過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 12月1日 放送分
「算数が得意になる話」(1)
コーチャー/芳沢光雄さん(桜美林大学教授)
大村正樹&芳沢光雄
大村正樹
今日のサイコーは、桜美林大学教授の芳沢光雄先生です。算数が得意になるお話をお送りしたいと思います。さぁ、いきなりだけど問題です。「3+2×4」。なあんだ? 先生、正解は?
11です。
大村正樹
20と考えたキッズいるかなぁ? 20はダメよ〜。3+2を足して5、それに4を掛けて20と間違えちゃう子が最近多いんですって、先生?
4年生で間違っちゃう子供たちが3割ぐらい。それが5年生、6年生になるとさらに増えて、6年生が4割ぐらいできないです。
大村正樹
この問題は何年生で習うんですか?
  4年生で規則を学びます。
大村正樹
習いたてはちゃんと理解してるけれど、ちょっと忘れちゃってるってことですね。
  はい。大切なことはまず2つありまして、1つは習う時に規則だけを簡単に習うんですね。そうすると後は忘れてしまう。同じ内容に関して、例えばインドの教科書を見てると、「3+2×4」も最初足し算をしたら答が20になる。掛け算を最初にやると11になる。そのように規則を設けないと答がいろいろになってしまうということを教えるわけです。交通ルールももし設けないと、自動車は左通行だったり右通行だったり、信号無視だったり、そして事故が起こる。そういうことがあるから、だから規則を設けなくちゃいけないという教育をきちんとするわけです。
大村正樹
日本はそのあたりはしてないということですか?
  そうです。日本は規則を簡単に少し教えるだけなんです。その後の練習問題も非常に少ない。昔は掛け算とか足し算、引き算、割り算の入った計算がたくさん教科書に載っていて、たくさんやりました。ところが、今の教科書は非常に少なくなってます。
算数
 
このページのトップへ
大村正樹
そうなんですか。じゃあ、ルールとして、先生が「掛け算や割り算が先ですよ。その後に足し算や引き算をやりましょう」と言い、子供たちは理解してますよね。その考え方はどうしてですか。何で掛け算や割り算が先なんですか?
それは、そのように約束することによって答が1つに定まる。人によって答が違っては困るわけですね。だから、人によって答が違わないようにするため、そのような規則を設けたんです。ただ、そこで重要なのは、計算の基本は前からやっていくということです。前からやっていくことを、そこもきちっと本当は教えなくちゃいけないことです。しかし、ある教科書は前から計算をやることの記述を忘れていて、それを私が発見して出版社に連絡をしたこともあります。
大村正樹
でも前からやると「3+2×4」の場合は、3+2を前にやっちゃいませんか?
  いや、前からやることが原則で、それ以上に例外として掛け算・割り算を足し算・引き算より先に行うという規則を優先して設けるわけです。だから原則は、計算は前からやる。前からやっていくことを第1の原則にしておいて、そしてそれ以上に強い約束として、掛け算割り算を足し算引き算より優先させるというのを後で設けるわけです。
大村正樹
規則ってそれぐらいのものなんですね。計算はあくまでも前から順番にやっていくけど、例外として掛け算と割り算は先にやる。その規則さえ覚えておけば答は1つしかないということですか?
はい、そうです。
大村正樹
キッズのみんな、わかった? 算数ちょっと簡単になってこない? いろいろ足したり引いたり割ったり掛けたりするけれど、規則は覚えたら、もうそれ以外にないってことね、基本的には。これできないというもの、もっとあります?
はい。そこで追加として「16÷4÷2」。
大村正樹
「16÷4÷2」。ちょっと待ってください。僕が答を出しますね。答は2じゃないですか?
  はい、答は2です。ところが、この答が8になってしまう中学校1年生が1割から2割ぐらいいるんですね。
大村正樹
何でですか?
  それは4÷2を先にやってしまう。4÷2で2、16÷2で8。
大村正樹
でも、とにかく、先生が今おっしゃった原則で、前からやっていく。ただ、後のほうに掛け算・割り算があったら、そちらを先にする。
ええ。足し算・引き算より掛け算・割り算のほうを優先しますけれど、原則は前からやっていく。だから、割り算と掛け算だけの計算の場合には、すべて前からやっていくわけです。
算数
 
このページのトップへ
大村正樹
なるほど。でも僕はルールで、前からよく分からないのが分数の掛け算・割り算の考え方で、「2分の1×2分の1」は4分の1になりますよね。りんごの半分を、また2分の1で4分の1。だけど、「2分の1÷2分の1」ってキッズのみんなも分かると思うけれど、1になるじゃないですか。掛けたほうが数が減って、割ったほうが数が増えてるってどうしてですか?
割り算は、「2分の1÷2分の1」は、2分の1という中に2分の1がいくつあるかということです。そうすると、それは1個ちょうどということですね。
大村正樹
おぉ〜! そういうことですね。そういう考え方ですか。2分の1のりんごの中に2分の1のりんごがいくつあるか? というと1個。はい。では、掛け算で「2分の1×2分の1」は4分の1になるのはなぜですか?
それは、りんごをちょうど4等分に切っておく状態を想像しまして、そうすると2分の1のまた2分の1というのが「2分の1×2分の1」という考えなんです。掛け算の「2分の1×2分の1」は、2分の1の中の2分の1はいくつかと考えるわけです。
大村正樹
あっ、別に増えるのがすべてじゃないということですね。
  そうです。だから2分の1という中の2分の1を考えるわけですから、元々りんごを4等分しておいた場合に、2分の1というのが半分になっています。それのまた半分ですから、全体としてみると4分の1になるという考えです。
大村正樹
分かりました。いや〜、ひとりで納得してる。みんな、分かった? 算数とか数学はよくヒラメキというじゃないですか。センスが大事だって。これは本当ですか。ヒラメキが大事ですか?
いや、ヒラメクためには、みんな見えない努力をしてるんです。だから、例えば王貞治という偉大なバッターがホームランをたくさん打ちました。だけど、彼は見えない所でものすごく練習したわけです。だから、算数も見えない所で練習してるとヒラメクようになってくるんです。だけど、最初から勉強もしないでヒラメク人はいません。最初から野球の練習をしないでホームランだけ打てる人もいないように、それと同じことだと思います。
大村正樹
みんなもヒラメキを大事にしてね。先生から王貞治という偉大なバッターと言われて、きっとキッズはピンと来てないかも知れないけれど、王貞治というソフトバンクの監督さんは、すごい人だったんだから。僕も王さん、大好きでしたけれど。あっ、もう時間だ。先生、ぜひ来週も数の問題のお話を伺ってもよろしいでしょうか?
はい。
大村正樹
芳沢光雄先生が本を出版されていまして、講談社現代新書から『算数・数学が得意になる本』、「つまずいても大丈夫!」という大きな見出しが載ってます。「つまずきは成長の母」ということで、算数でつまずきかけたキッズがいたら、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。
算数
 
このページのトップへ