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過去の放送分 過去の放送分 2007 9月1日 放送分
「夏のサイエンスイベント」(1)
コーチャー/外村(トノムラ)彰さん(日立製作所フェロー)
大村正樹&外村(トノムラ)彰
うぉ〜〜!!
大村正樹
こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。さぁ、今日はこのシークレットラボにキッズたちが遊びに来てくれました。さぁ、今日は、東京・浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りしている「大村正樹のサイエンスキッズ」。今日は大勢のキッズ、そしてお母さん、お父さんが参加してくれてサイエンスイベントを行ないます。
大村正樹
みんな、将来の夢とかあると思うんだけど、科学を専門とした人になりたいとか、そういう夢を持っている人はいる?
  科学が・・・。
大村正樹
いろいろな夢があると思うんだけれど。日立製作所というテレビとか洗濯機とか冷蔵庫とか、いろいろなものを作っている会社があるんだよね。その中で、博士、フェローという役職についていらっしゃる方をお招きします。みんな、拍手で迎えてね。今日のゲストは、工学博士で物理博士でもある日立製作所・フェローの外村(トノムラ)彰さんです。お願いします(拍手)。
外村さん、こちらへどうぞお願いしま〜す。僕らのサイエンスキッズでは、サイエンスのコーチャー=サイコーと呼んで、毎回、ゲストの方から楽しいお話を聴いているんですが、今日は外村博士にステキなお話をしてもらいます。外村さんは、あとでみんなに見てもらう電子顕微鏡を使って、いろいろなものを拡大して、そしていろいろな発見をされている方です。左右にあるあの電子顕微鏡で、外村さん、いろいろな世界が見えるわけですよね。
外村(トノムラ)彰 はい。
大村正樹
顕微鏡の開発をされた方とも聞いています。顕微鏡を持っている人? 学校にある人?
  学校にはある。
大村正樹
顕微鏡を見たことがある人? うん、大体あるよね。今日は電子顕微鏡を使って、チョウチョの目ん玉。
  目ん玉?
大村正樹
チョウチョのお目め、それを拡大したらどうなるのかを見ていきたいと思います。まず学校にある顕微鏡がチョウチョを拡大していきます。突然、画面が白黒になるけれど、その白黒になると電子顕微鏡で見たチョウチョと考えてもらっていいと思います。
じゃあ外村さん、一緒に見ていきたいんですけれど。チョウチョの拡大、こちらに出てくるから、みんな見てね。はい、お願いします。
外村(トノムラ)彰 見えますか?
大村正樹
ヒメシロチョウ。拡大していきましたよ〜。
  外村(トノムラ)彰 これはモンシロチョウよりちょっと小さめ。
大村正樹
ここまでは普通の顕微鏡。白黒、ここから電子顕微鏡。
  外村(トノムラ)彰 電子顕微鏡です。
大村正樹
目ん玉です。
  外村(トノムラ)彰 これ、目玉。
大村正樹
大きくなったねぇ。目玉を拡大すると、これ何に見える?
  蜂の巣。
大村正樹
そう、蜂の巣みたいなのが見えてくる。
  外村(トノムラ)彰 これ1個1個が目玉ですよ。
大村正樹
外村さん、もうここからは電子顕微鏡の映像ですね。
  外村(トノムラ)彰 そうそう。だから、どんどんどんどん物って拡大できるんです。小さい構造が、新しい世界がどんどんあるんですよ。こんなにキレイなのが。僕たちは企業の研究所だから、いろいろ材料とか開発するんです。だけど、こんなにスゴイものはできない。だから、こういうのを見ると頭が下がります。
大村正樹
ちなみに、モンシロチョウの目って1ミリにも満たない。きっと、それぐらいですよね。ここまで大きくするには、何倍に拡大したのがこの画像なんですか?
外村(トノムラ)彰 ここまですれば大変な、これは1000万倍。
ヒメシロチョウ
 
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大村正樹
1000万倍!?
  外村(トノムラ)彰 この像はね。
大村正樹
そうですか。実際に電子顕微鏡の写真も持ってきたんですけど、外村さんが使っているものよりも、もうちょっと簡単な電子顕微鏡ですかね。
外村(トノムラ)彰 普通のヤツですね。
大村正樹
普通の電子顕微鏡がこちらです。これが、1000万倍まで見える電子顕微鏡。だから、さっきの目ん玉の間のトゲというのは、この電子顕微鏡で一番細かく見えたものということなんですね。カラーから白黒に変わりましたね。電子顕微鏡の世界は白黒なんですか?
外村(トノムラ)彰 白黒ですね。
大村正樹
何で、何でですか?
  外村(トノムラ)彰 難しい質問ですねぇ(笑)。
大村正樹
何でカラーで見せてくれないんですか? あの目玉の色も見たいんですけれど。
  外村(トノムラ)彰 これね。光だと、こういうふうに虹が見えますよね。虹、七色。僕達が見える光は七色ですが、電子顕微鏡の場合は七色ではないんですね。
大村正樹
白黒でした。
  外村(トノムラ)彰 一色なんです。
大村正樹
何でですか?
  外村(トノムラ)彰 何でって言われても、電子に聞いてくれないと(笑)。
大村正樹
そうなんですか。えっ、僕たちが見える光って七色しかないんですか?
  外村(トノムラ)彰 もっとあるんですね。このスライドの前に書いてありましたよね。
大村正樹
ちょっと1枚前のスライドを見せてもらっていいですか。
  外村(トノムラ)彰 こっちは見えないですよね。
大村正樹
紫外線、赤外線。
  外村(トノムラ)彰 紫外線、赤外線が見えないし、その電子線も見えない。ここだけの光は、人間には見える。
大村正樹
人間に見えないところまで拡大するのが電子顕微鏡の世界?
  外村(トノムラ)彰 そうですねぇ。
大村正樹
それは、白黒の世界ということですか。あっ、拡大しすぎて人間の能力を超えてしまう世界が見えてるのが電子顕微鏡。じゃあ、さっきのモンシロチョウの目玉のトゲというのは、どんな虫眼鏡を使っても、どんなに目のいい人が見ても、絶対に見えないということですか?
外村(トノムラ)彰 見えないですね。
大村正樹
それが電子顕微鏡の世界。へぇ〜。先生が使っている電子顕微鏡は、どれぐらいかなぁ。ここに大体150センチぐらいの高さのスピーカーがあるけど、1メートル50センチぐらいだと思う人? もっと大きいと思う人? 答え出ました、こちら。
外村(トノムラ)彰 出ちゃったよ(笑)。
大村正樹
外村フェローが使っている顕微鏡が、いま画面に出ているんですけれど。一番右側の文字が読める? そうなんです。だから、みんなの家には入らないということだね。
あぁ〜。
  外村(トノムラ)彰 こんなデッカイの作ると疲れますよ。お茶でも飲んでたほうがいいけど(笑)。
大村正樹
じゃあ、はたして外村博士がふだん使っている電子顕微鏡、何倍まで見えるか? これナノよりもっと小っちゃい世界があること知ってる? ナノより、もうちょっと小っちゃい世界を知ってる人?
・・・。
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大村正樹
もっと大きい声で!
  ピコ。
大村正樹
ピコ。先生、正解?
  外村(トノムラ)彰 すごいねぇ、その通り(拍手)。
大村正樹
ピコ知ってる。ナノが今、これで10億分の1ですよね。10億分の1メートル。今度、ピコって単位が出てきましたが、それからピコは何分の1ですか?
外村(トノムラ)彰 それも1000分の1だから、何というんですか。
大村正樹
兆。1兆分の1メートル。
  外村(トノムラ)彰 そうですね。
大村正樹
それがピコ。フェムトというのは、じゃあ1兆分の1メートルの1000倍。ということは、京(ケイ)か、1京分の1メートルということ。えっ、あの外村さんの顕微鏡では、どこの単位まで見えるんですか?
外村(トノムラ)彰 これだと大体、原子とか分子が見えるんですよね。
大村正樹
ナノだと原子が見える。
  外村(トノムラ)彰 これは1個ずつ原子の様子をバッチリ見ようということで、ピコの領域まで入っているんです。
大村正樹
原子をよく見るためにピコという単位。
  外村(トノムラ)彰 単位まで入りかかっています。
大村正樹
先生の顕微鏡でピコまでは見えている。
  外村(トノムラ)彰 1ピコではないけれど、何10ピコとか、そのぐらいまでいっているんです。
大村正樹
そうすると、最新の電子顕微鏡でもまだピコまでで、フェムトという単位、1京分の1メートルまでは及んでないということですね。
  外村(トノムラ)彰 まだですね。となると、こんなものが見えちゃいます。原子核とかね。
大村正樹
原子核ってものすごい小っちゃいものですか?
  外村(トノムラ)彰 原子の中にすごく小さい点みたいなものがあって、それは見たことがないんです。
大村正樹
そこを見るのが人間の永遠のテーマですか?
  外村(トノムラ)彰 あるのは分かっているけど、こういう映像としてはとらえられない。
大村正樹
へぇ〜。外村さんは、やっぱり最終目標はフェムトまで見える顕微鏡をという思いがありますよね。
  外村(トノムラ)彰 そんなにできればいいですね。
大村正樹
予定では、何年後ぐらいにフェムトまで?
  外村(トノムラ)彰 もうねぇ、年なんですよ(笑)。そんな何年後って。次の人がチャレンジすればできないことはないと思うんですよね。
大村正樹
じゃあ今日、このラボに来てくれているキッズたちが先生の夢を継承してくれるかもわからないわけですね。
  外村(トノムラ)彰 そうねぇ。
大村正樹
先生、長生きしていただいてフェムトまでぜひ! そしたらきっと、ついにフェムトの世界まで見える電子顕微鏡を開発したとしたら、外村先生の名前が新聞に出るかも知れません。テレビにも、NHKのニュースや文化放送のニュースにも。そしたら、「外」に「村」で外村先生だから、あの時の人だって、みんな思い出してぜひ!
単位
波長
 
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