浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2024年3月4日 梅咲き誇る

週末、久しぶりに「おでん」を食べた。
大根から始まり、竹輪、はんぺんを味わい、ゆで卵を味わっていた際むせた。
誤嚥をしたためだ。
本来食道に送られるはずの飲食物や唾液が気管に入ってしまい、気管から排出する反射機能が働くためである。
この機能が年を重ねたりして鈍ってしまうと、むせる反射が起きづらくなり気管に入った食べ物を排出できず肺炎を引き起こしてしまう事がある。
これが誤嚥性肺炎である。
たまにむせることは健常人でもあるが、この「むせ」はどうして起きるのだろう。

喉は、食道と気管が交差しており、わずか0.5~0.8秒の飲み込む瞬間に、口や喉のまわりの筋肉・神経が複雑に働いて、食べ物や飲み物を食道に送り込んでいる。
通常の飲み込みの仕組みは、食べ物が口の中にない時、喉は気管と交通して呼吸をしている。
食べ物などが喉を通過する瞬間は、声門や喉頭蓋というふたが気管を塞ぐ。
誤嚥を防ぐためである。 喉頭(のど仏)は、ごくりと飲み込む瞬間、上に動いて食道の入り口を広げ、食べ物を通過しやすくしている。
これは、食物を通過させる、嚥下反射が起きているためだ。

ところで、近頃飲んだり食べたりしていたものが、飲み込みづらくなっていないだろうか。
この状態は、加齢に伴ういくつかの原因が考えられるという。
先ず唾液の減少。
これは、飲み込みやすい食塊にまとめられない事を意味する。
続いて噛む力の低下。
こちらは飲み込みやすい大きさまで噛み砕けない事になる。
さらに反射神経の衰え。
これは気管への蓋が間に合わない。
その他、筋力の減少や 疾患や処方薬の影響、加えて脳卒中、神経疾患、認知症の後遺症や症状等がある。

食事中の「むせ」は最もわかりやすい誤嚥のサイン。
誤嚥が頻繁に起こるようになると、飲み込みやすいものを選ぶようになる傾向があるので、好んで食べているものが変化してきたら要注意だ。
食べ方や食中・食後の様子から気づくこともあるので、一緒に食事をしているときにチェックすると良い。

例えば、
みそ汁やお茶でむせやすく、避けるようになってきた
食事を中断しがちで食べる量が少なくなった
食事にとても時間がかかるようになった
食後に声がガラガラするようになった

また発声も嚥下と密接な関係があるという。
舌や唇の働きは、食べるために必要であると同時に、声を出すときにも必要。
特に「パ・タ・カ」の音がはっきり発音できない時には、誤嚥や摂食不良を疑う手掛かりになる。

「パ」唇を閉じて発音⇒食べものを口からこぼさない
「タ」舌を上顎に押し当てて発音⇒食べ物を舌と上顎で圧をかけてつぶす、喉に送る
「カ」喉を閉じて発音⇒誤嚥の原因となる隙間を作らない

会話でのチェックポイントは、
「 パ・タ・カ」が「ファ・サ・ハ」と聞こえる
「ファ」唇の動き、「サ」舌の動き、「ハ」舌の奥の動き、に問題がある
「 パ・タ・カ」が「マ・ナ・ンガ」と聞こえる
軟口蓋が上がるべきところ、下がってしまい鼻に息が漏れている
「パ・タ・カ」がア・ア・アと聞こえる
唇、舌、軟口蓋の動きに問題がある

当てはまることがあったら、かかりつけの医師や歯科医師などの専門家に相談し指導を受けたほうがよいようである。
おでんのアクシデントから、また勉強になった。

今日はひな祭り。
赤いお顔の右大臣も誤嚥には気をつけた方が良い年齢なのだろうか。

梅咲き誇る
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