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過去の放送分 過去の放送分 2007 11月10日 放送分
「地下の話」(2)
コーチャー/荻田麻子さん(日本科学未来館)
大村正樹&荻田麻子
大村正樹
今回も地下に迫っていくよ〜。この1週間、キッズのみんなも生活しながら、こんな所にも地下があると思った子いるんじゃないの?今日のサイコーも先週に引き続きまして、日本科学未来館の荻田麻子さんです。今、お台場にある日本科学未来館では『地下展』を来年1月28日まで開催しているということで、2週目の今日は地下の利用法について伺っていきたいと思います。ラジオの前のキッズも地下室のある家に住んでるかも分からないけど、地下室もやっぱり地下の利用法のひとつですよね?
そうですね。
大村正樹
ほかに何か変わった利用法はありますか?
  いろいろだと思うんですけれど、例えば1970年に大阪万博が開かれました。みんなが生まれる前ですね。その時に巨大なタイムカプセルが埋められたんです。もしかすると皆さん、小学校の卒業記念でよくタイムカプセルを地下に埋められますね。
大村正樹
地下というか校庭の片隅ですね。だいたい穴を掘って、校庭に埋めるものです。
  まぁ、でも、地表面から下は全部地下で、足元から下は地下です。
大村正樹
地下なんですか? じゃあ、庭に穴を掘って、「俺んち地下室あるよ」というのもありですか?
  ありです。地下は、地面の下という意味ですから。
大村正樹
分かりました(笑)。万博でタイムカプセルを埋めた?
  はい。何でかと言うと、地下は温度と湿度が割と一定だったり、地震の被害を受けにくいこともあって、何かを保存するのに非常にいい場所なんです。この大阪万博の時に埋めたタイムカプセルですごいのは、開封を5000年後に設定してまして。
大村正樹
5000年後に開けるんですか!? めちゃめちゃ後ではないですか! 誰が確認するんですか? 5000年後の人ということは?
  さぁ?(笑)。6970年に生きている人が。
大村正樹
おい(笑)人類生きているのかねぇ。
  分からないですねぇ(笑)。
大村正樹
日本語が読めないんじゃない?「何これ!?」みたいな。
  それで6970年の人たちに向けて1970年の人たちが、今の70年はどんな時代だったかというメッセージと、1970年当時のあらゆる品々をタイムカプセルに詰めて未来へのメッセージとして埋めている。
太陽の塔
 
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大村正樹
へぇ〜。そのカプセルって大きいですか?
  大きいですねぇ。直径が1メートル強ぐらいですけれど。
大村正樹
そんなに大きくないじゃないですか。
  いや、近くで見ると結構大きいですよ。
大村正樹
そこに昭和時代のいろいろなものが詰め込まれているんですね。5000年後に開けましょうという形で。それはどこにあるんですか?
はい。今は大阪城のふもとの所に公園があって、そこの敷地内に埋められています。
大村正樹
へぇ〜。一応しるしは付いているんですか? 夜中に誰か来て開けたらどうするんですか? だって今、ATMとか夜中にこわされる時代ですよ。
しるしは付いてます。いろいろと上に看板ではないですけれど、記念碑みたいなものが据え付けられているので、掘るのが大変だと思います。
大村正樹
そうですか。それも変わった利用法と言えば変わっているんですけれど、何か「おっさすが!」というような利用法はほかにないですか?
今ちょうどこの秋に完成予定となっていますが、ヨーロッパの北のほうにある、北極のノルウェーがやっているんです。北極圏のスバルバル諸島という所がありまして、そこの島の山の所に洞窟というか地中に穴を掘って種子、種を保存するプロジェクトが行なわれています。
大村正樹
それ何か意味があるんですか?
  種を数百万種ぐらい植えるんですけれど、全部農作物の種なんです。それを植えれば野菜や果物ができる。何のためかと言うと、例えば震災とか大規模な自然災害で地球が壊滅的な被害を受けたり、あるいは極端な話で核戦争みたいなことが起きてしまって地上がすごく荒れてしまうような状態の時に、食物を確保するためにその種をずっと保存しておこうという。
大村正樹
種を植えて発育状況を観察するのではなく、保存していざという時にその種を開封して、もう一度豊かな大地を作り出そうということ? すばらしいですね! じゃあ種は、三色スミレとか見るための花ではないですよね。
残念ながら、それもあったらいいと思うんですけれど。人間が食べ物に困ってしまった時のためという目的なので、野菜や果物の食べ物です。トマトとかキュウリとか。
大村正樹
キュウリの種ってどれですか? あれ!? 小学生のほうが詳しいかも(苦笑)。知ってますか?
  私も種は専門ではないので、詳しく分からないですけど。
大村正樹
そうですか。ジャガイモもですね。でも、あれは種じゃなくて本体から芽が出てきますよね。
  どちらかと言うと、そういう球根の類、生ものよりは種のほうが乾燥して取っておけるので、保存に適したものを入れておく。面白いのは、お米やトマト、キュウリを入れるだけではなくて、トマトならトマトの品種が何十種類、何万種とありますが、お米だったら10万種ぐらいの種を全部保存する。そういうのが面白いところです。
大阪城
 
トマト
 
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大村正樹
そうですか。あと地下って物を捨てちゃうイメージが僕は強いんですが、そういうことってありません? 埋立地も言うなれば地下でしょう? 夢の島だって、もともとは埋立地でゴミを捨てた場所じゃないですか。地下に物を捨てちゃうという代表的な例は何かありますか?
最近ニュースにも時々なっているんですけれど、高レベル放射性廃棄物という。
大村正樹
原子力の?
  そう原子力発電。実は日本は電力の3分の1を原子力発電に頼っています。なので、私たちがこうやって生活していると、常に原子力発電に頼って生きているわけです。そこから出てきた廃液というか液体状のゴミがありますが、それをリサイクルするんです。でもどうしてもリサイクルし切れない部分がゴミとして出てしまうので、これを地下300メートルよりも下に埋めて処分しましょうということが今決められています。
大村正樹
地下40メートル以下は人の土地ではないですから、300メートルになるともういいんですね?
  ええ。面白いのは、放射性物質はもともとは地下から出てきたものなんですね。代表的なものでウラン鉱石。ウラン鉱石はもともと地下の中にある岩石なので。
大村正樹
天然資源ですね。
  天然資源で、言わばそれを使って出てしまった放射性物質のゴミをもう一度もともとの状況というか、地球そのものの中に委ねる形で処分しましょうという考え方でもあるわけです。
大村正樹
そんなに罪の意識を持たずして、元々の地面に返してあげるんだよということで良しとする考え方ですかねぇ。
  そうですね。もちろんそこには人の手を介して、いろいろと安全な処理はいっぱいしますが、そうやりながら地球そのものの中にもう一度戻すという。
大村正樹
でも僕らの時代はいいですけれど、当然、日本も原子力発電にもっともっと頼っていくわけですよね。その都度、出てくる廃棄物、有害物質を地下に埋めていったら、日本は狭いから埋める場所が最後になくなったりしませんか?
そうですね。その問題はやっぱりあって、今ある私たちの生活でエネルギーをどういうふうに使ったらいいかを考えなくてはいけない。もうひとつは、原子力発電以外の新しいエネルギーの方法がないかも同時に考えなければいけない。このふたつを並行して考えることがすごく重要だと思います。
大村正樹
新しいエネルギーね。いろりろありますものね。そうか、地下の話から端を発して、新しいエネルギーに何があるかなというのは、日本科学未来館でぜひ見学していただければ、といったところでしょうかね。
そうですね(笑)。
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