過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 4月14日 放送分
「リスナーの質問に答える」
コーチャー/寺門和夫さん(サイエンスウェブ編集長)
大村正樹&寺門和夫
大村正樹
たびたびご登場いただいてますけどね、寺門さん。この番組に、リスナーのキッズからおはがきをもらったんです。今日はこの質問に答えていただこうと思っております。板橋区の小学校5年生、ツヅキカナちゃんからいただきました。「質問です。私は冬になると静電気で困っています。何かいい方法はありませんか。また、あの静電気は何かに使えませんか。教えてください」と。確かにね、冬になるとバチバチきますもんね。これなんでなんですかね?寺門さんに解説してもらいましょう。カナちゃん、よく聞いてください。
はい。それではですね、まず最初に、電気というのはプラスとマイナスがあります。多分、カナちゃんも学校で習ってると思いますね。電気というのは普通プラスからマイナスに流れてるので、バチッと来ることはないんです。ところが電気を通さないものをこすったりするとですね。電気のプラスとマイナスが分かれちゃうことがあるんですね。
大村正樹
わかるかな?みんな。
  プラスとマイナスが分かれちゃって、たまっちゃうわけです。これを静電気というんですけど、冬などは空気が乾燥してるんですね。夏なんかになると湿気があるので、たまった電気は自然に空気中の湿度によってとれてしまうんです。冬の間は乾燥してるので、そういったたまった電気がそのまま残りやすいんですね。
大村正樹
プラスからマイナスに流れる電気がめちゃくちゃな状態になっていて、プラスにいた電気がマイナスのゴールにいけなくて、その辺に漂ってるっていうことですか?
そうです、そうです。あるかたまりになって止まってしまってるんですね。そういった状態です。そういった状態で電気を通すものの所に近づくとバチッとくるわけですね。一瞬で電気がその時に流れて、これは「放電」という現象なんですけど、バチッという音がしますね。それからちょっと手がしびれたりしますね。そういった現象が起こってしまうんですね。
大村正樹
ということは僕たちの体がマイナスで、電気を受け入れるっていうことなんですか?
  そうです。体というか、着ているものとかそういったものにプラスとかマイナスの電気が、かたっぽだけたまっちゃうわけですね。
大村正樹
はぁ〜。それでバチッとくるわけですね。例えば、これを防ぐ方法とかはないんですか?
  なかなか難しいですね。冬場は乾燥しますので、部屋の中にいる時には加湿器をつけたり、ちょっとスプレーで水をまいてちょっと湿度を上げたりすることがいいかもしれませんね。
セーター
 
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大村正樹
あっ、加湿器とかで静電気の防止になるんですか?
  なります。ある程度なると思います。つまり乾燥していることがひとつの原因なので、なるべくそれを防ぐということですね。それから冬は靴下を履いたりしていて、体が床と直接電気の通らない絶縁状態になっているので、よけい静電気がたまりやすいんですね。あとですね、着るものも気をつけたほうがいいかもしれません。ただこれはなかなか難しいですけれども。例えば、セーターを着た上に、ポリエステル系の繊維の上着とかコートみたいなのを着ると結構出やすいですね。
大村正樹
あっ、でも、もうちょっとシーズン的にはないと思いますから…。この春はどうですか?
  これからは大丈夫です。これからは湿気があるので。今度の冬はちょっとそういうことも気をつけてみたらいいんじゃないかなと思います。ただ、なかなかこれはね、一瞬にしてくるので防止するのはなかなか難しいですね。
大村正樹
そうですね。ラジオの前のキッズはどういう時に静電気感じるかな。僕はね、例えばおつりをもらう時とかね。それからお金払う時にカードなんかで払う時に、バチッと。だから全然知らない人と手がふれる瞬間とか。あと車ですね。車運転する時とか、あと降りる時とか。
そうですね。ですからそれは、大村さんがその前に知らない間に自分に電気をためちゃってるんですね。
大村正樹
あっ!僕がたまってるんですか?その相手じゃなくて?
  多分そうだと思います。ご自身が知らない間に何かの摩擦で電気をためていて、それで何か相手なり、それから電気を通す金属製のものですよね、近づくとバチッとくるんですね。まあ、子供さんの場合、一番多いのはセーターを脱いだりした時でしょうね。バチバチバチッとなりますね。髪の毛とかも逆立っちゃいますからね。
大村正樹
この静電気なんですけど、何かに使えませんかというカナちゃんの質問ですが。
  実はこれ、いろんなところで使われてるんです。バチッとくるから悪いものだって考えやすいですけど、これをうまく利用すると、いろんなことに使えるんですね。例えば一番身近な例でいいますとひとつはですね、コピー機がありますね。
大村正樹
コピー機ですか。
  あれは実は静電気を利用してるんです。静電気で一回電気をプラスとマイナスで分けておいて、それをくっつけさせる。つまり、電気はさっき言ったようにプラスからマイナスに流れようとする。つまり、プラスとマイナスの電気はくっつこうとするわけですね。その性質を利用して、コピー機では黒いトナーっていうものを紙に焼き付けるのに利用してるんですね。
大村正樹
コピーのインクですよね。コピーのインクってドロッとしてないんですよね。粉ですよね。その粉は静電気で印刷されてるんですか?
  そうですそうです。静電気で紙にひきつけて印刷してるんです。ですから、意外と身近な所で使われてるんです。
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大村正樹
えーっ!そうなんですか。じゃあ、みんなの家にあるパソコンのプリンターとかあるじゃないですか、あれはどうなんですか?
  あれはですね、インクを吹き付けたりしてるのでやり方が違います。
大村正樹
え、あとは?
  あとはですね。これは工場の中ですから、実際になかなか見ることはできないんですけど、自動車の塗装なんかもそうですね。
大村正樹
車の塗装?
  車の塗装。日本の車すごくきれいでしょ?塗装が。しかもムラがなくてピカピカに塗れてますよね。
大村正樹
日本車は特別なんですか?
  いや、日本だけじゃないんですけど、特に技術が進んでますからね。あれはどうしてかといいますと、単にスプレーで塗ってるのじゃなくて、これもプラスとマイナスがひきあうっていうことを使ってますね。自動車にプラスの電気をためておくわけです。そこにある色の塗料を吹き付けるわけですけど、その塗料にマイナスの電気をつけておくわけですね。そうするとプラスとマイナスの電気がつきますから、自動車のボディーに、まんべんなくその塗料がつくわけです。それであれほどキレイにピカピカになるんですね。
大村正樹
なんかプラスとマイナスって電気の話ですけど、磁石と同じような感じですか?
  そうです。磁石のS極とN極がひきあうのと同じように、プラスとマイナスもひきあうわけです。それを利用してるんですね。
大村正樹
じゃあ自動車の工場に行くと自動車の塗装をするところでは自動車のボディーの部分に電気通してるわけですか?電流流して?
  はい、今そういう風にしてます。そういうことでも使われてるし、それから家庭の中にある空気清浄機、これなんかにも使われてますね。これも全く同じですね。ようするに部屋の中にあるゴミとかですね、小さい浮遊物、そういったものに電気を帯びさせて、それで集めてしまう。工場なんかで使う集塵機、もっと大きなものもそうですけど、そういった形で静電気の性質、つまりプラスの電気とマイナスの電気がくっつくっていうことを利用して、意外と身近な所で使われてるんですね。ですから結構役に立ってるんです。
大村正樹
静電気って、静かな電気って漢字で書くんだけど、いうなれば、決して邪魔者とかではなくて、有効に利用すればちゃんとしたいい電気であって、悪い電気じゃないっていうことなんですね?プラスとマイナスがくっつこうとするエネルギーを静電気というわけですね。
そうですね。静電気というのは電気が流れていない状態、そのままたまっている状態のことを静電気というわけなんですね。ですから、バチッとくるのはその静電気が近づいて放電した時の現象なんですね。
大村正樹
なるほど。プラスとマイナスが離れてて、相手を探してる時が静電気なんですね。
  そうですね。自分がどっちかの電気がたまってる状態ですね。
自動車
磁石
 
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