過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2008 10月25日 放送分
「ゲノムの話」(2)
コーチャー/貞光千春さん(日本科学未来館)
大村正樹&貞光千春
大村正樹
キッズのみんな、こんばんは。今日のテーマもゲノムです。先週は垓(ガイ)というすごいケタの数字が出て来て、頭がこんがらかっちゃいましたが、今日はラボらしく実験をしてみたいと思います。イメージしにくいかも知れないけど、DNAを抽出する実験です。先週のゲノムの話は面白かったんですけど、ゲノムとDNAはどう違うんですか?
ゲノムの材料がDNAで、ゲノムはDNAからできています。
大村正樹
DNAを集めたのが人間のゲノムとうことですか?
  そうですね。「ゲノムDNA」という言い方もします。
大村正樹
今日はDNAを見せていただけるということですが、ここのラボにはコンピュータなどはないですよ?ポットとかビーカーを使うんでしょうか。
お見せしますよ。この箱に…。
大村正樹
おっ、「科学未来館の実験工房」って書いてある。「DNA抽出キット 人から人が生まれるのはなぜ?身近な食べ物ニワトリからDNAを取り出して、そのナゾを考えてみませんか?」って書いてある。ニワトリからDNAを取り出すんですね?
そうです。このキットを使って、ニワトリからDNAを取り出したいと思います。
大村正樹
ニワトリはどこにいるんですか?
  ここにはいないんですけれど、こんなものが。
大村正樹
あっ、ニワトリをもう絞めて来たんですね。これは何ですか?
  ニワトリのレバーです。
大村正樹
レバーですか。トリのレバーからDNAを取り出してくれるんですね。テレビじゃないので映像がないのが残念ですけど、僕が事細かに実況します。まず、赤茶けたトリのレバーが1センチ四方ぐらい出てきました。
これをつぶします。ビーカーの底を使って、大きな固まりがなくなるまで。
大村正樹
サランラップで覆ってつぶしちゃっています。焼肉でレバ刺しというのは、トリのレバーじゃないですよね?
  トリのレバーもありますよ。
大村正樹
じゃぁ、レバ刺しになるようなレバーですか?
  普通にスーパーで売っているようなものです。今日は食べませんけど(笑)。
大村正樹
もったいない。サランラップにかぶせてペッタンコにして。
  広げます。細胞の中にDNAが入っていて、今その細胞をバラバラにしました。
ニワトリ
 
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大村正樹
ほんの小っちゃい、わずか数ミリのレバーの中にも細胞が入っているんですよね?
  入ってます。細胞はものすごく小さいですから。ではつぶしたレバーを、細胞を溶かす「細胞溶解液」に入れていきます。
大村正樹
小っちゃい試験管の中に、つぶしたレバーを入れてます。小っちゃいけど、気持ち悪いですねぇ。何か肉片を切り刻んでいる感じが。
  そして、うまく細胞が溶けてくると液がトロッとネバッとしてきます。
大村正樹
細胞が溶けてますね。納豆状に…。糸を引いているのが見えます。下のほうには何かドロドロしたものが沈殿していますよ。おっ、お湯が入ったビーカー。
沸騰したばかりの熱いお湯が入っています。
大村正樹
ビーカーの中の熱湯に、レバーが入った試験管をつけています。
  そして、ラップでくるんで10分間。
大村正樹
ちょっと待って! 10分経ったらこの番組が終わっちゃいますよ〜。
  ハハハハ。そう思って、準備してきました。
大村正樹
さっき何か仕込んでると思ったら、10分経ったやつを用意してくれてたんですね。生の料理番組みたいだ。すごい!
  はい。思いっきり料理番組です(笑)。
大村正樹
楽しくできた。10分前に熱いお湯の中に入れたレバー。
  さっきと違って、気づくところがあると思います。
大村正樹
おっ!透明だった液体が黄色っぽくなって、赤々としてたレバーも茶色くなってる。
  そうなんです。火が通ってるんですよね。
大村正樹
えっ、火を使ってないのに。
  火が通ったというか温めたことで、この実験ではいらないDNAの周りにあるタンパク質を壊して、取り出しやすくしました。肉を焼くと色が変わりますが、それと同じことなんです。
大村正樹
なるほど。レバーがヤケドしたということですね。
  そうです。色が変わりました。で、この後。
大村正樹
あっ、注射器だ!針がない。よかった。
  針の代わりに綿を入れて、さっきの細胞溶解液の中身をこしていきたいと思います。
ビーカー
 
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大村正樹
このキットは、溶解液が入っているから未来館で売っているんですか?注射器はないけど、あとのものは家庭で昆虫採集セットでも買ってくればできそうな気がします。溶解液がポイントだな。
そうですね。
大村正樹
未来館では、いくらで売ってるんですか?
  1500円で売ってます。
大村正樹
今度は別の試験管に、レバーの肉部分をなくした液体だけを入れました。
  結構きれいな透明の液になりました。そして、もうひとつ使うものがエタノールです。エタノールはアルコールの一種ですが、理科室や保健室にもありますね。
大村正樹
注射の前にエタノールで消毒を。
  スーッとする、あのエタノールです。今日はアルコール100パーセントのエタノールを使います。今DNAは、こした液の中に溶けているので、何も見えません。
大村正樹
ほとんど透明の液体です。この中にDNAが入っているんですか?
  入ってます。何で透明かというと、DNAは水に溶けるんです。
大村正樹
へぇ〜。レバーの身の部分はもう要らないわけですよね?でも、そっちのほうにDNAが入ってそうな気がするんですが、そうじゃないということですか?
はい。こっちのほうが観察しやすいです。水には溶けるDNAがアルコールには溶けないので、どうなるかと。
大村正樹
水には溶けるんだけど、DNAはアルコールには溶けないので、それを1滴アルコールの中に入れるんですか?
  はい。ちょっとやってみます。うまく行くといいなぁ。――何か見えてきました。
大村正樹
クラゲみたいなやつが見えたよ。何、これ!?さっき半透明の液体を1滴垂らしただけなのに、糸クズみたいな感じになっている。
  そうです。DNAはたくさんあるから。
大村正樹
えっ、いま見えているのがDNAですか?
  はい。DNAがものすごくたくさん固まってグチャグチャグチャって。
大村正樹
これがいわゆる遺伝情報ですか?
  はい。この中にはニワトリのトサカの情報や、色々な情報が書き込まれています。
大村正樹
すご〜い! ちょっと待って。結構感動してるんだけど。これは何の研究に活かされるんですか?
  これは、よく犯罪ドラマで髪の毛から「犯人はこの人だ!」という場面ありますが、そのような技術にもつながっていきます。
大村正樹
そうか、そうか。こんなことやっているんだ、警察官は。
  基本的にはDNAを取り出して増やして、その人特有のDNAを探す。
大村正樹
へぇ〜。あっという間に時間が来ちゃった。いやぁ勉強になったなぁ。今回、一人で興奮しちゃったけれど、ありがとうございました。
ありがとうございました。
試験管
 
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