過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 9月22日 放送分
「食べものはなんで腐るのか〜リスナーからの質問に答える」
コーチャー/中原英臣さん(山野美容芸術短期大学教授)
大村正樹&中原英臣
大村正樹
今日は久しぶりにラジオを聴いているキッズからもらった素朴な疑問に答えてもらうことにします。楽しみにしてて。すごく分かりやすい問題です。さぁ、今回のサイコーは、山野美容芸術短期大学教授の中原英臣先生です。先生、こんにちは〜。
こんにちは。よろしくお願いします。
大村正樹
またよろしくお願いします。今日は、キッズから質問が来ています。先生聞いてください。杉並区に住んでいるユウジ君、小学校5年生から。
「僕は果物が大好きです。でも、お母さんがおっちょこちょいで、買ったのに出すのを忘れて気がついたら腐っていることがたまにあります。何でものは腐るんですか?腐った果物を元に戻すことはできませんか?」
なかなか『ドラえもん』でもちょっとできないようなお話ですけれど。無理ですよねぇ、腐っちゃったら。
そうですね。腐ったものを元に戻すことは無理ですね。
大村正樹
やっぱりダメですか。じゃあ食べものというのは、そもそも何で腐るのか?
  はい。腐るというと特に梅雨時、それから夏。暑い時に腐りますね。冷たいところだと腐らないでしょ。冬の真っ最中に家の外に置いても余り腐らないですよね。それから、乾燥したものは腐らないでしょ。
大村正樹
乾いてたら腐らない。
  はい。例えばちょっと古いかな? 鰹節みたいなものはなかなか腐りにくいですよね。
大村正樹
腐らないですねぇ。
  ところが、非常に水っ気があるものは腐りやすい。何かというと、温度と水が必要なんですよ。
大村正樹
腐るためには温度と水。
  実はそこに、ばい菌、バクテリアが増えているんです。
大村正樹
バクテリアって分かりやすく言うと何ですか?
  そうですね。空気中にいろいろなばい菌がいるんですね。このばい菌が例えば、ユウジ君が、お母さんが忘れたものでなくてもいいですから、スープでも何でも食べものを1日お家の机の上に、ほっぽっとくと必ず腐るわけです。
大村正樹
1日でやっぱり腐りますか?
  まぁ夏なら1日ですね。冬で、いま日本は暖房がありますけれど、外の寒いところに置いておくと腐らないですよね。それは何かと言うと、空気中にばい菌がたくさんいるんです。
大村正樹
えっ! このシークレットラボにもばい菌がいるんですか?
  いますよ、そりゃ。
大村正樹
見えないけれど。
  はい。それからもうひとつ、カビがいるでしょ。カビ。ユウジ君の世代は余り知らないかなぁ。昔はお正月におもちを置いておくと、大体1週間2週間経つとカビが生えてくる。
大村正樹
緑色のカビで、お母さんがそれを包丁で削ったりするわけですよね。
  そうですよね。あれと一緒なんですよ。実はカビは見えますよね。見えてきます。残念ながら、ばい菌はいくら増えても見えないでしょ。顕微鏡で見れば見えるんだけど。
大村正樹
日立ハイテクの卓上電子顕微鏡だったら見えますかねぇ。
  電子顕微鏡だったら見え過ぎて困るでしょうねぇ。
大村正樹
見え過ぎちゃうんですね。なるほど分かりました。
  ですから簡単に言うと、ばい菌にとっても生きていかなくてはいけないわけですよ。生きていくためには何か栄養があるもの。それから、もちろん水が必要ですよね。温度も必要なんです。その3つが揃うと、それを一生懸命食べるわけです。
大村正樹
ばい菌がいわゆる獲物をねらっている状態なんですか?
  そういうことです。だから、お母さんが買ってきた果物は、とっても栄養分があるわけです。水分もあるでしょ。お部屋に置いておくとあったかいでしょう。そうするとばい菌がそれを食べてどんどんどんどん。
難しい言葉で言うと、化学反応なんですね。ばい菌が食べるとその中にある、例えばブドウ糖とか糖分がどんどんいろいろなものに変わっていくんです。その中でいろいろな臭いがしたり、変な形になったり色がしてくるわけですね。
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大村正樹
なるほどね。じゃあ例えば、ばい菌はメロンとイチゴとバナナがあったら、好き嫌いがあってメロンが美味しいからメロンから先に行っちゃおうとか、そういう選択はしない。では、優先順位はどうやって決めるんですか?
優先順位は、やっぱりタンパク質が一番好きですね。
大村正樹
タンパク質。
  だから牛乳とかお肉とか。
大村正樹
牛乳は腐りやすい。お肉も腐りやすい。
  腐りやすいでしょ。それから、スープなんかイチコロですよね。
大村正樹
スープ?
  ブイヨンというんです。ユウジ君のお母さまに聞いてもらうと分かるんですが、ブイヨンというのはスープのことなんです。
大村正樹
固形のブイヨンとかありますものね。
  そうそう、肉汁です。あれは元々ばい菌が一番大好き。増やすために、あれが一番いいんですよ。
大村正樹
じゃあ、スープが腐りやすい。牛乳も腐りやすい。あとは・・・。
  お肉とかお魚もそうでしょ。
大村正樹
タンパク質は腐りやすい。今回のユウジ君の場合は果物ですけれど、腐りやすい果物と腐りにくい果物はあるんですか?
  それはいろいろあるでしょうから。外が固ければ腐らないし、切って身の部分があれば腐るでしょ。
大村正樹
表面が柔らかいほうが腐りやすい。ばい菌が入り込みやすい。
  そうですよね。ただ人間って面白くて、ばい菌との付き合いですけれど、ばい菌という言葉からしてもイメージが悪いでしょ。悪いことばかりしてるって思ってるでしょ?
大村正樹
もちろんですよ。
  悪いこともしてるんですよ。われわれ病気になる。例えば赤痢とか結核とかは、ばい菌で起きる病気です。それから今言った、ものが腐りますね。これもばい菌が悪いことをやっている。ところが、いいこともやっているんです。
大村正樹
ばい菌が? 何をやっているんですか?
  2つやっているんです。1つは発酵(はっこう)というんですね。
大村正樹
発酵?
  例えば、牛乳の材料に乳酸菌を入れておくと、ヨーグルトになります。
大村正樹
ヨーグルト、菌ですか?
  そうですよ。お酒も、酵母がお酒を造るわけでしょ。
大村正樹
お酒も菌ですか? ばい菌なんですか?
  ばい菌です。納豆もそうでしょ。
大村正樹
お酒も菌ですか? ばい菌なんですか?
  ばい菌の中に、いいばい菌と悪いばい菌がいると思ったらいいでしょう。ただ僕が言いたいのは、今言ったように発酵というチーズやヨーグルトを作ったり、他にもお酒を造ったりいろいろいいことをしている。それをわれわれが利用して、おいしいものを食べられているんですね。ばい菌もけっこう役に立ったり、悪いこともしているというふうに思ってください。
大村正樹
今のキッズはきっと『ばいきんまん』の影響で、ばい菌にはいいイメージを持ってないんですよ。
  そうですね。
メロン
牛乳
お肉
 
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大村正樹
ぜひ『アンパンマン』の作者のやなせたかし先生に、『ばいきんまん』のイメージを変えてもらうぐらいやってもらったら、ちょっと変わるかも知れませんね。先生、『ばいきんまん』ご存じですか?
『ばいきんまん』知ってますよ。
大村正樹
じゃあ、最後に何て言うか知ってますか?
  知らないなぁ。
大村正樹
「バイバイキーン」って言うんですよ。
  「バイバイキーン」と言うんですか(笑)。
大村正樹
ありがとうございます。先生、腐るという話が出てきたんですが、最後にちょっと質問ですが、腐るようなものを、より長く腐らないようにするコツを教えてください。
非常に簡単です。これは温度。冷蔵庫に入れておけば、まず腐らない。
大村正樹
冷蔵庫に入れれば大丈夫。
  腐らないでしょ。だから4度。大体、冷蔵庫は4度ぐらいです。ばい菌は普通25度ぐらいないと増えてこないんです。ですから4度に入れておくと、ばい菌はついてますが、ついていても増えないから腐らない。それからもっと完璧にしたければ、熱湯をかける。あるいは別な方法もありますけれど、ばい菌を全部消毒して殺すという方法があります。
大村正樹
じゃあ、お肉も焼いてから放置すると腐りにくいということですか?
  はい、そうです。もうひとつ面白いのは、われわれ人間の祖先は賢くて、さっき言った水分があると腐りやすいでしょう。水分を取っちゃう、乾燥させちゃうんですよ。だから、一番いいのが鰹節でしょ。
大村正樹
なるほど。
  ユウジ君たちの世代は、鰹節の大きなのは知らないかもしれないけれど。機械で削ってパックに入ってますからね。他にも保存食がありますよね。漬け物。漬け物はしょっぱいでしょう。全部、塩分が入っている。塩分が実はばい菌を殺してくれる。
大村正樹
塩がばい菌を殺す。だから、果物は甘いからばい菌が入るんですか?
  それはちょっと違いますけれど。保存食としてそうやって塩っ辛くしておく。塩ジャケとかいろいろなものがあるでしょ。
大村正樹
なるほど。塩ジャケは腐りにくい。
  腐りにくくする。
大村正樹
冷やして乾燥させるか、塩でもむと腐りにくい。
  そうです。ただ、現実に買ってきたものを腐らせないためには、今は冷蔵庫が何よりも簡単ですよね。
大村正樹
分かりました。ユウジ君分かったかな? 間違ってもお母さんが買ってきた果物に塩はかけちゃいけないよ。
  ダメですよ(笑)。
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