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「宇宙エレベーター」(2)
コーチャー/大野修一さん(日本宇宙エレベーター協会 会長)
大村正樹&大野修一
大村正樹
キッズのみんな、こんばんは。今日はバレンタインだけど土曜日だったねぇ。土曜日のバレンタインってちょっと寂しくない?会社とか学校って休みでしょ。もらえるものがもらえない。このラボなんて男ばっかりだから。あっ、日立ハイテクさんの美しい女性がいるけど、チョコ持っている気配がないなぁ。やっぱり土曜日だからかなぁ。――ないのね、まぁいいや。寂しいバレンタインだけど、みんなはどうだったかな?その代わり今日は、また夢のある宇宙エレベーターのお話。先週は本当に衝撃を受けたんだけど、その続きを聞いていきます。今週のサイエンスコーチャー(サイコー)も前回に続きまして、日本宇宙エレベーター協会 会長の大野修一さんです。こんばんは。
こんばんは。
大村正樹
僕、あれから考えたんです。宇宙エレベーターのイメージって、1本の軽いケーブルの上を走るゴンドラで、地球と宇宙を行ったり来たりする、すごくロングなロープウェイみたいなものなんですよね。
はい。
大村正樹
でも冷静に考えたら地球は自転していますよね。チューブだと宇宙エレベーターの終点の駅が、ちぎれちゃったりしないかと思ったんですが。
人工衛星は地球の周りをグルグル回りながら遠心力をかせぎ、普通は重力で落ちてきちゃうところを、その遠心力でバランスをとっている。地球から3万6千キロぐらい離れた距離では、1周が24時間でちょうど重力と遠心力が釣り合うようになります。24時間で回るということは地球の自転と同じですから、いつも同じ所にあることになります。
大村正樹
はい。
  これが静止衛星とか気象衛星「ひまわり」の技術ですね。そこでヒモを垂らせば地球から見るといつも同じ場所にある衛星から、スルスルとヒモが垂れているようなカタチになる。
大村正樹
なるほど。宇宙エレベーターは、シャトルの飛行士みたいに地球を90分で一周しながらいろんな風景を見るんじゃなくて、基本的に一定の場所から景色を見るんですね。
そうですね。展望エレベーターでどんどん上まで上がっていくようなカタチです。
大村正樹
となると先週、協会にはヨーロッパやアメリカ、日本からの参加者がいるとお話されましたが、主導権争いで「うちの国の上空じゃないと嫌だ」となりませんか?
最初はそうなるかもしれませんが、私たちの目標はどこの国とか地域とかではなく、みんなで協力してつくる。今、宇宙空間はどこがどの国の領土と決まってる訳ではないですから、次の世代にそういう考え方を受け渡さないとできないんじゃないかと思ってます。
大村正樹
なるほど。最近は南極ですら領土争いが大変ですから。宇宙には、まだ領土争いがないと思いたいものですよね。ちなみに、つくるにはいくらぐらいかかるんですか?
大体1兆円と計算されてます。
大村正樹
1兆円!ゼロが何個?でも、定額給付金の半額でできるということですね。いいじゃないですか。
  スペースシャトルは、つくるのに10兆円かかります。それを考えると宇宙エレベーターはすごくリーズナブル。使い捨てではなくて何度も何度も、何百回何千回と使える道具ですから。
衛星
 
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大村正樹
大野さん、麻生総理に企画書を持って行ったらいいかもしれませんよ。
  説明しないといけないですね(笑)。
大村正樹
だって2兆円を考えてるんだったら、その半額でできるし、あわよくば日本が主導権を取って「私が会長です」と言えば…。ちょっといいかも知れない。ダメですか?
まず「宇宙エレベーター」と言って、話を聞いてくれるところまでいくのが大変です。
大村正樹
麻生総理は大丈夫です、漫画が好きだから。
  あっ、そうですね(笑)。
大村正樹
「そう。いいかもねっ」と言うかもしれないですよ。それでいきましょうよ。だんだんビジョンできてきましたね。僕も参加します。
  はい。ぜひよろしくお願いします。
大村正樹
取り持ちますよ。日立ハイテクさんに取り持ち、麻生総理にも僕が取り持ちます。
  そうやって一生懸命やってくれる人がいると宇宙エレベーターはもっと早く、もしかしたら20年ぐらいでできるようになるかもしれないですね。
大村正樹
60代前半で乗ることも可能かもしれませんね。うわぁ〜、楽しみだ!だけど、スペースシャトルの10分の1とはいえ、宇宙エレベーターの運賃もあるわけで。何年か前に宇宙旅行に行ったお金持ちがいらっしゃいましたよね。その時はいくらでしたっけ?
20数億円。
大村正樹
20数億円。宇宙エレベーターはいくらで?
  大体その100分の1ぐらい。
大村正樹
2000万円ぐらい?
  そうですね。でもそれは最初の段階。宇宙エレベーターは何本もつくれますから、商売としてやる人が増えて5本10本100本とつくられれば、もっともっと安くなる。ちょっと高めの海外旅行に行くぐらいの金額にまで下がると思います。
大村正樹
へぇ〜。今年初めにどこかが2009万円の福袋を出したんですよ。それが南極旅行だったんですが、同じ額で宇宙へ行けたらそっちのほうがいいですよねぇ。
そうですね。ぜひ行きたいと思います。
大村正樹
宇宙エレベーターは観光用という狙いがあるかもしれませんが、もっと色々な展開、利用の仕方がありませんかねぇ。
  例えば、宇宙には夜がありませんから太陽電池をいっぱい宇宙へ持って行って発電して、エネルギー問題、環境問題を何とかしようという話もあります。また、月や火星へ行くお金も100分の1になりますから、冒険家はそういった星へ行くようになると思いますね。
大村正樹
ちょっと待ってください。先週のお話を聞いて、月の4分の1ぐらいの距離までエレベーターを伸ばすとイメージしてたんですが、ゆくゆくは月やお隣の火星まで宇宙エレベーターで往来しようという構想になっているんですか?
宇宙エレベーターの反対側のほうは遠心力が強いですから、地球から10万キロ先まで行ったところで離すと、吹き飛ばされていっちゃうんですね。行きの燃料は必要なくなるということになります。
太陽電池
 
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大村正樹
ほかの星の重力を使って行くということですか?
  遠心力で吹き飛ばされたあと、うまーくコントロールすれば月と火星にたどり着くことができます。だから、一生懸命エンジンを噴射して行く必要がなくなるんです。
大村正樹
なるほどねぇ。
  火星に宇宙エレベーターがあれば、帰りも投げ出されるようにしてまた地球へ帰って来られることになる。
大村正樹
そういうことか。へぇ〜。いい話です(笑)。太陽電池だったら、そのチューブに電線を通せばエネルギーが供給されるということですよね。
はい。
大村正樹
逆に、地球上で捨て場を失ってしまったようなものを宇宙へ放出したりとか。
  核廃棄物を太陽に放り込んでしまうことを考えている人もいますね。
大村正樹
太陽に?
  太陽自身が大きな核溶鉱炉ですから、そこへ非常に扱いに困るようなものを落として捨ててしまうことを考えている人もいる。
大村正樹
でも太陽熱で僕らは生きているわけで、その太陽の熱に一部放射能が入って心配はないんですか?
  基本的に、太陽はすごく放射能を出していますから。
大村正樹
そうなんですか。それは地球には到達しない程度のものですか?
  地球は磁場がありますから、守られてます。
大村正樹
なるほど。でも核廃棄物を放り込むためには、太陽にも宇宙エレベーターを通さなくちゃいけないわけですよね。
  太陽に放り込めばいいと思います。
大村正樹
太陽の重力で放り込むことができるんですか?
  はい。
大村正樹
でも近づかなくちゃいけないんですよね。
  そうですね。太陽へ向かって投げてやると、そのまま太陽へ放り込まれることになる。
大村正樹
なるほど。いやぁ、夢はふくらみますね。去年の秋に『Live!オーロラ』といって、北極にカメラを設置して世界中にオーロラの映像をインターネット配信されている方が、サイコーで来られたんです。たぶん当初は誰もそんなことができるとは想像しなかったと思いますが、今では世界中の人に見られている。それと同じで、最初は「そんなことできるのかい?」と思われながら、やがてはそれが実現する。そういうことってすごくいいですよねぇ。
はい。
大村正樹
60代になったらまたお会いしたいですね。その間、僕も広報活動のお手伝いができたらやりますので。
  はい。ぜひ宇宙から放送できるように頑張りたいと思います。
大村正樹
僕のしゃべりが達者な内にぜひ実現するように。ヨボヨボの声で「こんにちは〜」となったらマズイですから(笑)。今週のサイコーは、日本宇宙エレベーター協会 会長の大野修一さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。
大村正樹
この放送を聴いて研究者や企業の方々が「参加したい!」と思ったんじゃないでしょうか。僕も搭乗者リストの上位になったりしないかなぁと思ってます。『銀河鉄道999』の世界が、やがては現実になるのかと思うとワクワクしてきました。
火星
 
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