過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 2月3日 放送分
「魚の不思議、魚のおもしろさ」(2)
コーチャー/さかなクン(東京海洋大学客員助教授)
大村正樹&さかなクン
さかなクンは魚飼ったりはしないんですか?
  もちろん!魚と暮らしています。今我が家に暮らしているのは、イネゴチ、イシガキフグ、ハリセンボン、カンポウ、ハオコゼ、マハタ、ホタテウミヘビ、あといっぱいいますね。まだまだ。でっかい水槽で飼ってます。お風呂と同じぐらい大きいですね。200リットルぐらい入ります。
  大村正樹
え〜!! そこで飼ってる?
  さかなクン はい、もう定置網船に乗せていただくと、アジからイワシからサバ、マンボウ、時にはウミガメ、イルカ、クジラが入る事もあるんですけど、とにかく沿岸のいろんなお魚が入ってくるんです。そういうさまざまなお魚をおいしくいただいたり、また小さくてかわいいお魚は家族の一員として一緒に暮らしています。
  大村正樹
さかなクンね、すごい珍しい経験で、カブトガニの孵化に
成功したっていう話、僕何かで読んだんですけど、どういうこと?
  さかなクン ありがとうございます。カブトガニ。はい、これはですね、中学3年になったばかりの春のこと。たまたま水槽がたくさんあると思って勘違いして入ってしまった吹奏楽部の先生からですね、ある日呼び出しがあったんです。授業終わってからですかね。「職員室に来なさい」って言われたんで、「えっ!なんでだろう…」と。理科の先生でもあったんで、「理科の点数悪かったかな。それとも部活で、自分だけ楽器教えてくれるのかな」と思って職員室行ったら、その鈴木先生がですね、「おお!カブトガニが来たんだよ!カブトガニ!どうやって飼えばいいか知ってる?」って言うんで、「えっ!カブトガニがいるんですか!?」で理科室にいるっておっしゃるんで、すぐ理科室に行ったんですね。そしたら60センチぐらいあるでっかいカブトガニがゴソゴソ歩いてるんです。
  大村正樹
それは自然に生きてたもの、
野性のカブトガニが中学のときに理科室に現れたってこと?
  さかなクン そうです。はい、それは後輩の中学1年生のおじいちゃんが九州で漁師さんされていて、時々網に入ってくるそうなんですよ。で、理科の実験に使いなさいってことで送ってくださったらしいんですけど、理科の鈴木先生はカブトムシと勘違いしてて、キュウリだかスイカだかをあげてたんですよ。先生が「食べないんだよ」って言うので、「食べないですよ。海の生き物です。先生、こんなに元気だったら飼いましょう」ということで飼うことに決めたんです。
 
なんでちゃん
 
イルカ
ウミガメ
 
大村正樹
カブトガニは自分の家で飼ったの?
  さかなクン 最初は理科室で飼ってて、部活の練習が朝と放課後にあったので、まずは朝練に行った時に「カブちゃんおはよう!」で、水槽の中でせまい中歩き回っていたんでかわいそうだから、「カブちゃん散歩だよ!」って言って理科室中歩かせてたんですよ。そしたらカッチャン、カッチャンコって歩くんですよ。で壁にカチャンって当たるとまた方向転換してカッチャンて。で、練習終わったら水槽に戻して。それで、放課後にまた「カブちゃん!会いにきたよ!」って、また水から出して散歩させたり、あと大好物の魚の身とかいろんなものあげて、そんなことを繰り返してたんですよ。
  大村正樹
へぇ〜、それから?
  さかなクン 最初飼ってたのはメスだったんですね。60センチぐらいの。今度はやっぱりオスも一緒に入れてあげたいと思って、その1年生の男の子に「おじいちゃんに今度オスを送ってもらうようにお願いできるかな」ってお願いして。そしたら1週間ぐらいしてオスをまた送ってくれたんですね。オスは小さいんです。50センチぐらい。ひとまわり小さいんですね。最初一緒に入れてたら、さすがにやっぱり水槽がせまくてちょっと窮屈そうだったので、また散歩させてあげて。で、それを繰り返して初夏の頃ですね、オスがメスの後にしがみついてるんです。「お!これはひょっとして図鑑で見る繁殖行動の姿じゃないか」と思って嬉しくなっちゃって、「この子たちは仲がいいんだ!嬉しい!」と思ったんですけど、また見ると離れてるんです。また次の日見るとくっついてたり、また離れてたりして、「これはただ狭いからくっついてるだけかな」と思ったんですね。で、そんなこんなしているうちに、ある日、放課後に水槽を見たらですね、水槽の底に黄色いものがパーっとちらばってるんです。「えっ、なんだこれ。ひょっとしたら誰かBB弾やったのかな」と思って。その当時エアーガンが流行ってたんですね。「こんなことするの誰だろう?」と思ってBB弾と思ってすくったんですね。そしたら、硬くなくてプヨプヨしてるんですよ。 「あれ?ここは理科室だ!顕微鏡を借りてこよう!」顕微鏡借りてきて、その丸いものをのっけてみたら、ジワジワって何か動いてるんですね。あのウルトラQの文字みたいにグニャーって。「ああ!これは生きてるぞ!細胞だ!ということは、これは卵にちがいない!」卵だったんですよ。
  大村正樹
それから、カブトガニの卵はどうしたんですか?
  さかなクン 毎日何百粒と産むんですね。トータルで何千粒となったんですけど、ただ育て方がわからなかったので、いろんな水族館さんからたくさん情報いただいて。水族館さんでも卵を産む事はあるらしいんですけど、孵化まではなかなか至らないらしくて。すごく珍しいそうなんです。で、その卵を大切に飼育していたんですけど、これが面白いことに、卵が脱皮してくるんです。甲殻類だからカブトガニ自身が脱皮して大きくなって、卵自体も脱皮して、一皮むけたらまた一回り大きくなって、また一皮むけて大きくなって3回か4回脱皮してましたね。
ルーペくん
  大村正樹
丸いままだんだん大きくなってきて、カブトガニになるんですか。
  さかなクン 最初黄色かったのがクリーム色になって、だんだん透明感が出てきて。最終的には中で妖精が動いてて、透明になってくるんです。それで最後は、大きいカブトガニになりました。
  大村正樹
このカブトガニの孵化に成功したっていうのは、
表彰されたり有名になったりしたんですか? 当時は。
  さかなクン はい、もう、たくさんの新聞にとりあげていただいて。その中学3年生のカブトガニの孵化っていう経験が今につながってます。もうあの時は本当に楽しかったですね。ずっと卵見てたんですよ。多分5、6時間、集中して見てましたね。ある日ずっと見てたら、卵はフワフワしてるんで、「あっ!いけない!これはひょっとして水槽の中の泡で舞い上がっちゃってるんだろう」と思って泡の位置調整してもずっと浮いたままので、なんでかなと思って見たら「あっ!産まれた赤ちゃんが泳いでる!!」。赤ちゃんが背泳ぎしてるんです、ずっと。「あ!これはすごい!先生に電話しなきゃ!」って、先生に電話したんです。
「先生なかなかでないな」、15コールくらいしてやっと「はい、鈴木です」って出たんです。「先生!産まれましたよ!」って報告したら、「おーっ!産まれたの!?今何時だと思ってんの?」って言われて。「3時!!」と。夜中の3時に先生に報告しました。時間の感覚なかったんだと思います。もう、今でもそうなんですけど、没頭すると時間の感覚がなくなっちゃうんですね。
  大村正樹
でも先週会ってね、こんな好きなことをお仕事にしてる
さかなクンって羨ましいなって思ったんですけど。
  さかなクン いや、もうこれは本当に皆さんのおかげで、魚好きってことを理解してくださって応援してくださるので、もうこうやって。子供の時からそういう風に好きなものを没頭して、それがお仕事になって今に繋がってくっていうことは、どのキッズにもそのチャンスはあるわけですよね。もう是非、皆さんも得意なこと、楽しいこと、大好きなこと、もうずっと続けてほしいですね。
    さかなクンについてもっと知りたいキッズは、
さかなクンオフィシャルホームページを見てね!
クロヒラアジ