キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今年の大きなニュースはオリンピックかな。それから、リニアモーターカーの話は最近のニュースだからみんなも知ってると思いますけれど。もしかしたらみんなが大きくなる頃には、「ちょっとおいしいものを食べに名古屋に行こうか」という時代が来るかもしれないです。時速500キロの世界、リニアモーターカーについてうかがいます。お知らせの後、サイコーが登場しま〜す。
今週のサイコーは二度めの登場ですね、鉄道技術ライターの川辺謙一さんです。こんばんは。
こんばんは。
2年ちょっとぶりにご登場いただきますが、川辺さんはとても鉄道に詳しくて2年前も僕と大いに盛り上がりました。
そうですね。
実は何とリニアモーターカーに乗ったことがある!
はい。超電導リニアモーターカーといわれるものに、山梨県のリニア実験線で試作車に乗ったことがあります。
日本で地上を走るものの中で最も速い体験をしてるんですか?
はい。
何キロまで?
最高は時速500キロまで出ていました。
500キロを体験したんですか?
ええ、体験しました。
わっ、ずるい!だって、なかなか体験した人少ないですよね。
JR東海さんにお願いして取材をさせていただいたことがあります。
取材者として500キロの世界を体験している。
はい。
500キロの世界、ちょっと待ってください。新幹線は300キロですか?
今一番速いのが東北新幹線で、320キロで走っています。
320キロ出る。それプラス180キロですね。とてつもない世界ですね。
そうですね。
東北新幹線の1.5倍以上というのがリニアモーターカー。飛行機は時速1000キロぐらい?
1000キロぐらいですね、航行している時は。
ただ地上と飛行機じゃ全然違いますものね。
違いますねぇ。
500キロから見えた風景はいかがでした?
山梨実験線はほとんどがトンネルなので、スピード感はなかなか感じにくい部分があるんですけれど…。
トンネル?
はい。ただトンネルの正面ではスピード感を感じました。トンネルの中は12メートル間隔で照明がついているんですが、列車がものすごく速く走るので、光の帯みたいにつながって見えました。
ほぉ〜。12メートルに1個ずつ明かりがついているんだけど、あまりにも速くて、帯、全部光に見えたという。
そういうことです。
何となくイメージできました。
そしてトンネルとトンネルの間に1.2キロの地上区間、山手線や地下鉄のだいたい1駅分に相当する区間があるんですが、そこを列車は約8秒で通過しました。
1200メートルを8秒で通過した!
そうです。
グランド1周はだいたい200メートルぐらいだから、グランド6周分だ。校庭6周を8秒!
8秒。ものすごく速いです(笑)。
すごいですね!1200メートルを8秒! 今しゃべっている間に、リニアモーターカーは番組スタートしてから品川を出て山梨あたりを通過してるかもしれない。
う〜ん…。
5分ぐらい?
そうですね。5分ぐらいだったら行ってますね。
行ってる?
かな?
えぇ〜、速い! すごいですねぇ。山梨…、相模原まで行ってますね。
相模原、そうですね。
駅は品川、相模原、山梨、長野、そして名古屋?
岐阜があります。
岐阜で名古屋か。
名古屋ですね。
いやぁ次の駅に着いちゃったんですね、しゃべっている間に。よく飛行機が飛び出す時に背中がグイッってなるじゃないですか。加速はどんな感じの加速ですか?
加速はまさに飛行機の離陸の時によく似ていて、実際に座席に体が押しつけられるような感じがします。具体的に数字でいいますと、普通の新幹線は加速する時に1秒間にだいたい時速2キロずつ速度が上がっていきますけれど…。
普通の新幹線は1秒に2キロ?
はい。時速2キロずつ上がっていくんですが、超電導リニアの場合はその3倍ぐらいの時速7キロ。
ほぉ〜。60秒で420キロになるということですか?
単純計算でそうなるんですが、実際はずーっと一定に上がっていくわけではないので必ずしもそうではないんです。発車してから500キロに達するまでにだいたい80秒、1分20秒で500キロに達する。
こんな話をしている間、1分20秒後には500キロ進んでいるわけですか?
そういうことです。
いやぁ、夢ふくらみますねぇ。
すごく速いので、新幹線とは加速の感覚がだいぶ違いますね。
東京と名古屋の間を45分で結ぶといわれてますよね。
そうですね、はい。
飛行機に乗ったことがあるキッズは知っていると思うけれど、離陸着陸の時はドリンクとか飲んじゃいけないですよね。テーブルたたむでしょ。
そうですね。
でも新幹線はテーブルを出してお茶飲んだり、お弁当を食べたりできる。リニアモーターカーはお茶やお弁当はきっと禁止ですね。
禁止かどうかは(笑)。
顔面にベターッと張りつく、ベターッと(笑)。
そうですね、ちょっとそれは…。
だって、それぐらいの吸いつきがあるわけですよね、背中に。
だから今までの列車、鉄道とはちょっと違う感覚ですね。
ジェット感覚ですよね。
そうですね。
特にリニアモーターカーは浮き上がって走行するという。これ誰でもわかっていると思うんですが、原理としては磁石の原理で?
そうですね、磁石で浮き上がって走っています。磁石というのは同じ極−S極とS極やN極とN極は反発しあう、しりぞけあうという性質がありますが、N極とS極という違う極の場合はくっつきあう。
くっつく。
この性質を利用して車輌を浮かせたり前に進ませるというのが、浮かせるタイプのリニアモーターカーです。
その浮くまでの間はどうなっているんですか?
浮くまでの間は、超電導リニアに関しては車輪で走っています。
えっ、みんなこれ知ってました? 車輪がついてるんですか?
車輪ついてるんです、実は。
あの山梨の?
実験線で。
そうなんですか。
最初は車輪で地につきながら走っているんです。だいたい時速140キロか160キロぐらいになると、ふわっと浮くんですね。
飛行機と同じじゃないですか。
そうです。ですからまさに浮いた瞬間は、離陸した瞬間とよく似ています。
いやぁ、知らなかったですねぇ。たぶんリスナーの誰もがびっくりしたかもしれない。
そうですね。車輪がついているというのは意外かもしれませんね。
何かイメージ的に最先端の技術だから車輪なんか見せるとカッコ悪いじゃないですか。
ハハハ。
映像でないですもんね。
そうですね。最初車輪で走っている時は、車輌が少し揺れるんですね。
はぁ〜。
ただ浮くと、それがピタッと止まる。まさに離陸した瞬間にほんとに似ているんです。
最初の160キロまでの間、デデンデデン、デデンデデン、デデンデデン、プシュ〜ウィーン〜という感じですか?
まぁ「デデンデデン」はないですが、ゴーーーーッ。
ハハハハハ。
ゴーーッと揺れているのが突然ふわっと音が急に静かになって、ゴーーーーッというのがふっと、そんな感じです。
で、また速度が落ちるとゴーーーーッと。
そうですね、着地して。
いやぁ、今度録音してきてくださいよ。何で音をとってきてくれないんですか?
とれなかったんです(笑)。
ダメダメじゃないですかぁ。その代わり、来週ももっと詳しい話のために来てもらいますよ〜。
はい(笑)。
もう時間になってしまいました。鉄道の話は、話が尽きないなぁ。今週のサイコーは、鉄道技術ライターの川辺謙一さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。
時速500キロの世界の体感もすごいですけれど、最後の話は衝撃でしたね。リニアモーターカーに実は車輪がついていた!これからリニアモーターカーのニュースを見る時によ〜く目をこらして見ても、たぶん車輪はうつってないかもしれないね。ちょっと聞いて得した情報でしたね。160キロまでは車輪で走って、それを越えると浮き上がるんだって。また来週さらに詳しい話を聞いてみたいと思います。それでは、また来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバイ!