう・・
金木犀の香りが私を優しく包んでいる。
静かに香る
静かに香る

  • twitter
  • facebook
  • radiko
  • twitter
  • facebook
  • pagetop
Copyright © Nippon Cultural Broadcasting Inc.All right reserved.