過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 8月25日 放送分
「宇宙のクイズ」(2)
コーチャー/中富信夫さん(宇宙工学アナリスト)
大村正樹
先週はほんとクイズ、楽しかったです。では早速、宇宙に関するクイズをやってみようかな。今日の第1問です。「宇宙飛行士が地球に帰る前に必ずしなくてはいけないことは何でしょうか?」。
5つあるんだけど、その中に答えは2つあります。「1.水をたくさん飲んでおく。2.食事をすませておく。3.トイレをすませておく。4.下着を着替えておく。5.機内を掃除する」。これ全部やっておくべきじゃないですか?その中に絶対やらなくちゃいけないのが2つある。
  そうです。
大村正樹
水、食事、トイレ、下着の着替え、掃除。えーとねぇ、僕は水と食事、1番と2番。中富さん、正解は?
    1番の水をのんでおく。あともうひとつは機内を掃除する。
大村正樹
えっ! やっぱり掃除なんですか。エチケット!?エチケットが大事なんですか。驚いたなぁ。じゃあ、まず水は何で飲むんですか?
    人間の体は、血液とかリンパ液、体液とかありますね。それが無重量状態で、宇宙では上半身に移っているわけです。それが帰ってくる時に重力が元に戻りますので、急に下に引っ張られるんですね。
大村正樹
重さで足のほうが重くなる。
    ええ。姿勢も打ち上げた時は背中を押して、地上に向けて座って椅子を倒したような状態で上がっていくわけです。戻ってくる時はもうちょっと中途半端で、椅子をロッキングチェアのようにちょっと後ろに傾けたような状態になっているんです。それで、急に体液の移動がありますので。
大村正樹
それを水で調整して地球に帰ってくる。
    だから、水で体をうるおしておくことになるんですね。
大村正樹
お〜。どのぐらい飲むんですか?
    大体2リットルぐらい。
大村正樹
えっ、2リットル! やだよ〜。えぇ〜!みんな、2リットルの水を飲める?拷問だよねぇ。でも、宇宙飛行士は一応ルール上飲まなくてはいけない。
  はい。規定では2リットルと言ってますけれど、宇宙飛行士もベテランになってくると、ごまかす人がいます。
スペースシャトル
 
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大村正樹
では、機内の掃除は何でするんですか?
    昔、宇宙船が小さい頃はまだよかったんですが、一番こわいのは、ボールペンとかそういうものがどこか影に隠れて浮いているんですね。重力が発生すると、それは宇宙飛行士と同じように引っ張られるわけです。そうすると、ライフルの弾みたいに飛んでくる。重力で。
大村正樹
重力が急に発生すると、ものすごい勢いで落ちてくるということですか?へぇ〜。ボールペンが鉄砲の弾みたいに!?
    ええ。シャトルは広いから広いなりにいいところはあるんですけど、昔の宇宙船はもっと狭かったですから。それで、探すのも大変なわけですよ。地球に戻ってくるのが1周大体90分ですから、2周分だけ遅らせたことがあったんですね。
大村正樹
宇宙船は地球を1周90分?
    大体、高度300キロメートルで回っていると、1周90分ですね。その中で夜明けと日没があって、地球の半分、反対側は暗いわけですから、それをクリアして2回分回ったんですね。その間に探したわけですよ。ボールペンが行方不明になったって。
大村正樹
やっぱり危ないからってことで、地球を余分に2周分遠回りをしたということですか。
    自動車のコックピットみたいに裏のほうに浮いて隠れていたわけです。だから、よかったんですけどね。頭のほうで回ると、それが刺さりますよね。
大村正樹
そこまで慎重にならざるを得ないということですか。すごい。分かりました。
    シャトルには小さな掃除機みたいなのはあるんですけどね。ダストシャワーというのがいつも起こるんです。
大村正樹
ダストシャワー?
    小さなホコリがありますね。ホコリだって何だって、難しい言葉で言うと質量と重さがあるわけですから、重力の影響を受けるんですね。地球の大気圏に突入すると、それがワーッと降ってくるわけです。
大村正樹
そうすると痛いということですか?
    痛いということではなくて、例えば、倉庫を大掃除してホコリをかぶるようなものですね。
大村正樹
重力が発生するとあんな雰囲気になる。
    もうちょっと速度がついているという感じです。
大村正樹
へぇ〜、掃除かぁ。驚いたなぁ。地球1周90分ということは、この番組をやっている最中に、宇宙船は地球を6分の1回っているんだ。
  そうですね。
宇宙飛行士
 
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大村正樹
(笑)。じゃあ続いて第2問です。「スペースシャトルにない調理器具はどれでしょう?」。スペースシャトルに調理器具がついていることも驚きだなぁ。
「1.電子レンジと冷凍冷蔵庫。2.冷凍冷蔵庫と電気オーブン。3.電子レンジと電気オーブン」。
ない調理器具ということは、電子レンジと冷蔵庫とオーブンの3種類しか出てないんだ。そのうち、ないもの・・・。ということは2つないということ?中富さん、2つないということですか?
  そうですね。
大村正樹
じゃあ、あるのはどれかということですね。冷蔵庫でしょ、あるのは。
    ないんですよ。いらないです。あるのはオーブンですね。逆に言うと、装備してないのが電子レンジと冷凍冷蔵庫です。正解は1番。
大村正樹
何でオーブンが必要なの? パンとか焼く・・・あれはトースターか。オーブンは七面鳥を焼くやつ、お母さんがクッキーを焼くやつですよね。あれがシャトルにはあるということ。
  オーブンは温める効果があるでしょ。宇宙食は、真空パックになっているから雑菌は入ってないので腐らないわけです。だから冷凍する必要がないわけです。
大村正樹
そうか、冷蔵庫はいらないということですか。
    ええ。オーブンは真空パックをあっためるとか、元に戻すわけですよね。だから、コンビニの弁当を温めるようなものです。
大村正樹
そうか。えっ電子レンジのほうが便利ではないですか?
    電子レンジは実はダメなことがあるんです。マイクロ波、電磁波が出るんです。電磁波が出ると、昔、地球上で飛行機でも携帯電話とかコンピュータを使っていけないとかいろいろな制限がありますね。それは、飛行機の操縦機器、航法機器に影響を及ぼすわけで、だから同じことなんですね。シャトルでも電磁波が出るのはよくないわけです。
大村正樹
使ってはいけないものもあるということですね。分かりました。いやぁ中富さん、面白かったです。中富さんが今日お持ちのごっついカバンを見て思い出したのが、ゼロハリバートンという、これはアポロが最初1969年、アームストロング船長が月の石を持ち帰った時のカバンですよね。やっぱり先生、そういうアイテムをお持ちなんですね。
  これは、パッキングすると浮き袋になるんですよ。
大村正樹
このカバンが?
    ええ。それから、中にクッションを入れれば非常に保護できる。カメラとか硬いものと柔らかいものを同時に入れることができるとか。さらに今、進歩してチタンのができてます。もっと軽くなってますよね。
大村正樹
憧れですよ。高すぎて買えませんよ。いやぁ、うらやましいカバンをお持ちの中富信夫さんでした。ありがとうございました。
    ありがとうございました。失礼いたします。
星
 
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