2026年9月28日 今夏の教訓

この夏、関東地方では、短い期間に大雨による被害が繰り返されました。

特に千葉県では、9月27日時点で、今年3度目となる大雨の被害です。
今回の台風25号では、千葉県と神奈川県で合わせて12人が亡くなり、4人の行方がわからなくなっています。
住宅の被害は、千葉県で1648棟、神奈川県で7棟にのぼっています。

千葉県の印旛沼周辺では堤防が決壊し、現在も排水作業や堤防の応急復旧が続いています。
浸水した住宅や店舗では、泥をかき出し、濡れた家財や設備を運び出す作業が続いています。
被災した方々にとっては、ようやく片づけや営業再開に取りかかったところですが、一方で、台風26号の接近と、秋雨前線による再びの大雨が心配されています。

今回の被害を振り返ると、関東の私たちが注意すべき災害の姿が、いくつか見えてきます。

一つ目は、台風の中心から離れた場所でも大雨になるということです。

台風が関東のすぐ近くを通らなくても、台風の周辺から流れ込む暖かく湿った空気が、秋雨前線を刺激することがあります。
すると、前線付近で雨雲が次々に発生し、同じ場所に長時間、激しい雨が降り続くのです。

つまり、「台風の進路から外れているから大丈夫」とは限りません。

気象庁も、台風26号について、台風周辺から暖かく湿った空気が流れ込むことで前線の活動が活発になる可能性を示し、その後の進路によっては、東日本を含む本州にも影響するおそれがあるとしています。台風の位置だけでなく、前線の位置、雨雲の動き、そして自分の住んでいる地域の雨量を確認してください。

二つ目は、同じ大雨でも、現れる災害が違うということです。

前回の千葉県の大雨では、道路や市街地が水につかり、車の中や冠水した場所で命を落とすケースが目立ちました。
一方、今回の台風25号では、土砂崩れに巻き込まれて亡くなった人が多くなっています。

大雨災害というと、川の氾濫や住宅の浸水を思い浮かべがちです。
しかし、山沿い、谷間、崖の近くでは、雨がやんだあとにも土砂災害が起きることがあるのです。
地盤に大量の水がしみ込むと、斜面が一気に崩れたり、土石流が沢を流れ下ったりします。
しかも、土砂災害は発生までの時間が短く、逃げる余裕がない場合があります。
避難は「危険が目の前に見えてから」では遅いことがあるのです。

気象庁の「土砂キキクル」は、土砂災害の危険度を、1キロ四方の地域ごとに色分けして示す情報です。
10分ごとに更新され、「赤」は高齢者などが避難を始める目安、「紫」は危険な場所から全員が避難する段階です。
「黒」は、すでに災害が発生している、または切迫している可能性が高い状態です。
黒になる前、遅くとも紫の段階で避難を始めることが重要です。

大切なことが三つあります。

一つ目。
自宅や職場が、どの災害に弱い場所なのかを、雨が降る前に確認することです。

ハザードマップで、土砂災害警戒区域に入っているか。
川や水路に近く、浸水するおそれがあるか。避難所までの道が、崖やアンダーパス、低い土地を通っていないかを確認する。
特に千葉県や神奈川県では、平地の浸水リスクだけでなく、房総半島や三浦半島、都内でも丘陵地の斜面崩壊に注意が必要です。
兎に角、危険な場所なのかを知っておく事が大切です。

二つ目。
避難のタイミングを、情報の段階ごとに決めておくことです。

警戒レベル3の「高齢者等避難」では、高齢者、障害のある方、乳幼児、その支援者などは避難を始めます。
警戒レベル4の「避難指示」では、危険な場所にいる人は全員避難です。
ただし、避難指示が出るまで待つ必要はありません。
雨の音が急に激しくなった、斜面から小石が落ちてきた、湧き水が濁った、地鳴りがする、地面に亀裂が入った。こうした異変があれば、自治体の情報を待たず、すぐに斜面や沢から離れてください。

三つ目。
避難の途中で危険を感じたら、無理に遠くへ移動しないことです。

道路が冠水しているとき、車での移動は非常に危険です。
水深が浅く見えても、道路の下がえぐれていたり、側溝やマンホールが見えなくなっていたりすることがあります。
川や用水路の様子を見に行くのもやめてください。
すでに外へ出ることが危険な場合は、崖や斜面から離れた部屋へ移動し、可能であれば建物の上の階へ移動する。
これはあくまで次善の策で、基本は、危険な場所から早めに離れることです。

また、避難生活や復旧作業にも注意が必要です。

浸水した建物では、電気が復旧しても、すぐにブレーカーを上げては危険です。
漏電や火災の危険があります。
泥や汚水が入った家では、感染症を防ぐため、手袋、マスク、長靴などを使い、作業は一人で行わないようにしてください。

被災地では、復旧作業中に再び雨が降ることがあります。
応急復旧した堤防や、雨で緩んだ斜面は、次の雨でさらに危険になる可能性があります。
片づけや営業再開を急ぐ気持ちは当然ですが、安全確認を最優先してください。

この夏、私たちが学ぶべきことは、災害は一度起きて終わりではない、ということです。
大雨のあとには、地盤が緩み、河川や堤防が傷み、普段なら安全な場所でも危険が高まっています。
そこへ次の台風や前線が重なると、少ない雨でも被害が拡大するおそれがあります。

台風シーズンは、まだ終わっていません。
ハザードマップ、避難先、家族との連絡方法、そして持ち出す薬や充電器を確認してください。

「まだ大丈夫ではなく、今なら避難できると思った時点で行動する」

この判断が、自分と家族を守ります。

今日の早口言葉(ゆっくり3回言ってみてください)

「大雨危険、冠水・浸水・土砂崩れ」

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