浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2021年9月6日 努力の賜物

2021年8月24日に開会式が行われた東京2020パラリンピック競技大会は、
昨日、9月5日閉会式を迎えた。
パラリンピックの起源は1948年、イギリスの医師グッドマン博士が提唱し、
ロンドン郊外のストーク・マンデビル病院内で開かれたアーチェリーの競技会だった。
第2次世界大戦で主に脊髄を損傷した兵士たちの、リハビリの一環として行われた。
そして現在はアスリートによる競技スポーツへと発展している。
出場者も「車いす使用者」から対象が広がり、もうひとつの(Parallel)+オリンピック(Olympic)という意味で、
「パラリンピック」という公式名称も定められた。
今回、東京で開催されたパラリンピック。観戦する数だけ感動を貰った。
全力を尽くす姿は勿論だが、競技後、選手の言葉が心に焼き付いて離れない。
そんな中の1人がロンドン大会の銀メダリスト、アメリカのスタッツマンだ。
アーチェリーの選手だが、生まれたときから両腕がなく、足で弓を引くスタイルで知られている。
日常生活から足を巧みに操り、歯ブラシを小刻みに動かし歯を磨いたり、
割り箸を足の指でグリップし、寿司を食べるなど、足の握力には驚愕する。
こんな生活を過ごせるのも障害を自らの個性として受け入れ、様々な努力と挑戦を積み重ねてきたからに他ならない。
今回は悔しい結果に終わった。それでもスタッツマンはいつもの笑顔に戻り
「皆に、ここで戦っていることで何か感じてほしい。君たちだって何でもできると感じてほしい。
僕だって矢を放っていい成績を残せることもあるんだから、君たちだって自分たちのしたいことを何だってできるさ」
国際パラリンピック委員会(IPC)は、パラリンピックに出場するアスリートたちが持つ力こそがパラリンピックを象徴するものであるとし、4つの価値を掲げている。
「勇気」・・マイナスの感情に向き合い、乗り越えようとする精神力。
「強い意志」・・困難があっても諦めず限界を突破しようとする力
「インスピレーション」・・人の心を揺さぶり、駆り立てる力
「公平」・・多様性を認め創意工夫をすれば、誰でも同じスタートラインに
      立てることを気づかせる力
障害は失うことだけではない。残った能力が、障害がない人以上に発達する。
そんなポジティブな側面があることを知った。
その能力は、障害がない人には現れない、人間の隠れた能力でもある。
脳が再編される。人間がそもそも持っている能力だが、健常者では隠れている能力。
健常者以上の能力は障害を負ってトレーニングをすることで初めて顕在化する能力とも言える。
パラリンピック選手は、リハビリのお手本と同時に、人間の未知の能力、
可能性を見せてくれる存在なのだと改めて感じた。

努力の賜物

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自由への羽ばたき

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