
キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。8月17日、お盆を過ぎると「もう夏休みも後半だなぁ」というふうに思うでしょ。大村さんの住んでいる北海道では、夏休みは何と19日までです。まだまだ関東のキッズたちは「夏休みが余分にあるんだ」と思って、しっかりと毎日を過ごしてください。さぁ、キッズから質問がたくさん来ています。お知らせの後、いつものサイコーがキッズの質問にこたえてくれます。

今日は何と350回目の放送ということで、おなじみのサイコーでございます。科学ジャーナリストの寺門和夫さん、こんにちは。
こんにちは。

寺門さんには第3回の放送からお付き合いいただいて、ついに350回目!
すごいですねぇ。

ありがとうございます。キッズの質問もたまっていましたので、今週から紹介していきましょう。それでは、あきる野市の小学校5年生、ユウト君から。「少し前に新聞でボイジャー1号が太陽系の端っこに着いたという記事を読みました。太陽系の外には何があるのか不思議に思いました。寺門さん、教えてください。ボイジャー1号が宇宙の果てまで進むには、あと何年かかりますか?」。まずボイジャー1号ってものすごく昔の話ですよね。
そうですね。

これが「太陽系の端っこに着いたよ」という話?
そうです。

ユウト君からは「宇宙の果てまで行くには、あとどれぐらいかかるか?」という質問です。3つぐらいポイントがあるんですけれど、まずボイジャー1号について教えてください。
宇宙の広さを考えなくちゃいけない、とてもいい質問だと思います。ボイジャー1号と2号って兄弟ですけれど1977年なんですね、もうずいぶん昔で…。

ちょっと待って、36年前?
ええ。ですから、打ち上げられた頃のことは若い子は全然知らないですよね。

アメリカのNASAですか?
NASAが打ち上げたんですね。これ、太陽系の天体を観測して、最後には宇宙空間の広〜いところに出て太陽系の外側がどうなっているのか調べようという目的で打ち上げられているんですね。

36年前のミッションは、太陽系の外に出て太陽系を見てというのが?
そうです。もともと「グランドツアー」といってたんですが、木星や土星や海王星などの大きな惑星を見たうえで太陽系の外に出ようという探査機です。

じゃあ、今やっとスタートラインに立ったようなもんですね。
やっと、その太陽系の果てにたどり着いたというぐらい。

ハハハ。
それぐらい太陽系は広いんですけれど、その先にはもっと広い宇宙空間が広がってます。

ちょっと待って(笑)。ボイジャー1号はいよいよ太陽系の外に出て、やっと仕事できるんですか、36歳で?
そうですね。実は原子力電池という原子力で動く発電機を持っているので、ボイジャーの電源はまだ何千年でもたぶん動くと思います。

へぇ〜。
ただもともと電波のパワーが少ないので、遠くまで行ってしまうとだんだん電波が地球まで届かなくなってしまう。そのぐらい、今どんどん離れつつあるわけですね。

電波が、ですね。
そうですね。

じゃあ、動力系とか機材には問題ないんですか?
基本的に動くものはないですね。単に同じスピードで抵抗のないところをずーっと進んでいるだけですから。

エンジンはついてないから。
エンジンはなしです。だから動くものは、いってみれば送信機とか、非常にまだ初歩的なものですけれどコンピュータとか電子的なものが積んであるだけで、いわゆる機械的に動くところはないから、何か故障して止まってしまうことはないです。

ということは、原子力電池によって向こう何万年は電源は大丈夫だけれど、問題は36年前のコンピュータ、機材が今の時代にきちんと対応できるかという…。
そうですね。それから、磁気だとか磁石の強さとかいろいろ測っているわけですね。

観測データ。
もちろん。その観測データをいまだに地球に送ってきているわけです。それを見ると、どうやら太陽系の果てにたどり着いたなと。ここもうちょっとで過ぎてしまうと、本当に広々とした宇宙空間に出てしまいますよという段階に今あるんですね。

夢がありますね(笑)。
そうですねぇ。

ちなみに太陽系の端っこというと、“水・金・地・火・木・土・天・海・冥”。
“海・冥”といった冥王星は今は惑星ではないですけれど、でもその冥王星といわれていたところには幾つもの天体があるんです。それよりさらにずーっと先まで太陽系は広がっていて、それは要するに太陽のエネルギーが宇宙空間の中で外からみると例えばタマゴみたいな形でシールドをつくっているわけです。

はぁ〜。
その中でわれわれの太陽系の惑星などが回っているわけですけれど、そのタマゴみたいな太陽系を中心としたシールドがどのぐらいの遠さまであるのか、まだわかってないんです。それをまずボイジャーが調べている。

で、「宇宙の果てに進むまであと何年かかるか?」という。
そうですね。ところが宇宙空間は広いので、おそらく果てまで行くのはなかなか難しいかもしれません。

ええ。
例えばよくいわれているのは、「今から4万年後ぐらいに宇宙空間に出てしまうと、星と星の間は非常に遠くて離れているんですがボイジャーが向かっている方向に星があって、それにちょっと近づく4万年ぐらいになると星の近くを通りますよ」ということが予想されてます。でも、そのくらいなんですよ。ですから、本当にこれから1人でずーっと宇宙空間を旅するわけです。

へぇ〜。
僕が期待しているのは、宇宙空間は広いですから、もしかしたらどこかの星の生命体が宇宙船に乗っていて、宇宙を進んでいるボイジャーを見つけて「これはどっから来たんだろう?」と調べてくれるとありがたいなと思っているんです。

真顔でありがとうございます。僕も同感!
そうでしょう。実はそのためにボイジャーには地球の音を録音したレコード盤がのっているんですよ。

へぇ〜。どんな音ですか? ビートルズか何か?
そうですね。音楽ものっていたと思いますが、いろんな声だとか動物の声や自然の音。これは再生しなければいけないので、その生命体が再生する装置をつくらなければいけないんですが、そういった地球からのメッセージがのっているんです。

すごい!
それはもしかしたらどこか他の生命体がボイジャーを宇宙空間で見つけて、そして地球という星から来たんだなということがわかってくれるようなことを期待して、実はレコード盤がのっているわけです。

いやぁ、これはあきる野のユウト君、いい質問をしてくれたねぇ!
とてもいい質問だと思いますよ。

さいたま市のルカちゃん、小学校6年生。「私が住む街はとっても暑いの。熱中症にならないか心配です。なぜ熱中症になるんですか? 熱中症を防ぐカプセルの薬とか、そういう研究は進んでないんですか?」。そうですよ、熱中症で亡くなるなんて、こんな不幸なことはないですよねぇ。薬はないんですか?
基本的には、熱中症は薬を飲まなくても予防できるんです。つまりどういうことかというと、人間の体温はいつも一定に保たれています。

ええ。
一定に保たれていることによって体の中の仕組みがうまく動いて、私たちは元気に動いたりすることができる。ところが非常に暑くなって体温の調整機能がなくなってしまって、しかも体から水分とか塩分がなくなってくるとそういった一定に保つバランスがくずれてしまうんですね。

ええ。
そうするといろいろな症状が出てくるのが、実は熱中症なんです。

自分で何とか防ぐ。
それはもう非常に簡単で、本当に暑い時にあまり外に出て暑い気温にさらされないようにする。それから水分をまめにとって常に補給するということですね。基本的にこの2つぐらいを心がけていれば大丈夫です。

ええ。
ただ、事情によっては暑いさかりに外に出なければいけなかったり、それからお年寄りなどは夜、熱中症になることが多いんですよ。これはお年寄りになると体温の調整機能が低くなるのと、暑さを感じなくなったりしてエアコンをかけず暑いところで寝たりする…。

ええ。
それから夜中にトイレへ行くのが嫌なので、お水をとらない方が多い。そういうことで、夜中に熱中症になって病院へ運ばれることが多いんです。

はい。
だから昼間だけじゃなくて、家にいる時も熱中症は気をつけてないといけない。

ルカちゃんは小学校6年生だから、とにかく水を飲めばいいという。
そうですね。それから夏の暑い時に外へ出るんだったら帽子をかぶったり、なるべく半袖の薄着をして体温の調節ができるようにするとか、そんなことを気をつけてほしいですね。

はい、わかりました。もう時間ですね。ちょっと今日は2つしかご紹介できなかったけれど、来週また寺門さんに来てもらいます。今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。ありがとうございました。
どうも失礼しました。

いやぁ、ボイジャー1号の話はよかったですね。ただ太陽系、冥王星までみんな知っていると思うけれど、冥王星が太陽系の果てじゃなくて、その遥かかなたまで太陽系はあるということもよくわかりましたよ。太陽のエネルギーが及んでいる場所、ものすごく広い太陽系、その先にいよいよボイジャーは飛び出して、そこから何が見えるんだろうか?いい話でした。それでは、夏休みの後半だよ。みんな、宿題ちゃんとやろうね。また来週、バイバ〜イ!