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過去の放送分 過去の放送分 2007 3月31日 放送分
「どうすれば自分の脳をより発揮することができるか」
コーチャー/米山公啓(医学博士)
大村正樹&米山公啓
大村正樹
子供の頃、小学校の先生に生まれたての脳はつるっとしてると。
知識ができるたびにしわができるっていうんですけど本当ですか?
  一部は当たってますけどね。確かに若い脳って、頭の断層写真を撮るとつるつるしてるんですよ。しわが少ないんですよ。しわが増えるっていうことは、脳の表面積を増やそうというためなんです。だから例えば、新聞紙1枚ぐらいをぐちゃぐちゃってまとめたのが脳の表面なんですよ。それぐらい広くするためのしわなんですね。ただ、増えすぎちゃうと今度それは脳の萎縮といって、細胞が減っちゃった状態ですね。病気で脳が縮んでしまうときに、しわが増えちゃいます。いいか悪いかは、程度問題ですけどね。知識がある、なしに関わらず、年齢とともに脳にしわは増えていきますね。
大村正樹
脳のしわの具合で、例えば「何歳ぐらいかな」ってわかるんですか?
  それはだいたいCTスキャンの輪切りで見ればわかりますけど、例外的に80歳のお年寄りでもすごくきれいな脳があるんです。だから必ずしも年齢でどんどんどんどん縮んでいくわけでもないので、それが難しいというか、面白いですよね。その方は80年間何も考えてないっていうわけじゃないんですね。むしろものすごく若いということです。
大村正樹
よく右脳左脳って言って、右と左で脳を分けるじゃないですか。これをちょっと是非キッズ達にイメージしてもらいたいんですけど、人間の脳ってまず左右に分かれてる。僕はね、クルミを割ったようなイメージの、そんなので2つに分かれてるかなってずっと思ってるんですけど。
そういう感じでいいと思います。右半分と左半分が真ん中でくっついてるんですね。脳梁(のうりょう)っていう場所で橋渡しみたいになってる。まあ、一応、右と左で脳の機能が、専門性が違うと言われてます。
大村正樹
右はなんなんですか?
  右っていうのはどちらかというと、直感だとか映像的なものを見て判断する能力とか、簡単に言えば情報処理が早いんですね。すぐ答が出せるような脳なんですね。直感というのは、パッと答を出すような感じの閃きみたいなもので、大雑把に全体を見る力ですえね。
標本
 
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大村正樹
算数の知識なんかは直感ですか?
  すごくできる人は右脳なんです。普通は左側の脳で、左側の脳って、論理的な思考だから計算したり言葉で考えたりという部分ですね。だから勉強してる時はどっちかというと左側の脳を使ってるんです。
大村正樹
じゃあだいたい人間は左側の脳を使って勉強してるわけですね。
  それはすごく勉強を続けていくと、右脳で考えられるようになってくるとすごく早くなります。だから本当に天才と言われる人達は、数学の問題が出てすぐに答がパッと出ちゃうんですよ。ただ、なぜその答になるか、自分ではわからない。
大村正樹
暗算の天才みたいな人いますよね?あれは左の脳で知識はちゃんと蓄えているんだけど、右の脳でスパンと答を出してるっていうことなんですか?
そうです。だからものすごく早いわけですよね。だから論理思考でだんだん積み重ねて考えるんじゃなくて、もう直感ですから問題を見たとたんに答が出ちゃうわけです。ただ、自分でなぜそうなったかわからない。そこに到達するには、ものすごい努力が必要です。
大村正樹
なるほど。右脳を鍛える方法ってあるんですか?
  これは難しいんですね。右脳を鍛えるって、さっき言った空間的刺激です。空間刺激っていうのは、例えば旅行へ行って、見たことのない風景のところに自分がいる、っていうことがそれは右脳の刺激なんですね。まあ、もっと簡単に言えば映画を見るとか、そういう方法でもいいと思いますね。映像的な刺激ですから、どっちかというと右が刺激されますよね。
大村正樹
先週のぬり絵は右と左の脳、どちらが刺激されるんですか?
  その色を考えたり手順を考えたりするのは両方ですね。前側が刺激されます。
大村正樹
イメージで左側の脳とか右側の脳を使い分けることはできるんですか?
  それはある程度できます。例えばですね、音楽を聴いて空間的なイメージ、交響曲でホルンみたいな楽器で奏でることを想像すると、右脳系が刺激されるわけですね。その風景にイメージをもたせるんですね。例えば、自分が昔行ったところだな、と思うと、今度は左側の脳が活発に動き出すんです。だから、その同じ音楽を聴くということでも脳をどう使うかで変わってきちゃうんですね。何か歌を聴いた時に歌詞を理解しようとすると、左脳が活発に動き出すんです。曲のイメージ全体をとらえようとすると、右脳になっちゃうんです。
ホルン
 
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大村正樹
じゃあみんなが大好きな音楽を聴いて、ちょっと難しい言葉とか出てくるかもしれないけど、それは左側の脳にしまっとくと理解できて、全体的なイメージで「この歌いいな」とか、「なんか心に残るな」っていうのは右の脳に吸収されるっていうことなんですか。
そうですそうです。
大村正樹
みんなが家族でどっか行ったときの思い出っていうのは左側の脳にしまわれていて…。
  思い出はですね、また脳全体に分散されるんで、記憶はどこってなかなか言えないんですね。。
大村正樹
子供の頃、後頭部って、後の頭をぶつけるとおバカになるって聞いたんですけど、後の頭と前の頭ってどう違うんですか?
  後はとくに視覚ですね。目から入ってきた映像的な情報は後の後頭葉というところが映像の中枢ですから。
大村正樹
じゃあ今ぼく目の前で先生見てますけれど、目で見てるけれど後頭部の中で実はコントロールしてるってことですか?
  まあスクリーンみたいなのがありまして、そこに写し出されてそれをさらに右脳で分析してるんです。目は前を向いているけれど、首の後のちょっと上のあたりのところにあるスクリーンみたいなもので吸収してるってことですね。脳っていうのは確かに機能分担って言われて、要するにそれぞれの仕事を持ってるわけですよ。音を聞いたり映像を見たりってあるんだけれども、実は非常に横のつながりがすごいんです。まあ、ネットワークと言いますか、そういう物が重要なんですね。もともとそういう機能は持ってるけども、もっと横で、さっき言ったように、映像的なことに対して過去の記憶と比較したりするんで、もっと連絡線がいっぱいあるんです。だから脳の中は電線だらけと言った方がいいですね。
大村正樹
いろんな電線がはしってるイメージをしてみると。
そういうことですね。
  発電所が脳の表面にあって、送電線が脳の真ん中にいっぱい走ってるって感じですね。
大村正樹
先生って、歴史上の人物も含めて、有名な人で、この人の脳に非常に興味があるって方います?
  やっぱり芸術家ですかね。絵を描く人っていうか。例えばもう亡くなっちゃってるんですけど、ピカソみたいな人ね。ああいう人の脳がなぜそれを思いつくのかっていう、ここが一番脳で難しいんですよ。アイデアが出て、その瞬間の脳の仕組みがまったくわかってないんですね。創造性っていうのはもっとも要求されるけど、じゃあ脳がどう働いて創造性が出るかっていうこと、それがこれからの研究分野なんですね。
大村正樹
ピカソの絵っていうのはゲルニカというね、有名な絵がありますけど、もし機会があったら、インターネットなり百科事典なり、おうちに何か本があったら是非見てもらうと、確かに、なんでこんな絵になるのっていう…。じゃあ、そのピカソの脳っていうのはどうなってるんだろうか、っていう風に先生は博士として気になると。
そうですね。
大村正樹
先週のぬり絵は右と左の脳、どちらが刺激されるんですか?
  そうやって物事を考えるっていうことがすごく重要ですね。なぜそうなるか、とかどうしてって考えることが、脳を最大に刺激するわけですね。雨の日とか天気の悪い日、表に出られないとかあるかもしれないけど、脳を動かすのはどこでもできますからね。是非ラジオの聞いてるキッズ達も、自分の脳を鍛えてみてください。
送電線
 
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