過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2008 9月13日 放送分
「シークレットラボ大公開」(2)
コーチャー/實吉達郎(さねよしたつお)さん(動物学者)
大村正樹&實吉達郎
大村正樹
キッズのみんな、こんにちは。2学期、もう慣れたかな?今週も年に一度の「シークレットラボ大公開」の模様をお届けします。電子顕微鏡や顕微鏡で見たミクロの世界を、動物学者である實吉達郎さんの興味深いお話とともにのぞいてみましょう。画面にハチの巣みたいなものが出てきました。まず、これは何か分かるかな?――じゃあ、メガネのお姉ちゃん。
トンボの複眼。
大村正樹
トンボの目。じゃあ、これを拡大して…。――トンボです。よく分かったねぇ。先生、トンボの目は拡大するとこうなるんですか?
  この大きな目の一つひとつが、六角形の望遠鏡のように見えるんです。両眼から認識されたモノが頭の中に集まり、それが合わさって映像を作り出す。だから、トンボは遠い所を四角く見ることができるらしい。どうしてそんなことが分かるかと言うと、トンボの複眼の一つひとつをレンズで実験した人がいるんです。覗いてみたら、カクカクしてる。それでも、遠い近いは非常に正確に見えているらしい。このように複合された目だから複眼と言うんです。ほかにも、真ん中に単眼という一つだけの目が三つばかりあります。
大村正樹
これは鼻ですか?
  え〜と、これは口のカバーですね。
大村正樹
これは鼻ですか?
  その下が口だと思います。
大村正樹
上唇ということですか?
  唇のカバーだから上唇と言ってもいいんでしょうね。持ち上げてみると、相当恐いキバが、左右から出ているのが分かります。
大村正樹
拡大するとこうなる。
  真ん中の一点で複眼と複眼がくっついているのがトンボ。左右に離れているのがイトトンボ。真っ二つに割れてくっついているのがヤンマ。
大村正樹
へぇ〜。ヤンマって知ってる?
  オニヤンマ。
大村正樹
そうそう。オニヤンマとかギンヤンマ。次もムシの拡大です。なんの顔か分かる人?
  タランチュラ。
大村正樹
毒グモね。あとは、君!
  クモ。
  ダニ。
大村正樹
タランチュラ、クモ、ダニ。先生、これは?
  タランチュラはちょっと突っ込みすぎだね。私はアマゾンの森林でタランチュラに近いのを見ましたけれど、アミに入り切らなかった。足を広げると30センチもあってね。だからこれは違います。
トンボ
 
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大村正樹
クモの顔ですか?
  そうです。何グモか、これだけ拡大するとかえって分かりませんが、クモの顔を正面から見たところです。
大村正樹
クモの顔には毛がやたら生えているんですね。
  はい。これによって自分の巣の網にかからないように、すべりやすくするらしいんです。
大村正樹
この拡大した部分は何ですか?
  頭の下の部分だけど、これが目であるかどうかはちょっと疑問です。このふくらんだところも目のように見えますけれど、クモの目はさっきの複眼と違って点々とした単眼、つまり小っちゃな目がいくつか集まっているので、集まる目と書いて集眼(シュウガン)と言います。だから、クモの目だろうと思いますが、はっきり言えません。
大村正樹
これのどこに目があるんですか?
  全体が目だと思いますが、正確には言えないです。
大村正樹
なかなかクモをつかまえて顔を拡大して見るチャンスはないですよね。
  ないでしょう(笑)。それに、みなさん余りつかまえないほうがいい。咬まれるから。
大村正樹
クモをよく見たことある人いる?
  ある。
大村正樹
つかまえた?
  つかまえた。
  チクッとしなかった? 咬まれなかった?
  金網の下にいたから大丈夫だった。
  それはちょうど良かった。
大村正樹
じゃあ、続いてはこちら。これは分かるね。何だ?
  アメンボの足。
大村正樹
ほかに、分かる人?あれっ、もっと簡単に分かると思ったよ。
  ハチの針。
  はい、当たりです。
大村正樹
ハチの針に刺されたことがある人いる? 余り経験ないでしょ。
  やられたことある。
クモ
 
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大村正樹
やられたか。痛かった?
  うん。
大村正樹
頭やられたか。大丈夫だった?刺された人は余りいないでしょ。おじさんは、よく刺されるのよ。痛いの!でも今日、何で痛いのかが写真見て分かった。拡大するとこんなになってるのよ。
何でか分かった。抜こうとするとギザギザの部分が肉に引っかかるから。
  そうそう。
大村正樹
ハチは1回人を刺したら針がなくなって、死んじゃうって言うでしょ。結局、こうやって刺すと針が抜けないよね。だからハチも針を抜いて逃げるしかない。一方、人間の体に残ったらささくれ立っているから抜けない。先生、ハチの針はこんなに太いんですか?
拡大すると、思ったほど尖ってなかったでしょ。だから、ヤリで突き刺すみたいに荒っぽいわけだ。でも、本当は小さいからチカーンって感じ。ヤリだったらズブッという感じがするけどね。ここで刺されると逆目が、「返り」と言うんだけれど、引っこ抜こうとする力に逆らうから、なお抜けない。人間は「ウーッ、痛いっ!」って抜こうとする。それは、痛いという刺激を受けると人間の筋肉がギューッと縮むから。つまり、刺された針を放すまい、放すまいと人間の体が働いてしまう。そうすると針は根元から抜けちゃって、その先に腹ワタみたいなのが付いている。これが毒嚢(どくのう)といって毒袋。その毒袋ごと抜けちゃったハチを見ていると、パラパラポトンと落ちます。拾うとお尻が空っぽになっているので、手の平にのせてみてください。5分間ぐらいで死んじゃう。
大村正樹
ハチに刺された時に5分間も観察する余裕はないと思います。痛くて痛くて。
  そうですか(笑)。
大村正樹
先生は学者だから、何でも研究のテーマにされますけど、僕ら普通の人は治療に専念するしかないわけです。
  まぁ刺されちゃったら仕方ないんだけど、スズメバチだけにはくれぐれも気をつけなさいということを一つ言っておきます。それから、ミツバチだったら、――これはなかなか難しいけど、できるかな?ジッとしてればいいの。お地蔵さまのようにしてれば、ホッペタにとまっても刺しません。
大村正樹
あわてないことですね。實吉先生、今日も大勢のキッズ達に動物や昆虫の話を聞かせてもらいましたけれど、先生は本当に好きなことをやって年を重ねて来られましたよね。
ハハハハハッ。
大村正樹
集まってくれた子どもたちに動物学者として言いたいことはどんなことですか?
  「よく見つけたな」、「いい知識を持ってるな」という子が多くて、私は大変嬉しかったです!かつては、蚊に刺されたこともないような子ばかりで…。私は何十年も学校の先生をしていましたけれど、ハチどころか蚊にも刺されたことのない、カニにはさまれたことがない子が多くて、「手をピッとやるとカニのハサミがとれちゃうよ」と言うと、「えっ、うっそ〜!?」と言うのね。何も分かってないですよね。お母さん方はカニにはさまれたことありますよね、1回ぐらいは?
  お母さん
ありません。
  ダメですか。もう世代が違ってますな(笑)。だから自然というものをよく見て、テレビと図鑑ばかりに夢中にならないで!さっきのがテレビに映りましたか?教えなかったでしょ?そんな細かいことは教えなくていいと思っているわけだ。「みんな自然を愛しましょう」、「自然を理解しましょう」と言うくせに。大事なディテール、細かいところを覚えないで、たくさんつかまえたことをイバッても何もならない。それぞれ1匹1匹に私が指摘したような秘密があり、それを知るとどんなに可愛くなるか。飼いたければ飼ってもいいです。その場合は、自然に近い状態で飼うこと。ありのままにね。ハムスターも小鳥もワニもカメもみんな同じです。自然に近い状態で飼えば長生きします。これを覚えて。
大村正樹
みんなも自然に生きている動物や昆虫、生き物と接して、色々なものを発見してください。
ミツバチ
 
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