過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2006 10月28日 放送分
「南極はこんな所」
コーチャー/中山由美さん(朝日新聞記者)
大村正樹&中山由美
大村正樹
そういえば、中山さん、南極に行ったあとで朝日新聞のコマーシャルに出てましたね。
アザラシと一緒に。
ペンギンです(笑)。
大村正樹
あ、ペンギンと一緒に(笑)。失礼、ペンギンと一緒に。
こんな華奢に見える女の方が1年4ヶ月、なんで南極に行こうと思ったんですか?
いや、私もね、新聞記者になって南極まで行くとは思わなかったんですけれども、ある日突然行ってみないかと言われまして、まあ次の機会に、っていうことはもう二度とないだろうと思ったもんで、もう気がついたら「行きます」って答えてました。新聞社からしてみると、「中山だったら行きそうだな」ぐらいのバイタリティーがあったということかもしれません。「こいつだったらまあどんなとこへ行ってもなんとか生き延びるだろう」と思われたのかも (笑)。華奢に見えますけど、頑丈ですよ、私(笑)。合気道やってスキーやって、それから山歩いてますし。
大村正樹
あ、そうですか。あんま馬鹿なこと言って合気道で投げられたら怖いですからね、気を付けましょう(笑)。
じゃあ中山さんが経験した南極の最低気温って何度ですか?
私はですね、南極大陸の真ん中の方に目指して行った時に、-60℃体験してます。冷凍庫でもそこまで冷えないですよね。
大村正樹
ひえーーーーーーーーーーーー、何よそれ!よくね、ちょっとテーマパークに行くと「-32℃の世界」とかあるじゃないですか。
その倍寒いっていうことですか?どんな感じですか?-60℃。
もうなんか、寒いっていうかこう、体が硬くなる感じですね。でね、こう吐く息が、例えばこうハーってやって、口を覆いますよね?そうすると、この吐いた息の蒸気がまつ毛についたりすると、パリパリって凍っちゃうんです。一瞬にして。まつ毛、まゆ毛が凍りますね。
大村正樹
-60℃の空気を深呼吸したら体の中は凍るんですか?
  なんか不思議と人間は凍らないですね。でもね、面白いことをやりまして、熱湯を急いで出してマグカップに入れて、パッと撒くんですよ。そうするともう空中であっという間に氷の粒になって、もう白い粉になってパラッと広がるんですよ。きれいですよ、熱湯が。きれいな映像だったので、もう一生懸命、写真とビデオで撮りましたね。
ペンギン
(イメージ)
アザラシ
(イメージ)
 
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大村正樹
へー。ちなみに、南極っていうと「寒いところ」ってみんな知ってると思うんですけれど、暖かい時期とか、気温が氷点下よりもプラスになるときってあるんですか?
あるんですよ。南極の夏っていつ頃だかわかりますか?南半球だから、日本でいう冬の時期です。ちょうど反対になるので、12月の終わり、1月ぐらいがむこうに行くと夏。私達も着いた頃ですね。一番暖かいときで+5℃ぐらいありました。それもですね、やっぱり南極大陸っていうか、南極のまわりの方の、まあ標高が低いところですね。で、真ん中の方行くと、山みたいにどんどん高くなってっちゃうので、私が行った内陸の「ドーム富士」っていう基地があるんですけど、ここはうーんと暖かくなっても-20℃ぐらいかなっていうとこですね。ここはですね、私は-60℃だったんですけど、記録としては-79℃を記録してますね。はい。南極で一番寒いところっていうのは、-89.2℃を記録したそうです。
大村正樹
それは人間は誰か行ったことがあるんですかね?
  ロシアのボストークっていう、南極大陸の中の方にある基地なんですけどね。ロシアの人がそこで研究してるわけです。それで、体験したんでしょうね。測ってたんですもんね、-89.2℃を。。
大村正樹
ほー…。ちなみに日本の最低気温は確か、北海道の旭川あたりで、
-41.2℃かな?そんなのがあるんですよ。
  あー、そこらへんはきっとね、昭和基地の冬の寒さがそれぐらいですね。
大村正樹
あ、そうですか。風邪ひかなかったんですか?
  風邪はですね、あまりひかないんですよ。これがね、面白いとこで、なんでだと思います?ウイルスがあまりいないってことなんです。これおもしろいのが、風邪のウイルスって、「人にうつすと治る」って言うけれども(笑)、コホンコホン、って誰かひいて、こう一度かかると、治った人っていうのは同じウイルスもらわないんですよ。で、実は南極でも風邪ひく人、最初はいるんですよ。でも風邪をひいて、そこには決まった観測隊員しかいないから、みんなグルッとまわっちゃうとウイルスがもう、生きていける所がなくなっちゃうんですよ。うつる人がいなくなっちゃうんですね。
大村正樹
へー。生き物って不思議ですね。気になる南極の生き物の話も聞いていきたいんですけれど、南極というとペンギンとかアザラシですかね?あと何がいるんですか?
そうですね、夏の間には少し飛んでくる、あの「ゆきどり」っていう真っ白な鳥とか、あと「南極大盗賊カモメ」と言ってですね…、すごい名前でしょ(笑)。ちょっとね、カモメを少し、ちょっとだけ大きくして、色を汚くしたような感じのものが飛んでますし、あと海の中ですと、お魚がたくさんいますよね。ちゃんと、氷の下に生き物がたくさん生きてます。魚釣りもできますよ。
大村正樹
え、やるんですか?何が釣れるんですか?
  「昭和ギス」という、2〜30cmぐらいのお魚が釣れますし…。なんで南極なのに「昭和ギス」って名前に「昭和」をつけちゃうかっていうと、それは昭和基地のあたりで見つかった種類にそういう風につけたんですけど。
ルーペくん
 
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大村正樹
でもそのキスからしてみれば、「勝手につけるなよ」って思いません?だって南極って一応どこの世界にも属してないって言われてますよね?それを勝手に魚の名前に「昭和」とかつけちゃっていいんですか?
それはだって、誰か見つけた人が名前付けてあげなきゃ(笑)。
大村正樹
じゃあ、それはアメリカの人が見てもそのキスは「昭和ギス」って名前なんですかね?
  それはどうでしょう(笑)。でもアデリーペンギンっていうペンギンの種類ありますよね?皇帝ペンギンとかキングペンギンとか。アデリーペンギンさんっていうのは、そのペンギンの研究者、南極観測隊の、まあ、外国の方ですけど。その人の奥さんのお名前をいただいたというお話を聞いたことがあります。日本人もアデリーペンギンで通ってるから、昭和ギスも外国の人が「昭和ギス」って言ってるかもしれないですね。もしかしたら、何か学名がちゃんとあるのかもしれないんですけどね。
大村正樹
ペンギンとかは、よく僕達は動物園で見たりするわけですけど、なんかビックリして逃げちゃったりとかするじゃないですか。
実際に間近で見たペンギンっていうのはどうなんですか?
これはね、一番楽しかったんですが、南極のアザラシにしてもペンギンにしても逃げないんですよ。やっぱり人間が怖いとか、天敵だって思ってないんですよね。ですから最初私達も珍しくてこうカメラむけててですね。そうすると、むこうの方が時々好奇心旺盛で、寄ってきちゃうことがあるんですよ。なんかこう、見にくるような感じですね。面白いですよ。じゃあもう至近距離ですね。でも実は南極条約っていうのがあって、あんまり触ったりつかんだりしちゃいけないんですよ。例えばむこうにいる動物にバイ菌をうつしちゃったり、病気をあげちゃったりしちゃいけないから、何メートル以上離れましょう、っていうお約束があるんですが、でもむこうの方が近づいちゃってるから、こうカメラかまえてるこっちがひかなきゃっていう…。寄ってきちゃうって時もあるんですよ。
大村正樹
じゃあ朝日新聞のコマーシャルで見た、あの距離感がギリギリの距離ですかね。
  (笑)あれはでもね…、ここだけのお話、内緒ですけど、本物じゃないんです。バラしちゃいましたけど(笑)。あれはですね、実は人が入って動かしたペンギンを科学技術の力でちっちゃく映して、一緒に私と共演させちゃったんですよ。中に人が入ってるんです。内緒ね(笑)。でもあれ本物みたいでしょ?
大村正樹
やっぱり動物は、アザラシとかペンギンとか魚とか鳥がいるけど、内陸部に入るとやっぱりいないわけですよね?
  そうなんですよね。だからドーム富士にむかってどんどん行くと、ペンギンもいないしアザラシもいないし、飛ぶ鳥もいないし、もっともっというと、もう虫もいないわけですよ。で、フッと気が付くと、ここからもう何百キロ、何千キロ先まで、生き物って私達しかいないんだ、っていうのがね、不思議な気がしました。だっておうちの中だって、部屋の中だって、探してみたらちっちゃい虫とかいるでしょ?もうそういうものも全然、先までいないっていう世界なんですよ。
南極
(イメージ)
 
なんでちゃん
 
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