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2020.01.01

スマホ時代の小説の書き方とは!? 『浜松町Innovation Culture Cafe』

スマートフォンの世帯保有率

総務省の発表によると、2017年時点の情報通信機器の世帯保有状況は、

モバイル端末全体・・・94.8%

パソコン・・・・・・・72.5%

また、モバイル端末全体のうち、スマートフォンは75.1%となり、初めてパソコンの保有率を上回りました。



モバイル端末の保有状況

総務省が発表している個人のスマートフォン保有率は、2017年で60.9%。2014年には44.7%だったことを踏まえると、保有率が年々上昇していることがわかります。


これらのことからもわかるように、現在はスマートフォンを利用する人が多くなっています。さらに、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSが普及、誰もが情報を発信できるようになりました。それとともに、情報過多の時代になり、ユーザーも多くの情報のなかから取捨選択して得るようになっています。


つまり、「スマホ時代のコンテンツは質が求められている」ということになります。



浜松町Innovation Culture Cafe

文化放送のラジオ『浜松町Innovation Culture Cafe』12月3日の放送では、ネットニュース「BUSINESS INSIDER JAPAN」の浜田敬子編集長と、会社員兼ベストセラー作家の燃え殻さんをお招きし、お話してもらいました。二人が考えるスマホコンテンツ創作のコツとは?


●BUSINESS INSIDER JAPAN

激動の時代を生きる若きビジネスリーダーへ、次の時代を創る行動のきっかけとなるような高品質の情報を発信するビジネスニュースサイト。ジャンルは世界や日本独自のニュースなど多数。


●燃え殻

会社員、ベストセラー作家。Twitterのつぶやきがきっかけとなり、デジタルコンテンツ配信プラットフォーム「cakes」に掲載した初小説がベストセラーに。初小説である「ボクたちはみんな大人になれなかった」は発売から1か月で7万部を売り上げた。Twitterのフォロワーは22万人以上。



既存の文章とは

8時台のゲストコーナーでは、燃え殻さんと浜田編集長が登場。「スマホ時代のコンテンツ作りとは?」をテーマにお話ししていただきました。


まずは、燃え殻さんのお話をお聞きします。


入山 正直なところ、休めてますか?

燃え殻 連載もさせてもらっていますし、今日も朝4時まで仕事しました。なので、お風呂で寝たりしていますね。

入山 なかなかの生活ですね。実はお会いするまで、失礼ながら存じ上げていなかったので、「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読みました。すごく面白かったです。

田ケ原 文章がきれいですよね。

燃え殻 賛否がわかれますけどね。なかには「小説じゃない」という人もいますから。

入山 テレビの美術会社で働く人が主人公の冴えない恋愛ドラマで、暗くて自虐的なんだけど読み進めてしまう。

田ケ原 サムネイルとか表紙の写真も含めて、引きこまれます。

燃え殻 写真もTwitterで会ったことのないカメラマンの人に貸してもらったりと、SNS上で交流してきました。SNSのなかで完結させたかったんです。

浜田 現代の作り手さんですね。でも、パラレルキャリアって大変ですよね。ヒットしたから専業かと思ってました。朝から働いてその合間に小説を書くってすごい大変だけど、続けてるのはすごいですね。

燃え殻 「小説家でやっていけば?」と言われることもあるけど、今まで仕事をしてきたからこそ書けたので。忖度のない内容を書くのが賛否わかれるところなんですよね。えぐいことも書くけど、きれいごとも書くし。でも、きれいごとのほうが本当のことだったりもするんですけどね。

入山 面白い! そこが響くんでしょうね。そういえば、2010年ぐらいから会社の日報の代わりにTwitterを使い始めたんですよね。つながりが生まれた芸人さんとは誰ですか?

燃え殻 スピードワゴンの小沢さんです。フォローされたのは知っていたんです。ある日「満員電車に乗ってる全員がきっと満員電車に乗りたくないのにな。それが満員って恐ろしいな」みたいなことをつぶやいたらDMがきて、クレープ屋で会いました。その日に家に行って、好きな本を聞かれたので樋口毅宏さんの本と答えました。そして、誕生日会を開催してもらって、小沢さんが樋口さんを呼んでくれたんです。

入山 初めて会った日にデートして、家行って、本の話で盛り上がって誕生日会をしようって、なかなかのカップルだね。

燃え殻 誕生日会で、小沢さんには「二人で話しなよ」って言われたんですけど、どっちも人見知りで話すことがなくなってしまったんです。結局、小説とかプロレスとかの話をして、そのあと飲んで「小説を書いた方がいい」って言われたんです。



小説はタイトルが命

小説家になった経緯や文章の話も一段落し、話題はコンテンツ作りへ。


入山 スマホを中心に創作や編集をされていますが、心がけていることはありますか?

燃え殻 今は変わったかもしれないですけど、作品を作るときにタイトルが本当に大切でした。用意されたタイトルがあったんですけど、毎回、章のタイトルも考えて書いていきました。

入山 実際にスマホで読んでみたんだけど、各章のタイトルだけが1ページにダーンと出るんです。たとえば「あの子が知らない男に抱かれている90分は、永遠みたいに長かった」だけ出て、本文は次のページにある。タイトルを強調する仕掛けがスマホでもできてますけど、かなり意識はしてるんですか?

燃え殻 僕はYouTubeをやっている人たちと時間の奪い合いだと思ったんです。たとえば、「日比谷線の3駅くらいで読めるような長さにしなきゃいけないな」って思うようになって。数分でキャッチなものがないと読んでくれないのではと考えています。

入山 めちゃめちゃわかります。読んでて内容がちょうど1駅分なので、次のタイトルを見ちゃうと気になってしまうんです。

浜田 タイトルは記事を作るときも意識してます。朝は情報をたくさん知りたいという人が多いので、ひとつの長さを短めにしたりして1駅で読み切れるようにしてます。1駅2分くらいなので、2000字くらいにしてますよ。タイトルは命だと思っているので、記事が読まれていないときはタイトルを変えてます。

燃え殻 同じですね。タイトルを決めてから章をスタートさせるのもあったし、改行とかも含めて考えます。携帯小説と似てくるのかもしれないですけど、カギカッコの言葉が正しい日本語かというよりも、普段自分たちが使っている日本語じゃないとダメだとか、リアルさは固有名詞にまで意識しています。

入山 なるほど! サラっとくるわかりやすさみたいなものがタイトルってことですね。

燃え殻 そうですね。僕のタイトルって小沢健二さんの曲とかアニメに出てくるタイトルを使ったりしていたんですよ。短歌じゃないですけど、この言葉を読めば温度がわかるようなものにしたかった。

入山 読んでいる人の気持ちよさみたいなところは気を付けているんですね。

浜田 そうですね。今は競争相手が「小説と小説」、「ニュースとニュース」じゃないんですよね。Twitterやインスタなどすべてのコンテンツがライバルなんです。ライバルよりも「時間を使ってよかった」と思ってもらえるように気を付けています。

入山 なるほど。スマホで読まれることが前提のメディアと、旧来のメディアの違いってなんだと思いますか?

浜田 私たちも最初は紙と同じ作り方でやっていました。でも、紙ってブランドが好きで買うようのと同じで「パッケージ」なんです。スマホの世界にはそれが通用しないので、どうやって読者に届くのかコントロールできない。だからこそ、誰に対してもわかりやすいことが大切。Yahoo!やSmartNewsなど色々なメディアで読むので、誰もが理解できる言葉じゃやないといけない。ラジオもそうだと思うんですが、紙はファンが来てくれるので閉じてるコミュニティでいいです。一方、スマホは分散系だと思います。

燃え殻 ラジオって「ラジオの前のあなた」で、テレビは「テレビの前のみなさん」になりますよね。僕は90年代ぐらいの東京を書いていたので、そのときにあった固有名詞をいれることで「自分の話だ」って思ってもらえるように濃度を変えていきました。

入山 面白い。閉じてるのか開いてるか、濃いか薄いかがネットだと調節しやすいんですね。紙だと閉じてしまってる、ラジオだと閉じがちっていうその辺が面白いですね。



売れっ子小説家・燃え殻さんの意識のポイントは?

次はネットで起こる炎上が話題になりました。


入山 スマホでコンテンツを出すとなると、コメントがついた炎上したりがありますよね。

燃え殻 たき火みたいな、キャンプファイヤーみたいな炎上ですね。本を出したとき、あるメディアへ本を売るためのエッセイみたいなのを掲載したんです。そのタイトルをメディアのほうが「すべての男は元カノの成分でできている」と決めたんです。これがじゃんじゃん燃えた。「僕は誰とも付き合ったことがありません。何の成分でできているのでしょう」というクイズがあったり。でも、僕はいい炎上だと思ってます。「こういう解釈なんじゃないか」「ここは言葉足らずなんじゃない」とか議論がでてきたこともあってか、結果として本は売れちゃいました。

入山 最近、ネットにおいてコミュニティづくりが重要だって話をしています。多くは賛同者が集まるものだと思うのですが、燃え殻さんのコミュニティって反論も言える空気感もあって、賛否含めたものですね。

燃え殻 閉じているか開いているかの話になりますが、やはり閉じただけだと限られたものになってしまいます。その人たちに向けて投げかければいいってわかってはいるけど、それだけじゃないところに投げないと面白いことは起きない

入山 これがネットの特徴ですね。

燃え殻 ネットは閉じて使うのではなく、巾着を緩めるじゃないですけど、少し緩めた形で何かを発信することが重要だと思うんです。

入山 ちょっと開いてみんな入れるようにすることで、コミュニティができていくってことですね。

浜田 そうですね。でも、加減が難しい。話題のKuTooの記事を書いたときに、「理不尽だと思うルールを送ってください」と投げかけたら2800集まったんです。「メガネを禁止してる会社」とかもあって、「華やかさに欠ける」という理由だそうです。それで、「なぜ女性だけがそういった要求をされるのか」ニュースにしたんですよ。その記事は日本だけでなく、海外でもバズりました。シンディ・ローパーはぺったんこのくつを履いてメガネをかけて「日本の女の子、頑張れ」ってTwitterで言ってくれました。これでネットの威力を感じ、話題が広まっていく面白さを知りました。

入山 バズろうとすると煽ったりしてしまいそうですが、その辺のさじ加減はどうしてますか?

浜田 燃え殻さんが「ウケようと思って書いたらダメ」って言ってましたが、タイトルでバズらせようと思ってもダメです。届ける側の熱量が大事ですね。コンテンツの面白さがないと、そのあとの拡散にはつながらないです。

燃え殻 そして、その記事を誰が支持してくれるかですね。読んでいる人もどんどん勉強して「タイトルだけではつられないぞ」ってなっていきているはずなんです。

入山 読み手も成熟してきているなかで、作る側も工夫しているってことですね。

浜田 そうすると、そこに読者とのキャッチボールが生まれるんです。読者の壁打ちって言ってるんですよ。

入山 なるほど。これもネット時代ですね。


入山さんは、「スマホビジネスには『タイトル』と『画面の特性を生かした見せ方』や『長さ』などが重要なのではないか」と気付かされたようでした。



番組概要

■タイトル

『みらいブンカvillage 浜松町Innovation Culture Cafe』

■放送日時

毎週火曜 午後7時00分~9時00分

■出演者

入山章栄

砂山圭大郎アナウンサー

田ケ原恵美

■メールアドレス

innovation@joqr.net

■番組サイト

http://www.joqr.co.jp/mbv/

■Podcast

http://www.joqr.co.jp/hamacafe_pod/


毎週火曜日、午後7時から生放送でお送りしている『みらいブンカ village 浜松町Innovation Culture Cafe』。パーソナリティは早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さん、砂山圭大郎アナウンサー。アシスタントはVoicy広報の田ケ原恵美さんが担当します。

『みらいブンカvillage浜松町Innovation Culture Cafe』はさまざまなジャンルのクリエーターや専門家・起業家たちが社会問題や未来予想図などをテーマに話す番組です。自身の経験や考え、意見をぶつけて、問題解決や未来へのヒントを探ります。

毎週火曜、午後7時から絶賛生放送中!!

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