浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2023年3月6日  あやかる

週末、震災の取材で岩手県大船渡市にお邪魔した。
折しも、大船渡高校出身の佐々木朗希投手が活躍した日だ。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表壮行試合の中日戦が4日行われ、侍ジャパン先発の佐々木朗希(ロッテ)は、初回に自己最速を上回る165キロを計測。
剛速球の直後、センター後方の大型画面に表示された球速に観衆はどよめいた。
表示は「165キロ」。
公式戦ではないとはいえ、本人が日本ハム時代の2016年にマークした日本球界の日本人最速記録に並んだ。
ご存じの方も多いだろう、佐々木投手は東日本大震災の津波被害を、当時住んでいた岩手県陸前高田市で受けた。

小学3年生だった彼は、地震が発生した時、小学校にいて近くの高台へ避難した。
だが、津波で自宅は流され、父の功太さん(当時37)、祖父母の3人を失った。
その後は老人ホームでの避難所生活を余儀なくされ、母親の親族の住む岩手県大船渡市に引っ越した。
陸前高田市は、当時人口約2万4千人で、犠牲者は1750人を超えた。
その後の佐々木選手は、大船渡での中学時代に腰の疲労骨折で挫折を味わい、高校生史上最速とされる163キロを出した岩手・大船渡高時代には県大会決勝で監督の指示により登板せず敗退した。
そんな激動の野球人生を歩む中で、慎重に体作りを進め、昨季は史上最年少での完全試合を達成。
侍ジャパンの先発を任されるまでに成長し、4日、同郷の大谷の前で球速記録をたたき出した。

その岩手県大船渡市では4日、東日本大震災の犠牲者の鎮魂を祈るイベントで使用する、ペットボトルを使った灯篭づくりが行われた。
完成したペットボトル灯篭は3月11日、三陸公民館に並べられ、震災犠牲者の鎮魂を祈るという。
佐々木投手の活躍に、地元大船渡の人達は熱い声援を送り続けている。

取材途中にたまたま入ったそば店のメニューに「朗希セット」1000円を発見。
早速注文してみた。
このメニューは、佐々木投手が完全試合を達成したことを記念し、そば店「 櫻亭(おうてい) 」が、佐々木投手が高校時代によく注文していたという冷たい肉そばとゲソの唐揚げの「朗希セット」を期間限定で提供しているのだという。
これが美味しい! 肉蕎麦は手打蕎麦風で量は大盛り。
鶏肉のチャーシューがトッピングされ、鶏油を使っただしが、濃すぎず薄すぎず絶品だった。
ゲソの唐揚げも揚げたてで大満足。
佐々木投手は、幾多の困難にもへこたれず、前向きに考え練習に打ち込んだからこそ、今があるのだろう。
美味しい蕎麦をお腹に詰め込みながら、前に進む勇気を貰った気がした。

あやかる
あやかる

明日を信じて
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