過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 11月24日 放送分
「月の話」(2)
コーチャー/長谷川洋一さん(有人宇宙システム株式会社)
大村正樹&長谷川洋一
大村正樹
今週もまた月に関するお話です。ちょっとラボの中にいるので外の様子が分からないけど、今日は満月なんだよね。月が見えるキッズは、ぜひ月を見ながら、思いを馳せながら聴いてくださいね。月はまだまだ謎だらけなんだよ〜。今日はより月の謎に迫るということで。
迫っちゃいましょう。
大村正樹
ええ、お願いします。まずは月がなぜできたのか、基本的なところから。
  はい。先週はまだ分かってないと簡単に私が言っちゃいましたけど、今一番人気がある説、これはお好み焼きみたいな説なんですよ。
大村正樹
月が平べったいということですか?
  ええ、そうじゃないですよ(笑)。お好み焼きとかホットケーキを、キッズのみんながフライパンで作っていると考えてください。その時に、もしゲンコツでボーンとぶったたいたら、2つに割れちゃうじゃないですか。
大村正樹
お好み焼き、粘り気あるから2つに割れないですよ。
  一生懸命割るんです。固まらない内に。
大村正樹
あっ柔らかい時に? ビチャッと飛びますね
  そう、その時に割っちゃうんです。その後で一生懸命丸くしたら、2つできますね。そういうのが一番人気がある説なんです。
大村正樹
ということは、お好み焼きの具は一緒ですよね。月も地球も成分は一緒ということですか? 本当ですか?
  そうですね。同じところから地球がちぎれてできたという考え方ですね。
大村正樹
でも、月の石って軽石というじゃないですか。だから、地球にも軽石があるんですか?
  軽石というか、地球で言うと山に行ってゴロゴロしているような花崗岩や玄武岩があるんですね。たぶんキッズは理科の時間で見てると思いますけれど。もっと詳しく言うと、地球の一番奥のほうは鉄なんです。さっき私がホットケーキをゲンコツでたたいたらと言いましたけれど、鉄は一番なかですが表のほうはマントルでできています。マントルは名前を聞いたことがあると思いますが、何でできているかと言うと岩石です。どんな岩石かと言うと、玄武岩や花崗岩なんです。それで、ゲンコツがボーンとぶつかってきたというのは、実は46億年前に地球ができましたが、ほとんどその頃に火星ぐらいの大きさの別の星がやってきて――それがゲンコツですね、それでバーンとぶつかったんじゃないかと。
大村正樹
地球に? まだ地球が柔らかい内にですか?
  ええ。柔らかいホットケーキの内にぶつかって、それで飛び散った粉々の星がすぐ固まって月になったというふうに考えられています。
大村正樹
へぇ〜。地球の本体そのものは余りダメージを受けないで、月だけピシャッと飛んじゃった。アンパンマンみたいですね。ちぎって人にあげるみたいな。
あっ、そう考えたらいいですねぇ(笑)。
大村正樹
じゃあ、ちょっとは成分が似たようなところもあるということなんですね。
  そうです。地球の表のほうの成分と大体似ているみたいです。でも重力は6分の1です。これは月が地球よりも小さいからですね。
大村正樹
じゃあ、自然環境も似ているんですか?
  それが全然違います。まず空気がないです。これは大変なことですねぇ。ですから、キッズのみんなが月へ行っても宇宙服を脱いだら息が吸えません。それから、さっき大村さんがおっしゃったように重力が6分の1ぐらいですから、誰でもカール・ルイスのように幅跳び9メートルぐらい飛べちゃうかも知れない。
クレーター
 
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大村正樹
ジャンプできちゃう。たぶん今のキッズたち、カール・ルイス知らないと思いますよ。昔、オリンピックで100メートルも速くて、200メートルも速くて、走り幅跳びも全部金メダルを取っちゃったすごい選手がいたんです。はい、説明終わり。
すみませ〜ん(笑)。野球だったら、みんなホームランですねぇ。ゴルフだったら、玉がどこへ行ったか分からない。スポーツがきっと面白いでしょう。
大村正樹
でも、植物とかはないんですよね。
  ないですね。太陽の光は差し込みますが。
大村正樹
温かくはないんですか?
  それが、日なたと日陰の温度が全然違います。まず日なたが大体15日ぐらい続きまして、日陰が15日ぐらい続く。こういう感じなので、大体日なたは百何十度。ですから、ペットボトルやお茶は溶けちゃう。
大村正樹
えっ、百何十度もあるんですか!?
  ええ。日陰はマイナス百何十度。こんなちっちゃいのに、寒暖の差が激しいということです。
大村正樹
すごい! 月の直径は何キロですか?
  大体3400キロぐらいですね。
大村正樹
日本の北海道の北から沖縄の石垣島まで大体3000キロぐらいだから、その間に百度からマイナス百度ぐらいの温度の差があるということですか。
そうですね。日なたと日陰、表裏(おもてうら)で。
大村正樹
すごいですね。僕は月を見てて子どもの頃から思っていたんですが、ウサギはいつもいるじゃないですか。だけど、月は丸いわけで、ウサギって耳の位置は確か上になったり下になったり変わると思います。だけど裏になったらウサギがいなくなるはずですが、何で月の裏って見たことがないんですか?
そうですね。これがまた不思議なんです。
大村正樹
絶対不思議だと思います。
  何で月は裏側が見えないんでしょう。
大村正樹
何でですか?
  本当に不思議。これもまだ分かってないんですけれど。ただおそらく、表側がちょっと重たいから、地球に引っ張られて起き上がりこぼしみたいに重いほうが引っ張られて安定しちゃったのかなぁと考えられています。
大村正樹
地球の引力でずっとウサギさんサイドがこっちを見ているということですね。でも、角度は変わるんですよね。ウサギの耳が上に行ったり下に行ったり。
上に行ったり下に行ったりは、東から上る時と西に下りる時と。
大村正樹
あっ、時間帯によって違うんだ。
  時間によって違って見えるだけですね。
クレーター
 
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大村正樹
そうか。じゃあ、地球の引力に引っ張られて重たいほうがこちら側を向いている。向こう側が日が差してないというか、地球から見ることができない。それはまだ誰も見たことがないんですか?
それはアポロの指令船が月の周りをグルグル回ってますから、その時に裏側を人間の目で見ています。あとは、「かぐや」のような探査機が裏側からたくさん写真を撮ります。でも、地球から裏側を見たという人はいないはずです。
大村正樹
まだ見ることはできないというか、永遠に見ることはできない。
  永遠に見ることはできないはずですね。
大村正樹
でも僕らの中では、月に「かぐや姫」がいたり、ウサギがいたりというのは夢になってしまったんですけれど、生き物がいるかいないかは?
これがですね、私はいてもおかしくないと思います。もちろん「かぐや姫」はいないかも知れませんし、ウサギも分かりませんけれど、実は月に水があるんじゃないかと言われてまして。
大村正樹
へぇ〜。
  おそらくあると思います。ただ凍ってますから、氷ですね。その氷はどこから来たか。宇宙の果てから来ました。彗星に乗って来ました。彗星というのは、時々しっぽを引いた姿で夜空に浮かびますね。何年かに一度出ますね。あれが宇宙の彼方からやってきて月にぶつかった時期があります。30億年ぐらい前。
大村正樹
彗星が月にぶつかっているんですか?
  ええ、そういうことが30億年よりもっと前はたくさんあったんです。その彗星は実は雪だるまみたいなもので、氷のかたまりなんです。氷と砂のかたまり。その氷の中にもしかしたら生き物が、生物の細胞のようなものがいるかも知れませんね。
大村正樹
先週お話を聞いた、今回打ち上げられた「かぐや」は、そういう生物に関する探査はできないんですか?
  そうですね。「かぐや」は高さ100キロメートルから月を見てますので、氷があるかどうかはおそらく分かります。その氷の中に生物がいるかどうかは、実際にキッズのみんなが月へ行って降りて、そして調べてみないと分からないかも知れません。
大村正樹
でも僕が子どもの頃から、いつか月旅行ができる時代が来ると言いながら大人になっちゃいました。キッズたちも大人になって、あの長谷川先生が月へ行けると言ってたのにいつのまにか40才、50才になって、嘘つきと言われるかも知れません。大丈夫でしょうね。ちゃんと行けるんでしょうね。
アッハハ(笑)。大丈夫です。キッズのみんなが一生懸命勉強をして、頑張って宇宙飛行士になって「やるんだ!」と言ってくれたら、きっとできます。技術はできるんです。科学もできるんです。でも「やるんだ!」というリーダーと、そして予算、国を動かすだけのパワーを皆さんが大人になる頃に頑張って盛り上げてくれたら、きっと月に行けます。
大村正樹
宇宙規模の訓示になりましたね。
  いや、すみません。
大村正樹
いえいえ、ありがとうございました。先週、今週と非常に楽しかったなぁ。今週のサイコーは有人宇宙システム株式会社の長谷川洋一さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。
クレーター
 
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