浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2023年3月20日  サクラが咲いた

今年も春の彼岸入りとなった。
この頃は、冬と春とが交差する時期でもある。
まず、冬を送る行事が3月15日に始まった。
石川県金沢市の「兼六園」では、冬の間、雪の重みから木の枝を守ってきた約800の「雪吊り」を取り外す作業である。
福島県の猪苗代湖では、冬を越した3000羽を超える白鳥が繁殖地の北極圏などへ飛び立つ「北帰行」が始まった。
長年、白鳥を観察している人によると今年は1週間ほど早く北帰行が始まったという。猪苗代湖から白鳥の姿がなくなると、会津地方では春の農作業が本格化するのだそうだ。
青森県の八甲田山系を通る国道「八甲田・十和田ゴールドライン」では、除雪作業が進められている。
青森市と十和田湖を結ぶ国道103号「八甲田・十和田ゴールドライン」は、積雪のため冬の間は青森市酸ヶ湯から十和田市谷地の間、およそ8キロの区間が閉鎖されているが、4月1日の開通目指して今月いっぱい頑張っている。
また、ススキの名所として知られる神奈川県箱根町の仙石原で、「山焼き」が行われた。
「山焼き」は、新しい芽が出るのを促すため枯れているススキを焼き払うもので、毎年この時期に行われ、5月のススキの芽吹きを待つのだそうだ。

一方、長崎県五島市で「春の使者」とも呼ばれるツバメが飛来しているのが確認された。
ツバメは春になると南方から日本列島に飛んできて、多くが前の年を過ごした巣の周辺に戻ってくると言われている。
ことしのツバメの飛来は去年より1週間ほど早いという。
五島市ではツバメが飛来すると本格的な農作業のシーズンを迎える。
ソメイヨシノは、東京が3月14日に開花。
17日には、愛知・京都・高知、18日は福岡、19日には大阪で開花した。

ところで東京都心は、広島や大阪よりも北に位置するのに、なぜ桜前線が一足早く到着するのか。
東京管区気象台の担当者は「周辺の桜も観察しているが、必ずしも標本木が一足早く咲くわけではない」とし、個体差より、地方都市に比べて上昇傾向にある大都市の気温が要因とする。
日本の平均気温はこの100年で1・28度上がったが、東京都心では3・3度も上昇した。統計では、東京の開花日が最も早かった年は記録が残る1953年以降で6回あるが、うち4回が2000年以降に集中する。
都市化による気温上昇で開花が早まったという見方だ。
平均気温の上昇幅は名古屋、横浜、大阪でも2・5度以上で、30年前に比べるとこうした都市での桜の開花の平年値も早まっている。
ただし、東京のこの間の3月の平均気温は9・4度。鹿児島(12・8度)や高知(11・2度)よりも低く、気温の上昇だけでは説明がつかない部分も残る。

またある関係者が要因と考えるのは、桜の開花の発表に使われる標本木の樹齢などの影響だ。
気象庁の開花宣言は、47都道府県の58地域にある標本木の開花状況に基づく。
花が5、6輪咲いたら「開花」、8割以上のつぼみが開いたら「満開」だ。
桜の種類は沖縄、奄美地方と北海道の一部を除き、ソメイヨシノで統一されている。
そして、ソメイヨシノは樹齢40~50年になると、若い頃に比べて開花が早くなる傾向があるという。
関係者は「樹齢を重ねたソメイヨシノは、幹や葉の成長にエネルギーを割く必要がなくなり、開花に集中できるため、花の数が多くなり、咲くのもやや早まる」と解説。
また、樹勢を保つための管理状況も重要だという。
東京の標本木は靖国神社境内にある。
靖国神社によると、樹齢は定かではないが、気象庁が標本木に選んだ1966年には既に成木だったという。
また、標本木の根が弱らないよう、土壌を軟らかくし、通気性や水はけを良くする手入れもしており、これが東京の開花日の早さにつながっているというのが、見方だ。
咲く時期、満開、散る時、それぞれに想いを馳せる花なのである。

「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」  親鸞

サクラが咲いた
サクラが咲いた

大島桜の白さも素敵
大島桜の白さも素敵

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