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山中先生がそれまでの常識を覆したんですね。万能細胞ってそういうことなんですか。 |
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そうなんです。どんな細胞にもなれる細胞という意味です。それでいま非常に話題になっているわけです。 |
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じゃあ、いったん皮膚という終着駅、終点まで来たんだけど、そこから元に戻してあらゆる可能性、もしかしたら皮膚じゃなくて心臓になるかも知れない。あるいは胃になるかも知れないという細胞に戻すことが可能だということが分かった。それはどういうふうに活かされるんですか? |
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ここから先はいろいろな利用の仕方があると思いますが、やはり一番大きいのは医学の分野ですね。治療に使える可能性が高いわけです。 |
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何の治療ですか? |
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例えば、心臓の筋肉が固まってしまう心筋梗塞という病気があります。心臓の筋肉の細胞が一部死んでしまい心臓の働きが落ちてしまう。例えば、こういったところに万能細胞を注射して、そこで一度死んでしまった細胞の代わりにもう一度そこで万能細胞が心臓の細胞になってくれれば、心筋梗塞になった心臓はまた元に戻るわけです。 |
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もうそれは実験などを行なって戻ると分かったんですか? |
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基礎研究ではまだそこまではいっていませんが、その万能細胞がいろいろな体の細胞に成長していくことは、だんだんと確かめられてくるようになりました。ですから、これからはもっと研究して実際に医学に使えるように実験を繰り返していかなければいけませんが、そういう可能性を持った細胞をつくりましたというのが今回の非常に大きな成果ですね。 |
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それが最先端の医療技術として浸透したら、心筋梗塞で倒れる人はいなくなるということですか? |
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そうですね。なかなか難しいとは思いますが、予防はできないので亡くなった時に何らかの方法で死んだ細胞をもう一回再生させる、組織を再生させることができる細胞ですね。そういった意味で、そういう医療を再生医療と呼んでいます。つまり、失われた細胞を再生させて病気を治してしまう。 |
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そうすると他の病気でも――いまのは心臓の話ですが、日本人の死因トップのガンで、そのガン細胞に侵された部分に万能細胞を入れてガンが治るとかはどうなんですか? |
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いろいろな役割をする細胞がありますね。その中にはガン細胞をやっつける細胞も人間の体は持っています。例えば、そういった細胞に万能細胞を成長させれば、ガンをやっつけることができるかも知れません。それから、神経の組織がこわれてしまい、いろいろな病気になる人がいます。そういった人たちにもその神経の組織になるような万能細胞を成長させてあげれば治るかも知れない。 |
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へぇ〜。僕たちが生きている間にそれは可能になりますかねぇ? |
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これは分かりませんね。ただし、いま話しているのは夢のような話ですが、実際に日本をはじめアメリカやヨーロッパで万能細胞を使った再生医療の研究は、ものすごいお金をかけてものすごい体制で進んでいるんですね。ですから、意外と早くそういった治療が実現する可能性もあるんじゃないでしょうか。 |
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そうですか。僕はいま人生の半ばですよ。寺門さんは僕よりもお兄さんですから、あと20年若ければよかったと思いませんか? |
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そうですね。それぐらいだったら可能性があるかも知れませんね。 |
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ですよねぇ(笑)。スタジオのラボの周辺で、ディレクターでもベテランの人が「そうだ、そうだ」という顔をされています。若いディレクターの方は「俺は大丈夫だ」という顔をしています。“悲喜こもごも”というところですねぇ。ここのところ医療現場をテーマにしたテレビ番組やドラマも増えていて、たぶんみんなも手術するシーンとか心臓の病気を患った人をスーパードクターが治すようなドラマを観たことがあると思うけれど、ひょっとしたらああいう大手術をしなくてもよくなる時代が来るかも知れないということだよねぇ。それまでちゃんと元気でいなくちゃな。 |
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