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「キッズの質問に答えます」(1)
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
寺門和夫さんのブログはコチラ>>http://blog.scienceweb.jp/
大村正樹&寺門和夫

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今日はキッズからの質問もずい分たまってきたので、質問特集いきま〜す。かなりユニークなんだけれど、「えっ、もしかしたら…」というようなキッズらしい質問が届いてますからね。お知らせの後、サイコーに聞いてみるよ。


大村正樹

今日のサイコーは、おなじみ科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

キッズの質問が来ていますからね。お願いします。

はい。


大村正樹

豊島区のリュウセイ君、小学校4年生から。「今年の2月、ロシアに隕石が落ちてきて世界中がびっくりしましたよねぇ。日本や自分の住む町に落ちてきたら、と思うと怖いです」−わかる、わかる。「なぜ隕石は落ちて来るんですか?僕が生きてるうちに、日本に隕石が落ちる確率ってどれくらいありますか?」。まぁ、衝撃的な映像がありましたからね。

ほんとですねぇ。


大村正樹

「あれがわが町に来たら…」と、キッズだったらゾッとすると思いますよねぇ。

そうですね。あそこまで大きな隕石が落ちてきて人間の生活に被害を与えることは、そんなにはないんですね。


大村正樹

そうですか。

そういった意味では、非常にまれな現象だったことはいえると思います。隕石は、元々小惑星という小さな太陽系にあった天体が地球に近づいてくる。そして引力に引かれて落ちてくるものなので、太陽系の空間の中にはたくさんあるわけです。


大村正樹

はい。

ただし、地球の軌道まで近づくものがそんなにたくさんあるわけではないんですね。


大村正樹

ええ。

それから地球に近づくもので非常に大きな隕石の元になる天体は、もうアメリカなどがちゃんと観測しているので、もちろん地球に衝突することになれば警報を発します。今のところこれから先の何十年の間、地球に衝突する大きな小天体はないことがわかっていますので、過度に心配する必要はないですね。


大村正樹

でも、この間のロシアのやつも予期せぬ形で来たわけですよね。

そうです。実はあのくらいの大きさ−だいたい直径が15メートルぐらい、重さ約1万トンあるのでそれなりに大きなものですが、そのくらいのものまで正確な観測がまだ進んでなくてできなかったわけです。ですから、あれは実はいってみれば、観測の網の目をかいくぐって落ちてきたということでしょうねぇ。


大村正樹

これまでわかっている小惑星みたいなものが地球に落ちてきた例は、だいたいどれぐらいのものがありますか?

地球上にクレーターという大きな穴ぼこ、そういったものは何百ヵ所か見つかっています。一番有名なのはアメリカのアリゾナ州にある「バリンジャー隕石坑」で、直径2キロメートルぐらいでしょうか、大きな穴があいています。


大村正樹

バリンジャー隕石坑。

過去に隕石が落ちてきて、穴ができて、今でも残っているものもあるし、あるいはある程度土に埋もれちゃっているんだけれど、例えばスペースシャトルや人工衛星から見るとクレーターとわかるものもいっぱいありますね。ですから、そういった意味では、隕石が地球に落ちてくるのはそんなに珍しい現象ではないです。


大村正樹

ただ今年の2月ほど大きいものは、めったに来ない。

しかも人間が住んでいるところに落ちてきて、衝撃波であれだけ被害が出たというのは今まであまりり例がないですね。


大村正樹

じゃあ、リュウセイ君はそんなに心配しなくてもいいという…。

そんなに心配しなくていいと思います。だいたい1年間、隕石は地球上に数万個落ちてるといわれています。


大村正樹

はい。

だけれども今までの記録を調べてみると、過去に隕石に当たって死んだ人はいないんです。


大村正樹

ほほぉ〜。

例えば屋根の上に落ちてきて家に穴があいたとか、車のボンネットに凹みができたという隕石の落下例はいくつか報告されていますね。ただし、その被害が出て亡くなった方はいないので、あまり極端に心配しなくてもいいんじゃないかと思います。


大村正樹

僕はもうこの年齢だからですが、小学生だったらリュウセイ君の気持ちはわかります。「いつか絶対自分の家に落ちてくるんだ〜」とかね。

そうですね。これから先になると観測が進んで、もっと小さい天体まで予測できるようになるので、ロシアに落ちてきたぐらいの隕石も「だいたいこんなのが来るよ」ということが事前にわかるかもしれません。


大村正樹

そうですか、わかりました。リュウセイ君、よかったね。とりあえず大丈夫だ。次は東村山市のアンちゃん、小学校6年生の女の子。「少し前にお父さんとダイオウイカの特集をテレビで見ました。あんな大きなイカが本当にいるとは驚きです。ダイオウイカは何であんなに大きくなったのですか?ほかにも大きな生き物って海にはいるんでしょうか?」。このダイオウイカの特集ってNHKがやっていて僕も見たんですけれど、すごく深い海の中で人間の何倍もあるようなイカがウネウネと神秘的な動きを見せていました。ダイオウイカって基本的には?

いろいろ調べてみると、かなり大きくなるものがあるようですね。


大村正樹

いわゆるイカの種類であるんですね、ダイオウイカは。

ええ、そうです。しかも、昔からこのイカの存在はわかっていたようで、非常に古い神話に出てくる海の怪物のモデルになったり、それからジュール・ヴェルヌの『海底二万哩』ってSF小説を知っていますか?


大村正樹

はい。

あれの中で潜水艦を襲う巨大な生物がいますが、ああいったもののモデルになったり…。


大村正樹

ダイオウイカが?

そうです。だから、昔からよく知られていたわけです。ただし、海の中ってあまり巨大な生物はいないんですね。ですから、そういった意味ではダイオウイカという巨大なイカの存在は、どちらかというと海の生物の中でも珍しいんじゃないかと思います。


大村正樹

ほぉ〜。だいたい何メートルぐらいあるんですか?

ええと、いろんな記録があって数メートルから10メートルとか、20メートルの記録まであります。定かではないですけれど、少なくとも普通のイカに比べるとはるかに巨大ですね。人間の何倍もある大きさになります。


大村正樹

テレビでやっていたダイオウイカは小笠原の海のほうだったんですが、これは食べられるんですか?

ちょっと僕はそこまで知りません。


大村正樹

わからない。僕ら、ヤリイカとかスルメイカを食べていますよね。

そうですね。ちょっとあまり大きいんで、どうでしょうねぇ。食べてもおいしいかどうかわかりませんけれど…。


大村正樹

あまりうまそうには見えなかったですけどねぇ。

そうですね。


大村正樹

なるほど。あんな大きいイカは何を食べて生きているんですか?

海の生物ですね。ナマコとか魚を食べていると思います。


大村正樹

ナマコとか。

イカの口ばしって、けっこう鋭いんですよね。しかもあれだけの大きさですからかなり強力ですし、吸盤も強いし泳ぎも上手だということですから海の捕食者−獲物を襲うものとしてはかなり強力な存在じゃないでしょうかねぇ。


大村正樹

イカ、恐れられてるんですね。

はい。


大村正樹

イカって漢字で書くと何か海の賊みたいな、ちょっととげとげしい漢字ですよね、調べてみたらわかると思うんですが。けっこうイカって荒くれ者なんでしょうか?

たぶんそうではないと思います。生き物ですからエサは食べなければいけないので、他のものをとって食べているということでしょうけれど。おそらくあれだけの体がありますから、食べる量も他の小さなイカよりは断然多いでしょうねぇ。


大村正樹

アンちゃんの質問は「ダイオウイカは何であんなに大きくなったのか?」、ここが主眼ですね。

そうですね。僕が考えるのは2つぐらいあるかなと。ひとつはやっぱり遺伝子ですよね。ダイオウイカの持っている遺伝子−ある程度大きくなる性質を持つような遺伝子があって、しかも海底の中で住んでいる環境の条件が非常によくて、その遺伝子が十分に発現するような環境であれば大きくなってずっと生きていられることがありますね。


大村正樹

はい。

それから、もうひとつは環境そのもの。つまりダイオウイカの住んでいるところが競争してエサをとり合う相手がいなくて、エサが十分に食べられる。いってみれば食べてのんびり生活できるようなところであれば、ある程度巨大化してずーっと生きられることもあるんじゃないかなと思います。


大村正樹

はい。

ですから遺伝子的なものと、それからせい息している環境−これは全てに当てはまりますけれど、そういったものがダイオウイカが巨大化するのに一番合っていたんじゃないかと思いますねぇ。


大村正樹

なるほど。お母さんに怒られないで好きなものを食べていたらブクブク太っちゃうのと同じですね(笑)。

そうですね。その辺は気をつけないといけないかもしれませんね(笑)。


大村正樹

そういった意味では、お母さんは必要だということですね。時間ですね。質問が来ているので、また来週もぜひお願いします。

はい、わかりました。


大村正樹

今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。どうもありがとうございました。

失礼しました。


大村正樹

最初の隕石の話は、今日聞けてよかったよ。たぶん心配しているキッズが…。僕だって心配してるもの、「いつか来るんじゃないか!?」って。でも、めったにこういうことはないことがわかりました。それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバ〜イ!