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2007 3月3日 放送分
「線香花火」
コーチャー/横山一郎(湘南学園高校教師)
大村正樹&横山一郎
大村正樹
いやいや今ね、ラボの外飛び出してきましたけど、ここは東京の浜松町の文化放送の屋上にきています。横山先生、先生が今持っているのは何ですか?
日本の伝統、線香花火です。すみません。季節感ないと言われるかもしれませんが、実は線香花火はとっても面白い理科の教材にもなるので、私はこれを研究してるんですよ。生物の先生だけれども、線香花火の研究者でもあるんです。なかなかうまくいきませんが、仕組みを調べています。まず、私の自作の線香花火を点火してみますので、見ていただけますか?それじゃあ行きますよ。(点火)
大村正樹
すごいいい音ですね〜。これ先生の手作り?
  はい。ちょっと最後は風があって落ちちゃいましたけど、私の手作りです。本当は風がなければ落ちずに上の方までずっとあがっていくんですね。私達はそのずーっと上にあがっていくときの細い火花を見ながら、夜の闇の中で線香花火に気持ちがスーっと集中していく。それが、おそらくこの放送をお聞きの皆さんも線香花火の好きな所だと思うんですが。
大村正樹
誰が一番長く玉を落とさないでもたせるかっていうのが勝負になりましたもんね、昔はね。今の子たちはやってるかな?
  私が今研究してるのは、きれいな大きな火花を出す線香花火で、しかも最後の最後まで細く長く火花がもつ線香花火をどうやって作るか、ということを研究してるんです。ここに純国産と言われる、昔ながらの線香花火の火薬をちょっと、わけていただいたものがございますので、その花火をちょっと見てみましょうか。放送をお聞きの皆さんは、音の違いに耳をかたむけていただければと思います。それでは行ってみますよ。(点火)
大村正樹
すばらしい!(拍手)すばらしい!!純国産!なんで?
  違うんですよね。パチパチ出る、一番激しい時に出ていた火花が、半径10センチ以上、いやそれ以上まで広がってましたね。で、先に広がった所からさらに先分かれして、大きな火花がパララッと出る。あれが国産なんですね。私のはまだそこまで行ってない。あの火花を出すために何を加えればいいかはわかってるんです。ところが、それを加えますと、今度は後半の細いいわゆる柳(やなぎ)や散り菊(ちりぎく)といわれる火花がなかなか出にくいんです。そのバランスが難しいんですね。今日は風が強いんで、一番いいところを見たらボトッと落ちちゃいました。
横山一郎
線香花火
 
大村正樹
ちなみに、中国産のものを確認したいんですけど。
  そうですね。じゃあ、やってみましょう。まあ、中国産のも最近は日本でどういう花火が「いい花火」って思われるっていう所で、中国の方が考えて作っているんじゃなくて、日本から技術移植して作ってるものですから。日本の業者が技術を提供してるんですね。
大村正樹
へぇ〜。じゃあ中国産の線香花火、今点火です。あ、中国産、粘りますね。
  たまたま、風がないですからね。ただちょっと最初出て、そのあとパラパラっとはくるんですが、勢いと音のキレはないんですね。実際見てると、火花の広がり具合が全然違います。
大村正樹
先生、線香花火用語で、まず玉ができますよね、これなんて言うんですか?玉。
  火球(かきゅう)とか、火玉(ひだま)とか、ですね。その玉を中心にパラパラと火が飛び散るのは、私達はぼたんと呼んでいます。
大村正樹
国産のものは、すばらしいぼたんが出るわけですね。
  そうです。大きなぼたんがでますね。で、その最後の切なくなって火がだんだん細くなってく所は、やなぎ。中盤が、わりと華やかに激しくバラバラバラバラって出るのが、私はまつばと呼んでるんですけどね。ぼたん、まつば、やなぎ、という変化で。
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大村正樹
ちなみにこの線香花火、手作りなんですよね?何から作られてるんですか?まずこれ紙ですよね?外側。
  外側は和紙です。和紙を線香花火らしく見えるように特別な染料で染めております。中は火薬なんですが、いわゆる黒色火薬です。成分は硝酸カリウムと硫黄と、あとは2種類の炭素。木炭と松煙(しょうえん)と呼ばれる、松の根を燃やして出る煤が使われています。
大村正樹
まず火薬が一番重要ですよね?黒色火薬っていうのはどこで買えばいいんですか?
  はい。残念ながら売っていません。はい。危ないですからね。理科の実験室で法律にふれないような分量に気を付けて使っております。
大村正樹
そうですか。
先生は線香花火を研究して10年以上ということなんですけど、線香花火の研究の最終目標はなんなんですか?
はい。こんなことを言うとちょっと大きく聞こえちゃうんですが、世界一の美しい線香花火を作るのを目標に頑張っています。
大村正樹
今ちなみに日本で線香花火を研究されてる方って、大勢いらっしゃるんですか?
  大学の先生で1、2名いらっしゃるようなことを聞いています。あとは職人さんで作っていらっしゃる方が3軒か、多くて4軒ぐらいじゃないでしょうかね。時間をかけてもなかなか結果が出ないのが残念です。もうちょっといい結果が出て、本当に美しい火花が散る花火を早く作ってみたいと思います。
線香花火
 
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