キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ今、ダイオウイカ、とっても大きいイカの撮影に成功したという。これ、有名な映像があるでしょ。深い海をテーマにした展示会もたくさん人が集まったりしているんです。深海ブーム。今日のゲストは、深い海を調査する潜水船というのかな、「しんかい6500」のパイロットだった方をお招きして、深い深〜い海の底のお話を聞いていきま〜す。
今週のサイコーは、海洋研究開発機構の吉梅さんです。こんにちは。

こんにちは。
海洋研究開発機構って何ですか?

簡単にいいますと、海洋を通じて地球のことをいろいろ調べている組織です。
宇宙から地球を見るんじゃなくて、海から地球を見るということですね。

そうですね。いろんな視点から海洋を通じて地球、それから生命ということについて研究しているところです。
海のことを知り尽くしている吉梅さんですね。

まぁ、そうですね(笑)。
こぶし書房から『ぼくは「しんかい6500」のパイロット』という本を出版されています。あの“しょこたん”こと中川翔子さんも推奨されている。

はい(笑)。一緒にテレビ番組のほうで潜行させていただいたことがありまして。
しょこたんと一緒に「しんかい6500」に乗って海に潜ったんですか?

そうです。
この潜水艦「しんかい6500」は、文字通り6500メートルまで潜れるという?

そうですね。水深6500メートルの深海まで潜ることができる船です。
世界的にはどうですか、最も高いレベルですか?

6000メートル級の船は、世界で持ってる国がフランス、アメリカ。最近は7000メートルまで行った中国ですね。それとロシア、それぐらいのところしかないです。
へぇ〜。フランス、アメリカ、ロシア、中国。

はい。
それと日本!

そうです。
じゃあ、国連の安保理の常任理事国プラス日本みたいな感じで、すごいですねぇ。

ええ(笑)。
6500メートルまで吉梅さんは潜ったことがあるんですね。

ええ、もう何度か潜りました。
ひと言でいうと、その世界はどんな世界ですか?

いやぁ、本当にすごいですね。
すごい!?

もちろん低温ですし、真っ暗ですし。時間がすごくかかるというのもあるんですけれど。
ほぉ〜。

6500メートルまで潜ろうとしますと2時間30分ほど時間がかかります。
ブクブクブクブクブクブクブクって、2時間半かけて潜って6500メートル。世界で一番底の海は何メートルですか?

1万900メートル以上ありますね。
あと4000メートルぐらいある。6500メートルって、日本海溝とか社会で習いますがあのあたりは?

日本海溝ですと、一番深いところで8000メートルを超えるようなところもあります。
ほぉ〜。そこに近いところまで潜れるんですね、「しんかい6500」は。

そうです。
これは潜水艦ですか、潜水艇ですか?

潜水船ですね。
潜水船。艦と艇と船、まぁ見た目に船ですよね。

そうですね。「しんかい6500」自体は、小型船舶として登録されている立派な船です。
ほぉ〜。小型船舶は、小型船舶の免許があれば操縦できるんですか?

資格的には操縦できます。
じゃあ、何とか勉強すれば僕もできますか?

乗るための資格として小型船舶1級で、操縦するのはまた実機で訓練しなければいけませんので、そこをクリアすれば乗ることは可能かもしれません。
「しんかい6500」、だいたい水族館にいるマンボウみたいなかわいらしい形ですよね。

そうですね。白い船体で乗り降りする昇降塔というところがあるんですが、そこに黄色い帽子のようなカバーがかかってますね。
大きさはどれぐらいですか?

全長が9.7メートル、幅が2.9メートルですね。高さは約4メートルほどの大きさになっています。
ちょっと待ってください。車のだいたい倍ぐらいの大きさですか?

そうですね。一番近いものは、路線バスぐらいの大きさだと思っていただければ。
おぉ〜、都バス。あの緑の都バスのイメージ?

はい。あれぐらいの大きさのものだと思ってください。
あれ、50人ぐらい乗れますよね。

そうですね。
「しんかい6500」は?

「しんかい6500」の場合は3人しか。
3人しか乗れない!

はい。
ぜいたくといえばぜいたく。

まぁ、ぜいたくといえばぜいたくですけれど(笑)。「しんかい6500」に乗り込むことができる場所は、キャビンという言い方をすることもありますがタイアツコクという名前がついています。
タイアツコク?

「耐」える、それから圧力の「圧」ですね。コクはタマゴのからの「殻」という字を書きます。
耐圧穀。すごい辛抱強〜い3文字ですねぇ(笑)。

そうですねぇ(笑)。
頑張っているという感じの(笑)。

もう耐えてるという感じですが(笑)。
耐圧穀には3人しか入れない。

はい。その耐圧穀は内径が2メートルのチタン合金でできた部屋になっていまして、その中に3人乗り込みます。
耐圧穀には3人しか入れない。

はい。その耐圧穀は内径が2メートルのチタン合金でできた部屋になっていまして、その中に3人乗り込みます。
けっこう狭いですねぇ。

そうですね。内径が2メートルですが、実際は器械がたくさん入っていますのでもっと狭いです。
狭い。

人が座れる場所も、直径が1.2メートルの円状のスペースしか座ることができないので。
えっ、1.2メートルの直径のところに大の大人3人が座ってる!

はい、3人が座っている状態です(笑)。
何か遊園地のコーヒーカップのイメージですか?

そうですね(笑)。
コーヒーカップに家族3人いるような感じが「しんかい6500」のコックピット?

そうです(笑)。
フフフフフ。

本当に狭いです(笑)。
変な話、片道2時間半でしょ。ということは往復5時間。行って帰って最短でも5時間?

はい。
おしっこしたくなったらどうするんですか?

おしっこは、あの携帯用のトイレを持っていってるんですよ。
“ドライブの友”みたいな感じの?

ジッパーのついた袋状のやつですけれど。
いざという時はそれですか?

そうですね、はい。
なるべくならそんな狭いところで、あまりねぇ…。

そうですね(笑)。
我慢して、ですかねぇ。

まぁ尿意は忘れてる時のほうが多いですね、操縦している間は。
そうですか。いざという時はそれを使う。

ええ。
食べるものは? 中で食べていいんですか?

もちろん。朝に潜行を開始しまして上がってくるのは夕方です。それはJAMSTEC・海洋開発研究機構の運行規則で「日出から日没までの間で深海の調査をしなさい」というふうに決められています。だいたい8時間ぐらいで当然お昼は過ぎますので、昼食は中でとることになっています。
食べるんですね。

はい。
狭いところで研究者が3人、日の出から日没までのおよそ8時間深海調査をしているんですね。

そうです。
そもそも中に人がいることは空気、酸素があるわけじゃないですか。キッズだって潜ろうといったらせいぜい1.5メートルぐらいじゃないですか、プールの底に。3メートルぐらい潜ろうとしたら頭が痛くなるし、普通は潜れない。

はい。
スキューバダイビングの人って何メートルぐらい行くんですか?

100メートルぐらいまで行く方もいらっしゃると聞いています。
でも、そこまで行ったら頭が割れそうになるぐらい圧力がかかるというじゃないですか。

そうですね。水圧は非常に高くなります。
水圧を、この「しんかい6500」がそこまで耐えられるつくりになっているということですよね。

そうですね。
システムとしては中に空気があるのに、なぜそんなに下まで潜れるんですか?

人が乗るところを例にとりますと、耐圧穀は厚さが73.5ミリある。
7.35センチ。

そうです。壁の厚みがそれぐらいあって、中が空洞になっている球です。非常に真球度といって、本当に球です。
まん丸?

まん丸に近いものです。水圧は上下左右あらゆる方向から作用しますよね。だから丸いものは、一番圧力を受けにくい形なんです。丸ければ丸いほど圧力に耐えやすい。
へぇ〜。

そういう形のもので、しかもぶ厚い材料のチタン合金でできているので、しっかり圧力に耐えることができます。
丸だから大丈夫なんですね。あら、もう時間ですね。大事な海の底の世界をまったく聞いてない。それを話に来られたんですよね。

ハハハハ。
すみませんね。

いえ、いえ。
興味のままに「しんかい6500」のお話ばかり聞いてしまいまして、ぜひともまた来週より詳しい話をうかがいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

はい。
今週のサイコーは、海洋研究開発機構の吉梅剛さんでした。ありがとうございました。

どうもありがとうございます。
すごいねぇ。遊園地のコーヒーカップ、あのアトラクションみたいなところに3人で乗って、厚さが7.3センチというぶ厚〜い球体に守られている。それで6500メートルまで潜るという。真っ暗な世界ですよ。興味深いですねぇ。来週またどんな話が聞けるか楽しみだなぁ。みんな、どうだったかな?それでは、9月ももう終わりだねぇ。みんな、また来週会いましょう。すてきな週末を。バイバ〜イ!



