
キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。みんな、昨日は何時に寝た?今朝は何時ごろ起きた?今、眠いかな?寝ることというのは絶対するじゃない。「24時間起きていました!」という人、なかなかいないよね。やっぱり寝るのは大事なことですけれど、今日のテーマは睡眠です。何で僕ら、寝るんだろうね。お知らせの後、ちょっとサイコーに聞いてみよう。

今週のサイコーは、地域医療振興協会「東京ベイ・浦安市川医療センター」CEOの神山潤さんです。こんにちは。
こんにちは。

神山さんは睡眠の研究をされていて、たくさんの本も出されています。そして、「子どもの早起きをすすめる会」の発起人でいらっしゃるということですね。睡眠は大事ですね。昔、「人生の3分の1が睡眠、だから寝るベッドは必要だよ」という寝具メーカーのCMがありました。僕も3分の1、子どもの頃8時間寝ようと思っていたのが、今は4分の1ぐらいですかね。1日の4分の1、6時間という自分なりの基準を持って生活しているんですが、6時間未満で目覚めると「ちょっと今日しんどいな」、6時間寝ると「まぁ、寝たな」という感じですけれど。ちなみに、先生はどれぐらいですか?
僕はだいたい9時になると眠くなって、朝は4時過ぎぐらいに目が覚めるという生活ですね。

だいたい7時間ぐらいですね。
そうですね。

4時に目が覚めるというのは、どういう?
ある意味、習慣になっているということだと思います。ずっとそういうのでやっていると、朝のほうが静かだし、いろんな仕事もはかどるので。以前は目覚ましをかけていましたが、本当に不思議なことに、目覚ましが鳴る1分とか2分前に目が覚めますよね。

もう体にしみ付いてしまっているわけですね。
ただ僕が別に特別なわけじゃなくて、「朝、何時に起きよう!」と思っていると、その前ぐらいから体の中のいろんなホルモンの分泌が合わせて増えてくるというデータもあります。朝起きる時間については前の晩「朝、何時に起きるんだぞ!」とある意味気合を入れて寝ることが非常に大事だというのは、データなどでも示されているところですね。

次の日の目標というか、起きる基準みたいなものを考える。
「朝、何時に起きるぞ!」と気合を入れて寝ることが大事なんじゃないかと思っています。もちろん、小学校の低学年や幼稚園の方にきくかどうかは難しいところだと思いますけれど。

ただ、ワクワクして眠れないというのはありますよね。
ありますねぇ。だから、これからいう話は、いろんなところで全て当てはまるかというと、なかなかそういうことではないですね。寝るためには体がある程度疲れないといけないから、例えば「昼間いっぱい運動しましょう」とか思ったりするじゃないですか。だけど、例えば運動会の練習をして非常に興奮しちゃって、その日眠れないなんてことがありますよね。

ええ。
一般論として疲れたほうが眠れるのは確かかもしれないけれど、みなさん疲れすぎて眠りにくいという経験もたぶんあると思います。だから、ここでいうことが全てそのまま直に当てはまるかというと、なかなかそうじゃないことが人間の体の面白いところじゃないでしょうかねぇ。

例えば日本人の睡眠形式に関して、世界的に見て変わったことってあるんですか?
赤ちゃんから高齢者まで、日本人の睡眠時間は世界で一番短いということがありますね。

そうなんですか?へぇ〜!
これが昔からあるかというと、過去50年で59分減ってきているというNHKのデータなどもあります。要するに、最近どんどんどんどん日本人の睡眠時間が短くなってきているということがあると思いますね。

50年で59分ということは、50年で1時間ぐらい睡眠時間が減っているんですね。
そうですね。

50年前の方は、今の日本人よりも1時間余分に寝ていた。
おっしゃる通りですね。

今、平均何時間ぐらいですか?
NHKのデータですと7時間ちょっとですが、別のデータですと成人の方に限ってみれば6.4時間だから6時間20分ぐらいが平均というデータもありますね。

日本人の平均ですか?
成人の方です。

成人で、ほぉ〜。世界で一番短い?
短いですね。欧米とかに比べると1時間近く短いですね。

欧米に比べて1時間も!(笑)
日本と韓国が短さのトップ争いをしてますね、今。

国民性をあらわしてるというか、何となくわかる気がしますね。
わかる気がしますねぇ。

何でこうなったんですかねぇ?
何ででしょうかねぇ。

そのくせ、この50年で平均寿命はグッと延びてるじゃないですか。
延びていますね。

睡眠時間が短いことがいけないというわけでもない気もするし…。
例えば、沖縄はかつて日本で一番長寿でしたよね。

はい。
ところが、主には食事のことがいわれてますけれど、欧米の食生活が入ってきて今、沖縄の方の平均寿命は日本全国で25〜26位まで落ちてきています。実は、沖縄の方の睡眠時間は非常に短いというデータもあったりしますよね。

沖縄の人は寝る時間が短いんですか?
特に子どものことに関していえば、夜更かしがすごく進んでいるというようなデータも出てきてます。

なるほど。じゃあ、もしかしたら睡眠時間が減っていて…。
日本人の寿命がすごく長いのは、要するに戦前鍛えられていたいわゆる高齢者の方々が牽引しているというところがあって、その後の今の中高年層はこれからバタバタ早死にしてしまう危険が極めてあるんじゃないでしょうかね。

そうかもしれませんね。長野県が一番でしたね。
そうですね、寿命としてはね。

何でですか?
いろんな要素があるから、1つのことだけで「眠りさえすればいい」、「食べさえすればいい」、「出せさえすればいい」、「体を動かしさえすればいい」というふうについつい行きがちで、特に今の日本では食のことと、それから体を動かすことについては、すごくみなさん一生懸命ですよね。

ええ。
ところが眠りのことと排せつのことは、あまりみなさん関心を寄せてないと思うんです。人間というのはやはり“寝て食べて出して”、初めて脳とか体が一生懸命フルに100パーセント動けるようにつくられている動物ですから。この4つのことをちゃんと忘れないで、全部密接にリンクしているんだということを知っておいていただく必要はあるんじゃないのかなと思います。

眠ることは絶対重要なことで。
絶対重要というか、ひょっとしたら「眠らないで何とかしよう」と気合と根性でやろうとする方がいらっしゃるかもしれませんが、気合と根性を出してもどうにもならないことが世の中にはあるわけですよね。

はい。
そこのところをちょっと知っておいていただきたいですね。

ええ。
ただいろんなデータが出てきていて、実は寝過ぎもいけないんですね。寝なさ過ぎもいけないけど、最近わかってきたのは、睡眠時間が短い状態が続くと体の中の様々な時計遺伝子といわれている各細胞が持っている遺伝子にも悪影響が出てくる。寝ないと太りますし、もちろん知的な機能は下がってきます。

はい。
それから、みなさん経験的にあると思いますが、様々な体の不調を訴える方も出てきます。そういったことの背景となるような因子が、今どんどんどんどん解明されつつある状態だと思いますね。

神山さんが「次の日に起きるタイミングに向けて眠りにつくのはいいことだ」とおっしゃっていたじゃないですか。例えば、バイオリズムみたいなものの中で、子ども達はだいたい何時間ぐらいの睡眠が?
その人その人で必要な睡眠時間がみんな違います。

はぁ〜!
だから、みなさん「7〜8時間の睡眠時間が一番いいことだ」と思いがちですね。ところがここに大きな落とし穴があって、ちょっと考えてみればわかるんですが「じゃあ4時間睡眠の人はみんな肥満なのか?」というと、そうじゃない人もいますよね。

ええ。
「10時間睡眠の人は全部早死にするのか?」、そうじゃないですよね。つまりその人その人によっての睡眠時間は違うんですよ。だから大事なのは、その人その人に適した睡眠時間をしっかりわかっていただくことです。

はい。
「どうしたら、その人にとってベストな睡眠時間がわかるのか?」。これは人間というのは昼行性、夜行性ではなくて昼間行動するように脳がプログラムされている動物ですから、午前中に眠くならないというのが基本的な人間のリズムだろうと思いますね。

はい。
そういう意味では、午前中眠くならないような睡眠時間をしっかり自分で知ることが大事です。逆にいうと、午後2時ぐらいには眠くなる。これはある意味昼寝の時間で、正常な眠りということになります。その時間に眠くなって、短時間の昼寝を取ることは非常に大事なんじゃないかと思いますね。

はい。
それから、それこそ小学校高学年になった場合には、もうそれぞれの方がご自身で「自分にとってのベストな睡眠時間はいくらなのかな?」ということをちゃんとわかってもらうことが大事なんじゃないでしょうかねぇ。

なるほど、わかりました。もうお時間ですね。今日のサイコーは、地域医療振興協会「東京ベイ・浦安市川医療センター」CEOの神山潤さんでした。ありがとうございました。

いやぁ、何で寝るのかわかんなかったねぇ。日本人は世界的にみても睡眠時間が最も短いという…。そうか。でも、寝るって気持ちいいよねぇ。寝るまでの間って、すごくハッピーじゃない?でも朝起きるのはしんどいよね。やりようによっては、気持ちよく起きる方法もあるということなんですねぇ。いやぁ、眠くなってきたなぁ。それでは、来週も夕方5時半に会いましょうね。キッズのみんなも心地よく眠りましょうね、今日は。じゃあね!