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過去の放送分 過去の放送分 2008 8月16日 放送分
「ロボットの話」(2)
コーチャー/高西淳夫さん(早稲田大学教授)
大村正樹&高西淳夫
大村正樹
キッズのみんな、こんにちは。夏休みの真っ只中だけれど、そろそろ今週あたりから宿題のことを考えなくちゃいけないね。宿題を溜めちゃっている人はピッチを上げて行きましょう!さぁ今日のテーマも先週に続いてロボット。将来みんなが大きくなって仕事をする頃、職場にロボットがいるかも知れないね。今週のサイコーも先週に続いて早稲田大学教授の高西淳夫先生です。先週、日本のロボット技術は世界最高レベルと聞きましたが、例えばどのあたりがでしょうか?
例えば特定のセンサーやモーターだけでいうとアメリカが強いとかドイツが強いとかがありますが、それらを総合したロボットの技術は日本がトップと言えるでしょう。ホンダがつくったASIMO、あるいはトヨタでも人型ロボットを作ったりしています。世界的に見ると何でこんな大企業が、今すぐには販売できないものを開発しているんだろうと思われるぐらい、日本はロボットの開発例が多いんです。
大村正樹
大企業がロボットを開発するというのは、余裕があるということなんですか?
  余裕もあるし、ある種の確信がないと企業は開発や研究をやらないでしょう。
大村正樹
お金もかかりますしね。
  そうです。投資したって無駄なことはやりませんから。そういう意味では、何となく外国人と日本人とではロボットに対する入れ込み方が違います。だから結果として、ロボット技術の差を生んでいるのではないでしょうか。
大村正樹
実際、専門家の目から見て「おっ!」と思ったロボットは何かありますか?
  たくさんありますよ。ASIMOもそうですし、トヨタのヒューマノイドはトランペットを吹いたりドラムを叩いたり、楽器の演奏もできる。自分で立っても歩けますし、総合的な機能がドンドン進化していますね。
大村正樹
今の話は、見るには面白いですけれど実用的な部分ではちょっとどうなのかと思ってしまいます・・・。
実用的なロボットですごいのはあります?
でしたら圧倒的に産業用ロボットですね。工場の中で、生産用機械と人間の間で活躍しています。これも実は生産台数、稼働台数ともに日本が世界一なんですね。
大村正樹
日本はあまり大きい国じゃないのに、生産台数と動いているロボットの数は世界で一番なんですか。じゃあ、日本の工場はロボットだらけですね?
そうです。だから、みなさんの周りにある日本製品の多くは、ロボットを使ってつくられています。
大村正樹
例えばここにも時計やマイクがありますが、これもロボットがつくっているんですか?
  そうです。直接確かめたわけではありませんが、そういうものが多くある。あるいは、ロボットがロボットをつくっている工場もあるんですよ。
大村正樹
人造ロボットじゃなくて、“ロボットロボット”ですね(笑)。どこでつくっているんですか?
  ヤマザキマザックや安川電機という会社があります。日本の有名な産業用ロボットメーカーで、産業用ロボット自身を産業用ロボットがつくる時代になってますね。
時計
 
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大村正樹
今後の日本のロボット開発は、どういう方向を目指しているんですか?
  色々な方向性があると思います。ひとつは家庭の中に入っていくこと。ASIMOでさえ体重が40kgあるので、赤ちゃんの上に倒れ込んだりしないよう、まだまだ研究開発の余地はありますが。また、産業用ロボットがより進んだ使われ方をしていくでしょう。そしてもうひとつは、病院ですね。お医者さんができないような脳の奥や、お腹を大きく開けてする手術は、ロボット技術を使わないとできません。今の段階では内視鏡手術がありますけれど、これが更に進んでロボットになっていくと思います。小さい頃『ミクロの決死圏』というアメリカ映画があったんです。これは人間を特殊な光線で小さくして、血管の中に注射し、小型の潜水艇で脳まで行って腫瘍を手術するという話しだったんです。医療のロボット化が進めば、それも可能になってくると思います。
大村正樹
先生はそのジャンルの方ではないんですね。
  専門ではないのですが、お医者さんが手術のトレーニングができるようなロボットも、いま我々の研究室で開発しています。目の前に本当に患者さんがいるようにしなくてはいけないから、人そっくりであることが一番重要なんです。まだまだ全身とまではいかないですが、人そっくりの皮膚をつくって、手術の練習ができるんです。それで「ゴッドハンド」とか「入門クラス」とか、点数が出る装置をいま開発しているんですね。
大村正樹
ロボット開発は、子どもの頃からの夢だったんですか?
  そうですね。小さい頃に『鉄人28号』、『鉄腕アトム』などをみながら、明るい未来を夢見て育ってきました。当時はみんなそうだったかもしれませんが、いわゆる科学少年でした。全然僕は覚えてなかったんですが、今から十数年前に友達が小学校の卒業文集を見せてくれたんですよ。そこに、「自分は将来大学に残って、宇宙ロボットを開発する」と書いていました(笑)。
大村正樹
小学校の時にですか。素晴らしい!
  いえ、いえ。そういうことを書いていた子は、たくさんいたと思います。でも今から3、40年前は本当のロボットなんてできないと、みんな思っていたと思います。自分もそう思いながら大学に入ったんですが、実際にロボットをやっている先生がいました。再びロボットを研究したいという気持ちが湧いてきて、大学に残って研究をやってます。
大村正樹
本当に子どもの頃の夢がいま実を結びつつあるんですね。近い将来、手術をするロボットが登場してニュースになったら、そこには高西先生の姿があると考えていいわけですね。
ぜひそうなりたいと思ってます。
大村正樹
楽しみにしています!今週のサイコーは、早稲田大学教授の高西淳夫先生でした。ありがとうございました。
  ありがとうございました。
大村正樹
今オリンピックをやっているけど、ふと思ったのが、例えば走るロボットを開発して、ロボット同士の100メートル競走や高跳び、水泳の競技があったら観ちゃうなぁ。もちろん生身の人間もいいんだけど。みんなはどう思ったでしょうか?
チップ
 
チップ
 
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