浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2024年1月15日 小さな種でも要注意

週末土曜、東京で初雪を観測した。
翌14日日曜、東京は晴天天気。
大学共通テストに臨んだ受験生はほっとしたことだろう。
ただし強風・乾燥注意報が出ている。

さて「乾燥注意報」、この時期よく耳にする言葉だ。
「空気が乾燥しているので火の取り扱いに気をつけましょう」と気象庁は注意を促す。

ところで、「乾燥注意報」どのような基準で発表されるのだろう。
気象庁のHPによると、「乾燥注意報」は、大気の乾燥により火災・延焼等が発生する危険が大きい気象条件を予想した場合に発表される。
具体的には「最小湿度」と「実効湿度」が基準を下回ると乾燥注意報がでる。
「最小湿度」は一日の相対湿度の最小値、一日の中でもっとも低い(最小)湿度のこと。
「実効湿度」は木材の乾燥の程度を表す指数のこと。
木材の乾燥は、主に空気の湿度により影響されるが、一時的に湿度が低くなっても木材の内部まで急に乾燥することはなく、湿度の低い状態が何日も続いて、燃えやすい状態となる。
このことから、実効湿度は数日前からの湿度を考慮に入れているという。
また「乾燥注意報」を発表する基準となる数値は、区域ごとに異なり、例えば
 東京:実効湿度50%以下、最小湿度25%以下
 大阪:実効湿度60%以下、最小湿度40%以下
 沖縄:実効湿度60%以下、最小湿度50%以下
となっている。
地域により大差がある北海道では実効湿度60%、最小湿度30%を基準値としている。
最小湿度約25%、実行湿度約60%より低くなると、木材が燃えやすい、つまり火事が起こりやすく広がりやすいと考えられている。

では、「乾燥注意報」が発表された日、私達は何を意識したら良いのだろうか。
火災対策として4つのポイントを意識する事を勧めている。

 1.調理中はコンロから離れない
  コンロの周辺に燃えやすいものを置かないという事も気を付けたいポイント。
 2.寝たばこ、ポイ捨ては厳禁!
  灰皿に水を入れておき、吸い殻を捨てる際は必ず水につけるようにする。
 3.ストーブの周辺を整理する
  衣類、布団、カーテンなど燃えやすいものを近づけない、また洗濯物を干すなどの行為は厳禁。
 4.配線まわりをきれいに保つ
  タコ足配線や、コード上に物を置かないようにする。ホコリを定期的に清掃することも重要。
そして、室内を加湿することも大切だという。
湿度を上げることで、乾燥と連動して起こりやすくなる感染症対策や静電気予防にもつながるからである。

さて、先日8日「目白御殿」と呼ばれた故田中角栄元首相の旧邸宅で火災が起き、建物約800平方メートルなどを燃やす事態に及んだ。
火災の原因は、仏壇に供えられた線香が要因とみられている。
「え?ろうそくの火が何かに燃え移ってというのはわかるけれど、線香で火事になるの?あんな小さな火で」とお思いの方が多いと思う。
調べてみると、同様の火災は、住宅だけでなく、墓前の線香が林野火災に発展したケースもある。
派手に炎が上がらず、ゆっくりと燃え続けるため気付きにくい特徴があるのだ。

東京消防庁によると、仏壇などで使用するロウソクや線香による火災は2013~17年に182件発生し、2人が死亡した。
落下した線香が座布団を燃やしたり、燭台にサイズの合わないロウソクを挿したために根元が割れたロウソクが傾いて、仏壇の周辺が燃えたりする事例が確認されている。
月別では、親族が集まることが多い1月が最多で23件。
次いで、春のお彼岸の3月が21件、秋のお彼岸となる9月が18件だった。
仏壇に線香を供える機会が増えるタイミングと重なっていて、18年以降も、同様の火災は後を絶たないという。

線香に起因する火災は、炎が無い状態でくすぶり続けることから「無炎燃焼」と呼ばれる。
無炎燃焼が続いている状態で、風の吹き込みや他の可燃物との接触があれば炎があがり、大きな火災に発展するおそれがあるのだ。
例えば、落ちた線香が綿の座布団に落ちると、その中で、数時間から数日、ジワジワと燃えて火種となり、そこに急に酸素が加わると、火災になる。
専門家は、火が出ず、くすぶった状態の線香が、燃えやすい座布団や紙類に接すると、周囲を焦がしながらゆっくり燃え続けるため、気付きにくいという。
火災例を見ると、仏壇に供えられた線香が倒れ、敷いてあった座布団に落ちて発火。
また、屋外の墓に供えられた線香の火が何らかの影響で枯れ草に触れ、林野火災となった事もある。

では、どう対策すれば良いのか。
火災に詳しい専門家は
「仏壇や墓の周囲を整理し、線香が風で倒れないように窓を開けないことや、線香を立てる香炉を少し大きめのものにする。線香を次から次に立てない。煙がなくなって数十分してから新しいお線香を立てる。香炉の下に、難燃マットを敷くなど対策して欲しい」
と話す。

先祖を供養する行為からの火災発生は、やりきれない。
私も肝に銘じ手を合わせようと思う。

小さな種でも要注意
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初雪
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