過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分
「キッズの疑問に答えます」(2 )
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
大村正樹&寺門和夫
大村正樹
キッズのみんな、こんにちは。4月や5月っていいね。この時季が一番ハッピーかもしれないけれど、みんな楽しんでますか?ただ、ゴールデンウィークが終わっちゃうと切ないものがあって、これから夏休みまでは結構長いから頑張ってね。 今日もみなさんからの質問に応えていきます。
大村正樹
今週のサイエンスコーチャーも、おなじみの科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。
  こんにちは。
大村正樹
今週もキッズたちの素朴な疑問、これチョー素朴ですよ。
  そうですか。
大村正樹
千葉県のユイちゃん、小学校4年生。「私はよくケーキやお菓子が出てくる夢を見るのですが、いつも食べられません。食べようとすると目が覚めます。夢をコントロールすることはできるのでしょうか?」。――かわいいと思いません?
かわいいですねぇ。確かに食べられる夢が見られるといいですよね。
大村正樹
味がないもん、確かにね。夢はコントロールできるんですか?
  今、けっこう研究が進んでいるんですよ。
大村正樹
へぇ〜。
  まず、どうして夢を見るかということです。人間は寝ている間に夢を見ているんですが、睡眠には2種類あって、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類あるんです。2種類の中でもレム睡眠は、寝ている間に目が動く睡眠という意味です。
寝ている
 
このページのトップへ
大村正樹
寝ている間に目が動くということは?
  よくあるでしょ? 寝ているのに目が動いたり、体がちょっとピクピクしたりとか
大村正樹
マブタは閉じていますよね?
  そうです。
大村正樹
だけど、黒目がキョロキョロ動くんですよね。
  そういう現象の名前をとってレム睡眠なんです。レムはRapid(ラピッド=早い) Eye(アイ=目) Movement(ムーブメント=動き)なんですね。つまり、目が寝ている間にすごく早く動くということ。
大村正樹
頭文字をとって、REM(アールイーエム)。レム睡眠ということですね。
  はい。そのレム睡眠の時に夢を見ているのです。何で目が動くんだろうということは、色々な科学者が研究しています。レム睡眠の時は、体は寝ているのですが脳が起きている状態です。
大村正樹
へぇ〜。
  逆に、ノンレム睡眠(レム睡眠ではない状態)になると脳も静まって、ちゃんと休む時間になるんです。ですから、レム睡眠の時は、脳はちゃんと活動しているし目もキョロキョロ動いているんですよ。レム睡眠の周期は、大体90分間隔だと言われています。これを夜中の間に繰り返すわけですね。ですから、「明け方に夢を見る」ってよく言うでしょ? 実はそうではなくて、一晩中90分おきに夢を見ている可能性があるんですよ。
大村正樹
そうなのかぁ〜。
  ただし、その時に見た夢は、次にノンレム睡眠になると忘れてしまう。
大村正樹
もったいない! いい夢だったら、そのときに起きたほうが得ですね。
  そうですね。結局、最後に見た夢しか覚えてない。だから明け方に夢を見たと感じるのは、そういう理由なんです。
大村正樹
ドラマ1本分ぐらいのいい夢を見ることもあるんですけど、それを見たのに忘れちゃってることもあるなんて…。あぁもったいない(笑)。
  繰り返しになりますが、レム睡眠の時は脳が起きていて目も動いている。これを、「眠っている間に目がキョロキョロしているのは、実際に脳は目で物を見ているんじゃないか」と研究している人もいるんです。
大村正樹
ええ。
  物を見ることはどういうことかと言うと、目玉の中に外から光が入ってきて、そこに映ったものを脳が「あっ、これは何だ?」というふうに考えている、“感じている”わけです。ところが、脳が物を見ていることを“感じている”部分は、そこが活動すれば、目を開いて景色が入ってこなくても、脳の中に景色が再生されれば実際に物を見たのと同じ状態になるわけです。ということは、眠っている間に目を閉じていても、物を見るという脳のある部分が情報をどこかから持ってくれば、そこには絵が出たり、声が聞こえたりする可能性があるわけです。
大村正樹
へえ〜。
  だとすると、脳のその部分を何らかの形で刺激してあげたりしたら、人工的に夢を見させることもできるんじゃないかと考えられている。
大村正樹
でも、それは寝ている人が自分ではできないわけですよね?
  なかなかできないですね。
大村正樹
へぇ〜。勉強になったなぁ。
続いての質問です。葛飾区のユウジさん、42歳の大人の人です(笑)。「宇宙にはたくさんのゴミが軌道上を回っていると聞きます。そのゴミが宇宙船や活動中の宇宙飛行士にぶつかることはないのですか? 宇宙飛行士にぶつかったら大変なことになると思うのですが?」。
この2月に衝突しましたね。
大村正樹
宇宙ゴミのこと、デブリというんでしたっけ?
  ええ。スペースデブリと言います。
大村正樹
スペースデブリというゴミがもし宇宙飛行士にぶつかっちゃったら、相当のスピードなわけですよね。身を守る方法って確かに気になります。
  そうですね。これは結構大変な問題で、宇宙ゴミってすごいたくさんあるんです。どうしてかと言うと、今までに打ち上げた人工衛星やロケットが使われなくなると、そのままゴミになって宇宙を回っているわけです。それから、部品が分解したりして小さな破片も回っている。今、アメリカではいわゆる宇宙ゴミと言われているスペースデブリを常に観察しているんですが、それはだいたい直径10センチ以上のものです。
大村正樹
はい。
  それでも1万8000個ぐらいあると言われている。それより小さなものはもっとたくさんあるはずなんですね。数え切れないぐらいあると考えていいわけです。
大村正樹
へぇ〜。
  ただし、大きいものはすべて監視されていて、軌道まできちんと分かっている。例えばスペースシャトルとか宇宙ステーションの近くにそういったスペースデブリが近づいた場合には、あらかじめ警告を出して軌道をよけたりするということを、行っています。
大村正樹
はい。
  それから、宇宙服が実はすごく頑丈な構造になっているんです。船外活動をする宇宙服は、ふくらんでいる感じがしますよね。あの中に実は11の層があるんです。
大村正樹
あの宇宙飛行士の服ですか?
  ええ。その中にはもちろん保温とか真空状態から身を守るとか、色々な理由がありますが、外側は隕石とかデブリがぶつかったとしても損傷を食い止められるように、すごく強度の高い材料が使われたりしています。
大村正樹
へぇ〜。宇宙空間で物と物とがぶつかる衝撃は、どれくらいですか?
  たとえば地上で言うと、ピストルの弾を撃って衝突させるようなものだと考えてもいいかも知れません。
大村正樹
じゃあ、宇宙服はピストルの弾も貫通しないように作られているんですか?
  そうです。そういう感じですね。それから、宇宙ステーションの壁の周りに貼られている素材もそうです。宇宙はすごく広いので、スペースデブリがたくさんあるにしても、ある程度の大きさのある物がぶつかることはないだろうと考えられてたわけです。ところがこの前の2月に、人工衛星同士が衝突するというとんでもない事故が起こった。ですから、それは可能性としてないわけではない。非常に深刻な問題ではあります。
宇宙飛行士
人工衛星
このページのトップへ
大村正樹
昔はエベレストにゴミが溜まるなんて考えてもなかったわけで、いまはゴミ拾いのために野口(健)さんがエベレストへ登山に行く時代ですから。やっぱりすべての空間は無限と言われながらも、宇宙が無限じゃない時代が来るかもしれないですよねぇ。
これからは、多くの人間が宇宙空間に行く時代が来るでしょうね。このラジオを聴いている子どもたちが大人になった頃には、そういった時代になっていると思うんですが、そのときに宇宙のゴミは非常に大きな問題です。
大村正樹
そうですよねぇ。ユウジさん、ありがとうございました。
今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。
 
大村正樹
夢の話に戻るけど、確かに目覚まし時計の音が夢とリンクすることはあるよね。そう考えると夢をコントロールすることは、意外にできそうな気がするなぁ。みんなもお母さんに起きる直前に「いちごケーキ!」とか叫んでもらったら、いい夢を見られるかも知れないよっ。では、また夕方5時半に会いましょう。バイバ〜イ!
 
 
このページのトップへ