過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 11月3日 放送分
「地下の話」(1)
コーチャー/荻田麻子さん(日本科学未来館)
大村正樹&荻田麻子
大村正樹
今回のテーマはずばり地下。ラジオの前のチカちゃん聞いてる?――じゃなくて、地下室や地下鉄の地下のお話です。君が住んでいる場所って地下あるでしょう? 東京は特に地下があるから、興味深いお話だと思います。今回のサイエンスコーチャー略してサイコーは、2度目の登場です。日本科学未来館の荻田麻子さんです。こんばんは。
こんばんは。
大村正樹
荻田さんには、今お台場にある日本科学未来館で『地下展』をやっているということで、この『地下展』の説明だけでなく、地下のお話もしていただきます。地下って東京では主にどういうふうに使われているんですか?
様々だと思います。デパ地下とか地下街の人が入れる地下もありますけれど、例えば洪水が起きた時に川が氾濫しないように水を流し込んで、そこに水を溜めておいて地上にあふれさせないようにする防水施設があったりとか。
大村正樹
それはトンネルみたいなものですか? どれぐらいの大きさですか?
  トンネルみたいなものですね。東京で一番大きなものの中で言うと、環状七号線の道路に沿ってずーっと大きなトンネルが走ってるんです。そこのトンネルにいざ川が氾濫すると水を全部流し込んで。
大村正樹
台風とかで川が増水したら都会が水浸しにならないために、地下のトンネルに水を捨てるんですか?
  はい。
大村正樹
それはイメージ的に人間が歩いても通れるようなトンネルですか?
  もちろん水が入ってなければ人が入れるような空間ではあるんですけれど、普段は人を全く入れていません。川が氾濫してしまうような事態の時は、水がそこに全部流れ込みますから、トンネルの中が全部水だらけになるので人は入れない。
大村正樹
車が通るようなトンネルをイメージして、それが環状七号線の真下にあるということですね。じゃあ、ものすごくでかいトンネルじゃないですか!
そうですね。
大村正樹
よく映画で犯人と追いかけっこする時にトンネルを走ったりして、こんなトンネルあり得ないと思うんだけれど、そういうのがあるんですね。
そうです。誰も見たことがない。
大村正樹
都会のマンホールのふたを開けてみたら、その下にトンネルが続いていたりするんですか?
  たぶん、マンホールの下は別の目的のトンネルが走っていて。
大村正樹
また違う?
  例えば電線とか下水道の管(クダ)、最近はインターネットを使いますから、そういうケーブルの類であるとか、ガスの管であるとか。生活に必要なライフラインと言いますが、そういうものを送り込むためのトンネルが走っています。
大村正樹
それは、さっきの環七の下の水を逃がすためのトンネルよりはちっちゃいんですか?
  大きいものだと、それぐらい大きいものもあります。共同溝って実はそういうトンネルのことを言うんですが、お台場の地下にある共同溝は、本当に車が走るような大きなトンネルみたいな大きさです。
地下鉄
 
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大村正樹
それは僕らがなかなか見ることができないけれど、東京の地下はそんなトンネルがいっぱいあるんですね。
  たくさん走っています。
大村正樹
へぇ〜、なるほど。ちなみに、地下の一番深いところって何メートルぐらいまであるんですか?
  それは、実はなかなか表にはオープンになってないんですね。
大村正樹
何でですか?
  さっき言いましたように、生活を支える部分の基礎となるような大切な施設がたくさん地下に埋まっているので、最近はテロを警戒してそういうところを一般に公開しません。公開して何かいたずらがあったり攻撃をされてしまっては大変なので、そういう場所がどこまでどうなっているかはオープンにはしてないのが実情です。
大村正樹
何でですか!? じゃあ、何かあったら偉い人だけそこに逃げ込もうとしているのかなぁ(笑)? 僕ら知らなくて、偉い人だけ「あぁ、あそこに地下があるから逃げよう」とか、そういうふうになるんですかねぇ。
そういうことはないと思います。もちろんシェルターと言って、一般の私たち市民が、いざ地震や何か被害があった時に逃げ込むようなシェルターの施設も地下にあったりします。
大村正樹
へぇ〜。
  そういうものは各区役所とかにお問合せになれば分かると思います。
大村正樹
本当ですか? 広域避難場所って近くの小学校しか書いてないですよ。
  避難場所というより、むしろ地下の施設の中に食べ物とか水とか、いざ震災が起きた時に供給できる物資を保管しているようなシェルターがあります。
大村正樹
それは各区役所とか市役所に行ったら教えてくれるんですか?
  教えてくれるとは思うんですが、みんなでそれを聞いてしまったら区役所の人が大変だと思いますので(笑)。
大村正樹
じゃあ11月に入ってるから、年末にかけて時間差で聞いてもらったほうがいいかも知れないですねぇ(笑)。地下って、人の家でも地下2階とか作ってオーディオルームにするじゃないですか。何階までが自分の土地なんですか?
いま地下の40メートルより下は、公共の施設だったり公共の利用のためだったら、申請とかいろいろな手続きは必要ですが使ってもいいという法律ができました。言わばそれよりも浅い所に関しては、その土地の所有者の所有権が関わってくるんですけれど、もっと深い所についてはそういうものを外してしまって、もうちょっと有効に公共利用を考えましょうというのが国の方針になっています。
大村正樹
40メートルまでは自分の土地。ということは庭付きの家に住んでいるキッズたちは、自分の家はスコップで40メートルまで掘っていいということですね?
いや、それもよく調べないとケースバイケースです。さっき申し上げたように、地下鉄だったりライフラインだったり、いろいろなものが地下には埋設されているので、ご自分の家の地下がどうなっているのかを調べないと、実際40メートルまで掘ってしまっていいかどうかはまた別問題です。結構、地下に施設を作るのはすごく大変な工事になります。
エスカレーター
 
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大村正樹
すみません、軽い気持ちで聞いたんですけれど。だって、地下40メートルまで掘ろうとする小学生なんているわけないですから。すみませんね、まじめに答えていただいて。
いえいえ。でも万が一、私が子どもだったら本当に掘ってしまいそうですので、一応言っておきます(笑)。
大村正樹
まぁ掘れないと思うけれど、1メートルぐらいは掘ることはできますものね。1メートルなら下が大体分かりますが、40メートル掘っちゃうと何かあるかも知れないから、事前に調べることが必要ということですね。
はい、そうです。
大村正樹
あと、この『地下展』でびっくりするような地下の紹介はありますか?
  そうですね。地下には一番先端の科学で今ホットな話題ですが、地下は深くなるにつれてだんだん温度が高くなったりとか、圧力がものすごく高くなったりします。
大村正樹
地下は冷たくなるんじゃないですか? 寒そうじゃないですか。
  ある程度の深さまでは、地下室とかよくひんやりしてますよね。やっぱり日が差さないのでひんやりしますが、どんどん下に行くにつれて地球の中側から熱が放射されているので、地熱ってよく言いますけれど、どんどん熱くなる。あと、土や岩がぎっしり詰まっていてすき間がだんだんなくなってきますから、酸素がほとんどなくなってしまう。そういう人が住むのと全く違うような極限環境で暮らしている生物はすごく特殊で、まだまだ全然その生態がどうなっているかとか、どれだけの種類がどれだけいるのかは、実はそんなに判っていない。科学者たちは必死でそれを今、探求しています。
大村正樹
へぇ〜。以前こちらに来たサイコーの方が、地球上の生物はおよそ200万種類とおっしゃっていたんですよ。じゃあ地下をもっともっと極めていくと、それ以上の生物が発見される可能性があるわけですね。
そうですね。まだ見つかってない生物が、たぶんこれからも発見されていくことになると思います。
大村正樹
それを発見したら、ひょっとしたら賞をもらえるかも知れないですかねぇ?
  分からないですけど、そういう科学者の人たちが学会で発表すると、賞かどうか分かりませんが何かの功績にはなると思います。
大村正樹
ラジオの前のキッズもぜひスコップで自分の家の庭を掘ってみよう! 何か見つかるかも知れないけれど、でも地中に何があるかは確認した上で掘ってね! といったところですかねぇ。面白い地下の話。荻田さん、来週も来ていただくということでよろしいですか?
はい。
大村正樹
今週のサイコーは日本科学未来館の荻田麻子さんでした。ありがとうございました。
  どうもありがとうございました。
大村正樹
これも地下の範疇だと思うんだけれど、地底湖、地底の湖の話を聞いたことがあるでしょう? いま荻田さんが地球最大の地底湖は南極にあるという話をして帰って行きました。南極の氷の下の3700メートルの所にものすごい大きな湖があって、それは凍ってないんだって。不思議な話だね、ほんと。
地下鉄
 
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