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<title>落語の蔵</title>
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<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　２０１２年初席号</title>
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<issued>2012-01-14T00:51:11Z</issued>
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<summary type="text/plain">みなさま、今年の寄席通い、落語会通いはどのような感じでしょうか？たのしい高座には...</summary>
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<name>落語</name>


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<![CDATA[<p><font size="3" color="#006030"><b>みなさま、今年の寄席通い、落語会通いはどのような感じでしょうか？たのしい高座にはもう当たりましたか？（こればっかりは巡り会い、運も関係しますので人それぞれだと思います。人と人との出会いと一緒でしょう）。今年も、一席でも多くのよい高座にめぐりあいたいものですね。</b></font></p>

<p><font size="3" color="#006030"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の２０１２年初席号をお送りします。稀代の落語”道落者”石井徹也さんによります、渾身のレポートをお楽しみください。</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p>◆０１月３日　上野鈴本演芸場初席第二部</p>

<p>美智・美都「松尽し」/玉の輔(三人交代出演)『漫談』/正雀(三人交代出演)『紀州』<br />
/ロケット団(交互出演)/馬風『御挨拶』/正朝(交互出演)『酒の粕』/川柳(交互出演)<br />
『ガーコン』/カンジヤママイム/琴調(交互出演)『安兵衛御目見得』/喜多八(交互出<br />
演)『小言念仏』//～仲入り～//猫八/たい平(交互出演)『漫談』/二楽/正蔵『悋気の<br />
独楽』</p>

<p>★正蔵師匠『悋気の独楽』</p>

<p>定吉の肩叩きは前から外していたが、今回は逆に妾を初めて見て綺麗なのに驚く表<br />
情、店に戻ってからおかみさんを前に独楽を回す件などで呟くひと言が定吉に加えら<br />
れ、可笑し味と定吉のキャラクターを膨らませている。</p>

<p>★喜多八師匠『小言念仏』</p>

<p>　クサいくらいに濃いキャラクター作りだが、小三治師演とは明らかに見えてくる生<br />
活ぶりが違う感じを受ける。</p>

<p>★正朝師匠『酒の粕』</p>

<p>　他愛ないんだけれど、落語の基本がちゃんとしてるから面白い。この師匠の与太郎<br />
は独特だな。</p>

<p></p>

<p>◆１月４日　上野鈴本演芸場初席第二部</p>

<p>美智・美都「松尽し」/圓太郎(三人交代出演)『汚い小噺』/小燕枝(三人交代出演)<br />
『大黒小噺』/ホームラン(勘太郎が唄った。交互出演)/馬風『御挨拶』/川柳(交互出<br />
演)『歌は世に連れ』/菊丸(交互出演)『親子酒』/カンジヤママイム/琴調(交互出演)<br />
『出世の馬揃え』/志ん輔(交互出演)『夕立勘五郎』//～仲入り～//猫八/たい平(交<br />
互出演)『漫談』/二楽/正蔵『皷ケ瀧』</p>

<p>★正蔵師匠『皷ケ瀧』</p>

<p>木樵の声に皷ケ瀧辺りの静寂が現れる点、三度繰り返される「旅のお方」の妖しい可<br />
笑しさ、前半で無理に受けを取らずに我慢出来る点など、久し振りに聞いた演目だ<br />
が、さん喬師の稽古を受けるようになってから、各部分の研ぎ上げは進んでいる。</p>

<p></p>

<p>◆１月４日　上野鈴本演芸場初席第三部</p>

<p>紋之助/馬生(交代出演)『元帳』踊り:「初出見よとて」/のいるこいる/圓蔵『漫談』<br />
/世津子(交互出演)/一朝(交互出演)『芝居の喧嘩』/文左衛門(交代出演)『小噺』/<br />
紫文(交互出演)/さん喬『抜け雀』//～仲入り～//壽獅子/はん治(交代出演)『ボヤキ<br />
酒屋』/権太楼『町内の若い衆』/扇遊(交互出演)『垂乳根』/正楽小/三治『初天神』</p>

<p>★さん喬師匠『抜け雀』</p>

<p>見事な短縮版で、さん喬師にしか出来ない高座。それでいて、要になるキャラク<br />
ター、セリフ、描写(絵師親子が二人共に筆巻きを持っている描写など)は全て入って<br />
いる。柳派の落とし噺に人情噺の味付けを加味しているのが憎い。</p>

<p>★権太楼師匠『町内の若い衆』</p>

<p>普通のテンポなのに、勢いで笑わさず、キャラクターで爆笑を生む。昨年の退院後、<br />
権太楼師の真髄を楽しめる高座は今年も続いている。</p>

<p>★小三治師匠『初天神』</p>

<p>団子と凧で、凧に酔っ払いは絡まない。ショートカットといえばそうなんだが、一寸<br />
クサ目なのに軽いのが堪らなく良い親子、殆ど喋らない団子屋、先代馬生師風に金坊<br />
に悪知恵を授ける凧屋、亭主も子供も家にいない方が気楽なかみさんと、唸るような<br />
可笑しさ愉しさを堪能した。落語の「演者を楽しむ」という点では、やはり『初天<br />
神』が柳家小三治という人間の魅力を楽しむには最高の噺だと再認識した(『藪入<br />
り』だと親子関係が屈折しちゃうんだよな)。</p>

<p>※馬生師の『元帳』から小三治師の『初天神』まで、調子が乗らずに空回りしている<br />
圓蔵師を除いて、これだけひと晩の師匠方のレベルが高く揃った寄席は一年のうちで<br />
も珍しい。馬生師『元帳』の夫婦の可愛さ、一朝師『芝居の喧嘩』の張り(一ヶ所噺<br />
が飛んだが)、はん治師『ボヤキ酒屋』の巧さ、扇遊師『垂乳根』のヒザへ繋ぐ軽さ<br />
と、トリまで誰も力まず、手を抜かず、スイスイ聞けて無上に心地よい。</p>

<p></p>

<p>◆１月５日　上野鈴本演芸場初席第三部</p>

<p>紋之助/志ん橋(交代出演)『から抜け』/のいるこいる/圓蔵『漫談』/世津子(交互出<br />
演)/一朝(交互出演)『幇間腹』/白酒(交代出演)『笊屋』/ 小菊(交互出演)/さん喬<br />
『長短』//～仲入り～//壽獅子/扇辰(交代出演)『御血脈』(善光寺由来カット)/権太<br />
楼『町内の若い衆』/市馬(交互出演)『雑俳』/正楽/喜多八『藥罐舐め』(小三治代バ<br />
ネ)</p>

<p>★喜多八師匠『藥罐舐め』</p>

<p>呵々大笑。</p>

<p>★市馬師匠『雑俳』</p>

<p>『りん廻し』まで行かぬが恬淡として心地よい、目白系らしい愉しさ。</p>

<p>★扇辰師匠『御血脈』（「義光寺由来」抜き）</p>

<p>五右衛門の下らなさ、馬鹿馬鹿しさが大真面目なのは扇辰師ならでは。</p>

<p></p>

<p>◆１月６日　上野鈴本演芸場初席第三部</p>

<p>紋之助/馬楽(交代出演)『ケチ小噺』踊り「せつほんかいな」/のいるこいる/さん喬<br />
『六銭小僧』/夢葉(交互出演)/藤兵衛(交互出演)『色事根問(上)』/三三(交代出演)<br />
『釜泥』/ 小菊(交互出演)/一朝『芝居の喧嘩』//～仲入り～//壽獅子/燕路(交代出<br />
演)『辰巳の辻占』/権太楼『代書屋』/扇遊(交互出演)『酒小噺』/正楽/喜多八『三<br />
人廻し』(小三治代バネ)</p>

<p>　★喜多八師匠『三人廻し』</p>

<p>『五人廻し』の江戸っ子・官員・通人まで演じて「廓風景で」とサゲた。入りは薄い<br />
が、ヒザまでそんなに弾まない客席ではなかったから、ネタの選び間違いとは思えな<br />
い。妙にマクラから湿ったトーンになり、結果、江戸っ子の啖呵はただの早口言葉の<br />
流れた物になり、官員も通人もパッとせずじまい。官員が最後にニカッと笑って妓夫<br />
太郎に言う「だから君、女を回してくれたまえ」も外れて、ちと生々しくなったのも<br />
痛い。全体に「受けない」というより、「聞かせる気が余りない」みたいな雰囲気、<br />
『陰気な五人廻し』に陥ったのは残念である。昨夜の『薬罐舐め』が嘘みたいで、こ<br />
こ数年の喜多八師では珍しい高座。体調がまだ定まらないのかなァ…</p>

<p>★一朝師匠『芝居の喧嘩』～★権太楼師匠『代書屋』</p>

<p>二人とも、入りの薄さを全くものともせず、何時も通りにマクラからキッチリ演っ<br />
て、ちゃんと客席を盛り上げたのは流石。</p>

<p></p>

<p>◆１月７日　上野鈴本演芸場初席第二部</p>

<p>美智・美都「松尽くし」/圓太郎(交代出演)『睨み』/小燕枝(交代出演)『手紙無筆<br />
(上)』/ホームラン(交互出演)/正朝(交互出演)『紀州』/川柳(馬風代演)『パフィ<br />
－』/白鳥(交互出演)『シンデレラ（上）』/ストレート松浦(カンジヤママイム代演)<br />
/雲助(交互出演『子だけ褒め』)/喜多八(交互出演)『小言念仏』//～仲入り～//猫<br />
八・小猫/喬太郎(交互出演)『家見舞』/二楽/正蔵『読書の時間』</p>

<p>★喜多八師匠『小言念仏』</p>

<p>積極的に粗探しをする視線や肩を叩く動き、「ヤッ」と前を打つ腕の動きなど、加味<br />
された仕種と念仏の連動が馬鹿に可笑しかった。</p>

<p>★圓太郎師匠『睨み』</p>

<p>　時間が無いので市川海老増の真似をして「睨み」を演った。私は大笑い。</p>

<p></p>

<p>◆１月７日　上野鈴本演芸場初席第三部</p>

<p>紋之助/志ん橋(交代出演)『から抜け』/のいるこいる/圓蔵『漫談』/夢葉(交互出演)<br />
/藤兵衛(交互出演)『相撲風景』/文左衛門(交代出演)『道灌』/ 紫文(交互出演)/は<br />
ん治『ボヤキ酒屋』//～仲入り～//壽獅子/さん喬(交代出演)『時そば』/権太楼『代<br />
書屋』/市馬(交互出演)『唄入り山号寺号』/正楽/小三治『厄払い』</p>

<p>★文左衛門師匠『道灌』</p>

<p>基本が確かだから、多少の遊びが入っても、初席の賑やかさの中で格調を感じさせる<br />
のが偉い。</p>

<p>★はん治師匠『ボヤキ酒屋』</p>

<p>ここまで間がキッチリ決まって、言葉の上辺でなく、リアクションの人物表現で笑い<br />
が取れるのは目白一門でもそうはいない。この自信を古典でもっと発揮して欲しい<br />
なァ。</p>

<p>★さん喬師匠『時そば』</p>

<p>急ぎ加減で、常よりかなりハイテンポの高座なのだがだったが、そのテンポの生み出<br />
す一種のクサさが、最初の男のお世辞から二番目の男の落胆までをより可笑しくして<br />
いるのだから落語とは不思議なもの。</p>

<p>★市馬師匠『唄入り山号寺号』</p>

<p>権太楼師匠が高座から「市馬に歌わせましょうか？正月だから良いよね」と客席に問<br />
いかけてから、袖の前座さんを呼んで「おたくの師匠に、次、歌唄うように言って」<br />
と伝えたのを受けて、「太郎さん、東海林」から『国境の町』をワンコーラス入れる<br />
という正月特別版(笑)。</p>

<p>★小三治師匠『厄払い』</p>

<p>扇橋師が憑依したような、フ～ワフワとした不思議な与太郎が現れて、陰気になった<br />
り、高っ調子になったりと、したい放題を尽くして、凄く良いい加減で可笑しい『厄<br />
払い』。完全に小三治師のフラで、思い出し思い出し演ってるみたいなんだけど、な<br />
まじな大ネタを聞くより愉しい。フ～ワフワした中にフッと目白の小さん師の与太郎<br />
が顔を出すのもまた一興。「いいんだよ、年忘れだから、ああいう変な奴で」と与太<br />
郎を呼び込んで困らされる商店の主だか番頭だかのセリフも実に可笑しい。</p>

<p>★権太楼師匠『代書屋』</p>

<p>短く演ろうとして途中で気が変わり、市馬師への注文を出してから中盤まで演った。<br />
結構な出来である。</p>

<p>※文左衛門師⇒はん治師⇒さん喬師⇒権太楼師⇒市馬師⇒小三治師と、三代目小さん<br />
師から繋がる師匠方による「寄席気分満喫」のひと晩となった。</p>

<p></p>

<p>◆１月８日　新宿末廣亭第三部</p>

<p>鹿の子(交代出演)『半分垢』/昇之進(交代出演)『御血脈』/チャーリーカンパニー<br />
(交互出演)/圓馬(交代出演)『つる』/右左喜(交代出演)『英会話』/桃太郎『結婚相<br />
談所』/Ｗモアモア（昼夜代り）/小柳枝『粗忽長屋』/圓輔(交互出演)『親子酒』//<br />
～仲入り～//とん馬(交代出演)『雑俳』/富丸(交代出演)『漫談』/陽昇（昼夜代り）<br />
/栄馬(交互出演)『かつぎ屋』/茶楽(交互出演)『紙入れ』/北見マキ/遊三『子は鎹』</p>

<p>★遊三師匠『子は鎹』</p>

<p>序盤は急いでしまい、ちとあぶなっかしかったが、かみさんが亀から「五十銭はお<br />
父っつぁんから貰ったんだ」と聞いて、急にアタフタと身を踊らせる仕種(面白い)辺<br />
りから調子を取り戻した。かみさんは鰻屋で熊と会っても、腰の浮く惚れ方が愉しく<br />
(こういう『子は鎹』のかみさんは珍しい)、熊は鰻屋でかみさんにまず亀を立派に育<br />
ててくれた事の礼を言い、酒を飲んで困らせた事を詫び、最後にまた一緒になってく<br />
れという流れがキッパリと職人らしくて良かった。職人人情落語(人情噺ほど重くは<br />
ならない)としての終盤は佳作。</p>

<p>★栄馬師匠『かつぎ屋』</p>

<p>落語協会では聞かなくなったネタだなぁ。若水と帳付けだけで、相変わらず「トム・<br />
クルーズ来日」のナンセンスサゲだが、旦那が如何にも御幣担ぎらしくて良い。</p>

<p>★茶楽師匠『紙入れ』</p>

<p>短めでトントン運んだから、笑いは何時もより少なかったが、サゲでドッと来させた<br />
のは流石。</p>

<p>★陽・昇師匠</p>

<p>今年も陽さんのこんがらがるキレ方は健在。東京中堅漫才のピカイチ。</p>

<p></p>

<p>◆１月９日　新宿末廣亭第三部</p>

<p>慎太郎(交代出演)『子供の日記』(正式題名不詳)/柳之助(交代出演)『ぞろぞろ』/<br />
チャーリーカンパニー(交互出演)/柳橋(交代出演)『狸の札』/右左喜(交代出演)『漫<br />
談』/桃太郎『結婚相談所』/京丸京平(交代出演)/小柳枝『蟇の油』/圓輔(交互出演)<br />
『夕立屋』//～仲入り～//とん馬(交代出演)『九官鳥・猿の目撃』踊り・かっぽれ/<br />
金遊(交代出演)『魚の骨』（雑話）/東京ボーイズ(交互出演)/栄馬(交互出演)『かつ<br />
ぎ屋』/茶楽(交互出演)『紙入れ』/北見マキ/遊三『長屋の花見』</p>

<p>★遊三師匠『長屋の花見』</p>

<p>入りは３０人程度と非常に薄かったが、丁寧で明るくテンポも良かったのが幸いし<br />
た。心理描写ではなく、トントン運ぶ中で大家さん・今月と来月の月番・風流人の甚<br />
兵衛さんといったキャラクターの違いがちゃんと出て、花見になってから笑いも増え<br />
た(やはり落し噺はテンポの中での人物表現だな)。</p>

<p></p>

<p>◆１月１０日　上野鈴本演芸場初席第二部</p>

<p>美智・美都/圓太郎(交代出演)『象の金玉(小噺。とん馬師の『牛の乳』の動物園<br />
版)』/小燕枝(交代出演)『小言念仏』/ロケット団(交互出演)/馬風『漫談』/菊丸(交<br />
互出演)『時そば』/白鳥(交互出演)『シンデレラ(上)』/カンジヤママイム（但し一<br />
人だけ）/雲助(交互出演)『子だけ褒め』/喜多八(交互出演)『竹の子』//～仲入り～<br />
//猫八・小猫/たい平(交互出演)『禁酒番屋』/二楽/正蔵『悋気の独楽』</p>

<p>★たい平師匠『禁酒番屋』</p>

<p>侍の訪れをカットした短縮版。水カステラは七代目可楽師匠同様、徳利を隠すため、<br />
上にカステラが薄く掛けてある古い演出。二人目は油屋でなく「伊達直人です。ラン<br />
ドセルの御注文で」「(徳利の中身は)飲んで覚える漢字ドリルです」と変えて爆笑。<br />
番屋の侍の酔い方も含めて、全体に可愛らしい『禁酒番屋』だな。</p>

<p></p>

<p>◆１月１０日　立川生志独演会第１９回「生志のにぎわい日和」(にぎわい座芸能<br />
ホール)</p>

<p>春樹『道灌』志らら『壷算』/生志『家元追悼～初天神（上）』//～仲入り～//シル<br />
ブプレ/生志『鼠穴』</p>

<p>★生志師匠『初天神（上）』</p>

<p>飴と団子。金坊の「この人が拐かすゥ！」「阿父っつぁんをロンメル将軍の次に尊敬<br />
してる」「団子を買ってくれないとナチスに入る」は笑った。終盤、団子を舐める段<br />
取りを間違えてグズグズになったのは残念(笑)。</p>

<p>★生志師匠『鼠穴』</p>

<p>持ち味は違うが、談志師匠の『鼠穴』に漂っていた「甘やかさ」のような物が噺にあ<br />
る点は共通している(談志師匠のロマンティシズムや優しさから来る甘やかさは<br />
「業」や「イリュージョン」より大切な要素だと私は思う)。序盤、兄弟の会話では<br />
まだ竹次郎の甘え方が弱い。兄貴が本質的に弟に優しい、というか親みたいな愛情を<br />
感じているのが分かるのは嬉しい(松太郎とでも付けるか。竹の娘は花だし)。兄から<br />
与えられた元手の金が三文と分かって竹次郎が怒り、仕事に精を出して行く件は地の<br />
部分にリズムがまだ足りない。また「金ちゃ～ん甘いよ」などの売り声も良くはない<br />
ので効果的になっていまいのが惜しまれる。十年後、兄の店を訪れた竹次郎が見返す<br />
気概を持った怒り顔なのは良い。対する兄も詫びる中に先程同様の「甘やかさ」があ<br />
る(圓生師匠の『鼠穴』にはこれがないんだ)。兄弟が仲を直して呑む件は良いが、火<br />
事になってから、紅蓮の炎の中に三つの蔵のシルエットが浮かび上がる場面は描写の<br />
言葉の選択、火事場の緊張感共に、まだまだである。ここで鼠穴を塞ぎ忘れた店の者<br />
を余り叱らない演出は賛成。火事に遇ったのが不運で良い噺だからね。竹次郎の落魄<br />
して行く様子はもっと簡潔かつ効果的でありたい。「落ちぶれて袖に涙の掛かる時、<br />
人の心の奥ぞ知らるる」を抜いたのは？春の商売の元手の無心に訪れた竹に対する兄<br />
貴の態度は、夢だからもっと冷淡でもよいが、二人の遣り取りに兄弟喧嘩の雰囲気が<br />
あるのは結構だ。娘・花が「時分を吉原へ売ってお金を作って」と語る言葉はもう少<br />
し可憐でありたい（花は家元の傑作だな）。娘を売った金を掏られて首を括るまで<br />
も、もっと噺を締めて良いだろう。兄が竹を起こしてからの遣り取りで、兄の「嫌な<br />
役回りだな」でちゃんと受けたのが良かったから、前をもう少し締めても落語らしく<br />
受けられると思う。「五臓の疲れ」を仕込まなかったので、サゲはどうするか？と<br />
思ったが、「兄さんのおかげだ」「お前の力でねェか」「兄さんがおらの目を覚まし<br />
てくれた」とサゲた。前に書いたように、火事にあった不運だけで夢中は良いのだか<br />
ら、兄弟・親子の絆に焦点を当てた噺として、これは良いサゲだと私は思う。</p>

<p><br />
                                          石井徹也　（落語”道落者”）</p>]]>

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<title>石井徹也の「極私的落語評判記２０１１」</title>
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<modified>2012-01-20T15:42:40Z</modified>
<issued>2012-01-04T15:33:55Z</issued>
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<summary type="text/plain"> 今回は石井徹也さんによる「極私的落語評判記２０１１」をお送りします。石井さんが...</summary>
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<name>落語</name>


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<![CDATA[<p><br />
<font size="3" color="#006030"><b>今回は石井徹也さんによる「極私的落語評判記２０１１」をお送りします。石井さんが昨年（２０１１年）一年間に聴いた落語の中から、とくによかったもの、心に残った高座をピックアップしたものです。映画ファンがよくやる「私の本年度ベスト１０」みたいなものだとご理解下さい。みなさまの「評判記」とリンクしますか、どうか？。どうぞ鷹揚の御高覧をお願い申し上げます。</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p>【極上々吉】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<br />
　　　　　　　　　　　　　</p>

<p>◆１０月３１日　新宿余一会夜の部「柳家小満ん独演会」（新宿末廣亭）</p>

<p>★小満ん師匠『笠碁』</p>

<p>絶妙な面白さ。黒門町の文楽師が目白型の『笠碁』を演ればこうなる…という印象。<br />
メリハリを前に出した演出で、碁敵二人の癇癖の強さが物凄く面白い。友情だけでな<br />
く、人間の弱さの持つ可愛さが一気に出る。過去に聞いた小満ん師の高座の中でも屈<br />
指の面白さ、可笑しさで。黒門町と目白を心身に併せ持っている小満ん師でなきゃ出<br />
来ない、現代落語界の宝物的逸品。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１７日　第１７回三田落語会夜席(仏教伝導会館ホール)</p>

<p>★権太楼師匠『芝浜』</p>

<p>唸る名作。装飾の増えすぎた『芝浜』を職人噺・夫婦噺として見事に組立て直した。<br />
「権太楼師は目白の小さん師譲りらしく、職人の気持ちを表現してくれているのに感<br />
心した。ラスト、かみさんに泣いて薦められ、「お前も呑むなら呑む」と言って、か<br />
みさんに先に酒を注ぐのが凄く良い(夫婦は共犯関係なんだなァ。まだ人情噺の尻尾<br />
は引きずっているが、夫婦噺・職人落語の『芝浜』として、現在以降、御手本となる<br />
べき演出だと思う。</p>

<p></p>

<p>◆７月１８日　第６回プチ銀座落語祭銀座山野亭落語会三日目第二部『一朝・一之輔<br />
親子会』（銀座山野楽器本店７階ホール）</p>

<p>★一朝師匠『小言幸兵衛』</p>

<p>　絶妙。小言に煽られてお茶を淹れられない幸兵衛のかみさんの可笑しかったこと。<br />
小言の切れ味抜群。「いけませんか！」の仕立屋の逆襲も愉しく、かつて聞いた『幸<br />
兵衛』の最高峰。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２日 鶴瓶・市馬二人会(なかのZERO小ホール)</p>

<p> ★鶴瓶師匠『癇癪』</p>

<p> 　鶴瓶師ならではの「私落語」として最高傑作ではないか。「落語は演者が登場人<br />
物、特に主人公に如何に愛情を持つかで噺の魅力が全く違う」を示す一席でもある。<br />
『癇癪』の根本とはかくあるべきだとも思えるセリフが幾つもある。オチの「お前も<br />
あいつもワシの事、分かってへん。キッチリされたら、ワシのステレス(ストレス)が<br />
溜まってしまうがな」が、師弟の絆を感じてホロリと流れた涙に、ピシリと苦笑の終<br />
止符を打ってくれるのも鮮やか。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１日 日本橋落語会「通好み」(日本橋劇場)</p>

<p>★一朝師匠『二番煎じ』</p>

<p>普段演じない所までタップリ演じたが、それでいて軽快で全くクドくない見事に愉し<br />
い高座。志ん朝師の演出からエネルギッシュな重さを抜いて、老人たちの洒落た面白<br />
さを足した世界に仕上がっている。口喧しい月番を軸に、一人一人の人物像が寒夜に<br />
クッキリと描かれて、旦那衆が一寸愉しい悪さをしている楽しさ、人間のだらしなさ<br />
の魅力が満ちている。何回も聞いてきた一朝師匠の『二番煎じ』の中でも傑出した高<br />
座である。</p>

<p></p>

<p>◆６月２０日　浅草演芸ホール夜席主任</p>

<p>★小里ん師匠『笠碁』</p>

<p>序盤の遣り取りから仲の良い同士がじゃれるように「待って」「待たない」をしてる<br />
うちに喧嘩が始まる。「友情あっての食い違い」が目白の小さん師匠より明確。美濃<br />
屋が出て来た時、一方が碁石を手にしながら、「ウンッ」「オイッ」と気合いを掛<br />
け、逸らされるのも友情の濃さが募る。オチは家元型を基礎に「待った！」「待った<br />
にはまだ早い」「いや(お前さん)、まだ笠を取ってない」とサゲ、「もう一つ、サゲ<br />
としては納得出来ない」と仰っていた目白の小さん師の悩みに解答の方向を見出だし<br />
た。小里ん師から３０年来聞いているネタだが、これだけ良い出来は初めて。</p>

<p></p>

<p>◆６月８日　新宿末廣亭昼席主任</p>

<p>★小里ん師匠『五人廻し』</p>

<p>　妓夫の「え～花魁へ、え～喜瀬川さんへ」の調子が全く他の噺家さんと違い、低<br />
く、夜更けの廊下を騒がせない調子になっているから、サッと雰囲気が出る。江戸っ<br />
子の啖呵も『大工調べ』同様、意味・感情中心だから「水道尻にしてある犬の糞」で<br />
ワッと受ける面白さ。官員の泣く件、似非江戸っ子がりの変な唄、通人の気味悪過ぎ<br />
ずに気障なとこ、御大尽の風格、花魁のつれなさと揃って、これだけ優れた、啖呵だ<br />
けに頼らない『五人廻し』は珍しい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月９日 国立演芸場上席主任</p>

<p>★小満ん師匠『居残り佐平次』</p>

<p>洒落っ気と悪心がお対になった粋な佐平次。二階を稼ぎだしてから、「火事だ火事<br />
だ」と客の頭に杯洗の水を振り掛けておき、自ら杯洗の水を被って「火事かと思った<br />
ら大水だった。義援金を」と祝儀を貰ったり、霞花魁の客、勝太郎を持ち上げる際の<br />
「楊枝を前歯でポキッと折って、歯が丈夫(笑)」の愉しさも嬉しい。最後は旦那に呼<br />
ばれて忠信利兵衛のセリフをキッパリ言った後、着物・足袋・羽織と頂戴して「鳥も<br />
羽が無きゃあ飛べませんからお足を」とサゲる。「居残りは商売でなく、転地療養を<br />
兼ねた洒落」である。</p>

<p></p>

<p>◆７月１３日　第２４９回柳家小満んの会（お江戸日本橋亭）</p>

<p>★小満ん師匠『稲荷堀』</p>

<p>お富が悪婆でなく、侠気のあるシャダレ上の年増で、銭湯帰りの姿、特に肩の辺り、<br />
また富八坊主の喉元に止めを射すお富の姿にも泥臭くない色気があるのが魅力的。相<br />
合傘で体をぴったりとくっつけた二人が雨の中を稲荷濠に急ぐ姿も印象的である。<br />
「びったりと」が耳に残るのだ。そのお富の「お前さんも悪になったねェ」で客席が<br />
ドッと受けるのは与三郎が如何にも初で、悪党になり過ぎていないため。圓朝以前の<br />
人情噺の軽さ、粋さを感じた。</p>

<p></p>

<p>◆７月１７日　第１１７回大和田落語会(京成大和田・丸花亭)</p>

<p>★小里ん師匠『磯の鮑』</p>

<p>物凄く可笑しい。盲の小せん型がベース。与太郎が活きていて、鶴本勝太郎隠居の<br />
言った通りをペラペラ喋るのが何とも剽軽で洒落ている。</p>

<p></p>

<p>◆７月１７日　第１１７回大和田落語会(京成大和田・丸花亭)</p>

<p>★小里ん師匠『明烏』</p>

<p>これも盲の小せん型。源兵衛多助が正に遊び人で「町内の札付き、白無垢鉄火の巾着<br />
切り」と親旦那に言われるのが馬鹿に可笑しい。時次郎がまた芯から野暮で、「何か<br />
お話を」と茶屋の座敷で振られて、「二宮尊徳という方は幼名を金次郎と」と収まる<br />
のが如何にも学問バカらしい。全編洒脱で「廓噺の小里ん」の通り名を広めたくなり<br />
やす。</p>

<p></p>

<p>【極上々】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<br />
　　　　　　　　　　　　</p>

<p>◆７月１９日　第１６回ぎやまん寄席番外編『柳亭市馬・柳家喬太郎ふたり会』（湯<br />
島天神参集殿一階ホール）</p>

<p>★市馬師匠『鰻の幇間』</p>

<p>市馬師には珍しいギャグ沢山。特に一八の口から語られる女中のリアクション(「い<br />
わしがあるか訊いてきます」や「それほどでもありません」など馬鹿受け)の言葉<br />
や、散りばめられた地口みたいな洒落の可笑しく、各場面にピタリと嵌まる演出の妙<br />
は見事というしかない。一八もかなり芸人らしい軽さが増して、はばかりの戸を叩き<br />
乍ら「トントンストトン」などの明るい軽妙さは素晴らしい。</p>

<p></p>

<p>◆７月８日　ｒａｋｕｇｏオルタナティヴｖｏｌ．３．「キョンちば」昼の部(紀伊<br />
國屋サザンシアター)</p>

<p>★喬太郎師匠『マイノリ』</p>

<p>　日大落語研究会と國學院大演劇研究会の男女が出会い、惚れていながら告白出来な<br />
い三十年を描いた作品。落語版『ラヴ・レターズ』の体裁だが、切なさと時代の共感<br />
を感じさせな乍ら、落語的トンチンカンで悲しい結末に至らないのは佳く、喬太郎師<br />
の根っこにも通じる佳さがある。こんなに喬太郎師に似合う噺も珍しい。</p>

<p></p>

<p>◆７月１０日　圓丈一門会夜の部「圓丈一門古典噺くらべ」(お江戸日本橋亭。)</p>

<p>★白鳥師匠『唐茄子屋政談』</p>

<p>勘当以前の若旦那は正に、金に驕る人非人だが、その若旦那が空きっ腹に泣く表情に<br />
は人非人がマジに変わる実感がある。同様に、貧乏長屋で浪人の飢えた子供が鰻の味<br />
と匂いのついた竹皮を嘗めて飢えに耐える表情にも堪らない実感がある。若旦那は天<br />
秤棒で大家を殴るのもヤカンより良い。白鳥師と歌之介師の貧しい人間の表情には、<br />
演技とは違う実感、生きる切なさがあるのは現代落語界における絶対的な強みだ。</p>

<p></p>

<p>◆８月３日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★さん喬師匠『柳田格之進』</p>

<p>何時もより短いのは息の詰み方。萬屋の「馬鹿ァッ！」と「番頭ォッ！」の怒気の凄<br />
さ。噺の怒気で震えたのは３０年暗い前に米朝師の『鹿政談』を訊いて以来。柳田が<br />
萬屋との交遊を通じて明るくなる様子、無言の中に碁石の音だけで友情の深まる良<br />
さ、娘・綾乃に切腹を止められる遣り取り、番頭・長兵衛の嫉妬を敢えて語らない良<br />
さ、侍なればこそ、主従三世の情に柳田が負ける良さは「黙れ、黙れ、黙れ、黙まっ<br />
てくれい」に現された。</p>

<p></p>

<p>◆８月３日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★はん治師匠『ろくろ首』</p>

<p>与太郎の「それじゃあ・・・僕」が無茶苦茶に可愛らしく可笑しかった。こ</p>

<p>れだけ良い与太郎は珍しい。地力も含めて、次世代の小燕枝師・小里ん師へ</p>

<p>の道を感じさせる「柳家の本道」の愉しさだった。</p>

<p></p>

<p>◆８月１０日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★さん喬師匠『中村仲蔵』</p>

<p>　芝居国の若者成功譚としての余韻が残る。芸質の良い若者と、運にヒントに応用力<br />
の組み合わせが巡りあって、定九郎が変わる展開。舞台の様子も一応丁寧だが「演り<br />
過ぎ」の印象はない。役者の日常性が噺全体に流れているのが面白い。当てたと分<br />
かっても仲蔵が泣いたり大感謝せず、急いで自宅に帰ってからも、まだ呆然として<br />
「夢見心地」でいるのが却って落語らしい。近年の流行の演出のように、かみさんを<br />
矢鱈と貞女にせず、夫婦愛よりも役者世界を前に出しているのも納得。男の世界の落<br />
語『仲蔵』である。</p>

<p></p>

<p>◆６月２２日　第２７３回『県民ホール寄席立川生志独演会』(神奈川県民ホール)</p>

<p>★生志師匠『唐茄子屋政談』</p>

<p>伯母さんの良さは相変わらず随一。やはり、田原町で唐茄子を打ってくれる男の言<br />
葉、仕種が図抜けて優れている。若旦那はひ弱な感じが「らしく」なってきた。徳が<br />
まだ花魁に惚れ切っている初さも佳い。誓願寺店からは若旦那、貧しい母、飯を貪る<br />
子供と揃って名品。特に若旦那のセリフの佳いこと。伯父さんの家に済まなそうに<br />
戻ってくる様子は他の追随を許さず。伯父さんが話を聞く件からサゲまでの演出も当<br />
代一番だろう。「江戸、東京人の憧れ」が詰まっている。何とも温かな気持ちで家路<br />
につけた。</p>

<p></p>

<p>◆６月２５日　第１４回三田落語会夜席(仏教伝導会館ホール)</p>

<p>★一朝師匠『たが屋』</p>

<p>マクラから言葉の気合いが違った。啖呵も勢いだけでなく、ちゃんと意味の伝達に<br />
なっているし、供侍三人それぞれの描き分けの可笑しいこと。これだけの出来の『た<br />
が屋』は一朝師匠でも初めて聞いた。</p>

<p></p>

<p>◆６月２５日　第１４回三田落語会夜席(仏教伝導会館ホール)</p>

<p>★一朝師匠『宿屋の仇討』</p>

<p>　ほぼ３０年ぶりの口演！？とは思えない大お手本。侍が立派で、江戸っ子三人組が<br />
能天気で喜助がひょうきん律義。特に喜助が武士の刀の鐺を掴んで「主に代わってお<br />
願い申し上げます」の真摯さは稲荷町を思わせる。一転して「宿外れで敵討があるっ<br />
て評判で、縁日の商店が西の外れか、東の外れかと荷物を持って待ち受けている」の<br />
可笑しさは素晴らしい。隣にいるのが三浦忠太夫と聞いて、源兵衛が「にゃに<br />
おォー」と驚くのも絶妙。</p>

<p></p>

<p>◆８月１７日　“通ごのみ”第五回「扇辰・白酒の会」(日本橋社会教育会館ホール)</p>

<p>★扇辰師匠『三井の大黒』</p>

<p>扇辰師の口演を初めて聞き「職人物落語」として『三井の大黒』が受け継がれる安心<br />
感を抱いた。甚五郎は「職人らしい含羞と屈折」を持った優れた表現。棟梁・政五郎<br />
がまた、江戸の職人気質を体現した結構なもので、口は悪いが腹の綺麗な、目の聞く<br />
苦労人の雰囲気がある。特にラストで「ポンシュー！」と怒鳴り付けておいて「これ<br />
が言い納めだい」と呟いた愉しさ、大黒の出来の良さに思わず涙を流す演出は、職人<br />
気質を代表する好演出として後世に伝えられるべきものだろう。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２１日 池袋演芸場昼席</p>

<p>★馬石師匠『時そば』</p>

<p>抜群。二番目のそば屋が景気の悪い陰気な奴で、火を起こしてる間、客の男が袖をヒ<br />
ラヒラさせて待ってる様子がむちゃくちゃ可笑しく、不味そうなそばの食い方、表情<br />
も素晴らしい。こんな『時そば』、聞いた事がない。</p>

<p></p>

<p>◆８月２６日　Ｊ亭落語会桃月庵白酒独演会(ＪＴアートホール)</p>

<p>★雲助師匠『もう半分』</p>

<p>中盤、老爺殺しが芝居掛かりになるが、何とも言えず無気味な雰囲気が漂う、雲助師<br />
ならではの怖さ。老爺殺しを決める前後から芝居掛かりの件まで、その前後とは亭主<br />
の人格が稍変るが、それが「破綻」というより「噺の妙」として受け取れるのが「古<br />
風な趣向」の面白さで、ある意味、南北～小團次的な人間観察のリアリズムになる。<br />
単なる近代人だと、理屈を付けないと納得出゛来ないキャラクターを理屈抜きに演じ<br />
られるのは、先代馬生師直系の芸ならではだ。</p>

<p></p>

<p>◆８月３０日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★馬石師匠『松曳き』</p>

<p>殿様の小笠原某の「高瀬実乗」みたいなトッポさが物凄く可笑しい。三大夫さんの歪<br />
み方も強烈で、特に仕種に独特の動きが多く、古今亭の笑いとしては本道であり、ま<br />
た白酒師とは違う可笑しさがある。</p>

<p></p>

<p>◆８月３１日　柳家喬太郎プロデュース公演『双蝶々リレー』(本多劇場)</p>

<p>★白鳥師匠『長吉とメルヘンの森』</p>

<p>黒白二頭の蝶々に誘われ、長吉が森の中のメルヘンの屋敷に迷い込み、『マッチ売り<br />
の少女』『ヘンゼルとグレーテル』から「悪」に生きる道を選ぶという場面に寺山修<br />
司的な燦きがあるのには感心した。黒白二頭の蝶から黒白二棟の蔵に至る発想の鮮や<br />
かさも去りながら、森の中に長吉が入り込む件は『無法松の一生』で森を通る場面を<br />
思わせ、それが母を恋うる彷徨だけに野</p>

<p>田秀樹の『ゼンダ城の虜』の赤頭巾少年同様の胎内回帰さえ思わせる。圓朝から寺山<br />
的な前衛をも引き出すバタ臭い資質には驚くしかない。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１９日 ぎやまん寄席番外編白鳥・白酒ふたり会(湯島天神参集殿一階ホー<br />
ル)</p>

<p>★白鳥師匠『もし寄席の席亭がドラッカーのマネージメントを読んだら』</p>

<p>２０１１年一番笑った高座。ドラッカーの理論と現在の世界的な新自由主義的経済の<br />
破綻や、白鳥師らしい諧謔や、下から視線の喜怒哀楽がベースにあるから強烈に可笑<br />
しい。それは「某師匠へのマネージャー転向の勧め」みたいに、みんなが思っている<br />
真実を暴露したエネルギーがあるからだろう。</p>

<p></p>

<p>◆雲助月極十番之内漆番(日本橋劇場)</p>

<p>★雲助師匠『干物箱』</p>

<p>多分、鼻の圓遊師匠が元だと思う。明治の開化色がふんだんに盛り込まれ、それがま<br />
た雲助師に似合う。善公が二階に上がってからは人力俥の騒ぎや都々逸の騒ぎで相方<br />
の手紙はない。若旦那のフワフワした可笑しさも特に『学問ノススメ』を読んでるっ<br />
てのが可笑しい。貸本屋なのに平仮名しか読めない(笑)善公の狂騒に近い能天気ぶ<br />
り、腕力のやたらある親旦那、この三人の遣り取りが実に軽妙で愉しい。『月極十<br />
番』屈指の出来。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２５日　第回文左衛門倉庫「Ｘ‘ｍａｓスペシャル」(ことぶ季)</p>

<p>★文左衛門師匠『居残り(上)』</p>

<p>ネタ卸し。居残りが如何にもいけしゃあしゃあとして自信満々なのに、何とも言えな<br />
い色気と可愛らしさがあって、傲慢な感じにならない。だから、紅梅さんとこの勝っ<br />
つぁんを乗せるお世辞も嫌らしくないし、「矢鱈と熱弁を奮う詐欺師の卑しさ」や<br />
「無理をして意気がっている感じ」が全くしないのはステキに愉しい。全体に明るい<br />
のも結構だ。帳場の声を聞いた居残りが部屋からヌッと出てきて、襷を掛けて働き出<br />
す短い場面があり、ここのヴァイタリティが素晴らしい。</p>

<p></p>

<p>◆６月２日　新宿末廣亭夜席</p>

<p>★馬好師匠『猫の茶碗』</p>

<p>唸った。先代馬の助師匠型か、志ん生師匠型とも少し違う。第一、茶店の主がお婆さ<br />
んである。モッサリしているようでコクのある稍芝居っぽい口調でいながら、全く当<br />
てこんでセリフを言わないからクサくない、茶店周辺の雰囲気がちゃんと出る。機師<br />
り言葉使いや雰囲気がピタリ。オチまでちゃんと聞かせているから、最後にクスク<br />
スッときた。その運びは如何にも近代的でないが、巧いし、面白い。声質が今は滅多<br />
にいない前近代の声なんだなァ。</p>

<p></p>

<p>◆６月３日　新宿末廣亭昼席主任</p>

<p>★小里ん師匠『提燈屋』</p>

<p>序盤から若い連中の会話や、提燈屋主人との遣り取りにメリハリがあり、一見、分り<br />
難いままのようなこの噺でも、困惑や見栄、意地といったの裏付けが的確にあり、目<br />
白の小さん師匠が作り上げた「ワイワイガヤガヤ」落語本来の可笑しさが出せると、<br />
こう愉しい噺になるのか！？という見本。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２４日　第７回銀座山野亭落語会(銀座山野楽器本店７階ホール)</p>

<p>★一朝師匠『妾馬』</p>

<p>全体の面白さが図抜けているは勿論だけれど、八五郎がお鶴の方へ向かいかける袖を<br />
三太夫が「無礼者」と掴んで止める。八五郎が「何をすんでぇ」と払う。この一瞬で<br />
身分の隔たりがクッキリと出る。それが八五郎の酔っての涙に繋がるが説明はせず、<br />
涙の後に八五郎らしい笑いをちゃんと入れるから、場面がウジウジしない。誰も及ば<br />
ない『妾馬』のスタンダード</p>

<p></p>

<p>◆１２月１８日　第回雲助一門会(浅草三業会館二階稽古場)</p>

<p>★馬石師匠『笠碁』</p>

<p>今松師譲りとのこと。先代馬生師の『碁に淫した変な人たちの笠碁』として、かなり<br />
のレベル。最初に碁を打つ場面から、明らかに二人とも目付きがおかしく、その淫し<br />
方、入っちゃった二人を引き画でみる愉しさが堪能出来る。後半、菅笠を被って現れ<br />
た碁敵を見て、待つ側の旦那が店の者に「普段の通りに(相手を)見ろ」と命令するセ<br />
リフや、番頭が「あたくしが(相手を)呼んで来ましょうか？」と申し出る辺り、旦那<br />
の我が儘から、店中に異常な緊張感が漲っているのが如実に分かり、可笑しくて堪ら<br />
なかった。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１８日　第回雲助一門会(浅草三業会館二階稽古場)</p>

<p>★龍玉師匠『親子酒』</p>

<p>親旦那が呑み始めてから、間を溜めに溜めてボソッと呟く、「……うまい」など、ひ<br />
と言ひと言の呟きが非常に可笑しい、独特の『親子酒』。こんなに可笑しい龍玉師は<br />
初めて聞いた。親旦那も若旦那も、簡素な表現の酔っ払い方なのだが、如何にも酒呑<br />
みらしい「可愛らしい意地の汚さ」が一杯（笑）。</p>

<p></p>

<p>◆４月３０日　新宿末廣亭夜席主任</p>

<p>★一朝師匠『唐茄子屋政談(上)』</p>

<p>『抜け雀』『妾馬』『大工調べ』『火事息子』『井戸の茶碗』『二番煎じ』『淀五<br />
郎』等と並び、志ん朝師匠没後の「東京落語のスタンダード」と言ってしかるべき高<br />
座。若旦那の初さ、青さ、可愛さ。叔父さんや唐茄子を売ってくれる「意気がらない<br />
江戸っ子らしさ」の愉しさ。叔母さんの下町女らしい温かさ。花魁の意気地と、「東<br />
京落語の人情噺」の魅力に溢れている。</p>

<p></p>

<p>◆４月３０日　新宿末廣亭夜席</p>

<p>★小里ん師匠『垂乳根』</p>

<p>終盤、葱屋が「ね～ぎ～、岩槻ねぎ～」をユックリ二度繰り返したが、長屋を流す葱<br />
売りの風景が浮かぶのに驚いた。一方、千代の「のうのう、門前に市なす・・・」以<br />
降のメリハリの馬鹿馬鹿しい可笑しさがその風景と見事に対照をなす。目白系の基本<br />
力の凄さを実感。</p>

<p></p>

<p>◆４月３日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★しん平師匠『逆天神』（勝手にこんな題名ほつけてしまって申し訳ない）</p>

<p>何でも買ってやりたがる親父と、何か買って貰うのが嫌いな節約家(？)金坊の親子逆<br />
転爆笑落語。挙げ句に親父は前以て注文しておいた特製大凧に乗って大空に消えると<br />
いう、『島の為朝』みたいな展開が無茶苦茶に可笑しい。</p>

<p></p>

<p>◆３月２８日 第３３回讀賣ＧＩＮＺＡ落語会（ル・テアトル銀座）</p>

<p>★市馬師匠『猫忠』</p>

<p>メリハリがあり、常兄ィの貫禄、カミサンの年増嫉妬、六と次郎の嫉妬から来る悪戯<br />
者ぶりと揃って結構な、大看板を感じさせる高座。特に本物の常が座敷に現れてから<br />
の遣り取りで、怪異な雰囲気がちゃんと漂うのは、市馬師匠の演目では珍しいだけで<br />
なく、現在の噺家さんの中でも優れたもの。</p>

<p></p>

<p>◆３月２９日 シブヤ落語会「平治　東風吹く会」（渋谷区総合文化センター伝承<br />
ホール）</p>

<p>★平治師匠『二番煎じ』</p>

<p>細部の手配りがちゃんと落語で、月番と旦那方に身分差の感じられる台詞や口調の違<br />
え方。夜回りに出る際の寒さの強調。宗助の猪鍋の仕立て方の細かさ(「肉の紅に葱<br />
の白と緑、丸で花が咲いたみたいだ」は佳い科白。黒川先生の「世間に隠れて呑む酒<br />
は美味しうございますなァ」も実感あり。</p>

<p></p>

<p>◆３月１５日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★一朝師匠『淀五郎』</p>

<p>これまで聴いた一朝師のどの『淀五郎』よりメリハリの効いた巧演。團蔵が単に厳し<br />
いだけに終わらず、仲蔵の言葉通り、治った淀五郎の判官を見た時の嬉しそうな「プ<br />
ロの笑顔」を見せる佳さ。仲蔵も単に優しいだけでなく、詰める所は詰めて、厳しく<br />
指導し、強く励ます見事な先輩ぶりを見せる。淀五郎が團蔵に話し掛けてシクジする<br />
若さ、一種の軽薄さ。若さ故に考えの足りなくなる悲しさと孤独感。それが仲蔵に教<br />
えられた後、自分を取り戻して、喧嘩場の迫力に変化する。初日、團蔵の花道の出の<br />
大きく迫力のあること！</p>

<p></p>

<p>【極上】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<br />
　　　　　　　　　　　　　</p>

<p>◆２月２７日　三遊亭遊雀独演会「遊雀玉手箱“オハコの巻”」(内幸町ホール)</p>

<p>★遊雀師匠『紺屋高尾』</p>

<p>前半と後半の可笑しさは恋煩いした久蔵の泣きっちゃべりと、それに困らされる親方<br />
夫婦の困惑にある。併し、高尾太夫に会えた後朝の久蔵の告白と高尾の受けの言葉は<br />
完全に人情噺の世界になる。稍芝居臭くもあり、野暮と言えば野暮でもあるが、芝居<br />
離れした、野暮離れした真摯さ、血の通った心情を感じさせてくれる。ロマンティシ<br />
ズムの点では談志家元、生志師匠と三幅対。</p>

<p></p>

<p>◆３月１９日　新宿末廣亭夜席主任</p>

<p>★さん喬師匠『井戸の茶碗』</p>

<p>震災後の状況下、飽くまでも明るく明るく演じきったのが嬉しい。寄席用に簡略化さ<br />
れた展開の中で、高木作左衛門が「仏像の首が落ちた？其処にあるではないか」と言<br />
い乍ら首を上手に向けた形から、「この顛末を仏像が床の間からジッと見ているのだ<br />
な」と感じられる辺りが他の演者の『井戸の茶碗』とは違う奥行を噺に与える。</p>

<p></p>

<p>◆３月１日　「噺小屋ｉｎ池袋　弥生の独り看板～小満ん雪月花(東京芸術劇場ホー<br />
ル1)</p>

<p>★小満ん師匠『景清』</p>

<p>珍しく、随分派手な演じ方に終始した。定次郎は職人気質の強い江戸っ子。あくまで<br />
も陽気で、泣き言は最後の着物の縞目の件くらいと、それでいて、清水の石段を登る<br />
杖の音で『奇蹟の丘』に共通する「生きる重さ」を一瞬だけ感じさせるなど、細部の<br />
目配りは行き届いている。ラストシーン、月明かりで着物の縞目が見えた件で、ひと<br />
言も「月」と言わず、月の光を感じさせる演出は小満ん師ならでは。</p>

<p></p>

<p>◆３月２０日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★一朝師匠『転宅』</p>

<p>１９８２年五月に聞いて以来の演目。泥棒が実に可愛らしく、「おれァ、今夜泊まっ<br />
てこ」と嬉しそうに言う声音と表情の愉しさは格別。「あのうちは平屋ですよ」と聞<br />
いて、振り向き乍ら驚く姿の可笑しさ、動きのキレの素晴らしさ。泥棒が一杯さす様<br />
子でお菊の動きや姿が分かる面白さも類が無い。</p>

<p></p>

<p>◆３月２０日　新宿末廣亭夜席主任</p>

<p>★さん喬師匠『妾馬』</p>

<p>稍簡略演出だが、見事に泣かせ笑わせる。お鶴が目の前に居ると分かってから八五郎<br />
にオフクロの愁嘆を余り言わせず、メソメソさせない演出なのに泣ける。今夜は三太<br />
夫にも貰い泣きはさせない。それでいて、見ていて涙が出るのは八五郎の表情にに妹<br />
の産んだ赤ん坊を目にした喜びが溢れているから。</p>

<p></p>

<p>◆２月11日　心技体ｖｏｌ.１２(なかの芸能小劇場)</p>

<p>★扇辰師匠『鰍澤』</p>

<p>「オーイ、オーイ」と旅人・新助を呼ぶお熊の声が、雪がやんで冴え渡った月夜の淑<br />
気と漂う面妖な色の魅力的なこと。お熊の伝三郎への愛しさを描いて素晴らしい。特<br />
に、伝三郎にこれ程惚れているお熊は聞いた事が無い。「お前の敵はあの旅人」と叫<br />
ぶ声の良さ切なさには参った。</p>

<p></p>

<p>◆２月１５日　上野鈴本演芸場昼席主任</p>

<p>★一朝師匠『天災』</p>

<p>素晴らしい出来。無茶苦茶に面白い。八五郎の跳ね上りぶり、名丸の人間味と人を見<br />
る目の平らさ、そこで生じる二人の人間関係の可笑しさと、呆れるほどの落語らしさ<br />
を堪能。問い詰められた八五郎の「そんな原、作った奴ァ誰だい!?」には笑った笑っ<br />
た。何かッてェと鼻先を強くこする八五郎に名丸が「鼻がなくならないかい？」と<br />
言ったのも無闇矢鱈と愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆１月２０日　第３２回人形町らくだ亭(日本橋劇場)</p>

<p>★小満ん師匠『厄払い』</p>

<p>マクラから実に年頭らしい華やぎや目出度さがあり、特に冒頭、伯父さんのうちに来<br />
た途端、与太郎が耳を片方ずつ摘まみ乍ら言う「こっち(左)が耳、こっち(右)が右」<br />
というのが無闇と愉しく、その与太郎の馬鹿な可愛さが最後まで客席を魅了し続けて<br />
行った。</p>

<p></p>

<p>◆１月２２日　東京マンスリー「古今亭菊志ん毎月連続公演」Ｎｏ．３６～長講１２<br />
席その１～（落語カフェ）</p>

<p>★菊志ん師匠『居残り佐平次』</p>

<p>粋がって野暮になる『居残り』の多い中、リズムでトントン聞かせる、軽快で真に聞<br />
き心地の良い居残り。居残り慣れしてるのを友達に予め告げるけれど、商売人じみた<br />
汚れはなく、「天性、ヨイショと騙りの達人」と言った雰囲気で居残りをする姿に無<br />
駄な陰が無いのが佳い。結果、佐平次の巻き起こす騒動全体が、優れたマンガになっ<br />
ている点、近年では遊雀師匠の『居残り』と双璧。</p>

<p></p>

<p>◆１月１４日　雲助独演会(にぎわい座)</p>

<p>★雲助師匠『お直し』</p>

<p>これまで聞いた雲助師の『お直し』中、一番落語になっていた。イザとなるとカミサ<br />
ンの方が胆が座り、紅を付けて亭主の方を見て座った形に女郎の身過ぎ世過ぎが現<br />
れ、無常感はあるが言葉で押さないから陰気にはならない。チラッと色気があるのも<br />
佳い。更に亭主がついつい仏頂面で「お直しだよ」と繰り返すのも含め、三人の空間<br />
が引き絵で描かれるから階謔の可笑しさが先立つ。戻ってきた酔っ払いが鼻白んだよ<br />
うな声と表情で「お直しだよ」とオチを言う。瞬間、その暗さに一寸ドキッとする<br />
が、「矢っ張り廓で間抜けなのはモテたと勝手に勘違いする客だねェ」と、帰り道、<br />
思い返せばムフフと可笑しい。蹴転のある夜の風景に過ぎない。それだから面白い。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１８日 雲助月極十番之内捌番(日本橋劇場)</p>

<p>★雲助師匠『くしゃみ講釈』</p>

<p>全体に軽め、短めだが、主人公が乾物屋店先で演じるからくり口上の「カタン」の合<br />
の手が矢鱈と可笑しい。講釈は『難波戦記』。主人公が講釈に聞き惚れてポカンと口<br />
を開けている表情は枝雀師の「好きになってきた」と双璧の可笑しさ。講釈がまた張<br />
りと重みのある結構なもので「雲助十八番」に入りうる高座だった。</p>

<p></p>

<p>◆２月２５日　人形町らくだ亭(日本橋劇場)</p>

<p>★一朝師匠『湯屋番』</p>

<p>序盤が稍カットされていたが、目白の小さん師匠の「全部の若旦那物落語の中で『湯<br />
屋番』の若旦那が一番能天気」という言葉を思わせる能天気さが素敵に可笑しい。特<br />
に番台に座ってからの夢想の跳ねっ返りぶりは他を圧しており、番台に上ろうとする<br />
仕種から、年増との色模様、雷の音など見事にリズミカルで可愛く、仕種の華々し<br />
い、無邪気な大馬鹿者である。</p>

<p></p>

<p>◆５月５日　第六次第八回圓朝座(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★小満ん師匠『塩原多助一代録』</p>

<p>多助が養子になってからお花と婚礼の場に炭船が到着するまで、地噺かと思えば捨て<br />
草鞋・山口屋の強請・四ツ目小町などの名場面を折り込んでの概要通し。特に捨て草<br />
鞋の再利用や炭の秤売りの考案など、多助の優れた経済人性と、その根にある極めて<br />
江戸的なエコ感覚を捉え、『塩原多助一代記』に於ける「江戸の知恵」を浮き彫りに<br />
した独特の高座。</p>

<p></p>

<p>◆３月８日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★鯉昇師匠『二番煎じ』</p>

<p>月番が牡丹肉を鍋に広げ、その上にネギをばら蒔き、味噌を鍋になすって、「瓢の酒<br />
を・・・ヒタヒタッてくらいにかけて」と言いながら鍋を仕立てる鍋奉行ぶりと、牡<br />
丹肉の脂肪が鍋に溶けて行くのを感じさせる妙味。見回りの侍が鍋の残りを箸でかき<br />
集めてモリモリ食べる様子の楽しさと、寒さを凌ぐ温かい食べ物の魅力、人の食べる<br />
事への拘りを嫌らしくなく、愉しく感じさせる独特の面白さだった。</p>

<p></p>

<p>◆３月９日　談春アナザーワールド(成城ホール)</p>

<p>★談春師匠『木乃伊取り』</p>

<p>清蔵の奇怪な擬音の酒の飲み干し方、酒好きでテレ屋の女好きなとこがステキに愉し<br />
く、若旦那に向かって説教する重さを吹き飛ばす。それを若旦那・番頭・頭が面白<br />
がってる雰囲気も嬉しい。オフクロは前半が先代今輔師匠のお婆さんみたいに可笑し<br />
く、清蔵の口から語られる「息子可愛さと心配の余り、夜通し寝られぬ甘い母」の面<br />
が共感出来る。でもその哀れに噺の軸が流されて「良い話」に堕する事なく、若旦那<br />
は「オフクロは勿体無いが騙し良い」と感じてるのが魅力的。</p>

<p></p>

<p>◆８月５日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★さん喬師匠『妾馬』</p>

<p>御屋敷についてから、見る物・聞く物全てに驚き、戸惑い、感動している八五郎の気<br />
持ちで常に彩られた高座で、只管明るい。今回の季節感は大きな柳の木。母親の愚痴<br />
を言う件を抜いて、圓生系的な泣かせから離れつつあり、終盤は明確に落語。「三大<br />
夫、良き友を持ったの」「朋友、Ｆｏｒ ｙｏｕ・・貴方に」など、さん喬師独特の<br />
ギャグの混じり合いもバランス良い。</p>

<p></p>

<p>◆２月２６日　第１２回三田落語会夜席(仏教伝道会館ホール)</p>

<p>★一朝師匠『巌流島』</p>

<p>真に小気味よくトントンと運び乍ら、『井戸の茶碗』の千代田卜齋に通じる老旗本の<br />
気概と深慮が魅力。船頭の鯔瀬と軽妙がまた愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆９月１１日　生志のにぎわい日和(にぎわい座)</p>

<p>★生志師匠『ねずみ』</p>

<p>会話の遣り取りに関して配慮の行き届いた演出。甚五郎は徹頭徹尾職人で巨匠ぶった<br />
とこなどなく、如何にも職人気質溢れる苦労人。卯之吉は序盤、笑っているのに目が<br />
泣いているのが哀れで、ふと涙がこみ上げて来る。ラスト、甚五郎が長めに鼠に声を<br />
掛けると、ユックリ顔を上げた鼠が「お久しぶりです」と挨拶をしてから、改めて甚<br />
五郎の言葉を聞き直し、サゲになるのも独特の工夫。鯉昇師、志ん橋師と並ぶ『ねず<br />
み』の佳作。</p>

<p></p>

<p>◆９月１１日　扇辰日和ｖｏｌ．４２(なかの芸能小劇場)</p>

<p>★扇辰師匠『蒟蒻問答』</p>

<p>喉を絞った発声の、ビュッフェの人物画みたいな印象を与える択善の真面目馬鹿ぶり<br />
が際立っておかしい。しかし択善に限らず、択善を謀るのを「喧嘩ですねェ！」と勇<br />
み立つ八五郎の能天気さ(袈裟輪の代わりが蚊取り線香って</p>

<p>のは笑った)、「衣で飲むな」と諭しながら択善から馬鹿にされたと勘違いするや<br />
「なんだァ彼奴はァ！」と絶叫する六兵衛と、みんな変な人。これだけ怪人物揃いで<br />
可笑しい『蒟蒻問答』は珍しい。</p>

<p></p>

<p>◆９月１３日　第２５０回小満んの会（お江戸日本橋亭）</p>

<p>★小満ん師匠『二十四孝』</p>

<p>　タップリ４０分近く。八五郎の小粋ささえ感じさせる能天気さと小満ん師の端正な<br />
見た目がアンバランスで余計に可笑しく、言葉の一つ一つが活きていて爆笑。大家さ<br />
んは四代目小さん師を見るごとくでピッタリ。八五郎の孝行に呆れる友達、急な孝行<br />
に警戒して身構える阿っ母さんと揃った佳作。</p>

<p></p>

<p>◆９月１３日　第２５０回小満んの会（お江戸日本橋亭）</p>

<p>★小満ん師匠『お文様』</p>

<p>こういう計略を立てる旦那を小満ん師が演じると洒脱になるのが持ち味の強み。妾で<br />
あるお文の健気さがまたしとやかで、矢鱈と悋気心の強いかみさんとの好対照も面白<br />
い。定吉の利発も可愛くて、２５分程にまとめられた尺も筋物として長過ぎず、洒落<br />
た喜劇を見たような小品の印象。</p>

<p></p>

<p>【上々】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<br />
　　　　　　　　　　　　　</p>

<p>◆２月１３日　白酒・甚語楼ふたり会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★白酒師匠『幾代餅』</p>

<p>展開と科白、擽りはほぼ先代馬生師匠のままだが、恋煩清蔵のキャラクターの誇張の<br />
仕方が馬鹿に可笑しい。白酒師が今年一番成功したネタではあるまいか。特に序盤の<br />
女口調の病人ぶりと花魁に会えると判っての太い声への変化、吉原帰り後の「蝶々の<br />
三月」の惚けぶりが堪らなく愉しい。豪気な親方、パワフルなオカミサン、立派な遊<br />
び人の薮井竹庵とキャラクターも揃って、古今亭金原亭の爆笑十八番『幾代餅』の伝<br />
統は目出度く受け継がれた。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１１日　柳家三三『島鵆沖白浪』連続公演６(にぎわい座)</p>

<p>★三三師匠『花鳥召捕り』</p>

<p>長門宅の強請場で見せる、前回までとは全く人物像の違うお寅の「黒き心」が六ヶ月<br />
の中で一番三三師に似合って存在感が圧倒的。色気はさのみ感じないが、玄若を脇差<br />
しで刺し殺す件まで、雲助師の描き出す幕末ピカレスクの粋や退廃ではなく、心底か<br />
らヒヤリとする「人の心に巣食う闇」を感じさせる。『乳房榎』の磯貝浪江と並ん<br />
で、三三師の代表的人物像だろう。</p>

<p></p>

<p>◆３月１３日　第２４７回小満んの会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★小満ん師匠『妾馬』</p>

<p>実に面白い。序盤は八五郎の母おくらの気の強さが素敵に面白い。八五郎は縞の着付<br />
けにピッタリで、大家との遣り取り、三太夫との遣り取りのテンポの良さ、軽妙さ、<br />
的確にざっかけない人物造型が魅力。三太夫まがた絶妙。重臣だが落語らしく堅苦し<br />
くない佳さに圧倒される。殿様の品格と一寸ひよわな雰囲気は黒門町譲り。士分に取<br />
り立てられた八五郎に殿様が洒落につけた名前・泡吹蟹右衛門がまた実に馬鹿馬鹿し<br />
い。</p>

<p></p>

<p>◆２月２日　第三回正蔵・馬石・一之輔の会(六本木スプラッシュ)</p>

<p>★馬石師匠『二番煎じ』</p>

<p>演出力抜群。月番の視線で夜回りの一団が分かるのは凄い。酒盛りになって、湯飲み<br />
が一つ、箸が一膳しかないため、それを手にした者にみんなの視線が集まるのも馬鹿<br />
に可笑しい。そのほか、敢えて冷酒を煽る際の半ちゃんの動きが可笑しさと同時に土<br />
瓶の燗酒の減ってゆく様子を示すなど、理に落ちない数々の伏線の張り方が素晴らし<br />
い。「煎じ薬」を前で言わず、月番の思いつきにしたのも自然である。</p>

<p></p>

<p>◆１月２１日　浅草演芸ホール下席昼主任</p>

<p>★小満ん師匠『按摩の炬燵』</p>

<p>この噺で省略され勝ちな、番頭の奥への気遣いが適切に演じられているのは印象的。<br />
米市と番頭の関係も親友設定ではなく、お互いに気を遣っている。それでいながら番<br />
頭に如何にも芯のあるのが大店らしい。また、米市の陽気な酔い方は矢張り噺の救い<br />
になる。湯飲みに継ぎ足し継ぎ足しで三杯を空けた酒がジンワリ回って、普段の明る<br />
さが一層饒舌になる按配も結構。</p>

<p></p>

<p>◆１月２３日　志の輔らくごｉｎＰＡＲＣＯ２０１１(ＰＡＲＣＯ劇場)</p>

<p>★志の輔師匠『ガラガラ』</p>

<p>　町会長が次第に妖怪化して、呪いの言葉を吐き出すナンセンスさは、圓丈師⇒喬太<br />
郎師系の新作っぽい。また、町会長がダミ声で発する呪いの土着感覚は富山的アラハ<br />
バキの雰囲気あり。雪深い立山連峰の奥か、富山湾の深海でホタルイカやチョウチン<br />
アンコウと同じ辺りにいそうな様子で、サンダかガイラみたいだ。</p>

<p></p>

<p>◆１月２３日　よってたかって新春２１世紀らくごスペシャルＯｎｅｄａｙ(よみう<br />
りホール)</p>

<p>★市馬師匠『竹の水仙』</p>

<p>甚五郎が名人クサくせず、気軽な職人態。宿の主人も口は悪いが職人っぽく、「売切<br />
れ」と綿貫権十郎をからかう件も嫌らしくならない。細川越中守には品格あり、家<br />
臣・綿貫権十郎は粗野・粗暴に演じられ勝ちな役だが、まともな治武田治部衛門程度<br />
である。全体に恬淡として、名人譚の嫌らしさがないので聞き心地が素敵に良かっ<br />
た。</p>

<p></p>

<p>◆１月２７日 第２８７回三遊亭圓橘の会(江戸深川資料館ホール)</p>

<p>★圓橘師匠『富久』</p>

<p>久蔵は吉原でも名を知られた幇間の設定で、調子に芸人らしさが出ていて嬉しい。火<br />
事見物に屋根に上がる長屋の連中から寒さを強調するのは気分が出るし、大きな声が<br />
寒夜の屋根上と地びたの感じを出す。酒乱は酒に意地汚い雰囲気になるが鬱屈は余り<br />
強くない。絡み酒というより煩い泣きクド上戸。椙の森神社は大声を発して怒るが、<br />
富札を見つけて拝み悦ぶのも愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆１月３１日　道玄坂落語会「白酒　初春の会」（マウントレーニアホールプレ<br />
ジャープレジャー）</p>

<p>★喜多八師匠『薬缶舐め』</p>

<p>見事に小三治師の演目から抜けて、喜多八師の噺になった。女中の真摯さと侍の馬鹿<br />
馬鹿しいハイテンション、その遣り取りを目にして馬鹿笑いしている可内の存在が<br />
クッキリとマンガになっていりのは素晴らしい。</p>

<p></p>

<p>◆２月２８日　第１５回浜松町かもめ亭「喜多八・一之輔二人会」(文化放送１２Ｆ<br />
メディアプラスホール)</p>

<p>★一之輔サン『明烏』</p>

<p>立派なトリネタになる可能性大。源兵衛太助の割を食う間抜けな小悪党ぶりは正に適<br />
役で、しかもドサでなく、十分にすっとこどっこいだけれど何処か鯔瀬な江戸っ子を<br />
感じさせる。遊び人の阿父っつぁんがちゃんと倅を心配しているのも良い。時次郎の<br />
「青少年向け吉原入門で読みました」「ナイチンゲールという人はクリミヤ戦争<br />
で・・」や怪物みたいな遣り手の登場には笑った。</p>

<p></p>

<p>◆１月４日　深川モダン寄席二日目(深川東京モダン館)</p>

<p>★小圓朝師匠『禁酒番屋』</p>

<p>この野暮な噺を演じながら、サラッとした科白の調子、体のこなしに三代目三木助師<br />
匠を思わせる粋な雰囲気、小味な味わいが何となく漂う。油屋に化けて番屋に行く件<br />
で侍の言った「手は汚れん。お前が注げ！」は馬鹿に可笑しかった。</p>

<p></p>

<p>◆８月１３日　第四回正蔵・馬石・一之輔の会(六本木ＢｅｅＨｉｖｅ)</p>

<p>★馬石師匠『船徳』</p>

<p>船頭たちが「親方の小言」と聞いてアタフタする表情が生き生きと間抜けで実に落語<br />
らしいのに感心。船頭たちが親方のいる二階に上がって行く雰囲気も楽しいし場面が<br />
出る。漕ぎ出してから、棹の扱いはリアル。徳の短気な所はお祭佐七っぽく結構形の<br />
良いけど怒りんぼなのが可笑しい。客二人は困りキャラなのだが、妙に必死に徳を助<br />
けるのが可笑しく、また煙草がなかなか点かない件で一方が「あたしが一拍置くか<br />
ら」と言ったのには爆笑。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１４日　新宿末廣亭昼席主任</p>

<p>★遊三師匠『お見立て』</p>

<p>喜瀬川の隣に間夫がいて、喜助に杢兵衛大尽を追い返す手間を払うのは初めて聞い<br />
た。「注文流れの墓石」「花魁が姿が良かったですから墓もスラーッ」としたなど初<br />
見のセリフ多数。杢兵衛大尽は東京で演じるられ中で一番の山家者。喜瀬川もリアル<br />
過ぎず醜男ぶりを嫌っているので極端に冷淡ではないので聞き心地が気楽。杢兵衛は<br />
如何にも大柄で武骨な醜男でいて、結構二枚目気取り。墓参りの途中、喜助に「花魁<br />
と御大尽の中なんてものは」とおだてられ、ヤニ下がって小遣いをやるのも可笑し<br />
い。</p>

<p></p>

<p>◆１月４日　深川モダン寄席二日目(深川東京モダン館)</p>

<p>★きつつきサン『黄金の大黒』</p>

<p>「矢張り何だね、大家さんとこの猫は兄貴の猫より肉付きがいいね」「うちの猫も<br />
やっちまったのか！長屋から生き物、居なくなっちまうぞ」「後は人間だけ」には爆<br />
笑。「紋が見えるから(体を斜にして)歩け」等、工夫されたギャグの可笑しさ、相変<br />
わらず圓丈師匠を思わせるハイテンションは素晴らしい。一之輔サンと爆笑対決をさ<br />
せてみたい。</p>

<p></p>

<p>◆１月５日　初笑いモダン館三日目(深川東京モダン館)</p>

<p>★きつつきサン『熊の皮』</p>

<p>カミサンのベラベラ喋って好き勝手にコキ使う様子からコキ使われている甚兵衛サン<br />
の姿が浮かぶ。褌を取る為に木に登って落ち、虚に足を入れたら蜂に刺され、と虐待<br />
される甚兵衛サンに表情一ツ変えないカミサンと殆ど佐助のように従う甚兵衛さんの<br />
夫婦像が抜群。先生の家で「電波が途切れる挨拶」をする場面も可笑しいのなんの。</p>

<p></p>

<p>◆１月１８日　落語教育委員会(なかのＺＥＲＯ小ホール)</p>

<p>★歌武蔵師匠『茶金』</p>

<p>「落語を演じる能力の高さ」を感じる高座。登場人物みんな気持ちが良くて、噺が落<br />
語らしさに溢れている。茶金サンの品格は米朝師や先代馬生師匠とは径庭があるが、<br />
油屋八五郎の良さが其れを補う。これだけキャラクターの良い、芝居になり過ぎな<br />
い、ストレートな江戸っ子の油屋は初めて聞いた。</p>

<p></p>

<p>◆４月２５日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★三三師匠『湯屋番』</p>

<p>若旦那は結構、野心家キャラクターなのだが、常と大きく異なり、最初から妙にテン<br />
ションが高く、ドンドン野心家ぶった馬鹿になって行き可笑しい。それを見ている銭<br />
湯の客たちの「みんな一例に並んで見ろ」「湯冷めするといけないから、湯に入って<br />
見よう」も客観的で愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆２月１５日　人形町市馬落語集（日本橋社会教育会館ホール）</p>

<p>★市馬師匠『夢金』</p>

<p>大きい。特に熊が船を漕ぎ出した瞬間のダイナミズムはかつて誰の『夢金』からも聞<br />
いた事のない魅力。欲得の嫌らしさのない芸風は熊にも反映して、欲張りの嫌らしさ<br />
はなく、或る意味、芝居っぽいのだが、商業演劇でなく歌舞伎の世話物に近い。侍が<br />
また立派で剛胆な雰囲気だから、ピカレスクとしてもスケールが出るのは佳い。</p>

<p></p>

<p>◆５月２８日　談春らくごｉｎ日本橋（日本橋三井ホール）</p>

<p>★談春師匠『紺屋高尾』</p>

<p>少し泣いた。親方の「良かったな」が一番のセリフだった。高尾の「久蔵さん・・元<br />
気？」も惚れてうぶになった言葉で今までの談春高尾では一番。</p>

<p></p>

<p>◆４月１５日　人形町市馬落語集(日本橋社会教育会館ホール)</p>

<p>★市馬師匠『百年目』</p>

<p>旦那、番頭次兵衛が柔らかく出来るだけでも凄いのだが、終盤の大旦那の科白がメソ<br />
メソせず、『淀五郎』の團蔵同様、「人を育てた喜び」を感じさせる辺りは余人の及<br />
ばぬ市馬師ならではの世界だろう。また、其処に「弟子をそれぞれの形に育てる名<br />
人」だった目白の小さん師匠の姿がダブる。栴檀と南縁草の関係が、大師匠⇔市馬師<br />
匠⇔お弟子になぞらえて見えるなんて『百年目』は他にない。</p>

<p></p>

<p>◆９月９日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★茶楽師匠『線香の立切れ』</p>

<p>見事なまでに会話に無駄がない。私の知る「東京のスタンダード『立切れ』」で「寄<br />
席名人」の芸。蔵中の静寂に包まれて心穏やかな若旦那が実に良い。番頭の出過ぎな<br />
い利発さと使用人らしい物腰、それでいて漂う貫禄は東京の噺家さんでは珍しい。小<br />
久が死んだと知ってからの狼狽に現れる気の弱さ。女将が若旦那の蔵入りを知ってか<br />
らの見事な明るさ(色町の配慮だなァ)が小久の死という陰と好対照を為して噺を人情<br />
噺に堕落させない。</p>

<p></p>

<p>◆４月１日　新宿末廣亭夜席主任</p>

<p>★小満ん師匠『長屋の花見』</p>

<p>「良い人」が次第に残忍性(笑)を帯びてくる大家の性格付けと、それに苦しめられる<br />
長屋中の苦闘が愉しい。月番「そう言ってオフクロがあたしの手を握ってキューッ<br />
と」大家「臨終の説明なんかするな」の遣り取りが可笑しく、大家の「法事の挨拶<br />
じゃねぇぞ」も笑った。</p>

<p></p>

<p>◆５月１３日　第２４８回柳家小満んの会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★小満ん師匠『しびん』</p>

<p>道具屋を一喝する侍の気組みの立派な事と清廉さが結構。対照的に道具屋が嘘をつき<br />
ながら一瞬見せる小狡い目が面白い。侍の活け花姿は風趣あり。花を活けて二拝する<br />
辺り、座敷の畳に差す午後の柔らかい日差しを感じる。</p>

<p></p>

<p>◆４月２８日　新宿末廣亭夜席主任</p>

<p>★一朝師匠『大工調べ(上)』</p>

<p>次第に明らかになって来る大家の因業、相手の反応を読みきれず自分の面子に拘って<br />
キレる棟梁、二人の間で半ば面白がり乍らオタオタする与太郎と三人三様の人物造型<br />
が明確で、しかも傍目に滑稽だからステキに可笑しかった。</p>

<p></p>

<p>◆４月２８日　新宿末廣亭夜席</p>

<p>★小里ん師匠『手紙無筆(上)』</p>

<p>兄貴分の困惑と次第に深まる弟分の疑念が交差する可笑しさ。「『手紙無筆』でひっ<br />
くり返す」とはこういう事かと納得した。客席のリアクションの良さが出来の素晴ら<br />
しさを物語っている。</p>

<p></p>

<p>◆４月２８日　新宿末廣亭夜席</p>

<p>★小燕枝師匠『千早振る』</p>

<p>　隠居の胡散臭さは当代随一かも。知らない事を誤魔化そうとする部分と、答えよう<br />
がなくて困っているのを八五郎に分からせまいとする可笑しさが二重構造の面白さを<br />
生み出す。「龍田川ァ～・・・（小声で）負けるなァ～・・・（声が大きくなる）<br />
アッ、お前な」と龍田川を相撲取りにする事を思い付く件から逃げ腰だった態度が裏<br />
返って行く可笑しさは独特。</p>

<p></p>

<p>◆８月１１日　第六次第九回圓朝座(全生庵座禅堂)</p>

<p>★小里ん師匠『小雀長吉』</p>

<p>　長吉の悪さが圓生師のように「嫌らしい子供」でなく、「子供の反発」に感じられ<br />
る。山崎屋で権九郎が長吉に百両盗めと命令するまでの遣り取りが逆に長吉の「悪<br />
心」が「悪党」へ流されて行く「人の無常」を漂わせる。後半の長吉からは「里心が<br />
出るようでは泥棒も落ち目」ってのが分かる。柳系の「自然体の人情噺」の魅力を堪<br />
能した。</p>

<p>◆７月２２日　第２９回特撰落語会「喬太郎・兼好・一之輔、誰かが二席の三人会」<br />
(深川江戸資料館小劇場)</p>

<p>★兼好師匠『お化け長屋』</p>

<p>　二人目の入居希望者が軽くパアパアしているのがジム・デイルのビル・スナイブス<br />
ンみたいで何度も「手短かにしろ」と両腕を一気に縮める動きが抜群に可笑しい。混<br />
ぜっ返しの調子は白酒師を更に軽くした印象で嫌みなく愉しい。後半は六代目柳橋師<br />
同様、長屋の連中が入居者を追い出そうと計画するもので、半ちゃんが如雨露や箒を<br />
忘れて屋根に上がり擬音を口で演る辺りや、寺の鐘、仏壇の鈴を鳴らす掛かり、襖を<br />
無音で開ける親方の三人が調子に乗って叩きまくり、開け閉めしまくるドタバタコメ<br />
ディで愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆７月１５日　池袋演芸場夜席</p>

<p>★小里ん師匠『居残り』</p>

<p>盲の小せん師型の流れだが、余り詐欺師っぽくなく、洒落感覚がベース。人物像も軽<br />
快で、居残りと居直った辺りからクスクス笑いが広がって行く。飽くまでも派手に演<br />
じない師匠だが、如何にも明るい。</p>

<p></p>

<p>◆７月２６日　ＳＷＡクリエイティヴツアー(紀伊国屋サザンシアター)</p>

<p>★喬太郎師匠『任侠流山動物園』（白鳥師作）</p>

<p>ほぼ原作通りだが、白鳥師より東映任侠映画っぽい、というか喬太郎師らしい。豚二<br />
の雰囲気もある意味、任侠映画世界的に一途。パンタのパン太郎は金子信男でなく成<br />
田三樹夫系ってとこかな。この噺を聞くと「芝居的な落語」という意味では白鳥師と<br />
芸系が似ているのも分かる。</p>

<p></p>

<p>◆７月３１日　東京マンスリー４２ヶ月目「長講１２席その７」(らくごカフェ)</p>

<p>★菊志ん師匠『九州吹き戻し』</p>

<p>江戸に戻る前夜の喜之助の夢想が軽くて芸人らしくて非常に面白い。基本的にこの噺<br />
の「落語として可笑しい点」はクリアされている。喜之助が時を間違えて旅立ち、水<br />
主に会う件で一度怪談っぽく締めて、船出しての各国娼妓名前違いで笑わせ、嵐に遭<br />
うという四段の切り替えが必要。そこで、水主に会う件や嵐の件は下座から囃子を入<br />
れて良いと思った（後に入れて口演）。</p>

<p></p>

<p>◆６月３日　第四回一之輔夢吉二人会「夢一夜」（日本橋社会教育会館ホール）</p>

<p>★夢吉さん『蜘蛛駕籠』</p>

<p>序盤から新米の半女の子っぽいカワユイキャラがまず可笑しい。茶店の亭主にすがる<br />
のが強烈。酔っぱらいは最初、酔ったり醒めたりが気になったが途中から可笑しさが<br />
増した。踊る男に合わせて、嫌がっていた新米の動きが段々愉快になる変化が一番の<br />
出来でこれには笑った笑った。</p>

<p></p>

<p>◆６月８日　道楽亭寄席『桂平治独演会“練る”第七夜』(道楽亭)</p>

<p>★平治師匠『お化け長屋』</p>

<p>　「滅多に演らない噺」との事だが、そういう感じがしない。杢兵衛の語る怪談がマ<br />
ジで怖いのが特徴。そこに二人目の家探しでらくだの兄貴分みたいなのが来て掻き回<br />
す。「お前が殺ったろう！」と言われて泣き出した杢兵衛が二人目の男に「これで拭<br />
け」と差し出された雑巾で顔を拭き、気付いて大切な雑巾を投げてしまい、後に「一<br />
寸それ、拾って下さい」という繋がりのギャグは実に可笑しい。</p>

<p></p>

<p>上　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　</p>

<p>◆１月８日　新宿末廣初席第三部</p>

<p>★小圓右師匠～伸治師匠『初天神』</p>

<p>フワフワッとした二人がフワフワッとリレーして、端折り乍らも親子の愉しさを堪能<br />
させた。小圓右師の飴屋の「イラッシャーイは先代柳好師匠の『道具屋』を彷彿とさ<br />
せる軽みアリ。</p>

<p></p>

<p>◆２月１７日　上野鈴本演芸場昼席</p>

<p>★白酒師匠『親子酒』</p>

<p>カミサンが亭主の言う「綺麗だよ」「愛してる」を「本当ですね」と念押しするのが<br />
可笑しい。親旦那の酔い方はまだ余り酒好きに見えないけど。倅が「ベロベロです」<br />
と言うのは初めて聞いた。</p>

<p></p>

<p>◆２月２１日　『喬太郎、鯉昇、桃太郎三人会』(練馬文化センター小ホール)</p>

<p>★喬太郎師匠『抜け雀』</p>

<p>終盤、鳥籠を前にした亭主と伜絵師の会話は人情噺のトーン。伜絵師が亭主に言う<br />
「千両で売らなかったのか?」「だって貴方、売っちゃいけないって言ったじゃない<br />
ですか」「バカッ!」の「バカッ!」の嬉しそうな声は人情噺的情感で忘れ難く、「さ<br />
ん喬一門」の言葉だな、と嬉しく思った。喬太郎師の短いひと言(『按摩の炬燵』の<br />
「寒いな」など)の情感は他に演じ手がない。</p>

<p></p>

<p>◆２月２３日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★一之輔さん『長屋の花見』</p>

<p>長屋の連中が蓆を横に並べるのを、大家が目で追う的確な視線の可笑しさ、一升瓶や<br />
重箱の重さを的確に現す動きなど、一朝師譲りの言葉だけに頼らない可笑しさ、表現<br />
力を示してくれた。</p>

<p></p>

<p>◆５月２１日　第三回柳家甚語楼の会「リャンコも色々」(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★甚語楼師匠『抜け雀』</p>

<p>昨年の「ふたり会」からハッキリと改訂・成長。鳥籠を理解した宿屋の主が「心の眼<br />
が開きました」と言うのが可笑しく聞こえるのは偉い。人物造型も過不足がない。老<br />
絵師が絵描きと知って、宿屋主が「貴方、もしかして一文無し？」と訊く思考回路の<br />
可笑しさは相変わらず一寸したものである。</p>

<p></p>

<p>◆３月３１日　池袋演芸場余一会昼の部「柳家喬太郎の会」</p>

<p>★喬太郎師匠『つる』</p>

<p>ネタ卸し。「極道篇」というか、隠居と八五郎でなく、非合法業界の兄貴分から鉄砲<br />
玉候補の大馬鹿者のヒデが教わる展開。ヒデは街中で一般市民を捕まえて「首長鳥が<br />
鶴になった理由」を無理矢理教える。オチは血がツーで電話がルーで「あっ、ツル<br />
だ」。爆笑に次ぐ爆笑改作。</p>

<p></p>

<p>◆２月２６日　第１２回三田落語会昼席(仏教伝道会館ホール)</p>

<p>★圓太郎師匠『締込み』</p>

<p>泥棒の暢気さ、人の良さ、夫婦のおバカな惚れ合い方とキャラクターが立っていて普<br />
通に演じながら実に可笑しい。泥棒が「あっしはまだ、物を盗って逃げた訳じゃな<br />
い。それを“泥棒”とは、必死の思いで喧嘩を止めに出てきたのに酷い」と泣くのに<br />
は笑った。</p>

<p></p>

<p>◆２月２６日　第１２回三田落語会夜席(仏教伝道会館ホール)</p>

<p>★さん喬師匠『萬金丹』</p>

<p>久々・食い詰め旅人二人の自棄な坊主ぶりは先代柳朝師匠や小三治師匠とも又違う無<br />
茶苦茶さがある。それと、飽くまでも泥臭くない、稍メルヘンチックな落語国的田舎<br />
者檀家連中の対照が可笑しい。</p>

<p></p>

<p>◆３月１３日　生志のにぎわい日和(横浜にぎわい座芸能ホール)</p>

<p>★生志師匠『堀の内』</p>

<p>最後で実は親子三代粗忽だった、という展開は面白い工夫。銭湯に親子が手を繋いで<br />
行く姿が、如何にも生志師匠に似合って良いなァ。堀の内に行く途中で絡む禿頭の男<br />
が、銭湯で再登場する美味しい役になっているのは、家元の映画配役好みっぽくて実<br />
に愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆２月２７日　第１５回赤鳥寄席第９回桂平治おさらい会(目白庭園赤鳥庵)</p>

<p>★平治師匠『蛙茶番』</p>

<p>芝居の件を丁寧に演じたが、『掛取り』同様、芝居掛かりに重量感があり、赤松満祐<br />
の亡霊が大きく、古風にそれらしい。勿論、定吉と半ちゃんの馬ッ鹿馬ッ鹿しい遣り<br />
取りには文治師譲りの跳ねっ返りの愉しさがある。半ちゃんが「小間物屋のミィ坊」<br />
と聞くと身を捩って女形風になるのがまた一興。</p>

<p></p>

<p>◆３月１３日　第２４７回小満んの会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★小満ん師匠『雁風呂』</p>

<p>老公の風趣に時代世話の魅力があり。「隠居の身」と名乗る雰囲気が西山荘の敷居無<br />
き造りに思い至る。光國公と淀屋のたまゆらの邂逅が正しく「燕の便り、雁の文」を<br />
思わせるのが妙味。</p>

<p></p>

<p>◆４月７日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★志ん輔師匠『小言幸兵衛』</p>

<p>幸兵衛が物凄く変な、小言屋というより「揚げ足取り大好き」な奴で、その我が儘な<br />
妄想に豆腐屋と仕立て屋が翻弄される気の毒さが馬鹿に可笑しい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２６日 第４回柳家甚語楼の会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★甚語楼師匠『崇徳院』</p>

<p>近年、これだけ可笑しい『崇徳院』は珍しい。柄に無い若旦那を崩さず丁寧に演じて<br />
恋煩いのマジぶりを出したのが良く、目を真ん丸にするとスッと落語国の住人になれ<br />
る熊の可笑しさと良き対比を見せてくれる。若旦那の恋煩い話を聞く件から、熊さん<br />
の可笑しさは素晴らしい。中でも「三軒長屋を貰ってもねェ…三軒分の家賃をあっし<br />
が払うんでしょ？」には笑った笑った。目白的落語国人物像として実に優れて愉しい<br />
『崇徳院』である。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１５日 志ん輔三夜～第三夜(国立演芸場)</p>

<p>★志ん輔師匠『文七元結』</p>

<p>６０代が楽しみになる『文七元結』。ギラギラしていた物が消えて綺麗な高座になっ<br />
た。間をとっても雰囲気の途切れないのが良く、燭台を立てて聞いているような落ち<br />
着きがある。派手さはあるが五月蝿くない。嫌なセリフ、人を追い詰めるセリフがな<br />
い、そういうキャラクターなどいない。志ん朝師系の芝居落語なのだが、ドラマでな<br />
く寓話に感じられるのが古今亭らしい。長兵衛が吾妻橋で文七に言う「こんな綺麗な<br />
金はねェぞ」が一番のセリフ。</p>

<p></p>

<p>◆４月１９日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★雷蔵師匠『蛙茶番』</p>

<p>破綻なく手堅いだけでなく、サーッと聞かせているようでい乍ら、半ちゃんの跳ねっ<br />
返りが過不足なく描かれている。芝居見物の客が半ちゃんの下半身を見て、「膝が三<br />
つある」と言っても下品にならない辺りが特色。</p>

<p></p>

<p>◆４月１０日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★志ん馬師匠『厩火事』</p>

<p>お崎さんがオカメ面、という設定は珍しい。旦那がお崎夫婦の先行きを或る意味、面<br />
白がっている雰囲気が感じられる。聞いていて嫌な心地がしないのは、お崎さんがオ<br />
カメ面で亭主の新公が傍目にも一寸良い男だって事がある。</p>

<p></p>

<p>◆４月１０日　池袋演芸場夜席</p>

<p>★菊志ん師匠『本膳』</p>

<p>白雪姫にくっついて来る七人の小人の中から、賑やかなのばかり集めて来たみたいな<br />
村人連中のキャラクターがマンガ的で可笑しく、菊志ん師の「バイキンマン」みたい<br />
な声柄と適って、派手に愉しい噺になってる辺りは古今亭らしくて良い。</p>

<p></p>

<p>◆５月２７日　新宿末廣亭夜席主任</p>

<p>★柳家蝠丸師匠『高尾』</p>

<p>仲入りまで全滅の寄席で、トリで『高尾』を始めたから驚いた。それが「廓噺は最<br />
近、少ないけれど、女郎の悪口を言っても、客席から文句は出ない」とか、文治師匠<br />
の十八番の口説き文句やら高尾の手紙は扇子に買いてある訳じゃない、等、自在に噺<br />
と出入りして２５分、ほぼ受け続けて初心のお客さんを愉しませたのは大感心。</p>

<p></p>

<p>◆２月８日　下北沢演芸祭“春風亭昇太トリビュート”(本多劇場)</p>

<p>★談春師匠『猛犬チャッピー』『力士の春』『噺家の春』</p>

<p>どの噺も、ちゃんと噺の骨格にある馬鹿馬鹿しく、それでいて軽い揶揄・穿ちの楽し<br />
める噺になっている。チャッピーの品は悪いが、それは談春師の精神的な若さもあ<br />
る。初老の犬じゃないのよ。『噺家の春』は小朝師匠が昔演ってた「理想的な噺家を<br />
育成するために子供を圓生師匠に預けたら」というマクラを思い起こさせた。</p>

<p></p>

<p>◆２月１２日　新宿末廣亭夜席主任</p>

<p>★夢太朗師匠『お見立て』</p>

<p>スピーディーでリズミカルで無駄なく、しかも抜群に可笑しい傑作。喜助の言う<br />
「(寺の宗旨は)イスラム教」、喜瀬川の言う「(墓が)在ってたまるかい」も可笑しい<br />
が喜助が杢兵衛大尽の部屋を開けながら言う「お待ち遠様ァ」の軽妙洒脱な良さは、<br />
思わず「そば屋かよ!」と突っ込みを入れたくなる程、廓者の薄情さを愉しく描き出<br />
した名調子。それでいて杢兵衛が涙乍らに墓に語りかける「戒名も貰ったのけ。無縁<br />
(仏)にならなくて良かった」等の科白は杢兵衛の心情を描いて、これまた素晴らし<br />
い。</p>

<p></p>

<p>◆２月１０日　ＳＷＡクリエイティヴ・ツアー～リニューアル＆シャッフル～（本多<br />
劇場）</p>

<p>★昇太師匠『鬼背詣』</p>

<p>母倅物としての汎用性の高さ、落語らしさは喬太郎師匠演を凌ぐ。矢鱈と軽い陰陽師<br />
の登場、与茂吉が鬼化仕掛けた母の背中でベラベラ喋るのが母には全部聞こえてい<br />
た、という可笑しさを軸にした母倅の遣り取りの愉しさ。マザコンッぽいとも言える<br />
が情の深さが落語らしい奥行を形作っている。</p>

<p></p>

<p>◆２月１１日　第六次第七回圓朝座（全生庵座禅堂）</p>

<p>★圓太郎師匠『操競女学校～お里の伝』</p>

<p>面白さを増している。早瀬東馬の粗忽ぶりが終始、愉しいコメディリリーフとなっ<br />
て、敵討物の硬さを忘れさせる。岩淵伝内の愚かな恋に一生を棒に振った男が「恋は<br />
佳いぞ」と語る切ない哀れがまた良い。お瀧婆の下世話なコメディリリーフぶりも似<br />
合う。</p>

<p></p>

<p>◆５月３０日　新宿末廣亭夜席</p>

<p>★遊三師匠『青菜』</p>

<p>最近では会心の出来。前半の仕込み部分に笑いを殆ど置かず、あくまでも我慢して、<br />
終盤の鸚鵡返しで一気に畳み込んだ。カミサンの「お屋敷にお住みよ」のセリフ廻し<br />
の可笑しさ。植木屋の「旦那様」のセリフと形の可笑しさは抜群。更に友達相手に植<br />
木屋が言うセリフにいつもと違う抑揚と良い意味でのクサさがあり、それが見事なメ<br />
リハリになって、実に可笑しかった。</p>

<p></p>

<p>◆４月２０日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★圓輔師匠『文違い』</p>

<p>会話が芝居っぽい突っ込み合いにならない。或る意味、淡い落語的な遣り取りだか<br />
ら、芳次郎の色悪気取り、新宿の薄暗い昼下がりの雰囲気はあるが受けは弱くなる。<br />
角藏の暢気さもだが、この噺、誰が演っても中年以降同士の騙し合いに聞こえるのだ<br />
けれど、圓輔師の場合、芳次郎が一番年嵩な雰囲気で全員が若いのが分かる。中で、<br />
喜助が如何にも妓夫らしい、素人や渡世人とは違う物腰、言葉であるのが印象的。</p>

<p></p>

<p>◆３月２２日　第２１回白酒ひとり(内幸町ホール)</p>

<p>★白酒師匠『山崎屋』</p>

<p>ベーシックな演出に近づけ、独自のギャグよりキャラクターの造形で愉しませてくれ<br />
た。売掛金紛失狂言での芝居掛かりもクサくないのに、クサく演るより可笑しいのは<br />
偉い。番頭の策士ぶりも悪辣な感じがしない工夫がある。特に「店がこんなに大きく<br />
なったのも、みんなお前のお陰だと分かってる」と若旦那が番頭に言うのは独特だ<br />
が、この噺の人間関係の造形としては過去の演者にない、良きアイディアである。</p>

<p></p>

<p>◆４月３日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★志ん輔師匠『お見立』</p>

<p>喜瀬川がすっごく薄情で饒舌で頭が回るといった具合に、コスい花魁の見本のようで<br />
あるのが抜群に可笑しい。喜助が間に挟まって四苦八苦するのがまた可笑しく、杢兵<br />
衛大尽が矢鱈と田舎者で妙にマジで「甘い客」である良さも得難い。オチの科白を喜<br />
助が薄情に言い放つのだけれど、こうまで突き放されると、却ってカラリと後味が良<br />
い。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１６日 池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★甚語楼師匠『転宅』</p>

<p>見得坊で助平で小心で馬鹿で困りキャラな愛すべき泥棒が愉しい。お菊につねられる<br />
と「抓っちゃうわよって、抓ってるゥ(笑)」とヤニ下がり、おだてられて二枚目ぶっ<br />
たり、お菊に財布の金を抜かれて「まじめにコツコツ貯めた金なんだから」と慌て<br />
る。このキャラクター設定とニンが適ってるのが強み。</p>

<p></p>

<p>◆５月１３日　第２４８回柳家小満んの会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★小満ん師匠『紙屑屋』</p>

<p>実に能天気で洒落て軟派な若旦那で、その口から色々と裏知識のある洒落の出るのが<br />
秀逸。それでいて、全然堅くないのが愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆５月１７日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★権太楼師匠『井戸の茶碗』</p>

<p>甚兵衛さん的清兵衛が大活躍で爆笑。「良助、縛り上げろ！」「やです！」等、ある<br />
意味、枝雀師と志ん生師を混ぜた可笑しなキャラクターが愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆５月２０日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★歌奴師匠『胴乱幸助(上)』</p>

<p>柄が幸助に似合う。料理屋への途中で二人が仲直りする様子も愉しい。これから寄席<br />
のトリネタとして楽しみ。</p>

<p></p>

<p>◆５月２日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★桃太郎師匠『勘定板』</p>

<p>田舎者が尻だけでなく、下腹も押さえて便意を我慢するように進化（笑）。この姿の<br />
可笑しさは強烈。</p>

<p></p>

<p>◆５月２日　大日本橋亭落語祭“全てはジャンケンで”(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★三三師匠『魂の入替え』</p>

<p>　スラーッと演って、特別なギャグ無しで聞けるのは語り口の流暢さ故か。少なくと<br />
も私の知る『魂の入替え』では一番メリハリのある出来栄えだった(目白の小さん師<br />
匠のは生で聞いていない)。</p>

<p></p>

<p>◆５月３日　大日本橋落語祭“全てはジャンケンで！”第二夜(お江戸日本橋亭)</p>

<p>★三三師匠『鼠小僧小仏峠(上)』</p>

<p>１４歳の次郎吉が街道の悪党二人をたばかってやろうとする視線にこめられた、怖い<br />
ほど奸智に長けた意志の表現に驚いた。三三師とは「視線」に関する出会いが多い<br />
なァ。</p>

<p></p>

<p>◆５月４日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★平治師匠『青菜』</p>

<p>植木屋の陽気さが最初から噺の世界を明るくする。矢張り、友達大工の「おめえのカ<br />
ミサンは、鰯焼かせたら名人だな。相当焼いてるな」が馬鹿に愉しい。また、亭主の<br />
植木屋に「奥にいろ」と言われ、居場所が無くて困ったカミサンの行動を亭主が制し<br />
て「井戸端まで行くなァ」が夫婦の遣り取りとして妙に可愛くて良い。そのざっかけ<br />
なさに対して、奥さまが色白で白地の縮みの浴衣姿なのも品良く結構。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２０日 第２９４回圓橘の会(深川東京モダン館)</p>

<p>★圓橘師匠『木乃伊取り』</p>

<p>非常に面白い。圓生師型で、飯炊きの久蔵以外の人物が粋に出来ている。その中で野<br />
暮な久蔵がオチに取られる、という皮肉な可笑しさが堪能出来る。久蔵の「おらた<br />
ち、こんな酒は呑めねェ」「こんな歳から大人の中で揉まれりゃあ、人が悪くなるの<br />
も仕方ねェ」の二つのセリフに下から目線と、野暮から見た粋の有りようが出てくる<br />
のは圓生師にも無かった実感で面白い。</p>

<p></p>

<p>◆１１月５日 鈴本演芸場夜席主任</p>

<p>★たい平師匠『らくだ(上)』</p>

<p>「分かる。お前は寂しいから悪い仲間とつるんでんだろ…今日からお前は独りじゃな<br />
い。俺が兄貴だ。飛び込んでこい！」と金八先生みたいな事を言って屑屋が両腕を広<br />
げる可笑しさは素晴らしい。最初は怒って反発してみせた半次が泣き顔になり、号泣<br />
して「兄貴ィ」と屑屋の胸に飛び込む展開は笑った笑った。半次＝ショーケン、屑屋<br />
＝水谷豊の『傷だらけの天使』みたいな二人である。</p>

<p></p>

<p>◆５月６日　　池袋演芸場昼席</p>

<p>★蝠丸師匠『時そば』</p>

<p>二番目のそば屋は今夜が開店の設定。そばが滅茶苦茶なのにもひと理由ある。犬の餌<br />
用を再利用した丼に酸っぱい汁、丼の底に「あたり」の字でもう一杯と畳み掛ける。<br />
最後も成功して去るから「オヤ？」と思わせておいて、貰ったチラシに「本日開店記<br />
念で一杯１２文」のオチに繋がる。如何にも蝠丸師匠らしい改訂。芸術協会の『時そ<br />
ば』は多彩になってきた。</p>

<p></p>

<p>◆４月２２日　第４５回浜松町かもめ亭「映画『落語物語』公開記念」(文化放送１<br />
２階メディアプラスホール)</p>

<p>★百栄師匠『弟子の赤飯』</p>

<p>圓生師匠ソックリな話し方をする高校二年生を落語協会の師匠が噺家としてスカウト<br />
に行く、という設定と圓生師匠風の口調が実に馬鹿馬鹿しい。高校二年生と分かるの<br />
が割と後半になってから、というのは喬太郎師匠の『午後の保健室』系の可笑しさ。</p>

<p></p>

<p>◆４月２３日　第１３回三田落語会昼席（仏教伝道会館ホール）</p>

<p>★さん喬師匠『浮世床・講釈本～夢』</p>

<p>珍しい演目で、近年聞いた記憶がない。講釈本の件はも短くアッサリ。全体に静かな<br />
語り口だが、夢の芝居見物からお茶屋での色事は半ちゃんの気取り方や「聞いてる<br />
か！」の指差しが効いて可笑しい。</p>

<p></p>

<p>◆４月２３日　第１３回三田落語会夜席（仏教伝道会館ホール）</p>

<p>★正朝師匠『愛宕山』</p>

<p>志ん朝師匠型に小朝師匠型をプラス。一八に色気は余り感じないが、欲に駆られた幇<br />
間のリアリティがあり、それでいて間が抜けているから、谷に落ちてからが非常に可<br />
笑しい。旦那が醒めてシニカルなのも独特。一八の言う「京都だけに、とばくちみ<br />
(鳥羽伏見)の戦い」には笑った。</p>

<p></p>

<p>◆４月２９日　「真一文字の会築地支店」(ブディストホール)</p>

<p>★一之輔サン『抜け雀』</p>

<p>登場する主要人物四人が感情を常に伴うから会話に隙間風が吹かない。ギャグは色々<br />
と工夫され、新しくなったが、宿主が猛妻の事を大好きだと分かる「おみっちゃん」<br />
が抜群に可笑しい。感情を伴う「擽り」として愉しく、古今亭・金原亭系統の根底に<br />
ある「夫婦噺」にも自然とかなっている。</p>

<p></p>

<p>◆１０月６日  上野鈴本演芸場夜席主任</p>

<p>★小三治師匠『猫の災難』</p>

<p>これまでに聞いた『猫の災難』に比べて全体のテンポが非常に早く、弛みの無い出来<br />
で実に可笑しかった。チョコチョコと聞いた事の無い擽りも混じっていたが、何たっ<br />
て最初の一杯、二杯を飲むの嬉しそうな表情際、飲み干した後のホワッと愉し気な表<br />
情は『青菜』で植木屋が鯉の洗いを食う場面に匹敵する良さ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月７日 第９回桂平治独演会「練る」（道楽亭）</p>

<p>★平治師匠『蒟蒻問答』</p>

<p>権助と八五郎の会話から入るのは鯉昇師の影響か。二人の自棄みたいに乱暴な精神状<br />
態は先代柳朝師や小三治師的で可っ笑しい。如意棒を手にした択善は花和尚魯智深み<br />
たい、六兵衛親方はらくだみたいと、堅気同士に見えない(笑)怪物的な二人の問答は<br />
ゴジラ対キングコングを見てるようなもの。唖然として見ていた。こんな凄い『蒟蒻<br />
問答』は聞いた事がない。</p>

<p></p>

<p>◆９月２３日 落語教育委員会(にぎわい座芸能ホール)</p>

<p>★歌武蔵師匠『天災』</p>

<p>八五郎が本質的に無邪気なので聞き心地が良い。長屋に戻った八五郎が隣の熊五郎相<br />
手にペラペラと受け受けりを喋った揚げ句、途中で「あたしもここまでは分からな<br />
かった」と言ったのには笑った笑った。</p>

<p></p>

<p>◆９月24日 上野鈴本演芸場夜席主任</p>

<p>★左龍師匠『茶の湯』</p>

<p>ダレ場や無駄なセリフを刈り込んで非常に可笑しい噺になっている。序盤の隠居と定<br />
吉のやり取りからオムツの件などを省き、茶の飲み方もくどくない演出に変えてあ<br />
る。隠居が茶釜を扱う様子はマクベスの魔女が鍋を掻き回すようで無気味に愉しい。<br />
長屋の三人が茶を飲むときの体のくねらせ方は二丁目のママが身悶えしてるみたいで<br />
こんなに可笑しいのは初めて見た。</p>

<p></p>

<p>◆８月７日　池袋演芸場昼席主任</p>

<p>★さん喬師匠『船徳』</p>

<p>若旦那が気障にシナを作る様子や竿をやたらと振り回す形が良くて馬鹿に可笑しい。<br />
本当に変な若旦那で、厄介かつシニカルなとこもあり、疲れて静かになってからが更<br />
に可笑しい。「人は流れのままに身を任せて」「あんたたちなんで乗ったんだ」等、<br />
独特のギャグもあり愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆９月１０日　新宿末広亭夜席主任</p>

<p>★遊雀師匠『宿屋の富』</p>

<p>古今亭型『宿屋の富』では現在東京一番の爆笑だろう。宿屋主人の「夢のようなお話<br />
で」と言いながらの気弱な笑顔で前半を快調に進め、中盤は二番富の男の狂騒が無闇<br />
と愉しく、「あっしはゆうべもここまで来ると泣けて」や呆れて聞いてた男が拍手を<br />
しながら「おめでとう」と言うのがステキに可笑しく馬鹿ウケ。</p>

<p></p>

<p>◆８月２３日　浅草演芸ホール夜席</p>

<p>★圓輔師匠『蛇含草』</p>

<p>今までに聞いた圓輔師の高座でも一、二の出来(曲食いは少なくオチまで)。明快で終<br />
始一貫、リズムが狂わなかった。先師・三代目三木助師の十八番とはいえ、近年この<br />
噺でこうサラッと愉しいのは無い。</p>

<p></p>

<p>◆８月12日　月例三三独演(国立演芸場)</p>

<p>★三三師匠『萬両婿』</p>

<p>大家の「やべッ！」、小四郎の「しめた！」に代表されるように、こういう与太な<br />
キャラクターの揃ったスーダララッタな演出を採る噺は似合って無理なく愉しい。三<br />
三師の場合、「真面目な人がおやかす工夫をしてる苦渋」は微塵も無いから余計にマ<br />
ンガで馬鹿馬鹿しい。前よりシニカルが目立たなくなったのもおやかし意識の効果<br />
か。</p>

<p></p>

<p>◆８月９日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★権太楼師匠『お化け長屋』</p>

<p>キャラクター優先でなく、目白型の運びで、怪談噺を狸杢から聞いた長屋の仲間が怖<br />
がってから「で、どうなんの？」と聞いたのが素晴らしく可笑しかった。権太楼師の<br />
「目白回帰ネタ」の佳作。</p>

<p></p>

<p>◆７月２１日　真一文字の会(内幸町ホール)</p>

<p>★一之輔さん『夢八』</p>

<p>上手いネタを選んで来た。ムンクみたいな首吊り死体が可笑しい。煮しめを食べる<br />
件、薪ざっぽうを叩く仕種も、死体に気付いて驚く表情もコミカルで無理がない。叩<br />
きに小南師匠のようなリズムが欲しいのと伊勢音頭のメロディが少し変なのは惜し<br />
い。</p>

<p></p>

<p>◆７月３１日　東京マンスリー４２ヶ月目「長講１２席その７」(らくごカフェ)</p>

<p>★菊志ん師匠『棒鱈』</p>

<p>「琉球」の代わりに「かまきり」を使ったのが馬鹿に可笑しい。侍が「絶対に儂の事<br />
だ」と怒る様子も、酔っ払いの雰囲気も柳家系とは丸で違う、軽～いマンガになって<br />
いて爆笑。これは売り物になる。</p>

<p></p>

<p>◆７月３１日　東京マンスリー４２ヶ月目「長講１２席その７」(らくごカフェ)</p>

<p>★菊志ん師匠『品川心中』</p>

<p>　ハイスピードだったが、その分、お染・金蔵・妓夫の遣り取りのリアクションが全<br />
て見事に嵌まり、こんなに可笑しい『品川心中』は珍しい。志ん生師匠に聞かせたい<br />
くらいの愉しさだった。親分のうちに戻ってから、稍スピードが落ちて、リアクショ<br />
ンも普通になりかかったのは惜しい。</p>

<p></p>

<p>◆７月１５日　池袋演芸場昼席</p>

<p>★小満ん師匠『夏泥』</p>

<p>ジーンワリと目白系らしい可笑しさ。特に、近年誰もが大声を出させて押す演出を採<br />
る大工が、押さずにサラサラしているのが小満ん師らしい洒脱さを感じさせる。裸の<br />
上に風呂敷を羽織って前に蝋燭一本、という演出がまた嬉しい。</p>

<p></p>

<p>◆７月２０日 第１０５回関内柳家小満んの会（関内小ホール）</p>

<p>★小満ん師匠『青菜』</p>

<p>帰り道で酔いが回って浮かれ出してからの植木屋が嬉しい人格になる。かみさんとの<br />
遣り取りは浮かれ調子のままテンポよくトントンと運んで可笑しく、友達の建具屋相<br />
手になると完全にテンパッた高っ調子でパアバア言って爆笑。全然間を溜めない。動<br />
物園の見合いの件も目白の小さん師とはまた違うマンガで愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆７月２日　上野鈴本演芸場夜席主任</p>

<p>★雲助師匠『妾馬』</p>

<p>御屋敷から八五郎の本領発揮。御広敷で大声を上げる声と形の可笑しさ、物の見事に<br />
「物の分からない奴」のキャラクターが高座上に横溢する。ウェットさは殆どなく、<br />
殿様相手のパァパァした明るい馬鹿馬鹿しさは正に志ん生⇒馬生の本流。大家さんが<br />
ちょいと首を横に振る事で八五郎の入ってくる雰囲気、空間が分かる事など、一寸し<br />
た仕種に見る話芸としての洗練と来ると、雲助師匠世代に若手は遠く及ばないね。</p>

<p></p>

<p>◆６月１１日　第２８回特撰落語会『入船亭扇辰・古今亭菊之丞二人会』(江戸深川<br />
資料館)</p>

<p>★扇辰師匠『線香の立切れ』</p>

<p>扇橋師匠型の見事な継承。色気があり、若旦那に初な硬さと甘さがある。番頭も冒頭<br />
は結構。二度目の出は稍貫禄が下がる。小久の母は少し泣きが入るが、色街らしい色<br />
気があるので涙が邪魔にならない。「こんな逆さま見ようとは思いませんでしたよ」<br />
は流石に扇橋師の老巧なる母の思いに届かず。若旦那の墓前の一挙手一投足に品があ<br />
るのが良い。凜とした哀れあり。</p>

<p></p>

<p>◆６月１５日　談春アナザーワールドⅩ(成城ホール)</p>

<p>★談春師匠『人情八百屋』</p>

<p>　談志家元より良いのではないか。ロマンティシズム、センティメンタリズムが家元<br />
より素直に出て、平助の慚愧の涙も泣きすぎかもしれないが泣かせ過ぎず、頭の江<br />
戸っ子ぶり、その二人の遣り取りに、フッと温かいものを感じて共感出来る。子供二<br />
人も健気で哀れである。変にドラマにしてないし、増して、今の時期だから余計分か<br />
る所もあるスケッチなのが良い。</p>

<p></p>

<p>◆６月３日　第四回一之輔夢吉二人会「夢一夜」（日本橋社会教育会館ホール）</p>

<p>★夢吉さん『両泥』</p>

<p>新米泥の気弱なんだか、キレてんだか分からないキャラクターが抜群。先輩空き巣が<br />
オタオタする様子が自然な受けになっていたのも良く、今まで聞いた『両泥』で一番<br />
可笑しい。こんなに愉しい噺だったっけ。</p>

<p>石井徹也（落語”道落者”）</p>

<p><br />
</p>]]>

</content>
</entry>
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<title>本年もよろしくお願いいたします</title>
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<summary type="text/plain"> 新年おめでとうございます。 本年もかわらず「落語の蔵」および「浜松町かもめ亭」...</summary>
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<name>落語</name>


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<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://www.joqr.co.jp/blog/rakugonokura/">
<![CDATA[<p><br />
新年おめでとうございます。</p>

<p>本年もかわらず「落語の蔵」および「浜松町かもめ亭」「人形町らくだ亭」、<br />
また文化放送の落語番組を御贔屓くださいますようお願い申し上げます。</p>

<p>昨年にもまして、沢山の落語でお楽しみをいただきます。<br />
どうぞご期待ください！</p>

<p><br />
「落語の蔵」スタッフ連中</p>]]>

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<title>お正月は文化放送の落語番組で初笑い！</title>
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<modified>2011-12-31T10:05:54Z</modified>
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<summary type="text/plain">今年一年、「落語の蔵」および「浜松町かもめ亭」「人形町らくだ亭」を御贔屓たまわり...</summary>
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<name>落語</name>


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<![CDATA[<p><font size="3" color="#FF0000"><b>今年一年、「落語の蔵」および「浜松町かもめ亭」「人形町らくだ亭」を御贔屓たまわりまして、まことに有り難うございました。来年もかわらずのお付き合いをお願いいたします。</b></font><br />
<font size="3" color="#FF0000"><b>今回はこの場をお借りしまして、文化放送の【お正月落語放送】の告知を申し上げます。</b></font><br />
<BR><br />
<font size="3" color="#000080"><b>１月１日（日）午前６時～６時４０分</b></font></p>

<p><font size="3" color="#000080"><b>「志の輔ラジオ 落語DEデート」</b></font><br />
<font size="3" color="#000080"><b>ゲスト・池波志乃</b></font><br />
<font size="3" color="#000080"><b>落語・「幾代餅」古今亭志ん朝</b></font><br />
<BR><br />
<font size="3" color="#800080"><b>１月１日（日）午前７時～７時３０分</b></font></p>

<p><font size="3" color="#800080"><b>「大正製薬　天下たい平　落語はやおき亭」</b></font><br />
<font size="3" color="#800080"><b>落語・「正月の唄」初代林家三平（１９６６年口演）</b></font><br />
<font size="3" color="#800080"><b>このほか林家あずみ(たい平門人。初代三平の曾孫弟子）の端唄演奏などをお届けします。</b></font><br />
<BR><br />
<font size="3" color="#008000"><b>１月１日（日）午後１時～２時</b></font><br />
<font size="3" color="#008000"><b>【特別番組】「初笑い！浜松町かもめ亭　桂吉坊の会」</b></font><br />
<font size="3" color="#008000"><b>出演・桂吉坊・吉田涙子アナウンサー</b></font><br />
<font size="3" color="#008000"><b>２０１１年１０月に開催されました『平成23年度文化庁芸術祭参加公演 「浜松町かもめ亭・桂吉坊の会」』の模様をたっぷりと放送いたします。</b></font><br />
<font size="3" color="#008000"><b>落語・「狐芝居」（作・小佐田定雄）をノーカットで。吉坊口演「崇徳院」と松尾貴史口演「くっしゃみ講釈」をダイジェストでオンエア。リスナープレゼントもあり、盛りだくさんの内容です！（秋田放送、北陸放送、福井放送、山陽放送、山口放送、西日本放送、高知放送でもネット放送があります。ただし放送日は局によって違います）</b></font><br />
<BR><br />
<strong>ダイヤルは１１３４。インターネットでのｒａｄｉｋｏでも聴くことが出来ます。</strong><br />
<strong>お正月は文化放送の落語でお楽しみください！</strong><br />
<strong>それではみなさま、どうぞよいお年を！</strong><br />
<BR><br />
<strong>文化放送　落語番組スタッフ一同より</strong><br />
</p>]]>

</content>
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<entry>
<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　１２月下席号</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.joqr.net/blog/rakugonokura/archives/2011/12/post_194.html" />
<modified>2011-12-31T10:31:56Z</modified>
<issued>2011-12-30T10:23:16Z</issued>
<id>tag:www.joqr.co.jp,2011:/blog/rakugonokura//160.56596</id>
<created>2011-12-30T10:23:16Z</created>
<summary type="text/plain">はやいもので今年もあと数時間。みなさま、いかがお過ごしでしょうか？ 今回は石井徹...</summary>
<author>
<name>落語</name>


</author>

<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://www.joqr.co.jp/blog/rakugonokura/">
<![CDATA[<p><font size="3" color="#006030"><b>はやいもので今年もあと数時間。みなさま、いかがお過ごしでしょうか？</b></font></p>

<p><font size="3" color="#006030"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の１２月下席号をお送りします。稀代の落語”道落者”石井徹也さんによります、本年の末尾をかざるレポートをお楽しみください。</b></font></p>

<p>※ブログ管理上の都合により、更新日が「３０日」になっていますが、実際には大晦日の１９時過ぎにアップをしています。</p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p>◆１２月２１日　上野鈴本演芸場年末特別興行「年の瀬に『芝浜』を聴く会」（上野<br />
鈴本演芸場)</p>

<p>和楽社中/左龍『肥瓶』/燕路『辰巳の辻占』/紫文/白酒『四段目』//～仲入り～//<br />
ダーク広和/ロケット団/たい平『芝浜』</p>

<p>★たい平師匠『芝浜』</p>

<p>情の強い『芝浜』である。魚勝が「夢だ」と言われての狼狽。かみさんの告白の直情<br />
さ。共に直情故の嘘の無さを感じる半面、特にかみさんの告白は感情がベッタリと裏<br />
に張り付き過ぎていて、落語としては些か息苦しい(その意味では家元的な『芝浜』<br />
である)。魚勝が拾った金を自分の物にしようとする件や「夢だ」と騙されて納得す<br />
る件は「笑い」が小道具として上手く配置されていて愉しく聞けるが、かみさんの告<br />
白は心理の緩急が無く、些か聞きダレがする。告白の前に、勝が酒で駄目になってい<br />
る魚熊の家に融通をしてくる、そして熊のかみさんが「店の若い方に」と礼に持って<br />
来た酒が勝の許した後に活かされる演出は面白い。この「かつての自分のような境遇<br />
の魚熊」と「苦しい中、お礼に酒を持ってくる熊のかみさん」をもう少し、かみさん<br />
の告白以降も夫婦の遣り取りに活かせないかな？</p>

<p></p>

<p>◆１２月２１日　落語協会特選会第４９回柳家小里んの会(池袋演芸場)</p>

<p>小里ん『垂乳根』/麟太郎『御神酒徳利』//～仲入り～//小里ん『三枚起請』</p>

<p>★小里ん『三枚起請』</p>

<p>前半が非常に面白く、三馬鹿トリオが吉原の茶屋に着いてから少しテンションが落ち<br />
た。茶屋の女将と喜瀬川、女二人の登場が気になったのかな。一番若い若旦那亥之さ<br />
んの喜瀬川に対する馬鹿な惚れ方が、セリフと起請の入っている懐を押さえる形から<br />
如実に分かるのが愉しい。それでいて騙されたと分かると諦めの早いとこが若旦那ら<br />
しい青さで可笑しい。棟梁は一番歳上で態度も立派だが、実は内心忸怩たる物があ<br />
り、喜瀬川への未練も強いのが感じられるのが面白い。清公は中間の年齢だけれど如<br />
何にもトッポい。この明確な三者三様の遣り取りがが無言を巧く使った仕種の鮮やか<br />
さと(明らかに目白の小さん師の動き)、セリフの的確さで浮かび上がるから、二乗の<br />
効果となって無闇と面白い。茶屋の女将は余り出てこないが、暢気な雰囲気で可笑し<br />
い。喜瀬川が来る前、三人が繰り広げる馬鹿な遣り取りがイマイチ盛り上がらなかた<br />
のは不思議。喜瀬川は二階に聞かせるわざとらしい挨拶などしないから、成る程三人<br />
が惚れるのも分かる可愛さがある。部屋に入ってから棟梁に対する態度は「女房」<br />
で、「反故っ紙を使ってるんだね」と喜ぶ辺りは世話女房の甘味がある。この辺りが<br />
女郎の手管過ぎないのが落語らしくて良い。二人が現れてからの遣り取りも喜瀬川が<br />
キッとなりすぎず、棟梁も太腹中を見せるので、芝居になり過ぎずにピタッと句読点<br />
を打った感じだ。</p>

<p>★小里ん師匠『垂乳根』</p>

<p>前座噺を優れた腕前の真打が、セリフの的確な心持表現、見事に決まった仕種で、<br />
ちゃんと演じると非常に面白くなるというお手本。今夜は特にお千代さんの科白と仕<br />
種が抜群。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２２日　上野鈴本年末特別興行「年の瀬に『芝浜』を聴く会」(上野鈴本演<br />
芸場)</p>

<p>きょう介『子褒め』/一之輔『初天神』/ホームラン/燕路『垂乳根』/玉の輔『宗論』<br />
/ダーク広和/一朝『蛙茶番』//～仲入り～//紫文/左龍『棒鱈』/正楽/正蔵『芝浜』</p>

<p>★正蔵師匠『芝浜』</p>

<p>一年ぶりの演目。キーが高めなので夫婦像が若く、魚勝が一寸間抜けに見えるのは三<br />
代目三木助師の魚勝に甚兵衛さんの香りがあるのに似ている。また、仕種全体にキレ<br />
と綺麗さが飛び抜けてきたのは確かで、それが丁寧な言葉使いと相俟って、魚屋とし<br />
ての意気の良さ、優れた職人性を醸し出している。大家が「彼奴なら(夢だといって<br />
も)大丈夫だ」というのも分かるし、その雰囲気がサゲの「よそ、また夢になるとい<br />
けね」にも繋がっている。「夜逃げするか？」とは言っても「死のうか」なんて言わ<br />
ないので、落語らしさを失わない。かみさんが飽くまで可愛く、最後の酒も大家さん<br />
が「今の勝なら、もう大丈夫だ」と初春用に持ってきてくれた演出で「機嫌を直して<br />
貰おうと思って」をカットしたのも、かみさんの可愛さを増している。陰にした大家<br />
さんの使い方が巧いのである。そういう夫婦だから、落語らしい中に清澄感のあるの<br />
が独特。先輩師匠方から残っているセリフや情景描写でカットしたい言葉がまだ幾つ<br />
かあるのが課題か。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２２日　第３９回人形町らくだ亭(日本橋劇場)</p>

<p>さん坊『六銭小僧』/圓十郎『目薬』/さん喬『笠碁』/金馬『大仏餅』//～仲入り～<br />
//雲助『夢金』</p>

<p>★雲助師匠『夢金』</p>

<p>非常にテンポが良く、全体の輪郭も高座に嵌まっていた。芝居になり過ぎず、また<br />
「描写がどうこう」といった瑣末な表現ではなく、船頭熊のキャラクター(自然な愛<br />
嬌)が活き活きと躍動する、軽快なピカレスク落語として面白かった。</p>

<p>★金馬師匠『大仏餅』</p>

<p>稲荷町型だろうか。近江屋十兵衛が稍ガサガサしたキャラクターではあるが、神谷幸<br />
右衛門親子も明るく、乞食の脚を洗うのを嫌がる丁稚まで含めて、登場人物と噺全体<br />
が明るい。従って、黒門町所演のように、聞いているうちに悲しく落ち込んだりはせ<br />
ずに済むのは有難い。</p>

<p>★さん喬師匠『笠碁』</p>

<p>基本は目白の小さん師型だが、私は美濃屋の猫とばっかり話をしてるかみさんの存在<br />
が何とも隠居二人の孤独を際立たせ乍ら、突き放さない緩衝剤として面白い。会話で<br />
サゲをつけないのも分かるが、「待とうか？」で終わって無言で石を打ち合う現行演<br />
出でなく、「待とうか？」「それも待った」など、会話でサゲになっても良いと思<br />
う。</p>

<p>★圓十郎師匠『目薬』</p>

<p>プクプクしてるから、馬鹿馬鹿しさが浮かないのと、かみさんが可愛らしいのが可笑<br />
しい。先代歌奴師型の可愛いお崎さんの『厩火事』とか似合いそう。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２３日　立川談春独演会「がん撲滅チャリティ“医と可笑し”」（浅草公会<br />
堂）</p>

<p>談春『元帳』/畠清彦「講演」//～仲入り～//談春『明烏』</p>

<p>★談春師匠『元帳』</p>

<p>甘えてる亭主の可笑しさは可笑しいのだけれど、蛇足になる感情過多が夫婦の遣り取<br />
りにあるのを感じる。漫画家・西原理恵子の名言「男はいつも三等賞」と相いれない<br />
プライドかな。</p>

<p>★談春師匠『明烏』</p>

<p>客席に落語馴れない人が多いのを意識してか、割と解説的なセリフを多用した。源兵<br />
衛・太助のコンビは町内の札付きらしい性質の悪さと品の悪さがありつつ、何処か間<br />
抜けな所があって、そのバランスが良く、可笑しさは今までに聞いた談春明烏で一<br />
番。時次郎も異常な堅物で自分の言葉なんか無い厄介な若者、テンションだけ高い幼<br />
稚な草食系オタク男子で、セリフの一つ一つが可笑しい。「源兵衛さん、見栄の場所<br />
でそのセリフは野暮ですよ」と時次郎が最後に言うのは談春師では初めて聞いた。お<br />
茶屋の女将や仲居たちが時次郎の傍若無人な無知に巻き込まれて変になっちゃうのも<br />
可笑しく、「花魁の部屋に連れて行かれるもんならやってみろ」と居直った時次郎と<br />
遣り手の戦いで、遣り手の言う「さあさあ皆さん、お許しが出ましたよ」にも爆笑。<br />
ギャグ明烏として、談春師のこの噺としては一番可笑しい出来。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２４日　第７回銀座山野亭落語会“年忘れ落語祭”第一部「雲助・喜多八二<br />
人会」(銀座山野楽器本店７Ｆホール)</p>

<p>朝呂久『浮世床・講釈本』/喜多八『やかん舐め』/雲助『辰巳の辻占』//～仲入り～<br />
//喜多八『短命』雲助『幾代餅』</p>

<p>★雲助師匠『辰巳の辻占』</p>

<p>寄席で演じている時より、お花や若旦那の表情が活き活きとして、噺のシニカルな可<br />
笑しさが強調され非常に面白かった。</p>

<p>★雲助師匠『幾代餅』</p>

<p>親方をはじめ、登場人物全体に馬鹿馬鹿しさが背景にある分、人情噺でなく、廓噺の<br />
一作としての面白味が出ていた。</p>

<p>★喜多八師匠『やかん舐め』</p>

<p>侍のテンションの高い怒り方と困り方、陰に扱われる可内の馬鹿笑いが目に浮かぶ可<br />
笑しさ、癪の治った内儀が妙に色っぽい所、その中で女中の健気さが引き締め役の香<br />
辛料となっている点など、総合的にみて小三治師より遥かに面白い。</p>

<p>★喜多八師匠『短命』</p>

<p>終盤を完全にパントマイムにしてしまい、忙しないパントマイムの中で、隠居が八五<br />
郎に「短命の理由」を耳打ちして具体的に教える。相変わらずサゲは茶碗を手に取ら<br />
ずかみさんの顔を呆然と見つめた八五郎の呟き。ギャグ沢山ではないが、頗る可笑し<br />
い(但し録音には向かないなぁ)。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２４日　第１０回大手町落語会「師走特別企画～落・芸・会」(日経ホール)</p>

<p>桃太郎『善哉公社』/さん喬『掛取萬歳//～仲入り～//鯉昇『イスラム甘味そば』/権<br />
太楼『芝浜』</p>

<p>★権太楼師匠『芝浜』</p>

<p>先代馬生師⇒圓窓師経由の『芝浜』だったのか。三田落語会で夫婦に志ん生師とおり<br />
んさんを感じたのは、そういう経緯からかもしれない。前半のかみさんの「別れてお<br />
くれ」と熊の「おめぇがいないと人でなくなっちまう」、告白の後のかみさんの「離<br />
縁されても仕方ない」など、三田落語会ではあった幾つかのセリフが無かったが、あ<br />
る意味、「芝居臭さ」が更に取れて、職人夫婦噺としてはグレードアップ。家元的な<br />
「夫婦愛噺」ではなく「夫婦ってものの噺」なんだね。だからその分、噺が感情的に<br />
脂濃くならないのだ。惜しむらくは、会場が広くて、三田落語会の密度には及ばぬ点<br />
あり。</p>

<p>★さん喬師匠『掛取萬歳』</p>

<p>狂歌・義太夫・芝居・喧嘩・萬歳の順。終盤の萬歳は少し短め。義太夫の件で八五郎<br />
が言う口三味線の「デンッ！」と、芝居で近江八景の和歌の代わりに「松の木小唄」<br />
を使ったのに私はバカ受け。</p>

<p>★鯉昇師匠『イスラム甘味そば』</p>

<p>益々異化が進み、最初のそば屋はイスラム系のハーフになり、「好きな甘味はココ<br />
ナッツミルク」がサゲへ繋がるという、突然変異種みたいな落語になってきた(笑)。<br />
その中で最初の客が「その角を曲がったとこに、うどんよる太い蕎麦を出すそば屋が<br />
いる」と二番目のそば屋の伏線を丁寧に張ってるのが妙に可笑しい。</p>

<p>★桃太郎師匠『善哉公社』</p>

<p>マクラが長かったが、本題は小南師型をフワフワと。笑いを生み出す仕種以外には余<br />
り気を使ってないのが桃太郎師らしい。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２４日　第７回銀座山野亭落語会“年忘れ落語祭”第三部「春風亭一朝一門<br />
会」(銀座山野楽器本店７Ｆホール)</p>

<p>朝呂久『幇間腹』/朝也『崇徳院』/一朝『妾馬』//～仲入り～//一之輔『らくだ<br />
(上)』</p>

<p>★一朝師匠『妾馬』</p>

<p>全体の面白さが図抜けているは勿論だけれど、八五郎が高座にいるお鶴の方へ向かい<br />
かけると、その袖を三太夫が「無礼者」と掴んで止める。八五郎が「何をすんでぇ」<br />
と払う。この一瞬の動きで身分の隔たりがクッキリと出る。それが八五郎の酔っての<br />
涙に繋がるが説明はせず、涙の後に八五郎らしい笑いをちゃんと入れるから、場面が<br />
ウジウジしない。やはり、誰も及ばない『妾馬』のスタンダード。志ん生師以来の<br />
『妾馬』だろう。</p>

<p>★一之輔さん『らくだ(上)』</p>

<p>前半だけにしては如何にも長い。静かに脅かす兄貴分と、それに対する屑屋の怖々し<br />
たリアクションは家元型の面白い変化形だが、リアクションの息が常間なので、言葉<br />
以上の可笑しさにはならないのが惜しまれる。屑屋の愚痴になると、雰囲気がマジに<br />
なり過ぎて客席が冷めるのも課題だろう。屑屋ほど呑みっぷりが良くないとはいえ、<br />
兄貴分が一向に酔わないのにも違和感あり。長屋の連中の自然な貧乏人ぶりや大家の<br />
因業ぶりは描けている。絶叫落語ではないのは良いが、もう少しキャラクターの違い<br />
を活かしたメリハリが欲しい。</p>

<p>★朝也さん『崇徳院』</p>

<p>柳朝師の『崇徳院』と似ていて、展開の可笑しさ任せで、八五郎のキャラクターが<br />
立っておらず、若旦那の弱り方も可笑し味が足りない。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２５日　第７回銀座山野亭落語会“年忘れ落語祭”二日目第一部「柳亭市<br />
馬・桂平治二人会」(銀座山野楽器７Ｆホール)</p>

<p>きょう介『子褒め』/市馬『粗忽の釘(下)』/平治『幽霊の辻』//～仲入り～//</p>

<p>※仲入りまで聴いて『文左衛門倉庫』へ</p>

<p>★市馬師匠『粗忽の釘(下)』</p>

<p>序盤でトチッたせいか、些か平坦な出来に終始した感じ。テンションが下がった訳で<br />
はないけれど、今年の市馬師には時々、ストンと面白さの消える高座が幾つかあった<br />
のは気になる。</p>

<p>★平治師匠『幽霊の辻』</p>

<p>ほぼ権太楼師のままだが、茶店の婆さんに関しては権太楼師と平治師のテンションが<br />
ごっちゃになっていて、可笑しさがまだまとまっていない。一方、主人公はドスが妙<br />
に利いているため、恐がるリアクションに至るまでの可笑しさが跳ねきらない。もっ<br />
と平治師の「色」で聞きたい。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２５日　第回文左衛門倉庫「Ｘ‘ｍａｓスペシャル」(ことぶ季亭)</p>

<p>つる子『子褒め』/文左衛門『居残り(上)』/菊之丞『二番煎じ』//～仲入り～//文左<br />
衛門・菊之丞「アンケート読み」/文左衛門『青菜』</p>

<p>※私事のため、『青菜』は植木屋が屋敷を出た所までしか聞けずに残念。</p>

<p>★文左衛門師匠『居残り(上)』</p>

<p>ネタ卸しらしく、如何にも長いんだけれど、ヴァイタリティ溢れる可笑しさで、この<br />
世代の『居残り』では抜群の出来だった。（上）というのは紅梅さんとこの勝っつぁ<br />
んの座敷で「高砂や」を歌う辺りまでを演じたから。居残り(名前は言わない)が如何<br />
にもいけしゃあしゃあとして自信満々なのに、何とも言えない色気と可愛らしさが<br />
あって、傲慢や意気がりの感じにならない。だから、紅梅さんとこの勝っつぁんを乗<br />
せるお世辞も嫌らしくなけりゃ、「矢鱈と熱弁を奮う詐欺師の卑しさ」や「無理をし<br />
て意気がっている感じ」が全くしないのはステキに愉しい。真矢みき主演の『Ｈｏｗ<br />
　Ｔｏ　Ｓｕｃｃｅｅｄ』の主人公フィンチみたいなんである。品川へ出掛ける前や<br />
女郎屋の部屋で仲間と話をしている雰囲気も「プロの居残り」ではない。「胸を患っ<br />
ていて転地療養する」のセリフはあるけれど、それも『幕末太陽伝』的に噺へ蔭を射<br />
すほどではない。全体に明るいのも真に結構。居残りを始めた直後に「十三番さんの<br />
台の物、上がったよ。なまものがいかれちゃうよ」という帳場の声を聞いた居残りが<br />
部屋からヌッと出てきて、襷を掛けて働き出す短い場面があり、ここのヴァイタリ<br />
ティが素晴らしい。圓生師型かな？というセリフもあれば、小満ん師型かな？という<br />
件もある。志ん朝師？という雰囲気もあって、誰の『居残り』が原型かは不明だけれ<br />
ども。兎に角、全体にヴァイタリティ溢れ乍ら酒脱で、躍動する軽みがあるのは凄<br />
い。</p>

<p>★菊之丞師匠『二番煎じ』</p>

<p>文左衛門師のリクエストとのこと。志ん朝師型だろう。寄席サイズに近いが、元から<br />
脚の速い芸風だからね。トントン運んで停滞しないのも志ん朝師的だが、見回りの侍<br />
は志ん朝師のように卑しくない（あの侍は志ん朝師唯一の「卑しい役」である）。旦<br />
那連中の夜回りから、寒夜の雰囲気は余り感じないけれど、ワイワイガヤガヤと年寄<br />
りたちが楽しんでいる雰囲気はクッキリと出ていて愉しい。夜回りの最中も、番小屋<br />
に戻ってからも、月番が矢鱈と見回りの侍などに気を使う「口喧しい仕切り屋」なの<br />
が似合い、その指図に全然従わないおじさん連中の暢気さも個々に愉しく描かれてい<br />
る。口調が稍忙くので、一朝師の『二番煎じ』のようなホッコリ感はないが、落語ら<br />
しい「いい加減さ」があるのは頼もしい。その中で都々逸の調子など、邦楽の素養が<br />
巧く味付けとして活かされている。『景清』『明烏』『愛宕山』などの黒門町ネタよ<br />
り、『らくだ』や『二番煎じ』の方が魅力を発揮出来るのは、芸の骨格の太さを感じ<br />
させるものだ。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２６日　～白談春２０１１～「談春この一席２０１１リクエストＮ０．１＆<br />
２」昼の部(青山劇場)</p>

<p>談春『居残り佐平次』//～仲入り～//談春『芝浜』</p>

<p>★談春師匠『居残り佐平次』</p>

<p>マクラから７０分。この佐平次は根っからプロの居残り屋で、序盤の四人組も友達で<br />
はなく、品川で登楼するために利用した連中なら、「オフクロに金を渡して」なんて<br />
事も言わない一匹狼。廓の客との対応も、幇間に似て幇間にあらずで、客心理を見事<br />
に掴んだ対応だし、最後の主人相手の芝居掛かりの辺りも手慣れた騙りである。その<br />
分、騙られる妓夫や客の間抜けさが実に可笑しい。斯く斯様に構成的には素晴らしく<br />
良く出来た『居残り』で舌を巻いた。但し、これは多分に談春師の性格の反映だと思<br />
われるが、佐平次が一生懸命過ぎて聞いていて肩が凝る。黒門町の幇間などに共通す<br />
る弱味で、人物造形に遊びや余裕が無いため、主人公自身がイマイチ、落語的に馬鹿<br />
馬鹿しくならない。構成通りに演じてはいても、昨日ネタ卸しした文左衛門師の居残<br />
りの平然たる不真面目さと色気、落語らしい洒脱さや志ん朝師の『付き馬』の騙りの<br />
面白味に乏しい。言えば、『ニッポン無責任時代』で植木等が演じた主人公・平均に<br />
敵わないのである。一生懸命が魅力になるのは素人で、佐平次はプロの騙りなんだか<br />
ら(家元の真面目さとロマンチストぶりを一番引き継いでいるのは談春師だと思うが、<br />
真面目さは落語の邪魔になる)。</p>

<p>★談春師匠『芝浜』</p>

<p>志ん生師⇒先代馬生師の古今亭型同様、浜での描写は無く、直ぐに勝が戻ってくる。<br />
勝は意気がっている酒呑みで、明らかにすっとこどっこいな落語国の跳ねっ返り。庖<br />
丁を磨き、盤台に水を張っておく(メソついた優等生)貧乏慣れした真面目なかみさん<br />
とは好対照であるのを感じる。但し、「割れ鍋に閉じ蓋」の雰囲気はない。全体に会<br />
場の大きさに合わせてだろう、かなりの大芝居だが、鬱陶しい人情噺臭さは感じない<br />
し、突拍子もなく可笑しなセリフもかなりある。半面、終盤で女房の告白と勝のセリ<br />
フを聞いていると、何か食い違っている夫婦であるのを感じる。このかみさんは勝に<br />
惚れていないんじゃないかなァ。一方、勝の「許してやる」は男の意気がりの一種だ<br />
ろうが、『替り目』のようなネタバラシの無いままサゲになるから、噺の展開として<br />
は「お局好み」という印象を禁じ得ない。家元から受け継いだロマンティシズムの面<br />
も、会場に流れたさだまさしのように妙にこそばゆく、『関白宣言』を初めて聞いて<br />
「日本の女はこんな男がいいのか」と（韓流ドラマの主人公の原型みたいなものだ）<br />
呆れ返った学生時代を思い出す。結果的に、勝とかみさんの夫婦関係がどうも嘘くさ<br />
いのである。この勝は呑めば呑んだくれに戻る男で、それがサゲでまともな事を言い<br />
出しちゃうのも鼻白む。「ガキが大人になった」とも言えるが、最後で優等生に変身<br />
されて裏切られた感じが残るのだ。喬太郎師の『マイノリ』から感じる「俺たちゃ結<br />
局、幾つになってもガキだな」という共感は感じない。女性に受けないと人気は出な<br />
いから仕方ないが、どうしても後味が甘ったるく、野暮になっちゃうんだな。</p>

<p>※今日の会は物凄く、志の輔師のＰＡＲＣＯ公演などに近い「イベント落語会」の雰<br />
囲気を強く感じた。「寄席落語家」「独演会落語家」「タレント落語家」の他に「イ<br />
ベント落語家」というタイプも定着するのかな？</p>

<p></p>

<p>◆１２月２６日　新宿末廣亭夜席</p>

<p>美智・美都/左橋『元帳』/さん喬『掛取風景(狂歌・義太夫・芝居)』//～仲入り～//<br />
〆治『初天神(飴と団子)』/ロケット団/才賀『台東区の老人たち』/小里ん『天災』/<br />
仙三郎社中/今松『火事息子』</p>

<p>★今松師匠『火事息子』</p>

<p>淡々とした高座だが、梯子の上で怖がる番頭の背中を臥煙になった若旦那がドンッと<br />
ついて、番頭の体が宙に踊る瞬間、「危ないっ！」と思わせたキレと、台所で土下座<br />
をしていた若旦那が「ご無沙汰を致しております」と親旦那に挨拶した瞬間の清廉な<br />
二枚目ぶりは、かつて誰の『火事息子』からも感じた事のない優れた表現だった。全<br />
体的に、もう少し面白味があると良いのだが…</p>

<p>※上野鈴本演芸場「年末特別興行」へ向かったが、「立ち見」でしか入れず、諦めた<br />
チケットを放棄。新宿少し時間潰しをして、末廣亭へ向かった。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２７日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>笑組/勢朝『袈裟御前』/正蔵『読書の時間』/ペペ桜井/市馬『掛取り』//～仲入り～<br />
//扇好『のっぺらぼう』/ゆめじうたじ/南喬『子褒め』/若圓歌『漫談』/勝丸/小團<br />
治『茶の湯』</p>

<p>★市馬師匠『掛取風景』</p>

<p>　狂歌と相撲のみだが、明るく気楽に愉しい。</p>

<p>★南喬師匠『子褒め』</p>

<p>　落語らしくて真に結構である。</p>

<p>★扇好師匠『のっぺらぼう』</p>

<p>　悪くないが、のっぺらぼうの顔表現に柳之助師のような工夫が欲しい。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２７日　新宿末廣亭夜席</p>

<p>駒松『狸の札』/司(交互出演)『加賀の千代』/ホンキートンク/吉窓『半分垢』/丈二<br />
『牛褒め』/紫文/左龍『初天神』/菊龍『籠医者』/美智美都/左橋『壺算』/さん喬<br />
『棒鱈』//～仲入り～//才賀『台東区の老人たち』/ロケット団/〆治『尻餅』/小里<br />
ん『煮賣屋』/仙三郎社中/今松『風の神送り』</p>

<p>★今松師匠『風の神送り』</p>

<p>昨年は年末の今松師末廣亭夜席主任に来れなかったから聞いていないが、三年前、一<br />
昨年、今年と年末主任でこの噺を聞いた事になる。余程、この噺が好きなのかな。噺<br />
の運びは明らかに米朝師型だが、吝嗇な大店への憂さ晴らしを町内の若い衆がすると<br />
いう、受ける件を省く辺りが今松師らしい。過去二回と比べても、今夜のお客にはよ<br />
く受けていたし、仮名しかかけない奴が奉加帳を書く件は、確か今までよりもにホン<br />
ワカと可笑しかった。以前から思っているのだが、最後、風の神の人形が夜網に掛か<br />
る件は、ちゃんと上方風に鳴り物を入れた方が良いと思うのだが…。</p>

<p>★さん喬師匠『棒鱈』</p>

<p>年中演じている十八番で、構成の巧さは今更言うまでもない。とはいえ、頭の芋蛸の<br />
煮物や鯛の塩焼きの件は無かったけれど、今夜は酔っ払いの適度な苛立ちや憤り、田<br />
舎侍の張りのあるマンガ的描き方と揃って、久し振りに非常に出来の良い『棒鱈』で<br />
正しく「堪能」した。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２８日　年忘れ市馬落語集(なかのＺＥＲＯ大ホール)</p>

<p>一之輔『加賀の千代』/市馬『うどん屋』/三三『質屋蔵』/白酒『幾代餅』//～仲入<br />
り～//昭和歌謡大全集(ゲスト・桃太郎)</p>

<p>★白酒師匠『幾代餅』</p>

<p>先代馬生師と志ん朝師の演出を忖度して工夫を加え、この噺を人情噺でなく、『Ｍ<br />
Ｒ．ＣＩＮＤＥＲＳ』的な恋愛コメディ系落語に引き戻した白酒師の功績は長く評価<br />
されて然るべきものだろう。「古今亭はこうじゃなきゃ」という愉しさが漫喫出来<br />
る。</p>

<p>★三三師匠『質屋蔵』</p>

<p>定吉の芋羊羹ねだりをカットしたとはいえ、この尺でこの噺を演れるストーリーテリ<br />
ングには舌を巻く。</p>

<p>★市馬師匠『うどん屋』</p>

<p>酔っ払いがひたすら好人物である所が市馬師らしいのが長所であり、うどん屋の客商<br />
売職人らしさがイマイチであるのが(武骨な可愛らしさが欲しい)、結果、噺の「焦<br />
点」がハッキリしないのが短所である。最後にうどん屋が呼ばれてグーッと前に出る<br />
動きなどステキな魅力があるから、ま、後は年輪なのかな。</p>

<p>★一之輔さん『加賀の千代』</p>

<p>会場が広い分、稍絶叫落語っぽくなるが、甚兵衛さんの傍若無人ぶりは可笑しい。</p>

<p>★昭和歌謡大全集</p>

<p>「歌謡浪曲」⇒「裕次郎(ここの２曲は桃太郎師)」⇒「昭和２０年代半ば＆３０年代<br />
初頭」という曲構成で、後半は亡くなった白山雅一先生の十八番集にもなり、藤山一<br />
郎の『丘は花盛り』から『東京音頭』で締めた。この「大衆芸能的な構成」は見事な<br />
ものだと感心する。歌に関しては、伊藤伊佐緒、若山あきらの男臭さから三浦洸一の<br />
叙情まで唄えるのは当然乍ら、ファルセットとはいえ淡谷のり子を唄えたのには驚い<br />
た。半面、意外とドスの利かない声なのかな？とも感じた。ドスの点では『喜びも悲<br />
しみも幾歳月』が一番しっくり来る。とはいえ、大衆芸能的気楽さを落語の中に屈託<br />
なく構築出来る市馬師ならではの強さが、得意とする昭和歌謡の長閑さ・明朗さと繋<br />
がるのを感じる。市馬師は「平成を生きる昭和の噺家」なのだ。こういうイベントを<br />
行っても、マスメディアの制作する「イベント臭さ」が無く、「取り敢えず、みんな<br />
副会長に従う」という大きさは他の噺家さんには一寸無い。しかも、「カリスマ」で<br />
はなく「リーダー」なのが凄いなァ。</p>

<p>※市馬師の歌を訊き乍ら、来年の一周忌に、家元を追悼して「ランベス・ウォーク」<br />
(野暮な東宝版でなく、宝塚版の歌詞で)を唄ってくる噺家さんは誰かいないものか<br />
なァ、と思っていた。市馬師の声質なら唄えるけれど、市馬師は洋楽、ましてミュー<br />
ジカルの曲は唄わないだろうし、家元の一門でも「ランベス・ウォーク」の歌詞を<br />
知ってるのは一人くらいしかいないだろうし。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２９日　新宿末廣亭恒例年忘れ余一会昼の部「入船亭扇遊・春風亭正朝二人<br />
会」(新宿末廣亭)</p>

<p>朝呂久『間抜け泥』/一之輔『粗忽の釘(下)』/扇遊『寝床』/正朝『黄金餅』//～仲<br />
入り～//鏡味仙三・仙花/正朝『紀州』/扇遊『線香の立切れ』</p>

<p>★扇遊師匠『寝床』</p>

<p>スラスラッと聞けてしまうのだが、山が掛からない弱味もあり、印象に残りにくい。</p>

<p>★扇遊師匠『立切れ』</p>

<p>勿論、扇橋師型で「情」のある演出だが、まだ上なぞりの感がある。「こんな逆様み<br />
ようとは思いませんでした」が滲みてこないんだな。色気はあるし、綺麗な、二枚目<br />
らしい芸なんだけど、芸の浮き沈みを経ていないひよわさがある。</p>

<p>★正朝師匠『黄金餅』</p>

<p>変に理屈っぽくなく、この噺らしい可笑しさは金兵衛の軽さの中に描かれている。下<br />
品じゃないし、粗野でもなく、サラリと楽しめる。不思議なのは、全体が今一つ明る<br />
くないこと。</p>

<p></p>

<p>◆１２月３０日　第三回桃月庵白酒独演会(シアター７１１)</p>

<p>白酒「御挨拶」/扇『牛褒め』/白酒『新版三十石』～『火焔太鼓』//～仲入り～//白<br />
酒『富久』</p>

<p>★白酒師匠『新版三十石』</p>

<p>本当にくっだらなさに徹底していて愉しい。しかも、小沼猫蔵先生のいけしゃあしゃ<br />
あとした、優れた人物造型が本当に板についたなァ。実はチラッとシニカルなのが味<br />
付けになってるのも結構。</p>

<p>★白酒師匠『火焔太鼓』</p>

<p>夫婦噺としての可笑しさに関する工夫については、古今亭系でも図抜けている。志ん<br />
生師の『火焔太鼓』と比べても、決して異質・異物なのではなく、「夫婦爆笑噺」と<br />
して進化をさせている。その意味では、志ん生師・志ん朝師の呪縛にとらわれず、古<br />
今亭大本道を行く愉しさである。</p>

<p>※さん喬師が『火焔太鼓』のネタ卸しで、夫婦像を柳家的に変えて可笑しくしたのも<br />
進化論としては正しいのだ。白酒師以前の古今亭系は志ん生師・志ん朝師の呪縛から<br />
逃れられていないという事か。権太楼師の『火焔太鼓』(先代柳朝師系になるが)や白<br />
鳥師の『火焔太鼓』という進化形も、もっと見直されて然るべきだろう。</p>

<p>★白酒師匠『富久』</p>

<p>『火焔太鼓』に続いて大金の入る目出度い噺でシメ。今年秋以降の演出変更が中心だ<br />
が、最後の三軒町（今の寿町）の頭と久蔵の遣り取りに更に手を加え、「大神宮」と<br />
訊いて久蔵の声が二枚目声に変わり、稍凶暴になって（笑）頭に食ってかかる件が増<br />
えて可笑しく、富札が大神宮の神棚の中にあったと分ると、大喜びから稍泣きに変わ<br />
る演出も初めて。火事場往復の走りの件が少し増えているが、黒門町的に噺を描写と<br />
メリハリ主体に変えてしまう以前の段階で留めているのがまた偉い。</p>

<p></p>

<p>◆１２月３１日　下北のすけえん～真打昇進記念～(シアター７１１)</p>

<p>一之輔「一年回顧」/朝呂久『短命』/一之輔『徳ちゃん～五人廻し』//～仲入り～//<br />
一之輔『藪入り』</p>

<p>★一之輔さん『徳ちゃん』</p>

<p>アンドレ・ザ・ジャイアントみたいな怪力花魁が完全に化け物状態で可笑しいのに比<br />
べると、客の売れない噺家側に「芸人らしい雰囲気」が余り無い(リアクションは可<br />
笑しい)。別に普通の若い衆でもいいんじゃない？</p>

<p>★一之輔さん『五人廻し』</p>

<p>稲荷町型に、『徳ちゃん』の花魁が喜瀬川で芋を食ってる、というサゲを付けた。江<br />
戸っ子の啖呵が勢いだけでなく、喜助が適当に相槌を入れる事で吉原知識自慢に近づ<br />
いている。もう少し、江戸っ子が威張ってみせる表情を加味しても良いだろうと思<br />
う。官員は大声過ぎて、小三治師的にメソメソはしないが、荒々しい(笑)ので、講道<br />
館の師範か何かに設定を変えた方が良かァないかな。通人は通り一編。痰を吐く(壁<br />
に飛ぶのは笑った)自称江戸っ子がりの田舎者は、喜助の持ち上げ方が可笑しい。関<br />
取が喜助に鉄炮を食らわすのも、乱暴ちゃ乱暴だけれど可笑しい。全体に、表現がま<br />
とまって来た。</p>

<p>★一之輔さん『藪入り』</p>

<p>稲荷町の芸血筋だなァ。勿論、粗い所、溜め過ぎな所もあるが、魅力のある口演。三<br />
代目金馬師の奉公体験を活かした(奉公中に父親を亡くしている)情の強い親父像とは<br />
タイプが違い、表は怖気だが(もう少し職人体だともっと良い)根の優しい所が稲荷町<br />
的である。熊が亀のキチンとした挨拶に気圧され乍ら、丁寧に挨拶を返す静かな様<br />
子、泣きながら亀に小言を言う様子を聞いていると、親子関係の情がちゃんと感じら<br />
れる(親子のいる室内などの背景はまだ見えない。このキャリアで見えたら却って怖<br />
い)。かみさんも飽くまでも子供が心配な普通の母親である。亀の「これだから貧乏<br />
は嫌だ」をカットしたのも正解。視線、仕種にも殆ど曖昧な所が無く、芝居じみたメ<br />
リハリ主体な所も無い。一朝師に伝わる稲荷町の『火事息子』がいずれ出来るように<br />
なるだろう、という期待感を感じせてくれる高座だった。</p>

<p>石井徹也　（落語”道落者”）</p>]]>

</content>
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<entry>
<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　１２月上席中席　合併号</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.joqr.net/blog/rakugonokura/archives/2011/12/post_192.html" />
<modified>2011-12-29T14:15:41Z</modified>
<issued>2011-12-20T14:05:11Z</issued>
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<created>2011-12-20T14:05:11Z</created>
<summary type="text/plain">師走です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。落語には四季折々、いろいろなネタがあり...</summary>
<author>
<name>落語</name>


</author>

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<![CDATA[<p><font size="3" color="#004030"><b>師走です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。落語には四季折々、いろいろなネタがありますが、なかでも冬の演目に名作が多いと言われています。「冬の噺には、落語にとって重要な要素である飢えと寒さが凝縮されている」という意味のことを談志家元が仰っていたと記憶します。いまの東京では、なかなか”季節の変化”というものを感じなくなりましたが、噺の中には、冬景色、歳末の空気といったものがよく残っています。</b></font></p>

<p><font size="3" color="#004020"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の１２月上席・中席合併号をお送りします。稀代の落語”道落者”石井徹也さんによる歳末寄席レポートをお楽しみください。</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p></p>

<p><br />
◆１２月１日 上野鈴本演芸場昼席</p>

<p>燕路『間抜け泥』/文左衛門『道灌』/ペペ桜井(猫八代演)/百栄『誘拐家族』/菊丸<br />
『幇間腹』/わたる/文楽『六尺棒』//～間入り～//勝丸(ストレート代演)/志ん橋<br />
『居酒屋』/正朝『町内の若い衆』/遊平かほり/小里ん『睨み返し』</p>

<p>★小里ん師匠『睨み返し』</p>

<p>言訳屋の表情は見事だけれども、仕種のキレが今日は一寸悪かった。序盤の薪屋退治<br />
は薪屋のボヤキ方が軽くて愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１日 日本橋落語会「通好み」(日本橋劇場)</p>

<p>馬石『安兵衛狐』/市馬『締込み』/雀松『三両残し』//～仲入り～//正蔵『身投げ<br />
屋』/一朝『二番煎じ』</p>

<p>★一朝師匠『二番煎じ』</p>

<p>寄席の主任より時間があるので、普段演じない所までタップリ演じたが、それでいな<br />
がら軽快で全くクドくなく、見事に愉しい高座。細かく演じると都々逸を小声で演じ<br />
る場面などに矢来町移しが明瞭になるのも面白い。志ん朝師の演出からエネルギッ<br />
シュな重さを抜いて、老人たちの洒落た面白さを足した世界に仕上がっている。黒川<br />
先生の謠風の夜回り声の可笑しさをはじめ、一人一人の人物像が寒夜にクッキリと描<br />
かれて、しかも落語国の人肌の温かさがある。番屋に戻ってからも、口喧しい月番を<br />
軸に、旦那衆が一寸愉しい悪さをしているウキウキ感、人間のだらしなさの魅力が満<br />
ちている。何回も聞いてきた一朝師匠の『二番煎じ』の中でも優れた高座である。</p>

<p>★市馬師匠『締込み』</p>

<p>最近では比較的珍しい演目だが、泥棒の楽しさに比べ、夫婦喧嘩の件でかみさんの表<br />
情に稍ウェットさの強いのが気になる。</p>

<p>★正蔵師匠『身投げ屋』</p>

<p>噺の概要は整った。金持ち紳士が手渡す名刺をもっと笑いに活かしたい。</p>

<p>★雀松師匠『三両残し』</p>

<p>お花とその母親が物凄く、しかも馬鹿馬鹿しくドライで性質が悪い（笑）。それが実<br />
に可笑しく軽快無比。現在東京で演じられている『星野屋』は、どうしても心情過多<br />
なのが分る。今夜、雀松師が示してくれた米朝師系の演出、つまり筋物の落語を心理<br />
主義のウェットさやシニカルさではなく、ドライな可笑しさ中心で表現する方法論<br />
に、今の東京勢の『星野屋』はとても敵わない。これに対抗出来るのは古今亭と目白<br />
の芸系くらいかな。</p>

<p>★馬石師匠『安兵衛狐』</p>

<p>狐の化けたかみさんの可愛さはやはりダントツ。こういう噺を立川流の中堅以下は何<br />
故演らないんだろう。「下らない」と思っているのかね。馬石師的には故・枝雀師の<br />
『天神山』の演出を取り入れて、トリネタ用の『安兵衛狐』を仕立ててみて欲しい。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２日 ＳＷＡファイナル「ブレンドストーリー“クリスマスの夜に(三姉妹物<br />
語)”」昼の部</p>

<p>昇太・白鳥・喬太郎・彦いち「御挨拶」/彦いち『青畳』/喬太郎『思い出芝居』//～<br />
仲入り～//白鳥『砂漠のバー止まり木』/昇太『パパは黒人』</p>

<p>★昇太師匠『パパは黒人』</p>

<p>三姉妹の一番下で、性格的に奥手の君江が「クリスマスに黒人の彼とデートする」と<br />
嘘をついてしまい、父親(柔道が好き)が黒人に化ける展開にシフト。父親が「スト<br />
リートファイトで黒人(娘に近付いてきたホンモノ)に勝つのが夢だった！」という件<br />
は本当に可笑しい。最後、父娘でデートする場面のロマンティックなイメージはＳＷ<br />
Ａ系新作派でないと出せないなァ。２３歳の娘がある身としては一寸羨ましくなる。<br />
落語は勿論観客の「私」にも響くのだが、家元系の「共感」だけでなく、ＳＷＡ系に<br />
は「憧れ」もあるのが良いね。</p>

<p>★白鳥師匠『砂漠のバー止まり木』</p>

<p>次女の文江に振られと思った男が失望の余り、後輩を連れてタクラマカン砂漠へ出掛<br />
け(この無茶な可笑しさは得難い)、バー「止まり木」のマスターになっていた文江の<br />
父と出会う展開にシフト。ファンタジックでアダルト(笑)なバーの雰囲気が相変わら<br />
ず妙に心地よい。作ってない狂気の強味かなァ。</p>

<p>★喬太郎師匠『思い出芝居』</p>

<p>ＳＷＡ初期の作品だそうで私は初聞き。女子柔道選手友江の妹で異常なテンションの<br />
文江が(クリスマスの噺で踏み絵ってのも何だが・笑)クリスマスイブの晩、一年前の<br />
初デートと全く同じ展開で最後のデートをしようと仕切りまくり、相手の男に地獄を<br />
見せる展開にシフト。『白日の約束』に一寸似ている。『白日の約束』の女性より文<br />
江のテンションが一瞬にして異様に高低する分(短い芝居で演るなら絶対に毬谷友子<br />
さんの役)、単発で聞くよりブレンドストーリーに入れた今回の方が違和感が少なく<br />
面白いのではないだろうか。また、この回はカラオケの場面で６曲唄った(絶対に喬<br />
太郎師は『カラオケ病院』を桃太郎師から教わるべきである)。ビルとビルの隙間で<br />
無理矢理キスしようとする辺り、イッセー尾方氏の『ヘイ！タクシー』みたいで、体<br />
の使い方も似ている。割と演劇的な所が多い噺かな。</p>

<p>★彦いち師匠『青畳』</p>

<p>ＳＷＡ第一回の作品との事で私は初聞き。女子柔道７８キロ超級選手(塚田選手をイ<br />
メージした)友江がオリンピック出場選考試合中、恋に悩んで負けた、という回想談<br />
を母になった友江が息子に語る展開にシフト(この姉妹と関わる男はみんなタクラマ<br />
カン砂漠のバー「止まり木」に行く事になるのが大笑い)。試合中、応援に来た好き<br />
な初恋の男子(やはり柔道をしている)にときめいて女々し始めるのが、彦いち師だと<br />
少し不気味に可笑しい。これはちよりんさんで聞きたいなァ。「がたいの良い女の子<br />
は可愛らしい仕種や言葉遣いに憧れる」(知人女性の分析)という女心が彦いち師の体<br />
型だと出難い(喬太郎師だと体がフニャフニャするから出せる)。</p>

<p></p>

<p>◆１２月２日 白酒ばなし(にぎわい座)</p>

<p>朝呂久『浮世床・講釈本』/白酒『付き馬』//～仲入り～//遊一『夢の酒』/白酒『甲<br />
府ぃ』</p>

<p>★白酒師匠『甲府ぃ』</p>

<p>刈り込んで、ギャグも抑え(途中で本題を離れて弟子とおかみさんの話を入れたのは<br />
笑いが少なくなり過ぎたためか)、この噺としてはかなり短めの尺。寄席用の「試<br />
し」かな(言葉間違いが多かった)。善吉が絵に描いたような権助型田舎者で、真面目<br />
だが妙に愛嬌があって面白い。豆腐屋の親父は軽い粗忽なキャラクターで可笑しく、<br />
かみさんも工夫があって面白い。甲府に行きたいと善吉が話をしに来る際、お花もつ<br />
いて来て、そのお花をチラッと善吉が振り替える視線の巧さに感心(雲助師のお弟子<br />
だなァ)。優等生噺のクサ味がなくて、笑いも無理に押さないから、気楽に愉しい高<br />
座だった。</p>

<p>★白酒師匠『付き馬』</p>

<p>言葉数を使わず、雰囲気で妓夫を煙に巻く辺り、余り演じ過ぎない詐欺師ぶりになっ<br />
てきた。「あたしの目を見なさい目を」が雲助師とは違うニュアンスで面白い(目を<br />
殺してるから余計に可笑しい)。騙される妓夫がチラッと見せる凄み、裏腹な間抜け<br />
さの使い分けも現在演じられる『付き馬』では優れたものだ。大門から雷門までの道<br />
中付けの愉しさは過去、現在を問わぬ一級品。「正直ビアホール」のサーバーの奇妙<br />
な音は何度聞いても笑っちゃう。</p>

<p></p>

<p>◆１２月３日 ＩＭＡホール落語会「市馬白酒二人会」(ＩＭＡホール)</p>

<p>市助『道灌』/白酒『替り目』/市馬『富久』//～仲入り～//市馬『粗忽の釘(下)』/<br />
白酒『幾代餅』</p>

<p>★市馬師匠『富久』</p>

<p>横山町の御店に駆けつけた辺り、家元的な久蔵の動きを通して(家元型の無駄なセリ<br />
フは刈り込まれている)、目白の久蔵が透けてみえるのが面白い(市馬師から家元の影<br />
響は感じるのは当然だが、川崎の柳好師の影響を感じないのが不思議)。この夏の<br />
『鰻の幇間』以降、幇間の浮草のような喜怒哀楽、仕事上の習性が前に出て、富札を<br />
焼いたと勘違いして悲嘆にくれても、元より演出的にクドさはないから、如何にも江<br />
戸の幇間らしい軽妙な哀しみ、江戸の夕映えに佇む軽妙なリアルさを醸し出し、味わ<br />
いを深めている。横山町の旦那の、黒門町の旦那ほど綺麗事過ぎない情の良さは目白<br />
譲りだなぁ。</p>

<p>★市馬師匠『トンコ節粗忽の釘(下)』</p>

<p>笑いのフックが大分増えて非常に可笑しかった。中でも、主人公が隣の家で八寸の釘<br />
の長さを色々と具体的に示そうとする様子や(隣の主人が引っ越してきた事を知って<br />
るのも良い修正)、「ここだって言ってるのが分からねェか！」の大声の現すキャラ<br />
クターの可笑しさは素晴らしい。</p>

<p>★白酒師匠『替り目』</p>

<p>鍋焼うどん屋に海苔を焼かせる件を省いたくらいでスイスイ快調。主人公の言う「い<br />
つものように酒に逃げちゃお」の可笑しさは相変わらず。</p>

<p>★白酒師匠『幾代餅』</p>

<p>爆笑『幾代餅』は相変わらず。雲助師を経由して伝わる先代馬生師型『幾代餅』の可<br />
笑しさをパワーアップしてるし、清蔵と幾代が初めて会う座敷の場面をカットしてる<br />
から、泣かせるとこなんかは一つもなくて「潔い落語」になる(古今亭・金原亭の<br />
『幾代餅』と比べて『紺屋高尾』は落語らしいドライさに欠け、どうしても野暮にな<br />
る)。恋患い中の清蔵のか細い声が安定してきたためか、幾代のセリフが格段に女っ<br />
ぽくなってるのも「笑いを支える巧さ」になってきた。『木乃伊取り』のかしくもこ<br />
れで行けば十分だと思うが…尺も取らないし(泣きたい野暮天お客には物足りまい<br />
が)、志ん生師の曾孫弟子はこうでなきゃ。</p>

<p>※市馬師、白酒師の二人だと四席聞いても草臥れないのは、寄席育ちの目白系、金原<br />
亭系の芸ならではだろう(彦六師系もそう)。メリハリを付け過ぎた噺をされると野<br />
暮ったいから草臥れる。その意味で、メリハリの強過ぎる圓生師は無駄と色欲の可笑<br />
しさ以外は「野暮」、メリハリとフレーズの固まりみたいな黒門町は「綺麗事」だけ<br />
ど「野暮」なのかも。</p>

<p></p>

<p>◆１２月３日 ＳＷＡファイナル「三人ＳＷＡ」（本多劇場）</p>

<p>白鳥・喬太郎・彦いち「御挨拶」/白鳥『シンデレラ伝説』/喬太郎『彫師マリリン』<br />
/彦いち『長島の満月』//～仲入り～/三題拾い//三題噺四人リレー～「立川流・火消<br />
し・美顔ミスト」</p>

<p>★『三題噺』昇太（三題ネタ拾いから飛び入り出演）⇒彦いち⇒白鳥⇒喬太郎</p>

<p>立川（立川流を立川市近くの川に例えた）近くの龍神を祀る神社の一人娘が神官にな<br />
るのが嫌で、タイ人の彼（笑）と美顔ミスト屋（？）をしている。神社の氏子たちが<br />
「娘が神官になりますように」と篝火を焚いて(イヨマンテかよ・笑)祈っていると、<br />
篝火が本殿に燃え移る。娘が美顔ミスト機で必死に火消しをするがダメで、呆れた龍<br />
神が昇天しようとする。そこで娘が火事を消す生け贄になろうと焔の中に身を投じる<br />
（うさぎの神話みたい）。それを見た龍神が引き返してきて、雨を降らせて火事を消<br />
し、娘を助ける。本殿は焼け落ちてしまったが…ここで喬太郎師（終盤の芝居落語的<br />
な締め方は本当に巧い）が干支を使ってつけたサゲはお見事と感嘆。また、昇太師<br />
（新刊を嫌がる娘のキャラクターは抜群に可笑しい）が後からつけたサゲは分かりや<br />
すくて結構。白鳥師がＳＷＡ風呂敷柄の座布団を使って竜神の鱗を見せたのはナイス<br />
アイディア。彦いち師がウアンチャン君を出したのは狡いけど可笑しい。</p>

<p>※龍神は基本的に女神だって事を無視して(だから、夜叉ケ池の龍神様への捧げ物は<br />
化粧道具だ)オジサン声で演ってが、可笑しかったから、まぁ良いよね。</p>

<p></p>

<p>◆１２月４日 シス・カンパニー公演『その妹』(シアタートラム)</p>

<p>★蒼井優はまだ化け物ではないが、化け物じみて来た。市川亀治郎は小技を色々出し<br />
て来たが蒼井優に敵わず、武器がなくなった最後が一番良かった。しかし、白樺派の<br />
世界は三島や谷崎より凄いね。対抗出来るのは泉鏡花くらいだろう。</p>

<p></p>

<p>◆１２月４日 上野鈴本演芸場夜席「不忍寄席師走賑」</p>

<p>市助『道灌』/志ん吉(交互出演)『間抜け泥』/ゆめじうたじ/龍玉『ぞろぞろ』/扇遊<br />
『手紙無筆(上)』/夢葉/南喬『初天神(上)』/正蔵(四人交代出演)『四段目』//～仲<br />
入り～//小菊(紫文代演)/はん治『鯛』/二楽/雲助『替り目』</p>

<p>★雲助師匠『替り目』</p>

<p>フワフワとした雲助師独特の酔っ払い。メリハリ演出でないから、逆に帰って来た亭<br />
主を当たり前みたいに迎えるかみさんのリアクションや、訳あり気な新内流しの女が<br />
言う「兄妹なんですよ」のひと言に夜更けの静寂がちらと漂う。かみさんに甘えて<br />
酒、肴とねだる亭主の愉しい可笑しさ。談志家元が「高座に江戸の風が吹く芸」と認<br />
めたのはこういうとこであろう。後半は都々逸小噺アンコ入り都々逸・かっぽれと来<br />
たが、惜しむらくは下座のきっかけや音量が適ってないから、かっぽれでは客席で手<br />
拍子が打ち難く、都々逸でも「ようよう」とは声を掛けにくかったなァ。</p>

<p>★龍玉師匠『ぞろぞろ』</p>

<p>雰囲気が明るくなったし、体の大きさを活かした面白味も増していて結構。</p>

<p>★南喬師匠『初天神（上）』</p>

<p>上方風の隣のおじさんへの告げ口と団子。特に周囲の人に訴えたりしないのに、可笑<br />
しいし、ちゃんと親子の感じも出てる。矢張り大したもんである。</p>

<p>★扇遊師匠『手紙無筆（上）』</p>

<p>こういう軽い噺の軽い可笑しさはお見事。</p>

<p></p>

<p>◆１２月５日　池袋演芸場昼席</p>

<p>一九『そば清』/和楽社中/志ん馬(圓太郎代演)『干物箱』/正朝『寄合酒(上)』/ロ<br />
ケット団/一朝『巌流島』//～仲入り～//馬石『鮑熨斗』/菊之丞『湯屋番』/順子・<br />
朝呂久/白酒『ずっこけ』</p>

<p>★白酒師匠『ずっこけ』</p>

<p>マクラから「受けさせよう」といった気負いが全くなく、如何にも寄席の主任らしく<br />
て非常に聞きやすい、寄席ならではの雰囲気で入った。小僧との遣り取りで初耳の<br />
「手品やれ！」があり、手拭い(白無地なのに)を縦横にして「縦縞」「横縞」、投げ<br />
て「向こう縞」等、先代馬生師の余興の手品みたいなのを入れた。下らなくて可笑し<br />
い。</p>

<p>前の長い分、共同便所から後が少し走ったが、かみさんがマンガ的に可愛らしさを増<br />
しているので愉しさはサゲまで下がらず。</p>

<p>★一朝師匠『巌流島』</p>

<p>珍しく言い間違い多し。しかし、若い侍、老武士、船頭、乗り合い連中と描き分け、<br />
特に老武士の立派さと乗り合い連中の軽薄さは素晴らしく堪能。</p>

<p>★馬石師匠『鮑熨斗』</p>

<p>部分的に物凄く可笑しいんだけど、全体のリズムが変だった。</p>

<p></p>

<p>◆１２月５日　ＳＷＡファイナル「Ｆｉｒｓｔ＆Ｌａｓｔ」（よみうりホール）</p>

<p>喬太郎「唄う前説」全員「オープニングトーク（回顧トーク）」/彦いち『バーベル<br />
芝浜』/喬太郎『悪魔の寝床唄』/白鳥『真夜中の解散式』/喬太郎『ハムバーグの焼<br />
けるまで』/彦いち『掛け声指南』/昇太『空に願いを』/全員「活動休止御挨拶」</p>

<p>★昇太師匠『空に願いを』</p>

<p>　出来は今夜一番たったと思う。ＳＷＡのメンバーは「私落語」の要素の強い人ばか<br />
りだけれど、昇太師のキャラクターの作り方には普遍性を感じる。先代今輔師の「お<br />
ばあさん」みたいなもので、実は違う演者が違うニュアンスで演じてもキャラクター<br />
の立ち上げが出来るのだな。</p>

<p>★喬太郎師匠『悪魔の寝床唄』『ハムバーグが焼けるまで』</p>

<p>　『悪魔の寝床唄』は「キャラ亭」の金田一耕助パロディだけれど、探偵物を演劇的<br />
に演じられる強みは発揮されている。『ハムバーグが焼けるまで』は「ＳＷＡ活動休<br />
止へのメッセージ」をチラッと入れた演出で、この噺の苦味と共感の表裏一体の面白<br />
さとそれが乖離していないのは流石である。</p>

<p>★白鳥師匠『真夜中の解散式』</p>

<p>　「活動休止」を「解散」にしちゃったけどいいのかなァ（笑）。</p>

<p>★彦いち師匠『バーベル芝浜』『掛け声指南』</p>

<p>　『バーベル芝浜』は「キャラ亭」ネタだが、落語というよりは余興に近い。『掛け<br />
声指南』は「私落語」としての面白さが深まっている。「直情である事の良さ」とい<br />
う意味では権太楼師に近いのかな・・・</p>

<p>※「ＳＷＡ」の活動休止は残念な事だと思うけれど、本多劇場での「書き下ろし」や<br />
「ブレンドストーリー」の会と比べると、今夜はいまいち、充実感に乏しいという<br />
か、如何にも「イベントです」という色合いを強く感じてしまった。「キャンディー<br />
ズじゃないんだからさァ」という気持ちも同時に感じてしまったのでありますね。最<br />
後の「活動休止挨拶」で四人それぞれが語った事に嘘はないと感じる。ただ、喬太郎<br />
師が挨拶で語った内容みたいに、噺家さんは基本的に「生涯職業」で、明日から「普<br />
通の人」になる訳でもない。「区切り」って必要だったのかな？かつての『森繁劇<br />
団』ではないけれど（あれは役者人事行政の見本みたいな巧い形態だった）、「年に<br />
１～２度、お馴染みの顔ぶれが顔を合わせる事はあっても、実体はあるような、ない<br />
ような劇団」みたいな形態をズーッと続けても良いのではなかったろうか。そういう<br />
意味で「寄席」ってのは、「プロの作りだす、非イベント的な日常性の場」の典型な<br />
んだね。発表になった、来年正月二之席上野の夜主任を喬太郎師匠が取る（しかも休<br />
演日の代演が白鳥師と彦いち師でしょ）、という方が「非イベント的な日常に起きた<br />
変化」だからこそ「連続的な変化への期待」として興味をそそられる（この文章自<br />
体、出演者というよりは、イベント的な会場設定をした主催者へ向けた言葉というべ<br />
きである）。ま、近年の芝居やコンサートみたいに、だらだらカーテンコールを何度<br />
も繰り返したりはせず、「早く呑みたい、打ち上げをしたいから」とカーテンコール<br />
一回で切り上げたのは、噺家さんらしくて、ＳＷＡらしくて物凄～く好きだったけ<br />
ど。</p>

<p></p>

<p>◆１２月６日 上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>まめ平『元犬』/菊六(交互出演)『浮世床・講釈本』/ゆめじうたじ/馬石(龍玉代演)<br />
『堀の内』/正雀(扇遊代演)『紙入れ』/紫文/南喬『金明竹』/白酒(四人交代出演)<br />
『壺算』//～仲入り～//夢葉/はん治『背中で老いてる唐獅子牡丹』/二楽/雲助『芝<br />
浜』</p>

<p>★雲助師匠『芝浜』</p>

<p>落語ではなく、雲助師独特の世話噺の世界。ふた幕物世話芝居の雰囲気である(歌舞<br />
伎や新派でなく文学座っぽい)。ベースは三代目三木助師型だが、魚勝が表情豊か<br />
で、対照的にかみさんは表情が抑え目。「大川へでも飛び込もうか」と言う勝をかみ<br />
さんがひっぱたく辺りの人物像は「若い杉村春子」ってとこがある。一寸確りしすぎ<br />
てて怖いとこもあるけれど。落語的下世話ではない。勝は稍、暢気というか、軽い作<br />
りだから北村和夫さんか。大晦日もドラマにし過ぎない、淡い流れである。浜の夜明<br />
けは簡単だが、大晦日の描写は丁寧。用語の選択の「江戸前ぶり」は雲助師らしく抜<br />
かりがない。久保田万太郎脚本演出、文学座公演という所か。志ん生師とおかみさん<br />
をモデにしたら、『芝浜』はどういう噺になるんだろう。そう思う辺り、今夜醸し出<br />
された雰囲気にちと物足りなさがあるのだ。</p>

<p>★菊六さん『浮世床・講釈本』</p>

<p>講釈本を読む件は可笑しいのだが、イマイチ跳ねない。トリがネタ出しで『芝浜』な<br />
のに「夢」に入ろうとして楽屋から止められたのは番組内容に対して無神経ではある<br />
まいか。</p>

<p>★馬石師匠『堀の内』</p>

<p>粗忽者の主人公やそれに翻弄される周囲の人々の動きが素晴らしく可笑しい。粗忽ぶ<br />
りも全くクサ味なく見事に変なのは凄い。</p>

<p>★白酒師匠『壺算』</p>

<p>前半可笑しかったのだけれど、瀬戸物屋の主人のキャラクターがボーッとしているよ<br />
うには聞こえなかったので噺の展開に違和感あり。『抜け雀』の主人みたいにボーッ<br />
としてた人がパニックに陥った、という雰囲気ではなかった。</p>

<p></p>

<p>◆１２月７日　上野鈴本演芸場昼席</p>

<p>燕路『短命』/文左衛門『桃太郎』/猫八・小猫/玉の輔(百栄代演)『財前五郎』/菊丸<br />
『祇園祭』/わたる/小燕枝(文楽代演)『小言幸兵衛』//～間入り～//ストレート松浦<br />
/志ん橋『熊の皮』/正朝『紀州』/ホームラン(遊平かほり代演)/小里ん『言訳座頭』</p>

<p>★小里ん師匠『言訳座頭』</p>

<p>序盤の夫婦の会話が重く、テンションが上がらないまま、富の市との遣り取りに入っ<br />
てしまったかな。富の市のリズムは二軒目の薪屋から面白くなったが、全体的にはイ<br />
マイチ。</p>

<p>★菊丸師匠『祇園祭』</p>

<p>京都男の嫌味な可笑しさは芸風にピッタリ。祭囃子も調子の高い師匠だから聞きやす<br />
い。</p>

<p></p>

<p>◆１２月７日　第八回射手座落語会(浅草三業会館二階座敷)</p>

<p>宮治『初天神』/正蔵『締込み』/生志『反対俥』/喬太郎『小政の生立ち』</p>

<p>※自分の主催する会だから、感想は無し(楽屋にいた時間などもあり、通してちゃん<br />
と聞いているとは言い難い)</p>

<p></p>

<p>◆１２月８日　池袋演芸場昼席</p>

<p>一九『蟇の油』/ロケット団/圓太郎『勘定板』/正朝『町内の若い衆』/和楽社中/一<br />
朝『小言幸兵衛』//～仲入り～//馬石『金明竹（下）』/菊之丞『元帳』/順子・木り<br />
ん/白酒『甲府ぃ』</p>

<p>★白酒師匠『甲府ぃ』</p>

<p>やはり寄席のトリネタで来たか。テンポよく、また豆腐屋主人をそそっかしい男にす<br />
ると同時に善吉の善人ぶり・出世意欲を陰にして、辛気くささを極力抑えて愉しい<br />
『出合い落語』にしてある。法華信仰も善人の説教臭さも感じず、「人の出合いの不<br />
思議」だけが後味に残る展開の落語らしさには感心する。頭が良いねェ。</p>

<p>★一朝師匠『小言幸兵衛』</p>

<p>　サラッと演じて愉しく、仕立て屋の逆襲も可笑しくて絶妙。</p>

<p>★圓太郎師匠『勘定板』</p>

<p>　田舎者が跨ったまま（大便はしない）、算盤が廊下を走って障子を突き破り、下の<br />
天水桶に落ちた所で「さっきのおまじない（玉を弾く）がきいて助かった」いう展開<br />
に変えた。骨太の可笑しさである。</p>

<p>★馬石師匠『金明竹（下）』</p>

<p>　前半オールカット。上方者の使いはごくまともで、与太郎は理解出来ないだけ。伯<br />
母さんが勝手にパニックに陥る、という三者三様が面白い。</p>

<p></p>

<p>◆１２月８日　第１９回ぎやまん寄席番外編「遊雀の会」(湯島天神参集殿二階座敷)</p>

<p>小曲『垂乳根』/遊雀『四段目』/遊雀『うどん屋』//～仲入り～//まねき猫『河童の<br />
鳴き声』/遊雀『花見の仇討』</p>

<p>★遊雀師匠『四段目』</p>

<p>定吉のキャラクターで、芝居好きよりも悪戯小僧の面が先立つのが馬鹿馬鹿しく愉し<br />
い。また、旦那がスッと調子を落として、店なかで芝居に行く話を定吉に始める辺<br />
り、落語話芸の的確さが可笑しさを引き立てる。やっぱり巧いのである。四段目の真<br />
似を始めた時、芝居のセリフが散文的になるのが惜しい。遊雀師なら二枚目声で本格<br />
に演じても可笑しさの邪魔にはなるまい。</p>

<p>★遊雀師匠『うどん屋』</p>

<p>仕立て屋のみぃ坊の科白を思い出して嗚咽する酔っ払いと、直ぐに「私が悪うござい<br />
ました」と謝るうどん屋のキャラクターの対比が前半は愉しく、泣かせかけて、ちゃ<br />
んと笑いに引き戻す自在さがある。酔っ払いが去って後、うどん屋が屋台を担ぐ仕種<br />
は重さを的確に表現して見事でありながら、リアリズム芝居になり過ぎない然り気無<br />
さで凄～く感心した。ほんと、巧いんだなァ。言葉不要の省略表現になっている。大<br />
店の客の「熱くして下さい」以降は、目白の小さん師の演出力、特に言葉の見事な省<br />
略を受け継ぐ出来。最後にうどん屋が言う「ヘェーッ？」だけ、喜びが欠けたのは惜<br />
しい。</p>

<p>★遊雀師匠『花見の仇討』</p>

<p>四馬鹿カルテットの可笑しさ、特に侍役の熊さんが待たされた腹立ちまぎれに本気で<br />
刀をズバーッと抜く可笑しさや、稽古で巡礼役二人の片方が熊さんの動きに感心して<br />
ボンヤリ見ている可笑しさが優れているのは勿論なんだけれど、マジになって助太刀<br />
に参加する侍(酔ってない方)のマジ馬鹿ぶりや、耳の遠いおじさんの堅馬鹿ぶりな<br />
ど、登場人物がみんな落語的馬鹿に染まっているのが物凄く可笑しい。この「落語的<br />
馬鹿」のキャラクター造形感覚は、中堅より下の真打では、遊雀師と甚語楼師に顕著<br />
なのだが、やはり権太楼師の影響なのだろうか。強いて言うと、巡礼兄弟役の二人の<br />
キャラクターにもう少し違いが欲しい。</p>

<p>★まねき猫師匠『河童の鳴き声』</p>

<p>　河童の鳴き声をベースにした展開で、「枕草子」ほど、客席を静かにしすぎないの<br />
が結構。初代猫八のＳＰの話も面白かった。</p>

<p></p>

<p>◆１２月９日　池袋演芸場昼席</p>

<p>朝呂久『子褒め』/小駒(交互出演)『鷺取り』/世津子/しん歩『強情灸』/一九『都々<br />
逸親子』/とんぼ・まさみ(ロケット団代演)/吉窓(圓太郎代演)『ぐつぐつ』/正朝<br />
『浮世床・講釈本』/和楽社中/一朝『短命』//～仲入り～//馬石『王子の狐』/菊之<br />
丞『棒鱈』/順子・朝呂久/白酒『抜け雀』</p>

<p>★白酒師匠『抜け雀』</p>

<p>『火焔太鼓』の甚兵衛さんと、この噺の宿屋主人の「ついでに生きてる人感覚」は志<br />
ん生師に次ぐものだと思う。それほど主人の一挙手一投足に愉しさがある。かみさん<br />
は衝立から絵に描いた雀が抜け出ると分かってからは可愛くなるが、前半は志ん朝師<br />
的で怖さが勝ち、先代馬生師の諦めちゃったかみさん(貧乏時代のおりんさんだね)の<br />
可笑しさがなく、『火焔太鼓』ほど古今亭・金原亭らしい夫婦像には至っていない。<br />
若い絵師も一寸威張りすぎ。老絵師にはもちっと品格が欲しい。品格があると「息を<br />
詰めろォー」がもっと面白くなる筈。二人とも優れた絵師という設定にしては、作画<br />
への入れ込みが足りないんだね。</p>

<p></p>

<p>◆１２月９日　いちのすけえん人形町支店(日本橋社会教育会館ホール)</p>

<p>朝呂久『間抜け泥』/一之輔『粗忽の釘』//～仲入り～//ぴっかり『ん廻し』・民謡<br />
弾き語り/一之輔『藪入り』</p>

<p>★一之輔さん『粗忽の釘』</p>

<p>珍しく引っ越しの冒頭から。粗忽な亭主と、それを面白がっているかみさんという夫<br />
婦関係の一之輔流ギャグ落語だから可笑しい。特に亭主の「(夫婦して)素っ裸で転げ<br />
て笑った」というセリフは聞くたびに場面が目に浮かんで笑ってしまう（これって先<br />
代柳朝師匠譲りのギャグだよね？）。反面、夫婦噺(情は特に要らない噺だけど)の関<br />
係性を余り感じないから、ギャグ沢山の一之輔落語における「コントの羅列」的なぶ<br />
つ切り感はどうしても伴う。</p>

<p>★一之輔さん『藪入り』</p>

<p>序盤は親父の「情の強さ」とその可笑しさで、三代目金馬師の小型版の雰囲気。一朝<br />
師の『藪入り』ほど、親父に職人らさはないのが惜しい。かみさんが対照的に矢鱈と<br />
醒めてるのが気になる。亀は悪くはないが『初天神』の子供が少し育ったみたいな醒<br />
め方を感じる。菊志ん師の亀の子供らしい背伸び感はない。後半、亀の財布を開けて<br />
からは、かみさんがガラッと変わって、子供を心配する余り疑心暗鬼に陥る母親にな<br />
り、短気だけど泣きながら亀を叱る親父と好一対で良かった。前後のバランスが次の<br />
課題かな。</p>

<p>※「『藪入り』は親の感情の押し付けで嫌な噺だ」という言葉は家元一代の暴論だと<br />
私は思う(亀をも少し生意気にしたら家元、親父は目白の小さん師って関係そのもの<br />
噺だもん)。この噺に関しては「親にとって子がいつまでも子であり、子にとって親<br />
がいつまでも親である限り、この噺は滅びない」という小三治師の意見に賛同する。<br />
親子関係(親〓子〓孫)が破綻してる人の受取方は別よ。「倅が幾つになったって、子<br />
供なんだから、孫より可愛いや」って、ディック・ミネさんの言葉を家元は聞いた事<br />
がなかったのかな？</p>

<p></p>

<p>◆１２月１０日　正蔵・馬石・一之輔の会(六本木ＢｅｅＨｉｖｅ)</p>

<p>※正蔵師はインフルエンザで休演。</p>

<p>馬石・一之輔「御挨拶」/つる子『子褒め』 /一之輔『加賀の千代』/馬石『締込み』<br />
//～仲入り～//馬石『狸の札』/一之輔『提燈屋』</p>

<p>★馬石師匠『締込み』</p>

<p>泥棒のキャラクターの良さや動きの愉しさは、先代馬生師の異才ぶりに近い。ベース<br />
はさん喬師型だが、様々なディテールの凝り方が活きて、違う味わいの愉しさになっ<br />
ている。かみさんが本当に怒り始めるのが些か早く、その分、感情的にリアルになり<br />
過ぎる面もあるが、一寸中堅若手真打で真似手の無い良さがある。</p>

<p>★馬石師匠『狸の札』</p>

<p>短い。アッという間だが、狸の表情の可笑しさ、八五郎が札の蚤を取る克明な動きの<br />
可笑しさなど、傑出した部分が多い。</p>

<p>★一之輔さん『加賀の千代』</p>

<p>御隠居が真に良い人で、全面的に甚兵衛さんを受け入れているのが愉しい。甚兵衛さ<br />
んはかなり変人っぽいが、独特のぶっきらぼうな可笑しさ。かみさんは噺の仕込み役<br />
程度の扱い。</p>

<p>★一之輔さん『提燈屋』</p>

<p>若い連中が広告を前に無筆ぶりを競う前半がワイワイガヤガヤでなく、寧ろ鎮静した<br />
雰囲気で可笑しいのは異色（何かダルな若者たち）。後半は、提燈屋の親父が怒り出<br />
すのが、隠居の前に出掛ける前の若い衆に「お前ェんとこか提燈、ただくれるっての<br />
は」と言われた辺りからで、そこまでは焦れがなく、淡々と進むから余り盛り上がら<br />
ず、最後でいちなりパニックになるのは可笑し味を薄くしたと思う。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１０日　第３２回特撰落語会「貞水・さん喬　硬軟長講二人会」(江戸深川<br />
資料館小劇場)</p>

<p>貞鏡『姉川軍記～木村又蔵一番槍』/喬の字『天狗裁き』/さん喬『文七元結』//～仲<br />
入り～//貞水『三村の薪割り』</p>

<p>★さん喬師匠『文七元結』</p>

<p>演出的に寄席の主任とほぼ同じだったから、尺も同じくらいかと思っていたが、実は<br />
１０分以上長かった。それを是何故な感じさせないのは凄い。佐野槌で女将は厳し過<br />
ぎず、お久も泣いたりしない。長兵衛は畏れ入るばかり。吾妻橋の長兵衛と文七の遣<br />
り取りは落語的な可笑しさがセリフにも仕種にも混じる。長兵衛にまた変化があり、<br />
金を恵む事にテレ笑いをし乍ら文七に金を遣ろうとする。次第に泣き笑いになり、金<br />
を投げ付けて逃げる。ここでも泣かさない。近江屋の跛面はいつも通り短めで、達磨<br />
横丁長兵衛内になって、長兵衛が落語的に陽気なのに、かみさんのお兼がシナシナと<br />
文句を言うのが悲惨でなく、可笑しさとして感じられる演出には瞠目した。文七が現<br />
れて「親方、有難うございました」と頭を下げた場面で吾妻橋がフィードバックして<br />
きて涙が出た。目出度さで泣かせてこそ落語なんだねェ。</p>

<p>★貞水先生『三村の薪割り』</p>

<p>なるほど長講。三村と竹屋喜平次の心情面の交流が良く分かる。「斬り手も斬り手、<br />
刀も刀、研ぎ手も研ぎ手」の嬉しさがあり、職人気質と侍気質の絆になっている。明<br />
治の噺家が(鼻の園遊師など)が面白い人情噺として演じたのも分かる。笑いをかなり<br />
挟み込んだが、そんなに笑いの挿入は必要かな。それよりも序盤、薪割りを見た喜平<br />
次の「巧いっ！」（先々代貞丈先生の音源で聞くと素敵なのよ）や、三村が桑の庇支<br />
えを斬る場面にもう少し鋭さが欲しい。</p>

<p>※さん喬師でも『三村の薪割り』を聞きたくなった。剣術の心得がある人、侍の出来<br />
る人でないと無理のある噺だからね。『井戸の茶碗』や『柳田格之進』といった美濃<br />
部家の噺を、さん喬師が良く演じるのも当然なんだな。</p>

<p>                                           ----以上上席------</p>

<p><br />
◆１２月１１日</p>

<p>　※色々あって草臥れてしまい、家から出ず、一日寝ていた。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１２日　第２４回白酒ひとり(国立演芸場)</p>

<p>扇『牛褒め』/白酒『四段目』/白酒「アンケート読み」/白酒『景清』//～仲入り～<br />
//白酒『富久』</p>

<p>★白酒師匠『四段目』</p>

<p>可笑しさは変わらず十二分なのだけれど、定吉の芝居掛かりの形がどうも決まらな<br />
い。セリフも少し型崩れがしてきたし、言い訳の言葉など、もっと芝居っぽいセリフ<br />
になっても良いと思う。その辺り、定吉の「芝居狂い」が明確と言い難いのは、そろ<br />
そろ修正したい所だろう。</p>

<p>★白酒師匠『景清』</p>

<p>定次郎が腕の傷を見せ、「目が見えなくては仕事が出来ない」と泣かせる件をカット<br />
するなど、センティメンタルになり過ぎないように配慮している割には、定次郎が旦<br />
那の前でメソメソ泣いたりするのが、聞いていてピンと来ない。清水観音堂の階段を<br />
定次郎が上る件で御詠歌を半端に唄ったり(偉く高っ調子で変)、本堂前で祈る観音経<br />
が適当な内容(ほぼ出鱈目に近い)なのも中途半端に感じる。その程度の「ツール」を<br />
入れるのは、却って「落語」として邪魔になるのではあるまいか。演出でカットした<br />
方が良いように感じた。終盤、着物の縞目を見て、定次郎は目が開いたのに気が付く<br />
演出。とはいえ、演技的に仕種や視線がまだ決まっていないので、目が明いたと分っ<br />
た瞬間が分り難いのも事実だ。金馬師の「月が出てらァ…月？」の分かりやすさと良<br />
さにはまだ敵わない。聞き終わって、白酒師の場合、上方原型『盲景清』のように、<br />
観音様を出現させ、定次郎が平景清の目を観音から貰って大暴れをする、荒唐無稽か<br />
つ落語らしい演出を採った方が向くのではないか？と思った。そこは雲助師の「世話<br />
噺」を成立させる視点と、白酒師の視点の違いだろう。</p>

<p>★白酒師匠『富久』</p>

<p>こちらは雲助師型をベースに、そこから抜け出そうとする過程と、その可能性を感じ<br />
た高座だった。序盤、見徳屋の知人との遣り取りで、久蔵が現在住んでいる三軒町の<br />
裏々長屋（オフオフみたいである）の小ささを強調したり、日本橋石町への駆け付け<br />
の場面を取り入れて(前に聞いた時は無かった。但し、黒門町的な江戸の夜の寒さの<br />
表現としては使っていない)、「久蔵の慌ただしい一夜の始まり」をマンガ的に描い<br />
たのもひと工夫だろう。体型的には、目白の小さん師型の「どてらに縄の帯」を久蔵<br />
に着せた方が似合うと思うけれど。久蔵の芸人らしさのキャラクター表現は雲助師を<br />
受け継いでおり、石町の旦那の家で、帳付けを途中から隣にいる番頭に押し付けた<br />
り、ハッと気が付いて自分がやったりの支離滅裂さや、番頭の分まで注いだ酒を呑む<br />
事で酒に逃げる男の弱さを面白く出すのはかなり成功している。また、富の千両を貰<br />
えないと分かっても、感情を極端に露呈させたりはしないし、通り掛かった三軒町の<br />
頭から早めに久蔵に声を掛けさせ、久蔵の「茫然自失」を陰気にせず、噺を明るい方<br />
向に向けるのは白酒師に似合う展開で賛成したい。半面、雲助師のクリクリした目の<br />
可愛さなどは無いから、千両を貰えない辺りで、もう少し人間的な可愛さを作る必要<br />
性も感じる（そういうとこは昇太師の久蔵が巧い）。石町の火事場での久蔵の可愛さ<br />
を面白く出すのには成功しているのだから、金が貰えない怒りの中での久蔵の可愛<br />
さ、幇間らしい、職業的に染み付いた愛嬌を出すのも、白酒師にとってはそんなに難<br />
しい事ではないと私には思える。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１３日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>京丸京平/圓馬『粗忽の釘(下)』/可楽『漫談』/健二(ぴろき代演)/圓『近日息子』//<br />
～仲入り～//春馬『猫の皿』/Ｗモアモア/とん馬『元帳』/楽輔『錦の袈裟』/ボンボ<br />
ンブラザース/平治『御血脈』</p>

<p>★平治師匠『御血脈』</p>

<p>『善光寺由来』で終わりかと思ったが、久しぶりにサゲまで。石川五右衛門の登場に<br />
なって、唄も歌ったりするが(笑)、五右衛門の大きさは流石である。</p>

<p>※マクラから序盤の釈迦誕生辺りを聞いてると、平治師の『宗論』ってどんななんだ<br />
ろう？(聞いた事がない)と思ってしまう。</p>

<p>★国分健二『物真似漫談』</p>

<p>　後半、上方のオカンと倅の漫談を演ったが、可笑しかった。これを主体にして、歌<br />
真似を組み合わせた方が面白いのではあるまいか？</p>

<p></p>

<p>◆１２月１３日　市馬・喬太郎・桃太郎の会(練馬文化センター小ホール)</p>

<p>吉好『十徳』/桃太郎『春雨宿』/喬太郎『初天神(上)』/市馬『掛取り三智也』//～<br />
仲入り～//鼎談</p>

<p>★良い年齢をした大人が三人、好き勝手をしているという(正確には、という風に見<br />
せられる)点で、噺家さんらしさ溢れる気楽な落語会。特にこの三人の組合せは強い<br />
なァ、みんな唄うし、気を使い乍ら馬鹿が言える(笑)。或る意味で桃太郎師が一番生<br />
真面目なのが分かるのも愉しい。勿論、鼎談の中身はとても掛けない（笑）。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１４日　春夏冬三人会其ノ壱(日本橋劇場)</p>

<p>宮治『元犬』/桃太郎『浮世床』/笑遊『宿屋の仇討』/遊雀『芝浜』</p>

<p>★遊雀師匠『芝浜』</p>

<p>志ん生師匠型がベースかと最初は感じた（１７日に違うのが分った）…魚熊が主人<br />
公。時間が押していたせいもあるかもしれないが、序盤「磐台には水が張ってある」<br />
「庖丁はピカピカに磨いてある」「草鞋は出てます」といった夫婦の遣り取りがない<br />
ので、三代目三木助師以降の主人公につきまとう「実は優等生」イメージが全くない<br />
のは落語としては清々しい。浜では海水で顔を洗って、直ぐに財布をみつけると中を<br />
チラッと見ただけで、不安そうな顔はせず、嬉しそうに飛んで帰る。財布の金を数え<br />
るのに「行灯を明るくしてこっちへ持ってこい」は巧いセリフで、時間的な家の中の<br />
暗さが分かる。熊は喜ぶと酒を飲まずに寝て、昼に起きて湯に行き、友達を連れて帰<br />
り、散財する。「魚屋が魚屋に（肴を）頼むんだから、どんなに目出度ェか分かるだ<br />
ろう」も面白いセリフだなァ。二度目に熊を起こしてからのかみさんは「情けないこ<br />
と言わないでおくれ」「魚屋さえしてくれれば我慢出来るのに…私は出て行く！」と<br />
怒る。熊が「おめェがいなくちゃおれは人間でなくなっちまう。酒ェ止めるから」と<br />
縋って止める。御贔屓への出入り復活の件が一寸入って、カットバックして三年経っ<br />
た大晦日は熊の湯帰りからになる。この場も夫婦二人きり(若い衆は湯に行かせてあ<br />
るので蔭でも出て来ない。この方が良いね。「蕎麦の代金」云々の遣り取りが私は好<br />
きではない)。表に小さな店を出した事は熊がセリフで言う。畳を替えただけでな<br />
く、かみさんも髪結いを呼んで丸髷を結い直していて、熊がそれを誉める（「結綿の<br />
出来に百八つ鳴り終わり」みたいである）。この辺りの遣り取りから家元や矢来町、<br />
小三治師より、夫婦の世代的な印象が若く感じられる（この夫婦の遣り取りはこれま<br />
で、一般的にどうも年寄り臭いのだな）。笹の葉や月明かりの描写も言わず、大晦日<br />
の世話場の苦労話や「呑める奴は楽しみだろうな」のセリフも無い。熊の「働かな<br />
きゃいけねェ。どんなに蓄えがあっても俺は働くぜ」を聞いて、かみさんは財布を出<br />
す。この時、テレなのか、かみさんが薄笑いしていたのが非常に印象的だった。かみ<br />
さんは「一年経って財布が戻ったけれど、私はまだお前さんが信用出来なかった。お<br />
前さんは私を信じてくれたのに」「離縁されても仕方ない。ごめんなさい」と謝っ<br />
て、最後の方は泣く。「打っても蹴っても」は言わない（このセリフも私は大嫌いで<br />
ある）。「手をお上げなすって」（この調子は志ん生師的）から熊のセリフに戻り、<br />
「畳とかみさんは古いのに限るな」と喜ぶ。かみさんが「お酒、呑もうか？」と言い<br />
出して、夫婦で茶碗酒を酌み交わし始める(この夫婦酒になるのが一番良かった)。茶<br />
碗を口元に運んだ熊が膳に茶碗を戻す。「どうしたの？」「…よそ。……夢になると<br />
いけね(呟く)」。三代目三木助師から家元、矢来町、小三治師をはじめ、数々の演者<br />
がくっつけ過ぎてきた文学的・心理的・演劇的装飾を取り払い、非常にシンプルで小<br />
味な落語に戻したとも言える、優れた高座である。その中で、自分なりの夫婦を描い<br />
た演出で、芝居じみた緊迫感や息苦しさがないのは嬉しかった。落語だもん。勿論、<br />
「かみさんが少し強いかな」と思うとこもあるが、『芝浜』の原点、夫婦噺の原点に<br />
近付いた高座で、嫌なとこ、暗く鬱陶しいとこが無い。今後のグレードアップが楽し<br />
みになる『芝浜』だった。遊雀師も「落語の職人」になれるね。</p>

<p>★笑遊師匠『宿屋の仇討』</p>

<p>万事世話九郎の科白に「捨衣が三連勝中である。あの連勝を止めてまいれ！」と昇大<br />
師のくすぐりが入っていたけれど、元は昇大師なのかな？序盤、小田原宿と神奈川熟<br />
がごっちゃになったりして、かなり緊張気味の様子だったが、江戸っ子三人が婆ァ芸<br />
者を呼んで大騒ぎを始めてからは(これだけ大騒ぎに聞こえる噺家さんも珍しい)可笑<br />
しさが前に出た。まだ笑遊師らしさはちと物足りないが、万事世話九郎には侍らしい<br />
迫力があるし、伊八は本当に四苦八苦してて可笑しい(散々、江戸っ子から「お八」<br />
と呼ばれた挙句、最後の敵討の報告になって「やっと伊八と呼んでくれましたね」と<br />
言ったセリフには馬鹿受け)。桃太郎師がモデルだという源兵衛はじめ(笑)、江戸っ<br />
子三人ははすさまじく跳ねっ返りで、先代今輔師みたいな婆ァ芸者は矢鱈とパワフル<br />
で可笑しい。一年くらいすると爆笑ネタになってると思う。最後に「あれは座興だ」<br />
とシレッとして表情を変えずに言う万事世話九郎が凄く可笑しいのが止め。</p>

<p>★桃太郎師匠『浮世床』</p>

<p>今年に入ってからか、途中まで寄席で聞いて以来の演目。フワフワと芸・講釈本・<br />
夢。講釈本の中身が目茶苦茶なのは桃太郎師以外では許されないだろうけれど可笑し<br />
い。夢は意外と普通なんだけど、相手の女が全然美人に見えないのが独特の可笑し<br />
さ。ケメヅカ温泉のケメ子さんと変わらないみたいな雰囲気なんだもん(笑)。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１５日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>遊史郎『悋気の独楽』京丸京平/寿輔(圓馬昼夜替り)『名人への道』/可楽『尻餅』/<br />
ぴろき/圓『悔み丁稚』//～仲入り～//竹丸(春馬昼夜替り)『童謡の穴』/Ｗモアモア<br />
/とん馬『元帳』/楽輔『粗忽長屋』/ボンボンブラザース/平治『鈴ヶ森』</p>

<p>★平治師匠『鈴ヶ森』</p>

<p>親分は稍リアクションの迫力過剰で、お客の笑いを誘いだせないとこもあったけれ<br />
ど、子分の下らなさは一段とパワーアップして、強烈に馬鹿馬鹿しい。顔中墨黒々と<br />
塗り潰す場面で、額が本当に黒くなったみたいな感じがした(つまり、海苔でグルグ<br />
ル巻きにした握り飯ね)。くっだらなさも飛び抜けるとリアルさを伴うんだろうか。</p>

<p>※可楽師が『尻餅』を短めに、極く普通に淡々と演じているのを聞いていたら、妙に<br />
歳末感を感じてしみじみとしてしまった。何だったんだろう。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１５日　柳家三三・ナオユキふたり会「ふたりぼっち３」(北沢タウンホー<br />
ル)</p>

<p>三三・ナオユキ『バーテンと客』（※コラボというかコントというか）/ナオユキ/三<br />
三『鮑熨斗』//～仲入り～//ナオユキ/三三『笠朞』</p>

<p>★三三師匠『鮑熨斗』</p>

<p>次第にナンセンスなイメージが強くなっているのは、メソメソしたり客観的になった<br />
り振幅の激しいキャラクターの甚兵衛さんと、彼を上から視線で取り囲む周囲の人々<br />
の世界の歪みが大きくなっているためかな。可笑しさの強まる半面、甚兵衛さんが熨<br />
斗の由来はちゃんと覚えられる不可思議が強まっているのも事実。志ん生師の「こい<br />
つは腹が減って飯が食いたいだけの奴なんだ」が明らかに言葉の上だけなんだな。</p>

<p>★三三師匠『笠朞』</p>

<p>押していたので言葉を省略して短め。「血は争えませんね」と待ってる側の旦那に言<br />
う番頭の存在は『三枚起請』の亥之さん同様、三三師独特の「噺内第三者」なんだけ<br />
れど、その視点があるから、目白の小さん師型がベースなのにも関わらず、二人の焦<br />
れの根として、「友情」よりも二人が抱えた「老人の孤独からの逃避」の方が前に出<br />
てくる。それが軸なら軸で別に構わないけれど、結果、二人が「傍迷惑な爺」に見え<br />
る事に違和感がある。</p>

<p>★ナオユキさん</p>

<p>　聞いた事があるのは三三師とのふたり会だけで、私はまだ二度目だから、よく理解<br />
していないんだろうけれど、いえば「小噺漫談」なのか。オンシアター／自由劇場や<br />
イッセー尾形さんっぽい音楽を出入りに使っているが、内容的には寄席の超定番みた<br />
いなネタが混じったりする。演劇型かというと独り芝居ではなく、あくまでも個人の<br />
語りなんだけれど、構成が「小噺」的で、例えが違うかもしれないが、柳家紫文師の<br />
「長谷川平蔵シリーズ」の私的内容版だったり、市井スケッチだったりするので、実<br />
は演劇的な笑いではない。イッセー尾形さんっぽい音楽は「正体隠し」の隠れ蓑なの<br />
かも。もう少し展開すると鶴瓶師の「私落語」みたいになるのかもしれん。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１６日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>章司/圓丸(右左喜代演)『死ぬなら今』/楽輔『浮世床・芸～講釈本』/京丸京平/圓馬<br />
『高砂や』/可楽『漫談』/健二(ぴろき代演)/圓『鹿政談』//～仲入り～//春馬『だ<br />
くだく』/Ｗモアモア/とん馬『垂乳根』/金遊『小言念仏』/ボンボンブラザース/平<br />
治『禁酒番屋』</p>

<p>★平治師匠『禁酒番屋』</p>

<p>番屋の侍が言葉の端々は酔いながらも、上体を崩さぬなど「侍らしさ」に留意した演<br />
出。反対に、酒屋の若い衆たちはマンガっぽく崩して、硬軟の対照で馬鹿馬鹿しくも<br />
下らなくない愉しさを描いていた。</p>

<p>★圓師匠『鹿政談』</p>

<p>稍短めの演出だが、悠々とタップリ聞かせた余韻を残して、乗りの良い観客をだらさ<br />
ず、惹き付けたのは流石だ。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１６日　Ｊ亭落語会月替り独演会・柳家三三独演会(Ｊ亭アートホール)</p>

<p>小太郎『時そば』/三三『質屋蔵』//～仲入り～//三三『柳田格之進』</p>

<p>★三三師匠『質屋蔵』</p>

<p>ほぼ米朝師型だが、心理表現、特に情緒的な心理表現を重んじない噺だから、三三師<br />
には東京風の演出より似合う。定吉が熊さんに芋羊羹を買って貰い、会心の笑みを漏<br />
らす件、熊さんが旧悪を次々と白状する辺りの可笑しさは久しぶりに三三師らしさを<br />
感じた。旦那が米朝師のように似合わないのと、旦那の語る質草の帯の謂れに米朝師<br />
のディテールの細かい庶民感覚が無いのは仕方ない。そこを演じきろうと三三師がし<br />
たら、噺が陰気になってしまうだろう。</p>

<p>★三三師匠『柳田格之進』</p>

<p>時間の関係もあったのか、月見の宴をカットした演出で３０分ほど。娘を売らず、来<br />
圀俊の刀を売る馬石師型だが、更に芝居じみたメリハリをつけた演じ方にした。結果<br />
的に偉く単純な噺になって、メリハリしか印象に残らない。今夜の柳田は先日の『懐<br />
古趣味』で演じた時より、更に正義感だけで他人の見えない頑固者で矢鱈と猛々しく<br />
怖い。優れた柳田にある成長や変化の無い人物である。萬屋番頭徳兵衛から近代的な<br />
「男の嫉妬」をカットし、「忠義一途」にしたのは一つの工夫だが(柳田は萬屋の<br />
“主従三世”を許すのだから)、来圀俊の刀が全てを嘘にする。殿様から拝領の刀を<br />
売り払った侍が、旧主の下に帰参出来る訳がないと思えてならぬ。侍の面目丸潰れで<br />
それこそ切腹ものである。来圀俊を売る演出は小市民的妥協で、「侍への侮蔑」にほ<br />
かならないのてばないか？人は立場、身分、宗教、階級、様々な違いで考えの立脚点<br />
が違い、それを理解しあわなければならない業もある。そのために柳田の人間が描か<br />
れ、成長や変化が描かれる…という点の欠けた『柳田』は演じる必要があるのか？</p>

<p></p>

<p>◆１２月１７日　第１７回三田落語会昼席(仏教伝導会館ホール)</p>

<p>半輔『垂乳根』/白酒『甲府ぃ』/喜多八『味噌蔵』//～仲入り～//喜多八『夢の酒』<br />
/白酒『宿屋の仇討』</p>

<p>★喜多八師匠『味噌蔵』</p>

<p>病み上がりなのだそうだが（確かに大分痩せていた）、異様なテンションの高さだけ<br />
でなく、吝兵衛も店の連中も何だか胡散臭いキャラクターで無茶苦茶可笑しい。特に<br />
悲惨な店の食生活のおかげで食べ物の名前や食べ方を忘れている奉公人とか、旦那が<br />
帰って来ても「今度はいつ食べられるか分からない」と箸と茶碗を手に立ち尽くす奉<br />
公人がいたりと、リアルさをマンガ的に誇張した可笑しさが炸裂した高座。</p>

<p>★喜多八師匠『夢の酒』</p>

<p>初代三亀松師の色気漫談のマクラも可笑しかったが、若旦那のおかみさんや夢の女が<br />
色っぽいのに驚く。最後の親旦那のオチのひと言は酒飲みの心理を現して見事。『味<br />
噌蔵』にも言えたが、リアルに感じ難い大声で会話をしているのに、「話術の会話」<br />
「演技の会話」でなく、日常的な会話に聞こえるのが不思議に面白かった。</p>

<p>★白酒師匠『甲府ぃ』</p>

<p>　心情的な噺としてでなく、「縁の不思議」を面白く描いた噺として納得感があるの<br />
は、やはり豆腐屋主人の粗忽ぶりのキャラクター造型と、対照的に善吉のキャラク<br />
ターを敢えて「落語国の田舎者」に留め、余り個性を発揮させていない、というバラ<br />
ンス感覚にある。</p>

<p>★白酒師匠『宿屋の仇討』</p>

<p>万事世話九郎の打つ手の音が綺麗になったので、場面転換が決まるようになった。<br />
「ジングルベル」を騒ぐ場面で江戸っ子三人が唄ったり、これは前からだが「輪島と<br />
白鳳ではどっちが強い」の言い合いから相撲騒ぎになったりと、ギャグは相変わらず<br />
のナンセンスだが、噺のまとまりが良く、本題は３０分弱のスピードになったのは凄<br />
い。言えば、万時世話九郎が侍っぽさに乏しい。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１７日　第１７回三田落語会夜席(仏教伝導会館ホール)</p>

<p>半輔『寄合酒』/権太楼『富士詣』/志ん輔『火事息子』//～仲入り～//志ん輔『野晒<br />
し(上)』/権太楼『芝浜』</p>

<p>★権太楼師匠『富士詣』</p>

<p>丁寧な演じ方で、熊の蛇淫戒話に出てくる先達さんのかみさんに妙な色気があるの<br />
と、熊の話しぶりの可笑しさが独特で、噺の愉しさは派手に演じた時と変わらない。<br />
生で聞いた『富士詣』ではやはり権太楼師が一番可笑しい。</p>

<p>★権太楼師匠『芝浜』</p>

<p>唸る名作。遊雀師がネタ卸しした『芝浜』の優れた原点が此処にある。三代目三木助<br />
師以降、粋に作られすぎ、装飾の増えすぎた『芝浜』を、「大金を拾う」という落語<br />
としては野暮な原点に一度戻し、そこから職人噺・夫婦噺として見事に組立て直して<br />
ある。最初に起きた時、魚熊は酔いざめでなく、前夜から酒を断たされている。「水<br />
を張った盤台」「研いだ庖丁」「草鞋」などの小道具はカットして、起きた熊は直ぐ<br />
芝の河岸に向かう。途中の道で犬も出ない。浜の描写も殆ど無いまま、手拭いを波打<br />
ち際に落としたのがキッカケで財布を拾う（これは遊雀師にもある）。家に戻り、<br />
拾った金の勘定をすると、一杯呑んで直ぐ二度寝する。起きると銭湯に行き、友達を<br />
連れて帰り宴会騒ぎになって酔い潰れて寝る。かみさんが三度目に起きた熊に「財布<br />
を拾ったのは夢だ」と話をするのも翌日の昼過ぎで早朝ではない。「起こすと手拭を<br />
肩に銭湯へ」を繰り返して、「夢だ」と熊が納得させられるが、「手拭を肩に銭湯<br />
へ」のセリフも形も実に愉しい。「酒を止める」は熊が言い出して、仕事に出るシー<br />
ンはなく、贔屓の出入りを許される件を挿入。三年経っての大晦日は銭湯帰りの熊か<br />
ら始まる。畳と障子は変えたが、まだ店などは出していない棒手振りのまま。「昔は<br />
酒が道楽だったけれど、今は仕事が道楽だ」という熊の言葉で、かみさんは財布を出<br />
す。家元は職人の感情に憧れて解説はしてくれたけれど、権太楼師は目白の小さん師<br />
譲りで、職人の気持ちを表現してくれているのに感心した。だから、かみさんから<br />
「夢ではなかった」と聞かされて、「どんなに情けなかったか」「それが夫婦<br />
か？！」と怒る熊の心情に共感する。この共感は先代圓楽師の「思い出したくねェ。<br />
嫌な夢だ」に近い心情ではあるまいか。かみさんは「こんな事して良いのかな」と怖<br />
くなったから熊を「夢だ」と騙し、苦し紛れの感情で「情けない事を言わないでおく<br />
れ」と叱ったと語る。「今のお前さんなら、金を見て駄目になって乞食になっても一<br />
緒に乞食になって良いと思ったから、お金を出した」と語るかみさんは、確かに「怖<br />
い女」でもあるが、「一緒に堕ちる決意」をしてくれる女がかみさんだというのは、<br />
男から見て「運命の女」だって事でもある(志ん生師とおりんさんみたいな夫婦であ<br />
る。面識はないけれど権太楼夫人に会いたくなった)。「機嫌直して貰おうと思っ<br />
て、お酒、用意したの」というかみさんに、一度は「あの時、呑まないと決めたから<br />
呑まない」と言った熊が、重ねてかみさんに泣いて薦められ、「お前も呑むなら呑<br />
む」と言って、かみさんに先に酒を注ぐのが凄く良い(夫婦は共犯関係なんだなァ。<br />
権太楼師がマクラで雲助師の『もう半分』を褒めたのが此処に繋がるのか)。最後に<br />
湯飲みを膳に戻した熊が「よそう、夢になるといけねェ」を少し笑顔で、明るめの切<br />
なさで言うのも素敵である。本題の尺は３０分くらいと適切。夫婦噺・職人落語の<br />
『芝浜』として、現在以降、基本になるべき演出だと思う。三代目三木助師の『芝<br />
浜』の呪縛から漸く離れた高座に出会えた喜びを感じた。演出面では先日ネタ卸しし<br />
たの遊雀師が更に洗練している部分もあるのだけれど、夫婦としての気組みが段違<br />
い。</p>

<p>★志ん輔師匠『火事息子』</p>

<p>落語というよりは、雲助師の「世話噺」に近い「江戸情話」として優れている。志ん<br />
生師や矢来町の型でなく、家元の演じていた鶴本の志ん生師型で、臥煙になった芳三<br />
郎の夢の中から始まる。その冒頭から芳三郎が切ない。夢の中で女中に「どうし<br />
た？」と存在を訊く「お千代」が纏持ちの後家で芳三郎の乳母になった女という設定<br />
も、そうと分ると切ない。番頭の「御勘当になった芳三郎さんです」を聞いた親旦那<br />
の「やっぱり…」のひと言も胸に滲みる。親旦那も阿っ母さんも割と泣くが、泣かせ<br />
の嫌らしさは感じない。親旦那の気持ちも阿っ母さんの気持ちも聞いていて分かるか<br />
らである。</p>

<p>★志ん輔師匠『野晒し（上）』</p>

<p>　矢来町型として、ちゃんとしているのだけれど、勢いがないため一寸物足りない。<br />
志ん輔師の変化・安定化によるものだから仕方ないんだけれどね。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１８日　第回雲助蔵出し再び　その十(浅草三業会館二階稽古場)</p>

<p>市楽『元犬』/雲助『持参金』/雲助『蟇の油』//～仲入り～//雲助『らくだ』</p>

<p>★雲助師匠『持参金』</p>

<p>　サラリと可笑しく、雲助師ならではの馬鹿馬鹿しさがある。主人公のセリフから、<br />
お鍋が酷く不細工に聞こえないのも結構。しかし、寄席によっては「禁演落語」に<br />
なっていたとは知らなかった。確かに、新宿末廣亭で妊婦客のカップルがこの噺の直<br />
後に帰ったのは見た事があるけれど、その末廣亭以外で禁演というのが驚き。これで<br />
禁演なら『マサコ』なんかどうなるんだろう。</p>

<p>★雲助師匠『蟇の油』</p>

<p>凡そ雲助師から聞いた記憶の無い演目だけれど、酔った蟇の油売りの目茶苦茶さがた<br />
だ荒っぽいのではなく、不思議な可笑しさの酔い方なのと、酔った勢いでズバーッと<br />
刀を抜く辺りの迫力、それを見ていた客のリアクションの可笑しさには先代馬生師を<br />
感じた。</p>

<p>★雲助師匠『らくだ』</p>

<p>ベースは先代馬生師だろうが全体のトーンが軽めで、噺の輪郭が稍小さい。屑屋が些<br />
かグズ作りなのは独特で、カンカンノウを大声で唄う件はハッキリ可笑しいが、後は<br />
野暮ったい。それが酒で変わり、鯔瀬とまでは行かないが、妙に江戸っ子っぽく威勢<br />
の良くなる所が面白い。酔いが回った証拠として、先代馬生師譲りの突如大声を発す<br />
る件もあるが、先代や志ん朝師程の大声ではない。この大声をキッカケとして急激に<br />
態度が変わる、というよりは三杯呑んで、後をせびりだし、杯を重ねて荒れ始めた結<br />
果、大声を上げる雰囲気。屑屋の語るらくだとの因縁話は狸の皮の件だけ。兄貴分は<br />
比較的凶悪ではなく、江戸前の小悪党(笑)。大家は段々怒り出し、大声を出す辺りが<br />
独特で、視線の因業な辺りも烈々と性質の悪さが出て可笑しい。月番と八百屋のリア<br />
クションは普通。らくだの死体の始末は屑屋が髪は毟って、湯飲みに入った髪を取り<br />
だしてから、樽を横にして死体を中に入れ、蓋で無理に押し込む。手足を一々折った<br />
りはしない。樽を担ぎ出してからは屑屋の派手な「葬礼だ」が非常に可笑しく、隠亡<br />
の凄い酔い方も抜群のマンガで傑出している。願人坊主と屑屋が帰り道で喧嘩を始め<br />
るが、ここのナンセンスさはイマイチ。願人坊主の動きが小さいのかな。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１８日　第回雲助一門会(浅草三業会館二階稽古場)</p>

<p>辰じん『ひと目上り』/白酒『四段目』/龍玉『親子酒』//～仲入り～//雲助『浪曲社<br />
長』/馬石『笠碁』</p>

<p>★雲助師匠『浪曲社長』</p>

<p>爆笑お遊び噺（圓歌師と比較は出来ないが、浪曲も含めて中々こうは出来ないよ）。<br />
ゴルフと浪曲好きの社長が、何となく「変な人」で可笑しいのは、先代馬生師的な<br />
「変人落語」を余り得意としない雲助師としては、『電話の遊び』の親旦那と並んで<br />
出色だろう。馬石師の『笠碁』とこの噺を聞くと雲助師の『笠碁』も聞きたくなる。</p>

<p>★白酒師匠『四段目』</p>

<p>いつもより面白いくらいなのに、続く三人が異常に可笑しかったので、会が終わった<br />
ら印象に残っていなかったのは気の毒。</p>

<p>★馬石師匠『笠碁』</p>

<p>今松師譲りとのこと。先代馬生師型に、今松師や馬石師の工夫が加わり、目白の小さ<br />
ん師型『友情の笠碁』でなく、先代馬生師の『碁に淫した変な人たちの笠碁』とし<br />
て、かなりのレベルで面白い。「“待った”をしますね」と吉田の隠居に言われたの<br />
が原因で、二人が「待った」を止める件は久しぶりに聞いた。最初に碁を打つ場面か<br />
ら、明らかに二人とも目付きがおかしく（馬石師自身が碁をするというのが明らかに<br />
投影されているが、それ以上に馬石師の性格の特異な一面が表れている印象）、その<br />
淫し方、入っちゃった二人を引き画でみる愉しさが堪能出きる。後半、菅笠を被って<br />
現れた碁敵を見て、待つ側の旦那が店の者たちに「普段の通りに(相手を)見ろ」と命<br />
令するセリフや、番頭が「あたくしが(相手を)呼んで来ましょうか？」と申し出る辺<br />
り、旦那たちの我が儘から、店中に異常な緊張感が漲っているのが如実に分かり、可<br />
笑しくて堪らなかった。先代馬生師独特の「変人落語」は馬石師が一番受け継いでい<br />
るのかもしれない。</p>

<p>★龍玉師匠『親子酒』</p>

<p>親旦那が呑み始めてから、間を溜めに溜めてボソッと呟く、「……うまい」など、ひ<br />
と言ひと言の呟きが非常に可笑しい、独特の『親子酒』。こんなに可笑しい龍玉師は<br />
初めて聞いた。親旦那も若旦那も、簡素な表現の酔っ払い方なのだが、如何にも酒呑<br />
みらしい「可愛らしい意地の汚さ」が一杯（笑）。龍玉師の噺でこんなに笑ったのは<br />
初めてである。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１８日　上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>玉の輔『財前五郎』/紫文(小菊代演)/琴調『赤垣徳利の別れ(下)』/歌武蔵『時そ<br />
ば』//～仲入り～//ロケット団/燕路『もぐら泥』/アサダⅡ世/志ん輔『掛取萬歳』</p>

<p>★燕路師匠『もぐら泥』</p>

<p>サラサラと軽くて巧い。明らかに、これまでの「巧さ自慢」がなくなり、面白くなっ<br />
たなァ。</p>

<p>★歌武蔵師匠『時そば』</p>

<p>一人目の男のそばの食いっぷりの良さと、二人目の夜鷹蕎麦屋が高倉健みたいに渋く<br />
無愛想な低音なのが物凄く可笑しい。ギャグ面では普通に演じても、キャラクターで<br />
これだけ面白くなる見本。才能のある噺家さんである。</p>

<p>★志ん輔師匠『掛取萬歳』</p>

<p>狂歌・義太夫・喧嘩・芝居・萬歳。そりゃ、圓生師みたいに大本格とは言わないけれ<br />
ど、魚屋との「喧嘩」の場面に圓生師みたいな嫌らしさ、鬱陶しさがなく、全体が明<br />
るく、暢気な貧乏人の掛取り対策になってるのが愉しい。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１９日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>可楽『漫談』/ぴろき/圓『天災』//～仲入り～//春馬『漫談』/Ｗモアモア/とん馬<br />
『犬の目』/楽輔『粗忽長屋』/ボンボンブラザース/平治『うどん屋』</p>

<p>★平治師匠『うどん屋』</p>

<p>華柳師譲りだったかな…最近はまず聞かない『高砂や』『松尽くし』『山姥』に酔っ<br />
払いが文句を付ける件が入り、「仕立屋の太兵衛」も三度、繰り返して話し掛ける。<br />
その酔っ払いが職人の怖さを感じさせるのが独特。小柄なれば先代文治師だが、大柄<br />
だから室田日出男といった雰囲気になる。だから、うどん屋が余計に愛想良くなるの<br />
も分かる。その一寸怖いとこが、ミィ坊の花嫁姿を思い出して酔っ払いが泣く、とい<br />
う展開の湿感を重くしない味にもなっている。うどん屋も酔っ払いが去ると、特に愛<br />
想が良い訳でない。「婆さんのいう通り、今夜は早仕舞いしよう」と、普段は通らぬ<br />
路地を抜けたため、初めての大店の客と出会う…この流れは良いね。大通りへ出て、<br />
売り声を二度言うのも寒夜の雰囲気が出て結構なもの。大店の若い衆は、酔っ払いと<br />
はうってかわって如何にも暢気な風邪っ引きで、うどんを啜る様子もクサくなく丁寧<br />
なら、うどん屋のリアクションも小商人らしく無駄が無い。まだ、うどん屋の雰囲気<br />
を若く感じてしまうが、これからが更に楽しみな演目だ。</p>

<p></p>

<p>◆１２月１９日　上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>小菊/琴調『徂徠豆腐』/歌武蔵『時そば』//～仲入り～//ロケット団/燕路『やかん<br />
舐め』/アサダⅡ世/志ん輔『文七元結』</p>

<p>★志ん輔師匠『文七元結』</p>

<p>マクラ殆ど無しで５０分くらい。清澄な世界は先日の国立演芸場と同じで、登場人物<br />
を追い詰めず、雲助師と共に(持ち味は違う)「江戸情話」の世界を築いている。半<br />
面、客席の入りが薄く、受け所で観客側からのフィードバックが少なかったため、噺<br />
を引っ張る長兵衛の陽気さが途中から、国立演芸場ほどは乗りきれないままに終わっ<br />
た印象である。「江戸情話」としての魅力はあるが、最後の達磨横丁で「金は文七が<br />
忘れて来た」と聞いた長兵衛が「死ねェー！」と叫ぶ雰囲気には至れなかったなど<br />
(国立演芸場の「死ねェー！」は絶妙だった)、落語らしい愉しさに関して物足りなさ<br />
が残ったのである。勿論、悪い出来ではなく、佐野槌でお久の言葉から長兵衛の泣き<br />
笑い、女将の涙と続く件が陰気にならず、何処か温かい雰囲気を感じさせるなど、志<br />
ん輔師らしい良さは散見されている。</p>

<p>★歌武蔵師匠『時そば』</p>

<p>昨夜書き忘れたが、主人公が二度目の不味いそばの太さを「干瓢みてェだな」と称す<br />
るのと、不味いそば屋が出汁に煮干しを使っているのを、代金を誤魔化したい一年＋<br />
そば屋の低音に気圧されて「煮干しの方が体には良いんだ」と御愛想を言うのが優れ<br />
た表現で非常に可笑しい。</p>

<p><br />
                               -----以上中席------</p>

<p><br />
石井徹也　（落語”道落者”）</p>]]>

</content>
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<entry>
<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　１１月下席号</title>
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<modified>2011-12-29T13:55:24Z</modified>
<issued>2011-12-05T13:48:14Z</issued>
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<summary type="text/plain">１１月には落語ファンにショックを与える”事件”が起きました。言うまでもなく、立川...</summary>
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<name>落語</name>


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<![CDATA[<p><font size="3" color="#008080"><b>１１月には落語ファンにショックを与える”事件”が起きました。言うまでもなく、立川談志師匠の逝去です。１１月２１日に永眠をされ、２３日に公にされました。談志師匠に関しては別途、記事をＵＰする予定です。</b></font></p>

<p><font size="3" color="#008080"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の十一月下席号です。石井さんも２３日の夕刻まで、この事実をご存じありませんでした。２３日以降の落語会に、そのニュースは微妙な影を落とします。稀代の落語”道落者”・石井徹也がリアルタイムで記録した”２０１１年１１月下席”のレポートをお届けいたします。</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p></p>

<p>◆１１月２１日 第１０７回関内小満んの会（関内小ホール）</p>

<p>ありがとう『牛褒め』/小満ん『稽古屋』/小満ん『心中時雨傘』//～仲入り～//小満<br />
ん『鈴振り』</p>

<p>★小満ん師匠『稽古屋』</p>

<p>下座抜きなので踊りの件は抜き。主人公が隠居にもてない訳を訊いて稽古屋へ向か<br />
う。「喜撰」を習うが駄目で「擂り鉢」の本を借り、大屋根の上で甲の声を出す稽古<br />
をする、所謂『歌火事』。主人公と隠居の軽い遣り取り、女師匠の困り顔と素軽く愉<br />
しい大人の味。</p>

<p>★小満ん師匠『心中時雨傘』</p>

<p>積善の家に余凶ありの展開で確かに救いの無い噺。因縁因果とも無縁で、不思議に無<br />
常な話。しかし、時雨を背景としながら、ほの温かい印象を聞き終わって受けるのは<br />
小満ん師の語り口故か。『除夜の雪』より救いの無い演目なのだが。</p>

<p>★小満ん師匠『鈴振り』</p>

<p>『お長兵衛芝居』『柿栗松浦松茸』『甚五郎の張型』などのバレ小噺を経て、『十八<br />
壇林』を軽く彩りに添えて本題へ。「ＵｎｄｅｒＳｔａｎｄ？」を小噺の合間の接ぎ<br />
穂にしたのがまた洒脱。本題では若い修行僧の袖を引いて「一寸こちらへ」と一人ず<br />
つ別室へ呼び、男根に鈴をつける件が馬鹿に可笑しい。こういう洒落た作りは小満ん<br />
師以外に無理だね(三十年程前、ひょうきん族メンバーが真逆の事をしたと聞いた事<br />
がある。前座さんで同じ事をしたら…女性が増えたから無理か)。</p>

<p></p>

<p>■立川談志師匠逝去　７５歳。（公表は２３日）</p>

<p></p>

<p></p>

<p>◆１１月２２日 池袋演芸場昼席</p>

<p>いっぽん『道灌』/金兵衛(交互出演)『狸の札』/美るく『垂乳根』/正朝『宗論』/東<br />
京ガールズ/圓太郎『強情灸』/馬生『転宅』//～仲入り～//金也(交互出演)『悋気の<br />
独楽』/扇好『のめる』/世津子/金時『芝浜』</p>

<p>★圓太郎師匠『強情灸』</p>

<p>峯の灸を使う古今亭型のスタンダード演出。友達二人の馬鹿な意地の張り合いが烈々<br />
と能天気で可笑しい。</p>

<p>★正朝師匠『宗論』</p>

<p>寄席で聞くにはギャグを入れすぎずにキャラクターの面白さで聞かせるタイプで適<br />
切。</p>

<p>★金兵衛さん『狸の札』</p>

<p>今時珍しいくらいにオーソドックスで狸も八五郎も仕種、セリフが確りしているから<br />
面白い。</p>

<p>★金時師匠『芝浜』</p>

<p>独特の演出だが、おそらく金馬師の型だろう(金馬師の『芝浜』を生で聞いたのは２<br />
８年前に「金馬いななく会」で聞いたのが最後だから、細部を忘れた)。主人公は魚<br />
金。冒頭のかみさんが大抵の『芝浜』のように辛気臭くはなく明るめ(このかみさん<br />
は割と気が強い)。芝の浜の描写は日の出くらい。慌てて帰り、戸を叩く声の抑え加<br />
減は適切。金は五十二両二分。「唐桟を買いたい」とかみさんに話して二度寝する。<br />
「夢だ」の件は長くない。かみさんは「呑んでも良いから働いておくれ」と言うが金<br />
自ら「いや、酒ェ止める」と言う。三年経って、子供が生まれ(かみさんが言い訳に<br />
は使わない)、店で若い衆も使っているが「来年辺り、表通りに店を出そうか」と話<br />
をしている段階。金の「人間は働いてねェといけねェな」を受けて、かみさんの「話<br />
を聞いておくれでないかい」となるが、金がそれを受けてのセリフ「怖そうな話だ<br />
な」は良い。「そんな夢を見た事がある」は無く、直ぐに殴りかかるのを止めてかみ<br />
さんの告白になる。「夢」にしたのはかみさんの考え。それを聞いた金が「拾った金<br />
で遊ぼうなんて…俺はそんな腐った野郎だったんだ」「お前が一人前にしてくれたん<br />
だ、有難う」はどちらも良いセリフだなと感じた。最後、金が右に盃、左に革財布を<br />
持って笑うのも結構。「あたしのお酌じゃ嫌かい」は蛇足だが、左手の財布を見て、<br />
「夢になるといけねェ」は実感がある。演出的にはざっかけなくて、金馬師らしい職<br />
人夫婦噺の良さがある。口演的には、まだ金馬師の上なぞりの気味が強く、金の雰囲<br />
気が如何にも若過ぎるかな。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２２日 みなと毎月落語会「志らく・喬太郎二人会」(赤坂区民ホール)</p>

<p>らく兵『間抜け泥』/志らく『疝気の虫』/喬太郎『任侠流山動物園』//～仲入り～//<br />
喬太郎『饅頭怖い』/志らく『鼠穴』</p>

<p>★志らく師匠『疝気の虫』</p>

<p>前半は半分、毒舌漫談みたいな物だが、エイリアン系疝気の虫のキャラクターと志ら<br />
く師のキャラクターに違和感の無い辺りは真似出来ないとこ。</p>

<p>★志らく師匠『鼠穴』</p>

<p>「粋に憧れる野暮ったさ」という志らく師の素地の或る部分が家元と似ているから、<br />
この田舎者兄弟は適う。兄貴が冷徹だが冷酷ではないのが序盤にあるのも嬉しい。狼<br />
のような弟の泣き声という笑いを足して、噺の終盤を陰気になり過ぎないようにした<br />
のも悪い工夫ではない。「落語を落語として語る話芸では談春師より上かな」とも感<br />
じる。現在の落語協会・芸術協会のメンバーから、志らく師・談春師以上の『鼠穴』<br />
を聞いた記憶は私には無い。でも、二人の上には三十代でこの噺を磨ぎ上げ、研ぎ上<br />
げた家元が厳然と聳えていて、その呪縛の範囲を噺が出ていないのも事実である。夢<br />
の中の魔王みたいな兄貴の怖さ、お花が全く泣かずに私を泣かせ感動させた凄さ、そ<br />
の家元の『鼠穴』から、家元の忘れた穴を探して突くには足し算だけでなく引き算も<br />
必要だろう。</p>

<p>※この噺、民話が元というけれど、本当かなァ。志らく師の高座を聞いていて『塩原<br />
太助一代記』の一部を裏返した本歌取り(改作)じゃないか？という感じを受けた。三<br />
代目圓馬師以前はどんな噺だったのだろう？</p>

<p>★喬太郎師匠『任侠流山動物園』</p>

<p>動物が喋る件は抜き。この面白さが喬太郎師の「演劇系お芝居落語」にマッチしてい<br />
て、任侠物落語としては白鳥師を上回ると思う。白鳥師の作品で白鳥師を上回れるの<br />
は喬太郎師だけみたいだ。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２３日 とん馬の会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>鯉ちゃ『桃太郎』/とん馬『雑俳』/夢吉『佐野山』/とん馬『味噌蔵』//～仲入り～<br />
//とん馬『百川』</p>

<p>★とん馬師匠『雑俳』</p>

<p>軽快。八五郎が如何にも「船底をガリガリかじる春の鮫」と言いそうなキャラクター<br />
であるのが可笑しい。</p>

<p>★とん馬師匠『味噌蔵』</p>

<p>吝兵衛の吝嗇ぶりが稍淡白ではあるが、その分、何処か間抜けなキャラクターである<br />
のが愉しい。奉公人・番頭の羽目の外し方も結構。『百川』にも言えるが、人物の一<br />
寸した距離感を現すセリフの強弱、仕種・視線の的確さは遊三師譲り。ちとメリハリ<br />
のつけ方が寄席サイズ過ぎるのが惜しいけど、好ましい</p>

<p>★とん馬師匠『百川』</p>

<p>人物表現が的確で早口のチンパンジーみたいな百兵衛、サラッとそそっかしい河岸の<br />
若い衆初五郎の頓珍漢な遣り取りは非常に可笑しく愉しい。一寸小味なんだけど、そ<br />
こが圓生師や小三治師の『百川』より、みんなの間抜けさが粋に感じられるとこでも<br />
ある。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２４日 池袋演芸場昼席</p>

<p>美るく『堀の内』/志ん馬(扇好代演)『看板のピン』/東京ガールズ/圓太郎『野晒し<br />
(上)』/馬生『品川心中(上)』//～仲入り～//金也(交互出演)『転宅』/正朝『蜘蛛駕<br />
籠』/世津子/金時『柳田格之進』</p>

<p>★圓太郎師匠『野晒し(上)』</p>

<p>珍しい演目。一寸重いとこもあるが、尾形清十郎が立派で八五郎のハネ方に力強さが<br />
あり可笑しい。</p>

<p>★正朝師匠『蜘蛛駕籠』</p>

<p>「家元に褒められた噺」という思い出をマクラにして本題へ。酔っ払い抜きだが、軽<br />
い愉しさは相変わらず。</p>

<p>※『野晒し』『品川心中』『蜘蛛駕籠』は落語協会時代の家元を知る世代の追悼か。<br />
馬生師もマクラで逝去に触れたし、圓太郎師もマクラで「２１日に身の回りに起きた<br />
変事は家元の祟りだったのかも」と語った。</p>

<p>★金時師匠『柳田格之進』</p>

<p>さん喬師型かな。それでいて萬屋や徳兵衛に金馬師の雰囲気がひょいと顔を出すのが<br />
面白い。萬屋と徳兵衛はかなりの出来だが、柳田が侍に見えない。また、柳田が若く<br />
聞こえる。言葉使いなどもまだ無駄が多く、それが柳田の輪郭を曖昧にしている。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２４日 渋谷に福来る～落語ムーブメント２０１１～ｖｏｌ．４ 立川生志独<br />
演会(澁谷総合文化センター大和田伝承ホール)</p>

<p>白鳥・生志『オープニングトーク』/ぴっかり『動物園』/生志『堀の内』//～仲入り<br />
～//白鳥『豊志賀ちゃん』/生志『紺屋高尾』</p>

<p>★生志師匠『堀の内』</p>

<p>金坊が活躍するヴァージョン。今夜もマクラが長く噺の前半は運びがスムーズとは言<br />
い難かった。</p>

<p>★生志師匠『紺屋高尾』</p>

<p>心なしか何時もより家元の原型に近い印象を受けたが、久蔵が泣きすぎず、高尾の言<br />
葉を疑い過ぎず、高尾がまた、久蔵の告白を聞いて一瞬にして久蔵に惚れて青く染<br />
まった手を取る。理屈に頼らず、情を信じた展開の心地好く明るい高座だった。「俺<br />
が純情噺にしたんだ」と昨年、博多で家元が生志師に言われたそうだが、やはり『紺<br />
屋高尾』で聞いて泣けるのは家元型のロマンティシズムに始まり、そのロマンティシ<br />
ズムを活かして理屈に流れず、落語らしさを忘れない生志師の口演になる、といって<br />
も過言ではあるまい。</p>

<p>★白鳥師匠『豊志賀ちゃん』</p>

<p>これが『豊志賀ちゃん』らしい（にぎわい座に行けなかったので）。『珍景累ケ真<br />
打』の差し障りのありそうな人物名を、柳家豊志賀、柳家さくらに変えたもの。５０<br />
分以上あった噺が３０分そこそこになった無駄の無さにも感心。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２５日 池袋演芸場昼席</p>

<p>時松(交互出演)『芋俵』/美るく『大安売』/扇好『看板のピン』/東京ガールズ/圓太<br />
郎『権助芝居』/馬生『二番煎じ』//～仲入り～//金也(交互出演)『風呂敷』/正朝<br />
『紀州』/世津子/金時『夢金』</p>

<p>★圓太郎師匠『権助芝居』</p>

<p>権助の田舎者らしさと、芝居好きらしい気取り方のバランスが良くて面白い。やは<br />
り、先代馬の助師に芸質が似てるのかな。</p>

<p>★馬生師匠『二番煎じ』</p>

<p>簡略型だが、町の旦那衆の雰囲気、寒夜の隠れ酒の愉しさが出ていて結構なもの。二<br />
の組の連中が帰ってくると、戸にしんばりをかって声を潜め、いないふりをする性質<br />
の悪さが馬生師だと愛嬌になって面白い。お茶は飲まずに直ぐに酒を燗する。五徳が<br />
二つあってか燗と猪鍋を煮るのが一度に出来る。鍋は土鍋など細かい配慮は先代譲り<br />
か。見廻りの侍がグイグイと五杯の酒を煽る蟒ぶりも感じがある。</p>

<p>★金時師匠『夢金』</p>

<p>熊のリアクションが鈍いため、役々はある程度演じられても、ドラマに留まって落語<br />
の面白さにはまだなっていない。特に、熊に愛嬌がからきし無いのは弱味。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２５日 第５６４回三越落語会(三越劇場)</p>

<p>吉好『十徳』/可龍『両泥』/生志『短命』/昇太『壷算』//～仲入り～//兼好『粗忽<br />
の釘』/談春『竃幽霊』</p>

<p>★談春師匠『竃幽霊』</p>

<p>終盤近くまで、妙に熊さんが「良い人」に聞こえた、というか、セリフも態度も道具<br />
屋に対して凄く気を使った、町中で暮らしている人間だったのが面白い。幽霊相手だ<br />
けは自棄に強気な熊さんである。銀ちゃんは比較的ヒョロヒョロしていたが、基本的<br />
に柄違い。全体的には馬鹿馬鹿しさが余り無いので、落語としては物足りなさが残<br />
る。幽霊との遣り取りの雰囲気、幽霊の妙な愛嬌を見ていると目白型の『竃幽霊』の<br />
シンプルな可笑しさの方が向いてるように感じる。</p>

<p>★昇太師匠『壷算』</p>

<p>瀬戸物屋にまけさせるには危ない男をけしかければ良いだけだから、其処に元々ある<br />
金のトリックを重ねる「笑い」の作り方はやはり独特だなァ。その分、何割かの会話<br />
が無駄に感じるのがオリジナル作品の場合と旧作に手を入れた場合の違い。</p>

<p>★生志師匠『短命』</p>

<p>この所、マクラの長い時の小ネタは序盤の会話がどうも滑らかにならない気味がある<br />
なァ。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２６日 第６回さりゅうのじかん(荒木町・橘家)</p>

<p>左龍『お花半七』/左龍『壷算』//～仲入り～//左龍『子は鎹』</p>

<p>★左龍師匠『子は鎹』</p>

<p>情味はあるのだけれど、全体が稍陰気。特に、亀と話している間の熊さんは物凄く暗<br />
く感じた。責任を感じ過ぎてる被告みたいである。かみさんお徳は苛烈か賢女になら<br />
ず割と優しい母親であり女であって悪くない。亀は明るく(肉饅頭みたいな笑顔が可<br />
愛い)メソメソはしない。鰻屋で「また三人で一緒にご飯食べよう」と言っているう<br />
ちに涙ぐむのは正蔵師の亀に似た演出で子供の悲劇が分かる。最後に突然、番頭さん<br />
が現れてサゲに繋がるセリフを言うが、最初から同席していた方が違和感はないと思<br />
う(「子は夫婦の鎹だねェ」を第三者に言わせる事自体は賛成)。</p>

<p>★左龍師匠『壷算』</p>

<p>割とシニカルなほどに冷静だった瀬戸物屋が、バニックに陥るに連れてキンキン声に<br />
なる。それがニンに適って可笑しい。そこまでの留と八の遣り取りはもう少し馬鹿馬<br />
鹿しくても良いなァ。瀬戸物屋の小僧が主人のパニックぶりを笑って見てる、という<br />
のは笑った。</p>

<p>★左龍師匠『お花半七』</p>

<p>伯父さんと叔母さんの件が長め。叔母さんのクチャクチャと皺っぽい感じが愉しい。<br />
お花が意図的で半七に迫るのは良くあるが、雨が振り出し雷が鳴るまでもう少し段取<br />
りはあった方が噺に彩りが付く。いきなりお花が迫っちゃ色気がない。女って、意図<br />
的な時はもっと用意周到だと思うよ。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２６日 第四回柳家甚語楼の会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>おじさん『転失気』/甚語楼『らくだ』//～仲入り～//ほたる『代書屋』/甚語楼『崇<br />
徳院』</p>

<p>★甚語楼師匠『崇徳院』</p>

<p>近年、これだけ可笑しい『崇徳院』は珍しい。柄に無い若旦那を崩さず丁寧に演じて<br />
恋煩いのマジぶりを出したのが良く、目を真ん丸にするとスッと落語国の住人になれ<br />
る熊さんの可笑しさと良き対比を見せてくれる。若旦那の恋煩い話を聞く件から、熊<br />
さんの可笑しさは素晴らしい。ズーッと張った調子だから、緩急を使う目白の小さん<br />
師系の長屋の住人とはタイプが違うのだけれど、張りに張っても常にキャラクターが<br />
ボケてるから派手に可笑しい。中でも「三軒長屋を貰ってもねェ…三軒分の家賃を<br />
あっしが払うんでしょ？」には笑った笑った（権太楼師が枝雀師から学んだ「直解主<br />
義」のギャグセンスだね）。セリフや流れは三代目三木助師とほぼ同じだが(「役人<br />
衆がスイトンを食った」など、独特のギャグもかなり可笑しいがギャグに頼って噺を<br />
作っていない)、二枚目系の演者が『崇徳院』で陥りやすい「気取った嫌らしさ」が<br />
なく、目白的落語国人物像として実に優れて愉しい『崇徳院』だった。</p>

<p>★甚語楼師匠『らくだ』</p>

<p>タップリと火屋まで。ズーッと調子を張って押し続けたハイテンションの高座。屑屋<br />
の困り顔が可笑しく、長屋の月番や八百屋が普通の長屋の住人から、らくだの死を聞<br />
いた途端、邪な嬉しさに欣喜雀躍する小市民へと変わる様子の愉しさ。如何にも因業<br />
で居丈高な大家が傲慢さ一杯に喜ぶ悪魔的な可笑しさは優れた演出。兄貴分の落語的<br />
な、怖くなりすぎない荒々しさ(余り泥酔はしない)も噺の展開上適切で、後半の気弱<br />
さにちゃんと繋がっている。酒を呑み出してからは、三杯目途中の褒め言葉が愚痴や<br />
怒りにジワジワ変わって強者弱者の立場が逆転する。妙にドラマティックな逆転でな<br />
いのも落語らしい。中でも立場の逆転した屑屋がらくだの髪を毟った後、「らくだに<br />
売り付けられ狸をらくだの家の床下で捕まえて皮を剥いだ」という自慢話を兄貴分に<br />
聞かせようとする、初めて聞く演出には笑ったなァ。菜漬けの樽を担いで焼き場へ向<br />
かう屑屋の「弔いだ弔いだ」の甲高い調子も間抜けで可笑しく、隠亡の酔い方もマン<br />
ガで可笑しい。既にかなりのレベルで、「カンカンノウ」を踊らせる件や骨を折って<br />
菜漬けの樽に死体を押し込む件でもう一つ凄みが増し、可笑し味が濃縮して噺にコク<br />
が出れば、一級品の『らくだ』になる予感を感じさせる。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２８日 第３５回讀賣ＧＩＮＺＡ落語会(ル・テアトル銀座)</p>

<p>左龍『壺算』/白酒『替り目』/文珍『池田の猪買い』//～仲入り//平治『源平盛衰<br />
記』/市馬『大工調べ』</p>

<p>★市馬師匠『大工調べ』</p>

<p>サゲまでの通しを意識してか、割と前半がおとなしい。大家が棟梁を褒めておいて揚<br />
げ足を取りに行く雰囲気は目白型の本道。但し、大家の悪心が似合わないから、それ<br />
が面白いか？というとクエスチョンマークが付く。お白州は御奉行が立派かつ清廉だ<br />
が、人情噺的な造形で可笑しみは乏しい(この噺のお白州で可笑しいのは談笑師だけ<br />
だけれど)</p>

<p>★平治師匠『源平盛衰記～木曾義仲』</p>

<p>殆ど漫談(笑)。</p>

<p>★文珍師匠『池田の猪買い』</p>

<p>本当に久し振りの口演なのか、少し怪しいとこもあったが、六太夫のムッツリした感<br />
じが如何にも田舎の猪打ち猟師らしくて良かった。</p>

<p>★白酒師匠『替り目』</p>

<p>マクラが長めだったので夫婦の遣り取りは短め。うどん屋から義太夫流しへ。変わら<br />
ぬ爆笑。</p>

<p>★左龍師匠『壺算』</p>

<p>マクラの入りが何となく陰で損をしていたが、ギャグ沢山でなく、瀬戸物屋のキャラ<br />
クターとパニックぶりで可笑しいのは気持ち良く愉しい。米朝師匠型で、水瓶の割れ<br />
る件なども聞いてみたい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２９日 ＳＷＡファイナル“書き下ろし”二日目姫の部(本多劇場)</p>

<p>昇太・喬太郎・白鳥・彦いち「御挨拶」/喬太郎『再会のとき』/彦いち『泣いたちび<br />
玉』//～仲入り～//昇太『心をこめて』/白鳥『鉄炮のお熊～撫子の由来』</p>

<p>★昇太師匠『心をこめて』</p>

<p>「うちの協会は、落語協会と違って仲が良いんです。お互い、本当の事を言わないか<br />
ら」という柳昇師のマクラを思い出した。小市民夫婦がお互い、本音を日常でぶつけ<br />
あってシンドくなっちゃう、という可笑しさはシニカルでなくドライ。落語協会には<br />
殆ど無い、米朝師みたいなドライさが実に可笑しい。</p>

<p>★喬太郎師匠『再会のとき』</p>

<p>万引き犯人の女性は、店員の大学の先輩や中学の同級生で憧れの対象という設定。女<br />
性の話を聞くうちに、実は中学時代から良識外の人生を送っていた事が次第に露にな<br />
る。展開は『ほんとのこというと』みたいだが、女性に全く後悔の念がなく、何とな<br />
く薄笑いしてる印象なので、その分、この噺の方が凄味を感じる。男のロマンをぶち<br />
壊して行く展開は『幾代餅』『紺屋高尾』の対極にある分、人間の不可解さが持つリ<br />
アリティを感じさせる。この「×５」設定の女性に万引き以外の犯罪歴があると、よ<br />
りリアルでディープな可笑しさの私落語になると思う。</p>

<p>★白鳥師匠『鉄炮のお熊』</p>

<p>「撫子の由来」で歌舞伎役者、それも女方が絡むのは、初代芳沢あやめの「思い出の<br />
かわら撫子今もなお、我が起き臥しを人に知られな」を思い起こさせるのは偶然だろ<br />
うね(笑)。「鉄砲のお熊」も『鰍沢』から取ったものとも言えるし。幼馴染みが歌舞<br />
伎の女方と女相撲の大関になって再会する、という割に切なくウジウジしないのはヒ<br />
ロイン側には子供時代からの片思いがなく、サッパリした気質に描かれているからだ<br />
ろう。敵役のジャイアンみたいな盗賊が子供時代に後の女方少年を見た刷り込みで男<br />
色家になってる無茶も生々しくなく可笑しい。『一本刀土俵入り』みたいなラストも<br />
含め、『珍景累ケ真打』から続く女性芸人へのエール落語っぽいとこもある。実際、<br />
『プロレス少女伝説』に続いて古今亭ちよりんさんで聞きたい噺だもん。</p>

<p>★彦いち師匠『泣いたちび玉』</p>

<p>『泣いた赤鬼』に噺の展開が縛られたのか、噺の湿度が高い。大衆演劇一座のちび玉<br />
実は６２歳(白木みのるみたい、は笑う)という設定が余り活かされていない。『聖<br />
橋』みたいに馬鹿馬鹿しくない。基本的なコンタクトが真っ当過ぎる。</p>

<p>※「泣いた赤尾敏」という駄洒落を思い付いてしまった。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２９日 一之輔のすすめ、レレレレ(国立演芸場)</p>

<p>朝呂久『浮世床・講釈本』/一之輔『明烏』//～仲入り～//ぺぺ桜井/一之輔『』</p>

<p>★一之輔さん『明烏』</p>

<p>以前に聞いた時より笑わせ所は増えた。しかし、一之輔さんの一貫したあるべきリズ<br />
ムは失われている。キャラクターでは柄にない時次郎のひ弱さが良く、また遣り手の<br />
おばさんの怪人ぶりも目立つ。半面、源兵衛・太助はどっちがどっちだか分からない<br />
(二人の演じ分けが明確な人は少ないけどね)。『欠伸指南』や『鈴ケ森』のような喜<br />
多八師一本槍の噺と比べ、場面場面で複数の先輩の美味しいセリフを加味した代わ<br />
り、場面場面で足すのに使った芸風の異なる先輩のリズムになってしまったのではあ<br />
るまいか。以前より可笑しいのとは裏腹に、寄せ木細工の脆さがある。これを一貫し<br />
た一之輔さんのリズムや強弱にするのが真打昇進後の課題か。</p>

<p>★一之輔さん『百川』</p>

<p>全体に声が小さかったけれど、こちらの方が全体のリズムは整っている。百兵衛のフ<br />
ニャフニャした可笑しさが全体をリードしていて、途中から河岸の若い連中に反抗す<br />
る工夫も可笑しく、野暮な愉しさがある。若い連中のリズムはトントンしていて跳<br />
ねっ返りの馬鹿さ加減も出ではいるが、言葉の切れが百兵衛に近く、百川の座敷で田<br />
舎者と与太郎が集会をしているみたいな印象を受けた。対比の可笑しさがもう少し欲<br />
しい。思っていたより、実は田舎者(肉体労働者タイプではないが)主体の噺の方が似<br />
合うのかもしれない。野暮な方が今のお客さんには一般受けするから、『百川』『木<br />
乃伊取り』『棒鱈』などを真打昇進前後は売り物にした方が良いのかも。</p>

<p></p>

<p>◆１１月３０日 池袋演芸場昼席</p>

<p>美るく『初天神』踊り:深川/扇好『紙入れ』/東京ガールズ/圓太郎『壺算』/馬生<br />
『干物箱』//～仲入り～//金也(交互出演)『悋気の独楽』/正朝『蛙茶番』/世津子/<br />
金時『文七元結』</p>

<p>★圓太郎師匠『壺算』</p>

<p>重めの展開だが、瀬戸物屋の主人が考え考えパニック状態に嵌まって行く様子のちと<br />
理屈ありげな可笑しさが愉しい。</p>

<p>★馬生師匠『干物箱』</p>

<p>時間省略のためか、善公とは道端で出会う。二階に上った善公は俥屋の妄想～運座の<br />
質問～干物の質問と展開するが、善公の騒々しさに下品さの無いのが良い。若旦那が<br />
財布を取りに戻ってから普通の演出より少し段取りが多く、親旦那がかなりマジに怒<br />
るのがサゲの可笑しさを立てるのに感心。</p>

<p>★金時師匠『文七元結』</p>

<p>ズーッとさん喬師型だが、酒屋の酢屋満（小西じゃないのよ）から、金馬師的な人物<br />
像へ登場人物の雰囲気がシフトする。最後の達磨横丁はみんながニコニコして、それ<br />
までのマジなひを表情が嘘みたいだが、その笑顔の方が金時師には似合うように思え<br />
た。</p>

<p></p>

<p>◆１１月３０日 蜃気楼龍玉 圓朝に挑戦！！『緑林門松竹』第１３夜(道楽亭)</p>

<p>本田久作『解説』/龍玉『緑林門松竹～お崎藤七』//～仲入り～//龍玉『文七元結』</p>

<p>★龍玉師匠『お崎藤七』</p>

<p>藤七と按摩幸治の密談から、幸治宅でのまたかのお関との再会、お崎が店から百三十<br />
両を盗むまで。次回のお崎藤七殺しの伏線、間の宿だから、ストーリー上の聞かせ所<br />
は特に無い。幸治は悪辣さ不足。お関は色気不足。藤七とお崎の半端悪人ぶりは悪く<br />
ない。</p>

<p>★龍玉師匠『文七元結』</p>

<p>途中から足が痛くて困ったのが（一時間以上もあったかな）感情過多になるのを妨げ<br />
たのか(笑)、見た目は圓生師なんだけれど、全体の雰囲気は落語味の強い古今亭の高<br />
座。長兵衛のかみさんも佐野槌の女将も、登場人物に一人として人を追い詰めるセリ<br />
フを言う者のいないのはステキ。長兵衛がもうちょいと能天気なら、古今亭らしい<br />
「落語の文七元結」になりうる。元より、佐野槌から吾妻橋まではバカマジに演じら<br />
れやすいが、文七が近江屋へ戻ってからは笑いの要素に満ちている噺だから、後半の<br />
トーンで前半も演れば一貫した人情落語となり、江戸っ子の能天気と粋と洒落の入り<br />
雑じった「江戸噺」になる。龍玉師の場合、吾妻橋で金を出し入れするのも江戸っ子<br />
気質らしくないが、「落語にする鎹」のような言葉が無い。志ん生師の文七の「阿<br />
父っつぁん！」、先代馬生師の長兵衛の「生かしておきたくねェ」、志ん輔師の長兵<br />
衛の「死ねーッ！」みたいな言葉が龍玉師の中からまだ生まれてこないないのが課<br />
題。一層、落し噺を演じる事に邁進すると、その「鎹」は出てくると思うが。</p>

<p><br />
石井徹也　（落語”道落”者）</p>]]>

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<title>「大正製薬　天下たい平！落語はやおき亭」放送予定</title>
<link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.joqr.net/blog/rakugonokura/archives/2011/11/post_190.html" />
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<summary type="text/plain">いつも「大正製薬　天下たい平！落語はやおき亭」を御愛聴いただき有り難うございます...</summary>
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<name>落語</name>


</author>

<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://www.joqr.co.jp/blog/rakugonokura/">
<![CDATA[<p>いつも「大正製薬　天下たい平！落語はやおき亭」を御愛聴いただき有り難うございます。</p>

<p>今後の放送予定を告知させていただきます。</p>

<p>■１１月２７日（日）　柳家喜多八「長短」</p>

<p>を放送いたします。</p>

<p>その翌週、１２月４日は立川談志追悼企画として特別プログラムでお送りします。</p>

<p>■１２月４日（日）　立川談志「六尺棒」</p>

<p>２００２年収録の文化放送オリジナル・テイクです。<br />
また、文化放送に御出演された、ありし日の談志師匠の「トーク」も放送する予定です。</p>

<p>広くお聴きいただきたく、告知を申し上げる次第です。<br />
談志師匠のご冥福をお祈りいたします。</p>

<p>----------------------------------</p>

<p>「大正製薬　天下たい平！落語はやおき亭」　</p>

<p>文化放送　毎週日曜日　朝７時～７時３０分　放送</p>

<p>http://www.joqr.co.jp/taihei/<br />
</p>]]>

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<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　十一月上席＆中席　合併号</title>
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<modified>2011-11-21T03:15:01Z</modified>
<issued>2011-11-21T03:06:08Z</issued>
<id>tag:www.joqr.co.jp,2011:/blog/rakugonokura//160.55771</id>
<created>2011-11-21T03:06:08Z</created>
<summary type="text/plain">十一月の風物詩、お酉様。みなさんはお出かけになられましたか？今年はあと一回、三の...</summary>
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<name>落語</name>


</author>

<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://www.joqr.co.jp/blog/rakugonokura/">
<![CDATA[<p><font size="3" color="#008080"><b>十一月の風物詩、お酉様。みなさんはお出かけになられましたか？今年はあと一回、三の酉が２６日（土）にあります。浅草鷲神社、新宿の花園神社、四谷の須賀神社・・・そのほか各地の神社で開催されています。お時間がありましたらぜひお出かけを。</b></font></p>

<p><font size="3" color="#008080"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の十一月上席・中席合併号です。稀代の落語”道落者”・石井徹也渾身のレポートをお楽しみください！</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p>◆１１月１日 国立演芸場上席</p>

<p>文雀『目黒の秋刀魚』/笑組/志ん馬『時そば』/小袁治『堪忍袋』//～仲入り～//勝丸/左橋『尻餅』/元九郎/小満ん『王子の狐』</p>

<p>★小満ん師匠『王子の狐』</p>

<p>本日は極くスタンダードな演出だけれど、狐も男も洒落た味わいは変わらず。不躾な<br />
咳をする客の邪魔もさのみ気にならずに済んだ(国立演芸場の客席は明らかに寒い)。</p>

<p>★左橋師匠『尻餅』</p>

<p>一朝師型で亭主が可愛らしい。かみさんがもう少し可愛らしく聞こえるともっと良く<br />
なる筈。</p>

<p>★小袁治師匠『堪忍袋』</p>

<p>持ち味かなぁ、鈴木の旦那が語る堪忍袋の講釈が、他の演者のように意見がましくな<br />
く、聞いてももたれない。夫婦の可笑しさも良く、愉しかった。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>竹丸『漫談』/南なん『置泥』/マジックジェミー/米福『蜘蛛駕籠(上)』/圓『強情灸』//～仲入り～//圓満（交互出演）『元帳』/真理/夢太朗『目黒の秋刀魚』/小柳枝『粗忽長屋』/ボンボンブラザース/圓馬『寝床』</p>

<p>★圓馬師匠『寝床』</p>

<p>誰の型がベースだろう？「エッ！」と思ったくらい、ひと皮剥けた印象があった。今<br />
までのソワソワと落ち着かない感じが高座から綺麗に消えていたのに驚く。少し古い<br />
が、頭の言い訳の「旦那の義太夫よりユッケの方が安全だ」にも笑ったが、旦那の<br />
キャラクターが愉しく、番頭の「皆さん、旦那の義太夫が聞けなくて残念だと」に対<br />
して旦那が答えた「残念なのは私の方だ」には爆笑。ギャグとしてだけでなくキャラ<br />
クターの言葉として優れている。「……家内は何処だ？」の「……」の辺りを見回す<br />
怪訝な表情と間の良さも、予て如何なる『寝床』からも聞いた事のない面白さだっ<br />
た。煙管を逆さまに吸い付けて火傷する旦那を見て、茂蔵が「申し訳ございません」<br />
と言ってへりくだる仕種も良い。語りにリズムがあり終始乱れず、緩急あって旦那の<br />
貫禄もあって面白い。まだマクラの言葉がネチっこいのと、素の表情が怖い辺りが<br />
(だから侍が似合う)女性落語ファン向きではないけれど、この調子で平治師、遊雀師<br />
の後を追ってくれると有り難い。</p>

<p>★圓満さん『元帳』</p>

<p>天狗連の名手だったから当然と言えば当然だが、巧くて面白いんだなァ。芸は舌を巻<br />
くほどで、もう立派に真打である。腐らないうちに抜擢しなきゃ意味がない。</p>

<p>★小柳枝師匠『粗忽長屋』</p>

<p>快速快弁、無駄な間がなく、突っ込みがよくてリアクションが素晴らしい。『粗忽長<br />
屋』のお手本。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２日 新宿末廣亭昼席</p>

<p>米丸『漫談』//～仲入り～//慎太郎『転失気』/Ｗモアモア/笑遊『寿司屋は愉し』（漫談）/蝠丸『尻餅』/味千代/桃太郎『春雨宿』</p>

<p>★蝠丸師匠『尻餅』</p>

<p>子方が三人ついてくる演出。餅をつく音に迫力がある。夫婦の暢気な可笑しさに一朝<br />
師とはまた別の味わいあり。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>鯉和『寿限無』/圓満(交互出演)『骨皮』/真理/右團治『桃太郎』/歌助『垂乳根』</p>

<p>★歌助師匠『垂乳根』</p>

<p>細部に珍しいセリフの多い『垂乳根』。「今夜、嫁入りにしよう」と大家に言われた<br />
八五郎が「ほんとの話なんですか？」と驚くのは愉しい。色気は無いが、ちゃんと面<br />
白い落語を聞かせてくれるようになって来たのは嬉しい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２日 鶴瓶・市馬二人会(なかのZERO小ホール)</p>

<p> 　たけ平『扇の的』/市馬『七段目』/鶴瓶『松鶴の癇癪』//～仲入り～//ボンボンブラザース/市馬『富久』</p>

<p>★鶴瓶師匠『松鶴の癇癪』</p>

<p>噺家師弟の設定に変え、師匠のモデルを六代目松鶴師にした改作。鶴瓶師ならではの<br />
「私落語」としては最高傑作ではないか。半面、汎用性は殆ど無い。演じられる可能<br />
性は六代目松鶴一門くらいだろうか。観客側も六代目松鶴師に関する知識のあるなし<br />
で笑いの量はかなり変わる可能性が高い（そのためにマクラがある訳だし、マクラか<br />
らの流れでスーッと噺に入った導入部は見事である）。鶴瓶師の特徴と限界の極限を<br />
示したような、物凄く狭くて物凄く可笑しい「私落語」であり、笑って笑って心が泣<br />
く落語だ。とはいえ、師匠のモデルを六代目松鶴師にした事が、「落語は演者が登場<br />
人物、特に主人公に(この噺の主人公は師匠で、黒門町系なら亭主に当る。つまり主<br />
人公の立場が逆になっている)、如何に愛情を持つかで噺の魅力が全く違ってしま<br />
う」という事実を示す一席でもある（流暢な語り口だけでは落語は演じられないんだ<br />
よなァ）。また、『癇癪』の根本とはかくあるべきだとも思えるセリフが幾つもあ<br />
る。師匠が弟子を叱る「遅い事なら亀でもすんねん」の絶妙な可笑しさ。訳あって噺<br />
家を廃業した元兄弟子が、師弟関係に悩む弟弟子に語りかける「大好きやから緊張す<br />
んのやろ？」には唸った。その兄弟子の近況を電話で心配した後、師匠が呟く「いつ<br />
までも素人になれへんやっちゃ」のテレを隠した絆感覚のステキさ。どのセリフも文<br />
句なく素晴らしい（廃業した兄弟子に対する優しさを師匠が示す電話が一寸だけ長い<br />
のは、ネタバレっぽくなって惜しい。『死神』等にも言えるが「情の抑制」がどうし<br />
ても一つ足りないのは鶴瓶師の私落語的改作の弱みだな。オリジナル私落語だと結構<br />
慾性が利くのだけれど）。オチで師匠が言う「お前もあいつもワシの事、分かってへ<br />
ん。キッチリされたら、ワシのステレス(ストレス)が溜まってしまうがな」が、師弟<br />
の絆を感じてホロリと流れた涙に、ピシリと苦笑の終止符を打ってくれるのも鮮やか<br />
である。ホント、落語はモデルのチョイスが大切だァ。</p>

<p>★市馬師匠『富久』</p>

<p>４５分。細かく変化して、黒門町型を取り入れ乍ら。従来の家元型より、目白の小さ<br />
ん師型に久蔵が近づいてきた印象。大神宮様に祈りかける様子が暢気な芸人になって<br />
きたのは嬉しい。火事場に駆け付けた後、湯呑み二杯の酒に酔っぱらって番頭や頭に<br />
絡み始めるが、クドくなりすぎないうちに寝かされてしまう。その展開の程の良さ<br />
が、昨年１２月１０日末廣亭夜席主任の『富久』より、久蔵の芸人らしい浮草的な雰<br />
囲気を強めている。また、千両が貰えないと分かってからの久蔵の啖呵も短く弱く、<br />
その後の悲嘆もひと言で済ませ、阿部川町の頭に声を掛けられるから、情はあっても<br />
「泣かせ」に堕する野暮さは見事に無いのが嬉しい。一方、横山町の旦那は黒門町的<br />
であり、かつ市馬師的な配慮のある人物造型で「店の人たちも、久蔵に酒の事で何か<br />
言わないよう、お願いしますよ」のひと言が「情の人」の表現としてステキである。<br />
現状では『淀五郎』と並ぶ、市馬師の「江戸前落語」の快作だろう。</p>

<p></p>

<p>◆１１月３日 第八回全生亭(全生庵本堂)</p>

<p>馬吉『幇間腹』/馬桜『芝浜』//～仲入り～//だるま食堂/馬生『業平文治その五～お村殺し』</p>

<p>★馬生師匠『業平文治～お村殺し』</p>

<p>文治とお町の婚礼から、大伴蟠龍軒が押上堤で安倍某を小野庄左衛門殺しの口塞ぎに<br />
殺害する件、更に文治が蟠龍軒の屋敷に入り込みお村ら五人を斬る場面まで。文治と<br />
蟠龍軒の風格は良いのだが、馬生師は残酷な場面が嫌いだから、お村・お崎母娘五人<br />
を斬る件がアッサリし過ぎていて些か拍子抜け。</p>

<p></p>

<p>◆１１月３日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>竹丸『漫談』/南なん『壺算』/マジックジェミー/紫『秋色桜』/圓『近日息子』//～仲入り～//米福『幇間腹』/東京ボーイズ(真理代演)/夢太朗『元帳』/小圓右(小柳枝代演)『元犬』/ボンボンブラザース/圓馬『小言幸兵衛』</p>

<p>★圓馬師匠『小言幸兵衛』</p>

<p>割と最近では珍しい圓生師型。豆腐屋は少し端折り気味で、まあ普通の出来だけれ<br />
ど、仕立屋相手の心中話は本当に不吉な話が始まったような、陰気な雰囲気が顔を覗<br />
かすのが面白い。『寝床』ほどではないが、会話に乱れが無く、トントン進み乍ら、<br />
圓生師型らしく、感情を伴うから流れない。幸兵衛の突っ込みは感情(というより性<br />
格だな)が乗って面白く、仕立屋の常に一瞬間を空けるボケのリアクションも可笑し<br />
い(もう少しリアクションに鋭さがあると更に良くなるだろう)。最後、仕立屋の宗旨<br />
の真言経が義太夫みたいになるのも馬鹿馬鹿しくて可笑しい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月４日 国立演芸場</p>

<p>こみち(交互出演)/『堀の内』/小袁治『唖の釣』/勝丸/文雀『真田小僧』/志ん馬『大工調べ(上)』//～仲入り～//笑組/左橋『壺算』/元九郎/小満ん『中村仲蔵』</p>

<p>★小満ん師匠『中村仲蔵』</p>

<p>「明和三年九月二日初日」など、考証は細かいが本題は澱み無くサラサラと運ぶ。そ<br />
の雰囲気は名エッセイに近い。乍らも、しくじったと勘違いした仲蔵が、小さな声で<br />
「この定九郎は今日限り。工夫はみんな見せておこう」と言う。その役者の心情一つ<br />
を楔に打つのが利いている。「人事を尽くして天命を変える」という感じだ。</p>

<p>★志ん馬師匠『大工調べ(上)』</p>

<p>全体のテンポは良いが、声が小さくて会話や啖呵にメリハリが出ない。大家のキャラ<br />
クターは目白型とも古今亭型とも違い、家元的で陰険ではない。</p>

<p>★小袁治師匠『唖の釣』</p>

<p>押さないけれど与太郎が可愛く愉しい。</p>

<p>★笑組</p>

<p>ＡＫＢ４８の話から色々とグループアイドルを上げた上で「ＫＫＫというのもあるん<br />
ですよ、覆面アイドルで、覆面取ると白人なんだけど腹の中、真っ黒」ってギャグ、<br />
私は大好きなんだけど、国立演芸場のお客は引いてた。矢っ張り池袋向きのギャグか<br />
な。</p>

<p></p>

<p>◆１１月４日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>小南治(竹丸代演)『つる』/南なん『身投げ屋』/マジックジェミー/紫『柳沢昇進録～歌合わせ』/圓『長短』//～仲入り～//米福『だくだく』/章司(真理代演)/夢太朗『佐野山』/小柳枝『蒟蒻問答』/喜楽(ボンボンブラザース代演)/圓馬『妾馬』</p>

<p>★圓馬師匠『妾馬』</p>

<p>夢楽師型だと思う。序盤は大家さんが良い。八五郎に羽織袴を貸してやる件に店子へ<br />
の情がさりげなく出るのが嬉しい。八五郎は序盤から門番との遣り取りまでがソワソ<br />
ワするが、三太夫さん相手からグッと落ち着き、面白さが前に出て来る(設定は本職<br />
のある職人で遊び人ではない)。殿様の前で胡座をかいてパァパァ言い出してからの<br />
可笑しさ、お鶴を見つけて前に行こうとすると三太夫さんに二度、袴を掴まれて断念<br />
する辺りの世の中の分かり方も泣かせでなく心沁みるものがある。オフクロ話も泣き<br />
過ぎずに結構。田舎言葉の三太夫さんは実に似合う。近年でははん治師と好一対の三<br />
太夫。羽織袴姿が似合い、侍が似合うから殿様の風格も立派だが、表情が些か硬くて<br />
怖いのは惜しい。困惑の表情の後に笑顔を加えたい。</p>

<p>★南なん師匠『身投げ屋』</p>

<p>　雲助師型。「そこ離して殺してたべ」以外は素晴らしく飄軽で雲助師より面白いの<br />
ではないか。オチの表情、言葉も絶妙。</p>

<p>★小栁枝師匠『蒟蒻問答』</p>

<p>　勿論、ショートヴァージョンだけれど、それでも「巧い」と感じる所が多々あるの<br />
だから唸る。</p>

<p></p>

<p>◆１１月５日 鈴本演芸場夜席</p>

<p>ぴっかり『金明竹』（骨皮抜き）/さん喬『そば清』/ホームラン/琴調『誉れの春駒』/一朝『蛙茶番』//～仲入り～//和楽社中/扇遊『子褒め』/小菊/たい平『らくだ(上)』</p>

<p>★たい平師匠『らくだ(上)』</p>

<p>凄く可笑しい。飽くまでも主人公は屑屋。妙に律儀で半次に言われた事を子供みたい<br />
に、そのまんま大家や月番に伝える。割とイジイジした性格みたいで序盤は「或る屑<br />
屋の悲劇」なのだが、無駄のないカットバックに優れており、屑屋の道々のボヤキを<br />
出さないから、噺も屑屋も暗くならないのは偉い。月番が「河豚食って河豚しんだ<br />
か！」と言うと屑屋が「私も思ったけど口に出せる状況じゃなかった」と羨み、大家<br />
が「河豚食って河豚しんだか！」 と言うと屑屋が「河豚には駄洒落が一つしかない<br />
のか」とボヤくのも可笑しい。八百屋との樽貰いの遣り取りをカットしたのも流れと<br />
して秀逸。呑み出すと二杯目から屑屋は酒の味が分かり、三杯目は「もう、溢れるほ<br />
ど注いで下さい」と湯呑みを床に置く辺りから性根が表れ始め(これも良い演出)、<br />
「煮しめは如何ですか、くらい言えねェのか！」で立場が逆転する(煮しめを食べは<br />
しない)のも良い。愚痴は大家相手の内容からで「スカッとした…怖がってやがっ<br />
た」「貯めるだけ貯めて人を助ける気なんか毛頭ない。小商人を苛めやがって」と怒<br />
る。らくだの愚痴も言うが、身分差の鬱憤の方が大きい。そこから「分かる。お前は<br />
寂しいから悪い仲間とつるんでんだろ…今日からお前は独りじゃない。俺が兄貴だ。<br />
飛び込んでこい！」と金八先生みたいな事を言って両腕を広げるのに繋がる可笑しさ<br />
は素晴らしい。最初は怒って反発してみせた半次が泣き顔になり、号泣して「兄<br />
貴ィ」と屑屋の胸に飛び込む展開には笑った笑った。半次＝ショーケン、屑屋＝水谷<br />
豊の『傷だらけの天使』みたいな二人である。その馬鹿っぷりが愛しく可笑しい。<br />
『雨の中のらくだ』みたいだが、世代的に家元『らくだ』より明らかに次の世代の落<br />
語になっている。演じているたい平師と二人に違和感がないのである。半次は最初、<br />
少しセリフが硬かったけれども、ドスを利かせ出してからは凄味が出て、それが「兄<br />
貴ィ」だから余計に可笑しい。月番は良い人。大家はもっと因業ぶりを強調しても良<br />
いかな。焼き場まで聞きたい『らくだ』である。</p>

<p></p>

<p>◆１１月６日 第六次第十回圓朝座(お江戸日本橋亭)</p>

<p>まめ緑『酒粕～から抜け』/馬桜『文七元結』//～仲入り～//白鳥『打た所の正拳(上)』『川獺島の花嫁さん』</p>

<p>★白鳥師匠『打た所の正拳(上)～江古田の惨劇』</p>

<p>美紀が新潟へ流れる辺りまで演じるか、と思っていたけれど、為三が龍之介をマン<br />
ホールの蓋で撲殺するまで。唱和の終わり頃の江古田という設定と「濡れたバスタオ<br />
ルを絞ったような雨」という状況が（別に江古田は場末じゃないんだけれど）独特の<br />
場末感を醸し出し、バロディの強烈な可笑しさと相俟って何か不思議なレトロ感、哀<br />
れな可笑しさを醸し出す。</p>

<p>★『川獺島の花嫁さん』</p>

<p>明日のＳＷＡ芸術祭参加公演用の稽古だというが、以前聞いた時より面白かった。中<br />
国人の楊さんとアザラシのナターシャが実は国際麻薬捜査官だ、というのは談笑師<br />
『大工調べ』の与太郎実は大岡越前守の原典なのかな？</p>

<p></p>

<p>◆１１月６日 談春独演会(池上本門寺本殿)</p>

<p>談春『禁酒番屋』//～仲入り～//談春『除夜の雪』</p>

<p>★談春師匠『禁酒番屋』</p>

<p>たい平師も演じられると知り合いから聞いたが、酒徳利の上に薄くカステラの耳を敷<br />
く演出。目白の小さん師が習った七代目可楽師の演出はそうだったというが、古い速<br />
記からかな。侍の怖さと、番屋の侍への復讐を強調した演出で、或る意味、リアルだ<br />
けれど、稍クドくも感じる。番頭と店の者の理屈の言い合いのリアルな遣り取りが可<br />
笑しい半面、侍は型崩れがして、折角の侍の怖さが噺の流れの中では余り引き立たな<br />
いのが惜しい。</p>

<p>★談春師匠『除夜の雪』</p>

<p>被災地激励公演の話から、運不運の話へと繋いだマクラから、本門寺でこの演目とい<br />
う流れは「売れる人のセンズだ」と感心。寺の静かな大晦日の雰囲気を重視してか、<br />
テンポは些か遅く、寺の魚の焼き方なども丁寧だけれど、稍蘊蓄説明に傾くのが惜し<br />
い。伏見屋の若女将の足跡が雪上に残っていないと分かり、怪談色が出てからの無常<br />
な人情噺としての魅力は優れている。ただ、米朝師の突き放したドライさ、正蔵師の<br />
キャラクターから来るぬくみに比べると落語離れするウェットさが残る。帰り道が大<br />
晦日みたいに感じられたから、それはそれで十分見事なんだが・・・寺の鐘を小坊主<br />
が鳴らすのでなく、自然に鳴り出すようにした方が談春師たる余韻には似合うと思<br />
う。</p>

<p></p>

<p>◆１１月７日 ＳＷＡクリエイティブツアー『古典アフター』芸術祭参加(安田生命ホール)</p>

<p>昇太・喬太郎「解説１」/白鳥『川獺島の花嫁さん』/喬太郎『本当は怖い松竹梅』//～仲入り～//昇太・喬太郎・白鳥「解説２」彦いち『廐大火事』/昇太『本当は怖い愛宕山』/全員・御挨拶</p>

<p>★昇太師匠『本当は怖い愛宕山』</p>

<p>随分コンパクトになって聞き易くなった。狼を一八がヨイショする件の狼のリアク<br />
ションは相変わらず素晴らしい。</p>

<p>★白鳥師匠『川獺島の花嫁さん』</p>

<p>昨日より整っていた分、破天荒な可笑しさは減って感じられた。余り大きい容れ物に<br />
似合わない作品なのかな。</p>

<p>★喬太郎師匠『本当は怖い松竹梅』</p>

<p>前半が長くダレる。湯島の陰間茶屋で梅と徳が再会してからの切なく馬鹿馬鹿しい可<br />
笑しさは盛り上がるんだけど・・・松と竹が騒々しいのかな。隠居は相変わらず結構<br />
なもので益々秋山小兵衛みたい。</p>

<p>★彦いち師匠『廐大火事』</p>

<p>コンパクトになって聞き易くなった。半面、旦那の怒るに怒れない焦れはもっと濃く<br />
てよい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月７日 上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>一力『子褒め』/たこ平『権助魚』(交互出演)/ぴっかり『垂乳根』/さん喬『長短』/ホンキートンク(ホームラン代演)/琴調『安兵衛婿入り(上)』h一朝『短命』//～仲入り～//和楽社中/菊丸(扇遊代演)『河豚鍋』/小菊/たい平『お見立て』</p>

<p>★たい平師匠『お見立て』</p>

<p>喜助がマジで喜瀬川に怒っていて、杢兵衛大尽に同情的なのが特徴。「貴女のために<br />
行くんじゃない。演技力を試しに行くんです」には笑った。その割に墓前で『千の風<br />
に乗って』を歌ったりするんだけどね。喜瀬川は典型的な「商売女」でサラサラいけ<br />
しゃあしゃあとしている。杢兵衛はマジだけど、もう少し田舎者らしいキャラク<br />
ター、リアクションが欲しい。</p>

<p>★一朝師匠『短命』</p>

<p>仲入りの出番なので何時もより少し長め丁寧ではあるが、全然いじってないのにちゃ<br />
んと受ける。かみさんも普通の長屋のかみさんで十二分のスタンダード。</p>

<p>★ぴっかりさん『垂乳根』</p>

<p>　受け方と受ける派手目の演じ方、更に自分がどう見られているかを前座時代から<br />
知っているのは強い。</p>

<p></p>

<p>◆１１月８日 国立演芸場上席</p>

<p>扇『金明竹』(骨皮抜き)/左吉(交互出演)/『元犬』/文雀『ぽんこん』/ストレート松浦(勝丸代演)/志ん馬『紙入れ』/小袁治『明烏』//～仲入り～//笑組/左橋『物真似紙屑屋』/小菊(元九郎代演)/小満ん『三軒長屋』</p>

<p>★小満ん師匠『三軒長屋』</p>

<p>寄席用に前半を刈り込んで後半へ。声が小さく出来はイマイチ。伊勢勘の妾のしどけ<br />
なさ、頭の目端の利く感じ、伊勢勘の貫禄とキャラクターは其々に魅力があるけれ<br />
ど、洒脱な騙りの可笑しさばかりというか(伊勢勘が最後に頭を呼び止める声に「し<br />
てやられたか」の雰囲気がある、)、噺全体が粋一辺倒でありすぎ、楠先生の大仰な<br />
武骨さがアクセントにならない辺りが、贅沢なんた゜けれど惜しまれる。</p>

<p>※代演でヒザに小菊師が来たが、今、小菊師の粋曲から続いて一番雰囲気が繋がるの<br />
は小満ん師だなぁ、と再認識。</p>

<p>★小袁治師匠『明烏』</p>

<p>源兵衛太助のニンはあるが、仲入り用にはカットした演出がサッパリしすぎ。</p>

<p>★志ん馬師匠『紙入れ』</p>

<p>　旦那のサゲ前、科白を言い終わったかみさんが時分の膝にスッスッと二度触れて<br />
黙っているのが、如何にも強かな年増の感じで良かった。</p>

<p></p>

<p>◆１１月９日 国立演芸場上席</p>

<p>左橋『七段目』/元九郎/小満ん『居残り』</p>

<p>★小満ん師匠『居残り佐平次』</p>

<p>「これから皆様を品川に御案内しようという」からマクラが始まる。洒っ気と悪心が<br />
お対になった粋な佐平次。二階を稼ぎだしてから、「火事だ火事だ」と客の頭に杯洗<br />
の水を振り掛けておき、自ら杯洗の水を被って「火事かと思ったら大水だった。義援<br />
金を」と祝儀を貰ったり、「これはこれは五反田さん、大崎さん、品川さん」と座敷<br />
に入るなり祝儀を集めるという軽妙さは他の及ばざる所。二日目の朝、目を覚まし<br />
て、「鰻は蒸さないでカリッと焼いて貰いたいね、茶漬けで戴こうってんだから」<br />
や、二度寝して起きて「酒は冷、肴は鮪のブツをサビィ利かして」の江戸前もたまん<br />
ないね(湯に入らないのは転地療養から繋がるものか)。霞花魁の客、勝太郎(鶴本の<br />
志ん生師だから盲の小せん師系統の速記が元かな)を持ち上げる際(この件にチラッと<br />
悪心の翳りが出るのが結構)の「楊枝を前歯でポキッと折って、歯が丈夫(笑)」の愉<br />
しさも嬉しい。最後は旦那に呼ばれて忠信利兵衛のセリフをキッパリ言った後、着<br />
物・足袋・羽織と頂戴して「鳥も羽が無きゃあ飛べませんからお足を」とサゲる。こ<br />
れだと冒頭の友達にする話と合わせて、「居残りは商売でなく、転地療養を兼ねた洒<br />
落」となり、落語らしからぬ職業性や肺病の暗さや矛を打ち消す辺りがまたニクい<br />
(笑)。当代では小里ん師と一対の『居残り』だ。</p>

<p></p>

<p>◆１１月９日 林家正蔵一門会(にぎわい座)</p>

<p>つる子『子褒め』/正蔵『身投げ屋』/はな平『幇間腹』/正蔵『締込み』//～仲入り～//正蔵『伊予吉幽霊』</p>

<p>★正蔵師匠『締込み』</p>

<p>二回目の口演だとのこと。序盤・後半の泥棒は間を拵え過ぎずに持ち味を活かして可<br />
笑しくなった。夫婦喧嘩も亭主の膨れっ面は愉しいが、かみさんが「憚りさまっ！」<br />
の前からウェットになり過ぎる。夫婦の感情として心配するのは分かるが、落語の場<br />
合は感情表現が邪魔になる事もあるから。</p>

<p>★正蔵師匠『身投げ屋』</p>

<p>「その山高帽は？銀座のトラヤ、コートは！？三越のお誂え、懐中時計は？和光」な<br />
ど入れ事も増えて、雲助師離れの出来た可笑しさになった。サゲでドッと受けたのは<br />
立派。</p>

<p>★正蔵師匠『伊予吉幽霊』</p>

<p>昇太師とは全く別の可笑しさになってきた。伊予吉が気の弱い、というより、融通の<br />
利かない馬鹿な奴だけど良い奴になって、八五郎の友情や阿っ母さんが心配する訳も<br />
分かるキャラクターになる。序盤の八五郎との幽霊正体ばらしの遣り取りは非常に可<br />
笑しく、阿っ母さんのウェットさも適宜で笑い泣かせの噺として成立している。『妾<br />
馬』が聞きたくなったね。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１０日 『天守物語』(新国立劇場)</p>

<p></p>

<p>◆１１月１０日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>陽・昇(健二代演)/竹丸『漫談』/南なん『徳ちゃん』/マジックジェミー/紫『忠臣二度目の清書(上)』/圓『悔やみ丁稚』//～仲入り～/米福『身投げ屋』/真理/夢大朗『素人義太夫』/小柳枝『甲府ぃ』/ボンボンブラザース/圓馬『井戸の茶碗』</p>

<p>★圓馬師匠『井戸の茶碗』</p>

<p>落ち着いていて、時事ネタのギャグも挟んだ面白い高座。侍上手だから千代田卜斎<br />
(稍作りが若い)・高木作左衛門の潔白なキャラクターが似合い、屑屋清兵衛のざっか<br />
けない物腰、良助の用人風の雰囲気と相俟って、落語らしく、また程好く心地よい。<br />
この芝居の主任で平治師、遊雀師との距離を大分縮めた。</p>

<p>★夢大朗師匠『素人義太夫』</p>

<p>旦那が次第に強く怒りはじめて文句を言い出すのが可笑しい。「(旦那の義太夫だけ<br />
は聞いてはいけない、と言った)医者も一緒に連れて来い！」と「あたしが綱大夫に<br />
似ている？あの名人の？…そりゃ声量は私の方が」(志ん生師が戦前に演じていた<br />
「私の声は大隅大夫に似ている」みたいなくすぐりだ)の二つのセリフには笑った。<br />
頭の言い訳は四代目小さん師風のてんやわんや。サゲは番頭さんの悲劇だが、店の者<br />
全員で聞かされているうち、みんな逃げてしまい一人取り残されて逃げ出すのを旦那<br />
が見台を抱えて追いかける設定で初めて聞いた。</p>

<p>★米福師匠『身投げ屋』</p>

<p>　これは金語楼師型だと思う。雲助師型より細部が複雑。その代り、身投げ屋親子の<br />
父は盲人を装っていないし、主人公は金（５０円）を親子によると走り去ってしま<br />
う。</p>

<p>                                                                 ----以上、上席----</p>

<p><br />
◆１１月１１日 池袋演芸場昼席</p>

<p>マギー隆司/ぴっかり『こうもり』/圓太郎『六銭小僧』/ホームラン/燕路『短命』/志ん馬『三方一両損』/順子・花どん/一琴『三人無筆』//～仲入り～//我大楼『権助魚』/玉の輔『宗論』/和楽社中/甚語楼『天狗裁き』</p>

<p>★甚語楼師匠『天狗裁き』</p>

<p>さん喬師型。まだ試演段階か。天狗のキャラクターがどうも人間的俗物っぽ過ぎる。<br />
そこまでは持ち前の困りキャラと、長屋の馬鹿者総動員！といった騒ぎで愉しい。<br />
「馬鹿嬶とはなんだ」「あれが利口か！」と言い返された八五郎が「ヒーン」と泣く<br />
辺りが持ち味。</p>

<p>★一琴師匠『三人無筆』</p>

<p>この厄介な噺を無筆同士の邂逅の可笑しさだけで盛り上げたのは偉い。半面、八五郎<br />
が最後に現れてからは山を越してテンションが下がるのは惜しい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１１日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>美るく『六銭小僧』/扇里『ぞろぞろ』/美智/市馬『時そば』/今松『親子酒』/ペー/<br />
小さん『短命』/金馬『ちりとてちん』//～仲入り～//世之介『堪忍袋』/笑組/小袁<br />
治『鰻屋』/小満ん『目黒の秋刀魚』/仙三郎社中/喬太郎『抜け雀』</p>

<p>★喬太郎師匠『抜け雀』</p>

<p>少しネタが動き出した印象あり。全体にメリハリが強くなり、若い絵師については芝<br />
居っぽい溜め、感情の起伏も増えた。中で「嬉しい馬鹿だ」のセリフが心情的に活き<br />
る。老絵師の雰囲気も芝居的なコクを増したが、言葉つきが侍世界の人にしては些か<br />
庶民的に過ぎまいか。</p>

<p>★小満ん師匠『目黒の秋刀魚』</p>

<p>扇辰師の「スリムなボディー、ナイーブな眼差し」の元は小満ん師だったのか。尺は<br />
短く、稍省略型と思われるけれど、小満ん師らしいバタくさい洒落っ気と、シンプル<br />
な構成、殿様が秋刀魚を一匹しか食べないがために執着が募るのか！と気付かせる無<br />
理の無さと、師ならではの味わいが堪能出来た。</p>

<p>★金馬師匠『ちりとてちん』</p>

<p>竹さんに残って貰ってあるので、寅さんがより見栄を張らざるをえない状況になる、<br />
という演出は金馬師でも初めて聞いたが巧い作りである。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１２日 ラッパ屋第３８回公演『ハズバンズ＆ワイブズ』(紀伊國屋ホール)</p>

<p>★鈴木聡作らしい「程の良い解釈」で描かれた「震災後の日本が目指す幸せの形」と<br />
「震災被害者への鎮魂」のドラマ。日本は政治家と大手企業経営者・大手金融業経営<br />
者の品性と能力は最悪だが、ほかはまとも、という話。政治家の決めた事など守る必要<br />
性を感じなくなる。</p>

<p><br />
◆１１月１２日 白酒・甚語楼の会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>いっぽん『桃太郎』/甚語楼『町内の若い衆』/白酒『天狗裁き』//～仲入り～//白酒『ずっこけ』/甚語楼『お見立て』</p>

<p>★甚語楼師匠『お見立て』</p>

<p>目を真ん丸にして驚いたり悲しんだりする杢兵衛大尽のキャラクターと生野暮な程の<br />
喜瀬川への惚れ方は魅力があるけれど、まだ噺全体に力が入り過ぎていて、笑うに笑<br />
い難い。何処かで息を抜いてくれないと。甚語楼師らしさも、杢兵衛大尽以外にはま<br />
だ出てきていない。困りキャラが得意なんだから、喜助がもっと困らないと。喜瀬川<br />
は…余り期待しないでおこう。</p>

<p>★甚語楼師匠『町内の若い衆』</p>

<p>「闘魂」と書いた鉢巻きを締めてドテラ姿で蟠居しているかみさんもだが、亭主と友<br />
達が二人ともかみさんを恐れているのが矢鱈と可笑しい。特に友達の「おれは一人で<br />
お前のかみさんと渡り合える自信がない」には笑った。名前も知れない虫が現れた<br />
り、その虫を巨大なヤモリが捕食したり、かみさんは呪術師みたいだし、アマゾンみ<br />
たいな家である。</p>

<p>★白酒師匠『天狗裁き』</p>

<p>以前演じた先代馬生師型の「天狗の羽を奪ってフワフワ去ってしまう」展開ではな<br />
く、さん喬師型。昨日の甚語楼師と言葉がほぼ同じだから甚語楼師移しかもしれな<br />
い。同じセリフを言っているのだが、トボケた遣り取りになる甚語楼師と比べて、<br />
ま、全ての喧嘩が演技的にリアル過ぎて笑い難い。</p>

<p>★白酒師匠『ずっこけ』</p>

<p>かなり手慣れて柔らかく、白酒師風になってきた。酔っ払いのキャラクター中心に<br />
引っ張って行く。交番を過ぎて「税金泥棒」と呟く毒づき方は白酒師独特。雲助師の<br />
口演から気になっているがサゲの「今度は倅がずっこけた」というのは、どういう状<br />
況なんだろう。褌からはみ出しているのか？縮み上がっているのか？褌が外れて、<br />
「今度は褌がずっこけた」なら分かるのだけれどね。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１３日 秋の文左衛門大会(なかの芸能小劇場)</p>

<p>ほる門『ひと目上り』/文左衛門『火事息子』//～仲入り～//百栄『弟子の赤飯』/文左衛門『芝浜』</p>

<p>★文左衛門師匠『火事息子』</p>

<p>稍、親父の小言の中で泣きが強いが、中耳炎で左耳が聞こえないとは思えない佳作。<br />
「猫はどこです？猫は？」という母親の登場が軽妙洒脱で素晴らしい。母親の甘さ・<br />
愚かさも不自然でない可笑しさがあり(男の子女性には分かりにくいかもしれんが)、<br />
親父の小言と良き対照をなす。若旦那徳之助が些か臥煙の料簡に染まった印象が強く<br />
(つまり不良っぽい)、勘当された側の哀しみ・すまなさに乏しいのは惜しい(それを<br />
意識してか、徳之助のセリフが極く少ない)。</p>

<p>★文左衛門師匠『芝浜』</p>

<p>５５分。４０代の、落語に迷い始める前の家元型の『芝浜』の最も正統な後継者は文<br />
左衛門師ではあるまいか。家元型から「拾った、なんて情けない事言わないで」など<br />
の嫌なセリフ、「滅茶滅茶に酔っちゃえ」など感情が大袈裟で(セリフは残してある<br />
が言い方が丸で違う)野暮な面を取り去っただけでなく、「機嫌を直して貰おうと<br />
思ってお酒を」も取り去り、平凡な夫婦の会話にしてあるからこそ胸に染み入る。<br />
「あたしのお酌じゃ嫌かい」も省いてある(誰が言おうと、このセリフは『芝浜』の<br />
夫婦に無用な、無神経なセリフだと思う)。「魚屋って商売が面白くなってきた」を<br />
かみさんの告白のキーワードにしているが、この夫婦なら、このセリフは要らない絆<br />
がある筈だ。勝五郎の「畳と女房は新しい…」の後の「女房はおめえ一人で十分だ」<br />
のセリフでそれが分かるし、かみさんも大金への怯えはあるが、それ以上の賢女では<br />
なく、ただの長屋の阿っ母であるのが嬉しい。三代目三木助師の「嫁さんを貰ってか<br />
ら改心して、まともな噺家になれた喜び」が生み出した『芝浜』に共感しながら、そ<br />
の呪縛から離れつつある『芝浜』だろう。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１３日 第２５１回小満んの会(お江戸日本橋亭)</p>

<p>ありがとう『寿限無』/小満ん『支那の野晒し』/小満ん『意地比べ』//～仲入り～//小満ん『芝浜異聞』</p>

<p>★小満ん師匠『支那の晒し』</p>

<p>お遊び要素タップリで、楊貴妃に樊會の登場は昔のまま乍ら、「黄門を破りに来た<br />
か」でなく「骸を乞う」の言葉をマクラで振って「骸を乞うて野晒しに戻るとしよ<br />
う」とサゲた。</p>

<p>★小満ん師匠『芝浜異聞』</p>

<p>所謂『芝浜』とは直接的な関係はない（人物名や序盤の展開など些かの本歌取りはあ<br />
る）、江戸時代の書にある非人八助が拾った財布を守った「人のプライド」に関する<br />
エピソードがマクラ。本題は早朝、芝の浜で拾った財布(実は置き引きが追われて捨<br />
てた獲物)の持ち主を探して、貧しく正直な棒手振りの魚屋熊さん（親戚に不幸続き<br />
で家内が急に増えた）が一日中、腹ペコのまま。時を費やす結果となる展開に、江戸<br />
時代の拾得物に関するエッセイ的な地を加えた内容となっている。飽くまでも、江戸<br />
庶民の「金銭に対する執着心の無さ」をサラリと描いた噺で、「旦那の(置き引きさ<br />
れた)二十両なんぞ比べられません。この酒(拾った礼に振る舞われた酒)の味は千<br />
両」とサゲる。目白の小さん師が「金を拾う『芝浜』より、金を恵む『文七元結』の<br />
方が好きだ」と言われていたそうだが、なるほどこの噺の魚屋熊さんの了見からする<br />
と『芝浜』という噺自体は野暮な内容なんだね(演者の演じ方は別よ。また、野暮な<br />
内容だからこそ、多くの人に好まれるんだろう)。</p>

<p>★小満ん師匠『意地比べ』</p>

<p>返却用の金を借りた人のかみさんの付けた知恵で、却って噺がこんがらがるし、「無<br />
尽だ、貯めた家賃だ」と、遣り取りが何かクドくなるという、作者岡鬼太郎の作家的<br />
に嫌な所をカット。すき焼きは既に煮えているのに金の払いを巡って二人が身動き出<br />
来なくなる、という江戸っ子同士の馬鹿な意地の張りっこに噺を絞ったので、軽い味<br />
わいに改良された印象。「明日の昼まで、あたしがこの五十円、借りとくことにしよ<br />
う」とサゲたのも粋である。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１４日 第１８回立川生志独演会「生志のにぎわい日和」（にぎわい座）</p>

<p>　春樹『子褒め』/生志『黄金の大黒』/生志『元犬』//～仲入り～/テツ＆トモ//生志『芝浜』</p>

<p>★生志師匠『黄金の大黒』</p>

<p>マクラの振り過ぎと、その後半が巨人軍内紛に呆れる話だったので本題と調子が合わ<br />
なくなってしまったかな。本題も余り手掛けていないのか家元系の『黄金の大黒』に<br />
してはテンポが非常に遅く、冴えないまま、尻切れ蜻蛉で終わった。</p>

<p>★生志師匠『元犬』</p>

<p>最初は前のネタを引き摺って重かったが、シロが上総屋に来た辺りから持ち直した。<br />
隠居がかなりの「変人好み」なのは立川流風だが、シロが可愛く無邪気なので陰には<br />
ならない。「おもとには暇を出して…いや、前から要らないと思ってたんだ」と変え<br />
て、猫を出して新たなサゲをつけたが悪くない工夫。</p>

<p>★生志師匠『芝浜』</p>

<p>無駄を省く段階に入ってきた、というべきか。嫌なセリフが殆ど無い。三年経って店<br />
は出したが、ほんとの町の魚屋夫婦の噺。これで浜の描写を省けると志ん生・先代馬<br />
生型になる。魚勝は小心で多少意気がりな酒好き(酒好きは戻って酒を煽る場面で<br />
もっと強調したい。そこは文左衛門師が勝る)。芝の浜の描写も帆掛け船は出るが仕<br />
種主体で形容は少なめ。「夢」と言われて怯える辺りが勝らしい。かみさんは最初の<br />
場面がちと世話過ぎるが、二度目に起こしてからの怖さを隠した分、強く出るのは分<br />
かる。大晦日、「茶をくれ」と言われて財布を持ち出し、話が終わってからまた「茶<br />
を」と言われて酒を出すのは良い演出だと思った。「そんな夢を見た事がある」「夢<br />
じゃなかったんだよ」の遣り取りはなく、「拾った！」と勝がいきり立つのをかみさ<br />
んが止めて訳を話す。かみさんが「怖かった」「ごめんなさい」と話し終わると、勝<br />
は泣いて嬉しがるが、これはもう少し感情を落語レベルに抑えたい。かみさんはそん<br />
な勝を見て「私も辛かった」と号泣するが、小心者夫婦同士らしくて、こちらは違和<br />
感はない。ただ、二人とも、大晦日はセリフが時代になり過ぎる(誰でもそうだ)。<br />
「夢た」と言い含める場面と調子が替り過ぎて、「落語」の会話でなくなってしま<br />
う。勝が怒らないのを見て、かみさんが「怒らないの…？」と可愛らしく(伝え聞く<br />
家元のおかみさんみたいに)言えたらいいな、ふとそう思った。酒を注いで貰う流れ<br />
で段取りが少し多いがダレるほどではない。「どうして？」「また夢んなる」を見得<br />
をするような言い方をしないのは当然とはいえ、こうでなきゃ江戸という都会暮らし<br />
の魚屋の噺にはならない。佳作。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１５日 池袋演芸場昼席</p>

<p>ぴっかり『金明竹』/一琴『のっぺらぼう』/ホームラン/燕路『だくだく』/志ん馬<br />
『のめる』/亀太郎(順子代演)/圓太郎『試し酒』//～仲入り～//我大楼『強情灸』/<br />
柳朝(玉の輔代演)『洒落小町』/和楽社中/甚語楼『三方一両損』</p>

<p>★甚語楼師匠『三方一両損』</p>

<p>やはり「薄情な銭」と金太のリアクションが抜群に良い。御白州になってからの金<br />
太、吉五郎のリアクションが非常によくなり、最初はお上相手に緊張していたのが喧<br />
嘩の一件を聞かれたと分かってぞんざいになる吉五郎、「なぜ、その折に受け取りお<br />
かん」と訊かれて「なぜ？……」と無言になる金太(この間と表情の怒り方が物凄く<br />
愉しい)の二人が素晴らしい。大家の「斯様な正直者が出ましたのも」をカットした<br />
のも良い。サゲ前で敢えて金太に大食させ噎せさせたのは惜しい。あと、前半でリア<br />
クションの前に無駄なひと言が付く場合が多いのは課題。</p>

<p>★圓太郎師匠『試し酒』</p>

<p>勿論少し短めだが重量感あり、酒飲みの愛嬌と色気あり堪能。最初に久蔵が現れる場<br />
面の長羽織でブラッと立ったような姿の可笑しさが抜群。</p>

<p>★志ん馬師匠『のめる』</p>

<p>　サゲを言う、要領の良い男の方に一寸小狡い印象を感じさせるのが独特。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１５日 志ん輔三夜～第三夜(国立演芸場)</p>

<p>半輔『間抜け泥』/志ん輔『弥生町巷談』/吉幸『権助魚』/志ん輔『幾代餅』//～仲入り～//東京ボーイズ/志ん輔『文七元結』</p>

<p>★志ん輔師匠『幾代餅』</p>

<p>一年分の給金を貰いに親方の部屋に入って来る清蔵の明るさ、嬉しさ一杯の身体の見<br />
た目が素晴らしい。こういう気持ちの良い人物を描けるのが志ん輔師の真骨頂。だか<br />
ら、幾代が惚れるのだ。家元は女郎買いが嫌いだから、家元系は玄人中の玄人が何故<br />
惚れるのかに理由が必要になるが、矢来町が玄人好きだったお陰で(笑)、説明的な会<br />
話は不要になるんだなァ。藪井竹庵の「ちょこちょこ安い遊びをするのは愚の骨頂」<br />
という言葉を聞いた親方の「俺の遊びは愚の骨頂か」がまた良い。</p>

<p>★志ん輔師匠『文七元結』</p>

<p>６０代が楽しみになる『文七元結』。上野の主任以来の演目だがギラギラしていた物<br />
が消えて綺麗な高座になった。間をとっても雰囲気の途切れないのが良く、燭台を立<br />
てて聞いているような落ち着きがある。派手さはあるが五月蝿くない。嫌なセリフ、<br />
人を追い詰めるセリフがない、そういうキャラクターなどいない。志ん朝師系の芝居<br />
落語なのだが、ドラマでなく寓話に感じられるのが如何にも古今亭らしい(今夜の<br />
『幾代餅』にもそれは言える)。長兵衛が吾妻橋で文七に言う「こんな綺麗な金は<br />
ねェぞ」が一番のセリフで、金を投げつけるまで長兵衛に表立って悩ませないのも良<br />
き演出だ。そういう了見の噺。脇では藤助が言葉つきや物腰から玄人筋なのが分かる<br />
佳品。佐野槌の後半から吾妻橋一杯までは世話芝居の味が濃いセリフだが、近江屋<br />
(店の名前は一度も言わなかった)から達磨横丁まではちゃんと落語のセリフ。志ん生<br />
師系は目白系、稲荷町系と並んで「江戸っ子の了見の芸」だって事なんだな。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１６日 池袋演芸場昼席</p>

<p>ぴっかり『悋気の独楽』/一琴『勘定板』/ホームラン/燕路『粗忽の釘』/志ん馬『天狗裁き』/順子/圓太郎『一人酒盛』//～仲入り～//我大楼『幇間腹』/三之助(玉の輔代演)『初天神(飴と団子)』/和楽社中/甚語楼『転宅』</p>

<p>★甚語楼師匠『転宅』</p>

<p>見得坊で助平で小心で馬鹿で困りキャラな愛すべき泥棒が愉しい。お菊に抓られると<br />
「抓っちゃうわよって、抓ってるゥ(笑)」とヤニ下がり、おだてられて二枚目ぶった<br />
り(『お見立て』の杢兵衛大尽みたいなとこがある)、お菊に財布の金を抜かれて「ま<br />
じめにコツコツ貯めた金なんだから」と慌てる。このキャラクター設定とニンが適っ<br />
てるのが強み。最後に騙されたと分かり、本気で怒るのがまた可笑しい。お菊は色気<br />
はないが口達者な感じはある。煙草屋の主にもっと面白がるとこが欲しいかな。</p>

<p>★圓太郎師匠『一人酒盛』</p>

<p>稍短めだが、留さんが燗奉行みたいな性格だったりする「長短」的な対照関係は相変<br />
わらず可笑しい。熊さんの酔い方に酒乱的傾向がある辺り、先代馬の助師系のリアリ<br />
ティ過剰に似た欠点が少しあるのは惜しい。持ち味の可愛さを前に出したい。</p>

<p>★我太楼師匠『幇間腹』</p>

<p>初めて可笑しかった。幇間は全然柄にないのだが、これまた全然柄にない若旦那との<br />
遣り取りが実に馬鹿馬鹿しく、権太楼師門下らしいギャグ落語として成立している。</p>

<p>★三之助師匠『初天神』</p>

<p>前半、飴を買い出すまでの親子の遣り取りが親子らしくて面白い。飴買いから何か平<br />
坦になってしまったのは惜しい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１６日 三三独演「懐古趣味」第三夜(日本橋劇場)</p>

<p>三三『敵討札所霊験～中根善之進殺し』//～仲入り～///三三「おどり：せつほんかいな・奴さん」三三『敵討札所霊験～怪僧永善・七兵衛殺し・寺の手入れ』</p>

<p>★三三師匠『中根善之進殺し』</p>

<p>中根善之進の傲慢かつ高圧的な重臣馬鹿息子ぶりは素敵に似合うが、小ましが何故、<br />
水司又市を嫌うかも分からなきゃ、又市の野暮天故の無念と憤怒、ここまではまとも<br />
だった運命の歯車が狂う因縁も出ないまんま。</p>

<p>★三三師匠『怪僧永禅～七兵衛殺し～寺の手入れ』</p>

<p>悪い予感は当たる物で、単なる筋立て語り。冷たい悪人は得意だから、永禅＝又市が<br />
お梅＝小ましを静かに口説く場面に怖さはある。但し、それだけで色気が無いから、<br />
お梅に対する永禅の執着心の固まりのような煩悩の不気味さ(凝れば圓朝作品の描い<br />
た人間の不可解さの中でも屈指)などは微塵も無い。最後の敵討ちまで通して聞いた<br />
事があるけれど、お梅がために（旅の途中でお梅も手にかけながら）無益な殺生の逃<br />
避行を続ける事になる永禅の無常もまた皆無。また、お梅があれほど嫌った又市永禅<br />
の虜になってしまう不可解さ、そこにある筈の人間の面白さも無いなァ。第一、江戸<br />
にいたのは僅か半年足らずで、越後高田から越中高岡で暮らした時間の長い永禅に訛<br />
りが無くなるのは違和感が大きい。何しろ、本来なら二席から三席ある分を語り飛ば<br />
しているのだから仕方ないとはいえ、非常に幅の狭い人物像しか描けない弱味が出て<br />
いる。七兵衛が永禅を強請る件の調子は相変わらずの三下這出しで、落ちぶれた堅気<br />
のコキュの調子ではなかろう。真達もあれじゃ与太郎である。真達の間抜けな強請の<br />
件だけ抜いて、『骨違い』みたいな一席のピカレスク落語にした方が三三師には似合<br />
うのではあるまいか。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１７日 三三独演「懐古趣味」第四日(日本橋劇場)</p>

<p>三三『花筏』/三三『佐々木政談』//～仲入り～//三三『短命』/三三「おどり：かっぽれ・奴さん　」/三三『柳田格之進』</p>

<p>★三三師匠『柳田格之進』</p>

<p>馬石師が雲助師と山本進氏のアドバイスを参考にして作った型をそのまんま演ってい<br />
た。演技的には圓生師系のメリハリをつけていたが、それではこの演出の意味がな<br />
く、単に分かりやすいだけに堕落する。特に、柳田の人物がこれじゃただの堅物で萬<br />
屋との交流で単なる堅物でなくなる、馬石師や小満ん師、さん喬師の変化が皆無。こ<br />
れでは『柳田』を演る意味はない。また、柳田と萬屋との友情も皆目出せていないの<br />
は酷い。湯島切り通しの坂で柳田が傘を阿弥陀にして顔を見せたのらも驚いた。定九<br />
郎じゃあるめェし！江戸御留守居役の品格も何もあったもんじゃない。形から小満ん<br />
師に教わり直した方が良かろう。</p>

<p>※演出自体にも実は無理があって納得がしにくい。娘の代わりに家の宝・来圀俊の刀<br />
を売ったら柳田は侍でなくなってしまう。侍心を捨てた柳田に「主従の首をくれ」と<br />
言うほどの名誉は無くなっているのではあるまいか。『井戸の茶碗』の千代田卜斎や<br />
柳田の侍心を理解してきた志ん生師・先代馬生師・志ん朝師の思いを裏切るような感<br />
じがするのだなァ。</p>

<p>★三三師匠『佐々木政談』</p>

<p>こういう噺の皮肉な可笑しさは巧いんだけどさ、最後でオチのために四郎吉がメソメ<br />
ソ泣き出す、というのが野暮。</p>

<p>★三三師匠『花筏』</p>

<p>四代目小さん師の独演会は前座も使わず、前座噺からトリネタまで七席、という事も<br />
あったそうだから、四席で『花筏』から、というのは何か収まりが悪い。極く簡単に<br />
演じた印象。この程度の噺が実は一番似合うのかな。</p>

<p>★三三師匠『短命』</p>

<p>この噺本来の尺と演出で本日一番の出来。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１７日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>美智美都/市馬『時そば』/今松『近日息子』/東京ガールズ/小さん『看板のピン』/金馬『権兵衛狸』//～仲入り～//世之介『お花半七(上)』/ペー/馬の助(小袁治代演)『動物園』/小満ん『あちたりこちたり』/仙三郎社中/喬太郎『文七元結』</p>

<p>★喬太郎師匠『文七元結』</p>

<p>喬太郎師らしいテンションの高さのお蔭で、セリフの調子が殆ど落語に終始して人情<br />
噺くさくならなかったのが何よりも印象的。佐野槌の女将が部分的に怒鳴るのもテン<br />
ションの高さで恐いのとは一寸違う。まだ少し恐いのは課題だけどね。吾妻橋で長兵<br />
衛が「一生懸命働いて返せ！…今のは(自分に)刺さった」は凄く可笑しい。半面、長<br />
兵衛が「うちの娘がここにいれば“あたしの事は良いからお金を上げて”って言うん<br />
だ」は長兵衛自身の責任回避の言い訳だし、懐から金を出し入れたりするのも言って<br />
る事と矛盾する。吾妻橋は長兵衛の自己矛盾との戦いの場で(文七が素材化するのは<br />
志ん生師的感覚)、この辺りは演劇的なんだけど、その矛盾が無自覚な「江戸っ子の<br />
意気がり」でなしくずしになっちゃう辺りは落語になっている(古典芸能でなく笑芸<br />
としての落語)。その点、「佐野槌だな」「そういう粋な事をするのは佐野槌の女将<br />
でしょうな」「暫く行ってないが、春になったら行くか」という遣り取りをする近江<br />
屋の旦那と番頭は粋の観賞者として一流で可笑しいが、粋の実行者の長兵衛には敵わ<br />
ないと分かってるのがまた嬉しい。終景の達磨横丁の夫婦喧嘩も完全に漫画で『火焔<br />
太鼓』みたいである。文七の置き忘れと知った長兵衛が「死ねーッ！川へ飛び込<br />
め！」と怒鳴るのも落語的で、先代馬生師の長兵衛の「生かしておきたくねェ」以来<br />
の可笑しさ。この無茶苦茶さが落語だなァ。まだ、演劇的に混乱している所もある<br />
が、喬太郎師の所謂「古典落語」は「江戸の風に縛されないテンションの高い可笑し<br />
さ」に燭光が見えてきたように感じられる。</p>

<p>★金馬師匠『権兵衛狸』</p>

<p>狸の「ご～んべェ～」が長閑で素晴らしい。彦六師の「ごんべい」以来の良さであ<br />
る。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１８日 池袋演芸場昼席</p>

<p>マギー隆司/ぴっかり『動物園』/一琴『真田小僧』/ホームラン/燕路『欠伸指南』/志ん馬『ん廻し』/順子・おじさん/圓太郎『厩火事』//～仲入り～//我大楼『肥瓶』/柳朝(玉の輔代演)『持参金』/和楽社中/甚語楼『三枚起請』</p>

<p>★甚語楼師匠『三枚起請』</p>

<p>棟梁の怒り方や喜瀬川の居直り方にリアルさが増した印象。廓噺はリアルさを増すと<br />
噺が暗くなるから、その分、笑いが稍弱まったけれど出来自体は悪くない。喜瀬川の<br />
居直って行く一瞬の変化など、演技になり過ぎず悪くないもん(柄に色気はないか<br />
ら、そこは作りの必要な課題)。言えば、部屋に入って来て直ぐ棟梁に愚痴を言って<br />
みせて「甘えたふり」を見せる辺りに(２４歳の設定)玄人らしい「作り物の媚態であ<br />
る色気」と、玄人の強かさが足りない(矢来町以外、そこは出来ないんだけどね)。棟<br />
梁の怒りは男として分かるけど、不惑近い男盛り(３９歳という設定は初耳)にして<br />
は、了見が子供っぽくなる。もう少し男性的魅力があった上での三馬鹿トリオであり<br />
たい。若旦那の亥之助は柄違いだけれど、発言する態度が如何にも子供っぽくて可笑<br />
しい。清公は特に特徴のない作りなんだが、不思議と「馬鹿で助平で軽く見える」の<br />
が良い。清公を喜瀬川も「お喋りの清公だろ」と言ったのには笑った。奥行きをつけ<br />
ながら、もう一度明るくなる前の過程にあるという段階かな。</p>

<p>★圓太郎師匠『厩火事』</p>

<p>おかめや般若に似ていると自覚しているお崎さんが、単に可愛らしいだけでなく、一<br />
寸変な上に「お馬鹿かな？」という年増であるとこが、可笑しさにあるリアリティを<br />
与えているのが独特(女を演ると小朝師に似るんだなぁ)。柄があるもんで、声の太い<br />
亭主が立派な職人に見えちゃうのは惜しい。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１８日 雲助月極十番之内捌番(日本橋劇場)</p>

<p>市助『間抜け泥』/雲助『くしゃみ講釈』//～仲入り～//雲助『居残り佐平次』</p>

<p>★雲助師匠『居残り佐平次』</p>

<p>盲の小せん型がベースだと思うが、細部の印象は飽くまでも雲助師独特。佐平次は居<br />
残りを商売にしている男だが、騙り・悪党の暗さは出さないのが却ってプロらしい。<br />
口のきき方に強弱の工夫があり、それが軽妙な笑いを生み出している。こういう内容<br />
だと世話口調になりそうな雲助師だが、ひたすら落語口調。一文無しと分かるまで妓<br />
夫太郎を丸め込む口車の愛敬が愉しい。紅梅花魁の客・勝っつぁんの乗せられぶりも<br />
クドくなく、廓客の自惚れ心を描いた佳品。強いて言えば小道具代りのセリフの中身<br />
が小満ん師程洒脱ではないのがちと惜しい。半面、旦那相手の忠信利平はカッキリ世<br />
話口調で、外に出て都々逸で「三千世界の…」と行く。店を出て初めてプロらしさを<br />
垣間見せる。そんな雲助師なりゃこそ、花魁に三味線を教えたり、手紙の代筆を承る<br />
七代目正蔵師型を聞きたくなるのは贅沢かしらん。</p>

<p>★雲助師匠『くしゃみ講釈』</p>

<p>雲助師では初耳の演目。全体に軽め、短めだが、主人公が乾物屋店先で演じるからく<br />
り口上の「カタンッ」の合の手が矢鱈と可笑しい。からくりのセリフは上方版なれど<br />
メロディーは違う。これも初耳。講釈は『難波戦記』。主人公が講釈に聞き惚れてポ<br />
カンと口を開けている表情は枝雀師の「好きになってきた」と双璧の可笑しさ。講釈<br />
がまた張りと重みのある結構なもので「雲助十八番」になりうる高座だった。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１９日　遊三を聴く会(お江戸広小路亭)</p>

<p>夢七『つる』翔丸『犬の目』/遊月『長短』/遊三『井戸の茶碗』//～仲入り～//初音/遊三『ねずみ』</p>

<p>★遊三師匠『井戸の茶碗』</p>

<p>割とテンポ速く無駄無く全体尺は短め。屑屋が籠を抱えて高木を見上げる仕種は初め<br />
て見たが「成る程」と頷ける。「立ってるか座ってるか分かりませんが、今は籠の中<br />
で横になってらっしゃいます」にも笑った。千代田、高木のキャラクターも硬すぎず<br />
(その辺りは圓菊師系っぽい)気楽で愉しいが、千代田が一瞬の沈黙で見せる「貧に長<br />
けた中のプライド」は独特。圓菊師の雰囲気というより、仕種の端々にフッと志ん生<br />
師の雰囲気が出る辺り、形を崩さない遊三師の特徴が出るのも面白い。</p>

<p>★遊三師匠『ねずみ』</p>

<p>甚五郎がねずみ屋へ入った辺りで携帯電話を音高く鳴らした女性がいてリズムが狂<br />
い、頭から演り直し。完全に職人そのものの甚五郎でおじさんっぽく、ざっかけない<br />
が最後で虎を見る腕組みの形、無言の表情に職人の厳しさが出る。二代目政五郎も職<br />
人らしさに溢れたキャラクター。飯田丹下は対照的に職人らしさに乏しい。卯之吉は<br />
余り喋らないが『子は鎹』の亀みたい。卯兵衛は普通の商人だけれど、卯之吉の生傷<br />
を語る件は噺を引き締め少し泣く。但し、直ぐに戻るからメソメソはしない。丑蔵は<br />
怒りもあってか稍凶暴(笑)。。在の人たち等は長閑で全体的に浪曲ネタの湿感がない<br />
のが結構である。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１９日　上野鈴本演芸場昼席</p>

<p>正楽/南喬『茶金』</p>

<p>★南喬師匠『茶金』</p>

<p>茶金さん本人には米朝師のような風格はないけれど、茶金さんが「これは何なんだろ<br />
う？」と訝しく思うほど、駄茶碗が勝手に出世して行く面白さを味わえた高座。「駄<br />
物の茶碗」という言葉が何度か出てくる以外、江戸者の油売り八五郎と茶店の親父<br />
(キャラクターが可笑しい)、茶金の番頭、茶金さんとの遣り取りに無駄な間やクドさ<br />
がなく、一貫して明るく愉しい。東京の噺家さんがこの演目を語ると、茶金さんの人<br />
物が出ない分、何となく噺が回りクドく感じるものだが、それがなく、只管馬鹿馬鹿<br />
しい江戸落語の洒脱さに満ちているのは一朝師と通じる魅力(市馬師から下の世代は<br />
この馬鹿馬鹿しい洒脱さがまだ乏しい)。今年は巡り合わせが悪く南喬師を聞いてな<br />
い。もっと聞きたかったなァ(現存する東京の噺家さんで『宿屋の仇討』を面白いと<br />
感じたのは南喬師と一朝師しかいない。そういう落語職人であり寄席名人なんであ<br />
る)。</p>

<p></p>

<p>◆１１月１９日　「白酒むふふふふふふ」(練馬文化センター小ホール)</p>

<p>扇『牛褒め』/白酒『火焔太鼓』/東京ボーイズ//～仲入り～//白酒『木乃伊取り』</p>

<p>★白酒師匠『火焔太鼓』</p>

<p>中のギャグやギャグの並びを大分変えたが、結果、前半はまだ運びの流れが悪く、笑<br />
いのパンチ力が落ちていた。中盤、御屋敷に向かう甚兵衛とかみさんの遣り取りから<br />
勢いが戻った。御屋敷以降の甚兵衛さんの炸裂する怪人ぶりはやはり志ん生師以後で<br />
一番可笑しく、かみさんの愉しさも変わらない。</p>

<p>★白酒師匠『木乃伊取り』</p>

<p>清蔵の可笑しくない凶暴さは消え、野暮天が酒に呑まれて浮かれて行く可笑しさが出<br />
てきた。見た目にマウンテンゴリラの縫いぐるみみたいだから可愛らしく見えるのも<br />
得している。もう少し、周りの華美な様子や表情が見えて来て感心したり、恐縮した<br />
方がより清蔵のキャラクターが出て面白味は濃くなるのではあるまいか。そう言う風<br />
に清蔵は良くなったが、周囲はまだまだ弱い。かしくはもっとあからさまな媚態と御<br />
愛想で清蔵を馬鹿にしながら挑発したい。何か、幾代太夫みたいである。若旦那がコ<br />
ロッと態度を豹変させるのは従来の演出通りだけれど、若旦那だと上下関係の苦味が<br />
噺に出てしまう。番頭か(廓通いの感想文を六冊も書いてる設定だから)、頭の登楼に<br />
伴って現れる野幇間、または妓夫がこの場を納める方が無駄な苦味は出ないのではな<br />
かろうかね。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２０日 第２９４回圓橘の会(深川東京モダン館)</p>

<p>橘也『だくだく』/圓橘『目黒の秋刀魚』//～仲入り～//圓橘『木乃伊取り』</p>

<p>★圓橘師匠『目黒の秋刀魚』</p>

<p>先代圓楽師の型かな…全体に硬めで、侍らしさはあるが、もう少し噺全体は暢気な方<br />
が良いと思う。</p>

<p>★圓橘師匠『木乃伊取り』</p>

<p>非常に面白い。勿論、圓生師型で、飯炊きの久蔵（今回は清蔵ではない）以外の人物<br />
が粋に出来ている。その中で野暮な久蔵にオチを取られる、という皮肉な可笑しさが<br />
堪能出来た。久蔵は最初の登場から奉公人らしい低姿勢で、旦那夫婦を思って若旦那<br />
を迎えに向かう。阿母様から巾着を預かり、その情に感激して「野暮＋俄正義漢」に<br />
なる。その勢いが若旦那に「暇を出す」と言われての強い反発になるが、別に攻撃的<br />
な訳ではではない。若旦那は久蔵が怒り出した途端、根の小心が出て慌てて謝るの<br />
で、久蔵に対して高圧的でも差別的でもシニカルでもない(昨夜の白酒師の若旦那は<br />
シニカルなんで野暮かつ抑圧的に見えたんだな。この噺自体がシニカルだから登場人<br />
物までシニカルだとクドくて野暮になるのかもしれない)。久蔵が若旦那の平謝りを<br />
見て泣いて謝るのも野暮天の強みである、そこから先は清蔵の野暮を周囲が面白がっ<br />
てる内に、俄正義漢の緊張が解けた所へ酒が入った清蔵から、性根の酒や女に弱い面<br />
が出てきて好き勝手を始める。その傍若無人ぶりが実に可笑しい(ある部分、『らく<br />
だ』の屑屋に近い)。「おらたち、こんな酒は呑めねェ」「こんな歳から大人の中で<br />
揉まれりゃあ、人が悪くなるのも仕方ねェ」の二つのセリフに久蔵の下から目線と、<br />
野暮から見た粋の有りようが出てくるのは、圓生師にも無かった久蔵の実感で面白<br />
い。そんな主人公を際立たせる素材として若旦那、番頭、頭、かしく花魁と揃って粋<br />
な作りになっているのが結構。つまり、「マジは野暮」と廓に対して肯定的なのだ。<br />
廓遊び好きで知られた四代目圓生師作らしいなァ。</p>

<p>★橘也さん『だくだく』</p>

<p>サゲを「泥棒がこんな事を言うのもなんですが、これをいつまで続けるつもりです<br />
か？」「もうそろそろ、終わりにするつもり」と変えてあった。この方がサゲらしい<br />
(馬鹿馬鹿しさは減るけれど)。</p>

<p></p>

<p>◆１１月２０日 新宿末廣亭夜</p>

<p>小菊(東京ガールズ代演)/美るく『犬の目』/扇里『紋三郎稲荷』/美智・美都/はん治(市馬代演)『ボヤキ酒屋』/今松『干物箱』/ぺー/小さん『長短』/一朝(金馬代演)『芝居の喧嘩』//～仲入り～//世之介『星野屋』/笑組/小袁治『女天下』/小満ん『馬のす』/仙三郎社中/喬太郎『宮戸川』</p>

<p>★喬太郎師匠『宮戸川』</p>

<p>当然、「お花半七」の件は軽めで後半主体。喬太郎師の『宮戸川』は正覚坊の亀の告<br />
白のためにあるような演目で、今夜もそこに一番の味がある。敢えて言うなら、喬太<br />
郎師の『宮戸川』に前半は必要なのかな？(前半単体で演るなら兎も角)。雷、雨等の<br />
要素が前半と重なるためか、お花が雷で気絶する話はカットされていたが、そうなる<br />
とお花が拐かされる場面で絵が一枚足りない、という物足りなさを感じる。沛然と降<br />
る雨、雷門で雨宿りする若い女房、雷一閃して倒れる女房、そこにノッソリと現れる<br />
三人の無頼。こう揃わないと亀の告白が引き立たないのではあるまいか。芝居掛かり<br />
のツケは良かったが下座の入りの間が変だったのは残念。</p>

<p>★小満ん師匠『馬のす』</p>

<p>押していたから短めだが、「この噺はこれくらいの尺で、こういう内容・語り口で演<br />
じると洒脱な上にちゃんと受ける」というお手本。</p>

<p>                                                                        ----以上、中席-----</p>

<p><br />
                                                石井徹也（落語"道落者")</p>]]>

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<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　十月下席号</title>
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<modified>2011-11-21T02:54:49Z</modified>
<issued>2011-11-11T02:48:42Z</issued>
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<summary type="text/plain">秋深しとなりはなにをする人ぞ。秋の夜長には落語が合います。寄席で、落語会で、録音...</summary>
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<name>落語</name>


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<![CDATA[<p><font size="3" color="#008080"><b>秋深しとなりはなにをする人ぞ。秋の夜長には落語が合います。寄席で、落語会で、録音で・・・しみじみと落語を味わってはいかがでしょうか。</b></font></p>

<p><font size="3" color="#008080"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の平成二十三年十月号下席号をＵＰいたします。貴重な落語”道落者”・石井徹也渾身のレポートをお楽しみください！</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p>◆１０月２１日 池袋演芸場昼席</p>

<p>まめ平『六銭小僧』/遊一(交互出演)『元犬』/小せん『千早振る』/丈二『権助魚』/<br />
笑組/左龍『締込み』/馬石『時そば』//～仲入り～//ろべえ『竹の子』/萬窓『垂乳<br />
根』/しん平(正蔵代演)『御血脈』/勝丸/小燕枝(正蔵代バネ)『小言幸兵衛』</p>

<p>★馬石師匠『時そば』</p>

<p>抜群。二番目のそば屋が景気の悪い陰気な奴で、また火を起こしてる間、袖をヒラヒ<br />
ラさせて待ってる客の様子が無茶苦茶可笑しく、不味そうなそばの食い方、表情も素<br />
晴らしい。こんな『時そば』、聞いた事がない。</p>

<p>★小燕枝師匠『小言幸兵衛』</p>

<p>店子希望者の挙げ足を取って追い返すのが幸兵衛の健康法という独自の設定だが、ヌ<br />
ハハハ笑いのお陰で嫌味にならない。幸兵衛の難癖に仕立屋が冷静なのも途中から<br />
「挙げ足取り」と気付いて相手をしている雰囲気で、険悪な雰囲気にならない。「二<br />
人で良からぬ事を始める」と言われた仕立屋の「大麻パーティーですか」には吹き出<br />
す。</p>

<p>★左龍師匠『締込み』</p>

<p>「そこです」を節より間の取り方で作っているが、まだ受け切れないのは惜しい。か<br />
みさんの如何にも長屋の住人らしい阿っ母ァぽさや(全く美人に見えない。『猫久』<br />
のかみさん向き)泥棒の間抜けさ、亭主の短気はちゃんと描けている。</p>

<p></p>

<p>◆雲助月極十番之内漆番(日本橋劇場)</p>

<p>きょう介『鮑熨斗（上）』/雲助『干物箱』//～仲入り～//雲助『九州吹き戻し』/雲<br />
助『新版三十石』</p>

<p>★雲助師匠『新版三十石』</p>

<p>サラッと演じて、赤澤熊蔵先生が極っく馬鹿馬鹿しい怪快作。寄席で聞く時より短い<br />
くらいだが、馬鹿馬鹿しさが濃縮されていた印象。</p>

<p>★雲助師匠『九州吹き戻し』</p>

<p>喜之助の出立前夜の夢想は『蔵出し』より可笑しく愉しい(『干物箱』の善公の夢想<br />
とネタ的にはかぶるけどね)。無一文で宿に泊まる辺りの暢気さは非常に結構な味わ<br />
い。この序盤は人情噺っぽく、宿屋の主が実に好人物であるのが歴然と分かるのは<br />
「金原亭の芸だなァ」と感心した。江戸に帰れる金が溜まったと分かり、恩人である<br />
宿屋の旦那を疑いだす件で、喜之助の人格が少し変わるのは作自体の問題だろう。夜<br />
明けの浜辺で会う水主や親方の迫力は素晴らしいが、嵐になってからは地の説明だけ<br />
だから、アッサリしすぎ。何かしら工夫がいるなァ。</p>

<p>★雲助師匠『干物箱』</p>

<p>多分、鼻の圓遊師匠の速記が元だと思う。明治の開化色がふんだんに盛り込まれてお<br />
り、それがまた雲助師に似合う。幇間医者の竹庵が若旦那に善公の声色を使う知恵を<br />
付ける演出が序盤の妙味。善公が二階に上がってからは人力俥の騒ぎや都々逸の騒ぎ<br />
で相方の手紙はない。若旦那のフワフワした可笑しさ(『学問ノススメ』を読んで<br />
るってのには大笑い)、貸本屋なのに平仮名しか読めない(笑)善公の狂騒に近い能天<br />
気ぶり、腕力のやたらある親旦那、この三人の遣り取りが実に軽妙で愉しい。『月極<br />
十番』屈指の出来。若旦那の部屋では真鍮の薬缶で火燗が付いているが、薬缶の取手<br />
に瑪瑙が嵌まっているのは先代馬生師匠も演じていた演出。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２２日 東京マンスリーｖｏｌ．４５長講１２ケ月その１０（らくごカ<br />
フェ）</p>

<p>菊志ん『山崎屋』//～仲入り～//菊志ん『芝居の喧嘩』菊志ん『胡椒の悔み』</p>

<p>★菊志ん師匠『胡椒の悔み』</p>

<p>金馬師型に手を入れたとの事。主人公も与太郎ではない。冒頭に故人の遺影選びの話<br />
があり、これがサゲの伏線になる。主人公は選ばれた遺影が可笑しくて笑いが止まら<br />
なくなり、兄貴分に胡椒で誤魔化すのを教えられるが、未亡人の後ろに置かれた遺影<br />
に笑いだし、胡椒を呑むだけでなく、目と鼻にも擦り込んでしまい、涙と嚔と辛さが<br />
止まらなくなる(稍、『嚔講釈』に近い)。結局、悔やみが言えないまま、兄貴分の家<br />
に戻って「遺影が(素人芝居の際の)幽霊役の写真」というサゲになる。親父が死んだ<br />
際、笑いが三日止まらなかった、という人非人ぶりを廃して、涙と嚔混じりで笑いも<br />
大きくなる工夫は良い。半面、遺影がどれだけ可笑しいか？の答えが幽霊役は少し弱<br />
い。唐沢俊一の本だったかにあった「豚に食い殺された間抜けの葬式」で家族が死因<br />
を説明するのに困ったり吹き出したり、系の破天荒さが欲しい。</p>

<p>★菊志ん師匠『芝居の喧嘩』</p>

<p>良く演じている演目だがテンポよく、啖呵の緩急も良く、家元の初演当時に近いリズ<br />
ム。『慶安太平記』や瓢右衛門師匠の滑稽浪曲ネタが聞きたくなる。『堀川』の前半<br />
なども向くのではあるまいか。</p>

<p>★菊志ん師匠『山崎屋』</p>

<p>かなり刈り込んで３０分程度。冒頭の親旦那の小言がなく、番頭と若旦那の会話から<br />
始まる。また、御礼の鰹節の件がない。非常にトントン運んで、筋物の段取りを聞か<br />
される鬱陶しさがない。愉しく聞きやすい『山崎屋』。若旦那と番頭(なかなか男前<br />
の設定)の軽い遣り取りが一番。親旦那もサラッとやって、ケチを強調せず無理はな<br />
い。頭も威勢は良いが、もう少し綺麗事にしたい。最後だけ出てくる花魁は「松の位<br />
の太夫」という紅一点らしさに乏しいのが残念。オチは正雀師型の「松の位でありん<br />
した」。リズムが良いので品川の圓蔵師的な快速『派手彦』が聞きたくなるね。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２２日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>正楽(紫文代演)/藤兵衛(小ゑん代演)『九郎蔵狐』/伯楽『猫の皿』//～仲入り～//燕路『間抜け泥』/美智(ゆめじうたじ代演)/馬石『安兵衛狐』/一朝『幇間腹』/仙三郎社中/馬桜『冥土の雪』</p>

<p>★馬石師匠『安兵衛狐』</p>

<p>短縮版だが幽霊と狐のかみさんの不思議な可笑しさは先代馬生師の『王子の狐』を思<br />
わせる魅力がある。</p>

<p>★馬桜師匠『冥土の雪』</p>

<p>『朝友』の改作だが、回りくどくなり、朝友伝説が最後に和尚の言葉だけで説明され<br />
るのも？マーク。なまじ、この古い伝説が残っているだけに却って分かりにくい。受<br />
けていたのも『三十石』や『地獄巡り』の掴み込みの部分だけ。お朝が生塚の婆から<br />
「閻魔の妾になれ」と攻められる件も『三世草』やら『明烏』やら『源氏店』やらの<br />
ごちゃまぜなぞりだから、もっと分かりやすく描かないと、鳴り物だけ入れて賑やか<br />
にしても効果がない。左龍師の『朝友』の方が聞きやすい。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２３日第１０回箱の中の文左衛門(らくごカフェ)</p>

<p>ホルモン『酒粕～から抜け』/文左衛門『寝床』//～仲入り～//モロ師岡『サラリーマン落語・井戸の茶碗』/文左衛門『短命』</p>

<p>★文左衛門師匠『寝床』</p>

<p>茂蔵が返事に窮して「来ますん」「聞けますん」と言い出すのが馬鹿に可笑しい。旦<br />
那が店子たちのシュプレヒコールで機嫌が直るのは喬太郎師に近い。旦那の義太夫が<br />
始まってから、前に置かれた芋の煮っころがしを取らせるのに「お前、二百三高地か<br />
ら無事に帰ってきたじゃねェか」も可笑しいが、「ロシアに義太夫はねェ」くらいの<br />
リアクションが欲しい。旦那はごく可愛く、長屋の連中も全然嫌な感じがしないのは<br />
何とも結構。</p>

<p>★文左衛門師匠『短命』</p>

<p>先代圓楽師型で展開は前回聞いた際と同じ印象だが、隠居の「毒なんか誰も持ってな<br />
いの！」と、熊五郎の「男三人も食い殺してカマキリだ、カマキリ夫人だ」の二つの<br />
ギャグが無闇と愉しかった。隠居も熊五郎も前のモロ師岡氏に対抗したのか、少し動<br />
きや口調が過剰だが、妙に可愛いから許しちゃう（笑）。</p>

<p>★モロ師岡氏『サラリーマン落語・井戸の茶碗』</p>

<p>爆笑のパロディ改作。白鳥師の改作と発想が似ている。廃品回収業者が倒産した食品<br />
会社社長から引き取った中国産冷凍鰻を高木スーパー社長に売ると鰻に高級唐墨が付<br />
いていて高値で売れる。その代金の見返りに冷凍蜜柑を売ると「夏に蜜柑を食べたい<br />
と言って倅が死にかけている」という金持ちに大金で売れる。その代金の代わりに娘<br />
をスーパーの店員に、というと「店に出すのは止そう。また売れるといけない」とサ<br />
ゲる。「この金を高木に返さないと鰻の串で喉を突く」「この金を元社長の船場が引<br />
き取らないと(うちの社員の)定吉を絞め殺す(『双蝶々』だよ・笑)」「娘には食品販<br />
売の事は一通り教えてある」といったナンセンスな会話が飛び交う。惜しむらくは口<br />
調や仕種がカッチリとしてはいないので話芸として弱いが、白鳥師が手を入れて演じ<br />
たら大爆笑ネタになるな。役者さんや芸能人の演じる噺で初めて笑った。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２４日 池袋演芸場昼席</p>

<p>はな平『子褒め』/遊一(交互出演)『垂乳根』/左龍『時そば』/丈二『酒粕～から抜<br />
け』/笑組/小せん『紋三郎稲荷』/馬石『替り目』//～仲入り～//ろべえ『落語家の<br />
夢』/萬窓『目黒の秋刀魚』/小燕枝『不精床』/勝丸/正蔵『身投げ屋』</p>

<p>★正蔵師匠『身投げ屋』</p>

<p>ネタ卸し。雲助師の重いがハッキリした声をそのまま真似て、ハスキーな調子で<br />
ウェットながら明るさのある正蔵師が演じては無理の羅列になる。特に「殺してた<br />
べ」なんて芝居掛かりは馬鹿馬鹿しさが失せてしまった。持ち味を活かすなら金語楼<br />
師の『身投げ屋』の調子で演じた方が良いと思う。</p>

<p>★馬石師匠『替り目』</p>

<p>『元帳』の部分が今日は妙に重くて冴えず(女房は悪くないが亭主に憎体ぶりがあ<br />
る)、女房がおでん屋に出掛けて、亭主とうどん屋の会話になってから、酔っ払いの<br />
我が儘とうどん屋の困惑、両面の可笑しさが出た。</p>

<p>★小せん師匠『紋三郎稲荷』</p>

<p>サラリと軽い味わいで、扇辰師とは違う面白さ。人間的に剽軽な侍に見える。</p>

<p>★左龍師匠『時そば』</p>

<p>二番目のそば屋の奇怪さが凄く可笑しい。喪黒福蔵みたいである。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２４日 第３回Ｗｎｍａｎ‘ｓ落語会ｂｙ白鳥(日本橋社会教育会館ホール)</p>

<p>白鳥・つくし・ぼたん「鼎談」/こみち『女泥棒』/白鳥『萩の月の由来』//～仲入り～//ぼたん『シンデレラ伝説』/つくし『野晒し』</p>

<p>★白鳥師匠『萩の月の由来』</p>

<p>白鳥師の根っこは児童文学だね。『飛ぶ教室』を落語化してくれないかな。</p>

<p>★こみちさん『女泥棒』</p>

<p>「白鳥師匠、腕を上げました」とマクラで言ったが、確かに作品でなく、演者に問題<br />
があって、詰まらない噺になってしまった。空き巣狙いで紅白粉売りを装う、という<br />
アイディアは面白いのだが（現代物にして化粧品会社のセールスマンにしちゃう方が<br />
いいのかな。『シザーハンズ』に出て来たセールスレディみたいに）、親分も弟子も<br />
「真心に立ち返って泥棒をしている」ように聞こえない。普段、寄席で普通の落語を<br />
聞いてると感じない「いい女ぶって演じている嫌らしさ」が出てしまうのだ。白鳥師<br />
作品と相性が悪いのかな。『都々逸親子』の母息子版を演じている時の良さが出ない<br />
のは何故だろう？</p>

<p>★つくしさん『野晒し』</p>

<p>終盤、人情噺めいた展開になるけれど、お松が向島へ洗濯に出掛けて(桃太郎のお婆<br />
さんかいな・笑)、釣り人を物干し竿で蹴散らす辺りは凄く可笑しい。また、つくし<br />
さんのキンキン声がお梅婆さんに何とも似合って無理が無いし、供養された骨の二枚<br />
目も低く良い声で悪くない。バツ２のお光も少女漫画の類型的敵役っぽくて可笑し<br />
い。白鳥師にアラフォーやお婆さんが主人公の新作を書いて貰うか、古典系なら雷蔵<br />
師から、婆さんが主役の『小言題目』を教わる事を勧めたくなる…という具合に、つ<br />
くしさんに新たな可能性を感じた。</p>

<p>★ぼたんさん『シンデレラ伝説』</p>

<p>話術としては三人の中で一番達者だし、落語のドライさや、「観客の前で馬鹿にな<br />
る」という笑芸の基本を身に付けているのを感じた。母親も子供も相手の言葉を受け<br />
て黙っている一瞬のリアクションが凄く可笑しい。。巧くなったねェ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２５日 池袋演芸場昼席</p>

<p>歌る美『間抜け泥』/遊一(交互出演)『真田小僧』/小せん『欠伸指南』/笑組/丈二『看板のピン』/喬之助(左龍代演)『短命』/萬窓『伽羅の下駄』//～仲入り～//たけ平『らすとそんぐ』/馬石『堀の内』/小燕枝『ちりとてちん』/勝丸/正蔵『身投げ屋』</p>

<p>★正蔵師匠『身投げ屋』</p>

<p>鐘を二度入れて夜更けの雰囲気を出したり、『文七元結』の長兵衛みたいな貧乏人が<br />
身投げを救いに現れたりして笑いを増やしただけでなく、終盤のベテラン身投げ屋親<br />
子の終端のリアルさでサゲを活かしたりと、昨日のネタ卸しからは大成長。雲助師型<br />
乍ら雲助師とは違う味わいの可笑しさを持つ小品になってきた。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２５日 第３８回人形町らくだ亭(日本橋劇場)</p>

<p>けい木『壽限無』/朝也『唖の釣』/志ん輔『化物遣い』//～仲入り～//正蔵『身投げ屋』/小満ん『九州吹き戻し』</p>

<p>★小満ん師匠『九州吹戻し』</p>

<p>後に伺った所によると、雲助師と元は同じ盲の小せん師の速記との事だったが、喜之<br />
助の洒脱さに小満ん師ならではの味わいがあり、「一本杉」のセリフを繰り返す辺り<br />
の可笑しさも小満ん師ならでは。船が出てから、好天の場面で「新曲浦島」を唄われ<br />
たのも御景物である。また、喜之助が百両貯まったと聞いて江戸家の主人を疑うセリ<br />
フをカットしたのも、キャラクターとして気持ちよい。言い間違いなども多々あった<br />
が、雲助師より盲の小線師に近いのではあるまいか。</p>

<p>★正蔵師匠『身投げ屋』</p>

<p>池袋演芸場から更に芝居掛かりのセリフをカットして、噺全体の明るさと可笑しさを<br />
増した。良い小品になりそう。</p>

<p>★志ん輔師匠『化物遣い』</p>

<p>杢助が去ったのを見送って、吉田の隠居が「一本取られたな」という言葉の清々しさ<br />
に志ん輔師ならではの魅力がある。また、大入道に向かって「こいつは鍛えれば物に<br />
なる」というのも可笑しい。良い意味での「軽さ」と「落ち着き」が増している<br />
なァ。</p>

<p>★朝也さん『唖の釣』</p>

<p>口の利けなくなった七兵衛の吃音風の発声が鶏みたいにケコケコするのが非常に可笑<br />
しかった。与太郎も可笑しいが、もう少し可愛らしさが欲しい。とはいえ、稲荷町の<br />
彦六師⇒先代柳朝師⇒一朝師匠⇒柳朝師と伝わっている優れた『唖の釣』の系譜にま<br />
た一人加わったのは確かだ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２６日 池袋演芸場昼席</p>

<p>まめ平『元犬』/たこ平(交互出演)『河豚鍋』/小せん『秋刀魚火事』/笑組/丈二『牛<br />
褒め』/左龍『お花半七』/馬石『王子の狐』//～仲入り～//たけ平『扇の的』/萬窓<br />
『蔵前駕籠』/小燕枝『長短』/ダーク広和(勝丸代演だけど忘れて来なかったらしい)<br />
/正蔵『一文笛』</p>

<p>★正蔵師匠『一文笛』</p>

<p>余りメリハリを付けず、湿度と明暗のバランスが取れた噺に成長してきた。特に兄貴<br />
分の脅かさない貫禄には感心。</p>

<p>★小燕枝師匠『長短』</p>

<p>見事なまでに短さんが怒らずに焦れてるのが非常に可笑しく友達らしい。長さんの意<br />
外と早口な暢気さがまた凄い。目白系本来の佳作。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２６日 立川談春独演会(有楽町・朝日ホール)</p>

<p>談春『死神』//～仲入り～//談春『被災地公演～人情八百屋』</p>

<p>★談春師匠『人情八百屋』</p>

<p>マクラで話した被災地公演と子供たちの話は何処かで『死神』の中の「人は死ねば、<br />
みんな神様になる」を思い返させる内容。それがストレートに本題にも繋がり、山本<br />
周五郎的な世界を描き出す。八百屋平助の思いと子供二人の体験した哀しみの哀れ。<br />
やはりこの噺は家元より談春師の方が、自分を隠そうというテレが少ない分、「思<br />
い」の魅力は遥かに大きく私には感じられる。</p>

<p>★談春師匠『死神』</p>

<p>サゲの改訂ばかりで、本題の変化に乏しいこの噺にトライした印象の高座。死神との<br />
出会いがあって、その後の繁盛から最後の患者までは地で説明し、怒った死神に蝋燭<br />
の空間に連れて行かれてからが「本日の狙い」という雰囲気の演出と構成。主人公が<br />
蝋燭を点けてしまったら、死神が「まさか点けるとは思わなかった」と対処に困るの<br />
は可笑しいが、そこから主人公は地上目指して、死神を擱首になった元死神は下へ<br />
(何処だか言わない)と道を別ける。主人公は案内役もないまま、天地左右も分からな<br />
い真っ暗な空間を、連れて来られた時同様、「目を開けてはいけない」と言われた言<br />
葉を守り彷徨する。最終的に地上に出られた時は死神同然の姿になり、「死にたい」<br />
と言っていた男に「金の儲け方を教えてやろう。俺は死神だ」というサゲになる。イ<br />
ザナギ・イザナミの黄泉の国・輪廻・永遠回帰・タイムパラドックスなど、様々な要<br />
素を感じさせ乍ら、まとまりきらなかった印象。死神の語る「人は死ねば、みんな神<br />
様になるのに」をキーワードに絞り込めばまとまると思うのだが。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２７日 池袋演芸場昼席</p>

<p>はな平『初天神』/たこ平(交互出演)『河豚鍋』/小せん『新聞記事』/丈二『漫談』/笑組/左龍『粗忽長屋』/馬石『締込み』//～仲入り～//たけ平『源平』/萬窓『権助魚』/雲助(小燕枝代演)『町内の若い衆』/勝丸/正蔵『蜆屋』</p>

<p>★正蔵師匠『蜆屋』</p>

<p>最後の芝居掛かりのセリフを、鳴り物は入れ乍ら、素に近いセリフに戻した。その方<br />
が似合うし、情も逆に出る。</p>

<p>★馬石師匠『締込み』</p>

<p>　前半は夫婦の遣り取りがリアル過ぎて笑いに乏しかったが、泥棒が床下から現れて<br />
以降は、喧嘩を止める仕種の可笑しさもあり、面白さが倍増した。</p>

<p>★たけ平さん『源平』</p>

<p>　聞いた事の無い展開の『源平』で、弁慶と牛若丸の出会いがあったりしたから最初<br />
は『橋弁慶』の改作かと思った。他にも頼朝と義経の「御仲不和」の話があったり、<br />
北条政子の話になったりと様々。もう一寸、時事的なギャグが多めに入っていた方が<br />
良いと今の所は思う。</p>

<p>★丈二師匠『漫談』</p>

<p>　体験談風の漫談なのだが面白い。これを一席にまとめて新作にすればいいのに。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２７日 蜃気楼龍玉、圓朝に挑戦！『緑林門松竹』第１２話(道楽亭)</p>

<p>本田久作「緑林門松竹解説」/龍玉『按摩幸治～藤七の強請』//～仲入り～//龍玉『鼠穴』</p>

<p>★龍玉師匠『緑林門松竹～按摩幸治・藤七の強請』</p>

<p>３０分くらいの短い件。幸治の雰囲気以上に、上方弁の番頭藤七が独白する場面の話<br />
し方・仕種が圓生師に凄く似ている。色好みで一寸嫌みな感じが出るのは面白い。浪<br />
人花影との遣り取りでの晩唐が見せる慇懃無礼なニュアンスも悪くない。それでも、<br />
余り重くならないのは金原亭系統らしい所か。幸治は部分的に人情噺ではなく、落<br />
語っぽい口調になる辺りに面白さはあるが、悪党らしい色合いはまだ硬い。この次は<br />
藤七と情婦のお崎が殺される件だったけ？</p>

<p>★龍玉師匠『鼠穴』</p>

<p>圓生師型『鼠穴』の難しい所で、夢の中の兄貴が人間の非情さの化身みたいにならな<br />
いと迫力が出ない。しかも、圓生師を上回る構成と出来栄えを見せた家元型と違っ<br />
て、兄弟二人への共感が圓生師型には乏しいのも弱みになる。性悪説的人物像を圓生<br />
師の「芸」で見せていた噺だからである。龍玉師は今まで聞いた範囲で、性悪説で人<br />
物を造形する噺家さんではないと私は思う。事実、再会の場面でも夢から覚めた場面<br />
でも、兄弟二人に性悪や悲運のイメージは無い。今の演出では良化しても圓生師の物<br />
真似に留まる危険性がある。家元型に演出を変えた方が良いと私は思う。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２８日 イイノホール再オープン記念 柳家喬太郎・瀧川鯉昇二人会『古典こもり６』昼の部（イイノホール）</p>

<p>吉好『熊の皮』/鯉昇『鶏の目』/喬太郎『竹の水仙』//～仲入り～//喬太郎『饅頭怖い』/鯉昇『芝浜』</p>

<p>★喬太郎師匠『竹の水仙』</p>

<p>　安定した出来で、夫婦と権太楼師みたいな町役人が可笑しいのに、前半が些かかっ<br />
たるく聞こえたのは甚五郎が年寄臭いからかな。職人でなく芸術家っぽいのだ(さん<br />
喬師っぽくもある)。『掛川宿』のいたずら甚五郎を演じれば良いのではないか？</p>

<p>★喬太郎師匠『饅頭怖い』</p>

<p>葛饅頭やナボナを食べる辺りの仕種がめっちゃ愉しそうで可笑しい。</p>

<p>★鯉昇師匠『鶏の目』</p>

<p>犬でなく鶏の目を移植出来るまでに医学が進化を遂げ(笑)、少し小さいので新聞紙を<br />
詰める。そのため患者が、直ぐに鶏みたいに首を縦に振るようになる仕種が抜群の可<br />
笑しさ。「三日前から卵を産むんです」がオチ。笑った笑った。</p>

<p>★鯉昇師匠『芝浜』</p>

<p>家元型がベースか。白魚のマクラから入ったが、そこが鯉昇師で魚勝が人情噺的な粋<br />
な魚屋、意気がった魚屋にならず、落語国のざっかけない職人魚屋である。「海から<br />
獲れた物はみんな魚屋のもんだい」は良かった。女房の嘘を信じた後も、「人間って<br />
のはそんなに簡単には変わらないもので」が嬉しい。かみさんも長屋の女房で少し頭<br />
が回る程度の人間になっている。大晦日も三木助型や家元型から嫌なセリフ、意気<br />
がったセリフを全部取り、家元型の良いセリフを残して構成してあるから聞き心地が<br />
良い。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２８日 Ｊ亭月替り独演会秋シリーズ　桃月庵白酒独演会（Ｊ亭アートホー<br />
ル）</p>

<p>駒松『狸の札』/朝太『粗忽の釘』/白酒『ずっこけ』//～仲入り～//白酒『井戸の茶碗』</p>

<p>★白酒師匠『ずっこけ』</p>

<p>ベースは雲助師のままだけれど、終盤に登場するかみさんが可愛くなって可笑しさが<br />
増した。兄貴分も世話狂言的なセリフではないが二枚目になって、主人公との対比が<br />
明確になった。継承される名作になるぞ。</p>

<p>★白酒師匠『井戸の茶碗』</p>

<p>いつもより全体の真面目度が高い印象。運びは可笑しいし、ギャグも増えているが噺<br />
のトーンが千代田・高木のキャラクター作りのまともさから来る、意地の張り合い、<br />
という、硬い可笑しさになっているので清々しさが増していた。陰になっているお絹<br />
の可憐さも引き立つ。侍気質、特に千代田の老侍気質がもう少し前に出てもよいか<br />
な。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２９日 第回三田落語会昼席(仏教伝道会館ホール)</p>

<p>はな平『子褒め』/さん喬『そば清』/正蔵『蜆屋』//～仲入り～//正蔵『締込み』/さん喬『村正騒動』</p>

<p>★さん喬師匠『村正騒動』</p>

<p>初演。序盤、清太郎が村正の刀を抜いて魅いられるのが終盤の狂乱の殺戮に繋がる。<br />
ラスト、お時の首を抱えて絶命する清太郎の上に降り掛かる雨から庇おうと、染園花<br />
魁が夫婦の鶴が天に上る打ち掛けを掛けて悼むロマンティシズムなど、さん喬師が工<br />
夫し、膨らました哀れなロマンが、原作である『大丸屋騒動』や私の書いた叩き台の<br />
無常さを救っているのが素晴らしい。また、村正に魅入られた清太郎の狂乱も、静か<br />
な表情と柔らかく刀を奮うバランスが流石である。また、太田その師の『露は尾花』<br />
『三千歳』の効果、特に唄の効果も見事。最後に『三千歳』をしばし聞かせてのサゲ<br />
も優れた演出である。</p>

<p>★さん喬師匠『そば清』</p>

<p>サラリと演っているようで勘所を押さえた軽くて愉しい高座。</p>

<p>★正蔵師匠『締込み』</p>

<p>純粋初演。夫婦喧嘩がリアル過ぎるのと、かみさんがウェット過ぎるので、柄にある<br />
泥棒の暢気さがまだ活かされていない。</p>

<p>★正蔵師匠『蜆屋』</p>

<p>池袋演芸場の主任とほぼ同じ印象。余り芝居掛かりにしない、この演出の方が似合<br />
う。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２９日 第回三田落語会夜席(仏教伝道会館ホール)</p>

<p>朝呂久『手紙無筆(上)』/文左衛門『千早振る』/一朝『小言幸兵衛』/文左衛門『転宅』//～仲入り～//一朝『御趣向紙屑屋』</p>

<p>★一朝師匠『小言幸兵衛』</p>

<p>仕立屋までだが、全く間断する事なく、「お茶を淹れな」「羊羹を出せ」といった幸<br />
兵衛の小言、豆腐屋の泣きっ喋り、「お前の倅の種を宿したんだ」「エッ！」、「間<br />
抜けな名前だな」「いけませんか！」といった仕立屋の受け、各々の妙が組合わさっ<br />
た、三田落語会ならではの名作高座で大爆笑。</p>

<p>★一朝師匠『御趣向紙屑屋』</p>

<p>いつもの風流都々逸選や清元、芝居だけでなく、締め太鼓を出しての噺家出囃子、笛<br />
で長唄、しまいには平右衛門の書抜きを出すといった具合に、お囃子の太田その師匠<br />
とコラボした御趣向に、圓生師匠、先代馬生師匠、志ん朝師匠のエピソードを混ぜた<br />
大景物で客席を二十分に楽しませてくれた。</p>

<p>★文左衛門師匠『千早振る』</p>

<p>風邪気味か、鼻声だったが可笑しさは相変わらず。</p>

<p>★文左衛門師匠『転宅』</p>

<p>以前から佳作だけれども、こんなに面白い文左衛門師の『転宅』は初めて。泥棒がお<br />
菊と所帯を持って子供が生まれて川の字で寝て、という夢想から閨中の夢想までの可<br />
笑しいこと、また泥棒の可愛らしいこと。落語らしさを満喫した間抜けぶり。お菊に<br />
色気があるので泥棒が夢中になるのも凄く実感出来るのだなァ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月３０日 池袋演芸場昼席</p>

<p>歌る美『道灌』（前座最後の高座）/三木男(たこ平・遊一交互出演代演)『千早振る』/文雀(小せん代演)『目黒の秋刀魚』/丈二『七日八日・明礬権助・味噌豆』/笑組/左龍『棒鱈』/馬石『四段目』//～仲入り～//ろべえ『代書屋』/萬窓『紀州』/しん平(正蔵代演)『不精床』/勝丸/小燕枝(正蔵代バネ)『うどん屋』</p>

<p>★小燕枝師匠『うどん屋』</p>

<p>お冷やの件を全部カットしたが、酔っ払いが「さて、この度は、おじさん…」と言い<br />
ながら少し泣き、そこから照れて笑いに変わる辺り、情の深い高座で堪能した。最後<br />
にうどん屋が嬉しそうに「ヘーッ！」と言う可笑しさも格別。</p>

<p>★馬石師匠『四段目』</p>

<p>白酒師匠型。まだメリハリに乏しいが、定吉の可愛さや芝居気狂いぶりは独特の愉し<br />
さがある。</p>

<p>★左龍師匠『棒鱈』</p>

<p>物凄く受けた分いつもより稍クサ目ではあるが可笑しい。また、頭の掻き方一つで田<br />
舎侍のキャラクターが出るのに感心。</p>

<p>★笑組</p>

<p>　ＡＫＢ４８のネタからＫＫＫの話になった辺りが抜群に危なくて可笑しい。こうい<br />
うヤバネタをもっと使えば良いのに。特に池袋では。</p>

<p></p>

<p>◆１０月３０日 上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>一之輔(交互出演)『欠伸指南』/仙三郎社中/龍玉(交互出演)『鹿政談』/一朝『幇間腹』/にゃん子金魚/藤兵衛(喜多八代演)『強情灸』/小燕枝（雲助代演）『長短』//～仲入り～//ダーク広和/玉の輔『生徒の作文』/紫文/文左衛門『らくだ(上)』</p>

<p>★文左衛門師匠『らくだ(上)』</p>

<p>勿論、家元型。やや声が渇れていた分、半次・屑屋の凄みが増していた。半次の凄み<br />
方の発声を変えるなど、細かい配慮があり、長屋の月番、大家、八百屋との遣り取り<br />
も受け・突っ込みの役を変えて、会話の演出を変化させるなど、落語としての流れ、<br />
笑いの発生のさせ方がが丁寧であるのにも感心する。視線の使い方も見事で、大家の<br />
かみさんが遠くまで逃げたのが分かる。酒を飲みだしてからは、屑屋の愚痴がちょい<br />
と多いのは確かだが、屑屋の酒好きが『猫の災難』同様に分かるから、酒呑みの噺か<br />
ら芯がブレないのは結構。その結果、家元の基本にある精神分裂的ではなく、屑屋が<br />
飽くまでも酔って無鉄砲になる雰囲気だから、理屈の煩わしさが無く、泣きの話でも<br />
可笑しい。屑屋が半次に言う「生きながら地獄を見せてやろうか」にも笑った。この<br />
面白さで火屋まで聞きたいなァ。</p>

<p>※火屋へ行かず、二人でねだ板を剥がして穴を掘り、そこでらくだを焼いちゃうとい<br />
う無茶苦茶はどうだろう？</p>

<p></p>

<p>◆浅草演芸ホール余一会昼の部「讀賣杯争奪！激突！二ツ目バトル」（浅草演芸ホール）</p>

<p>きょう介『子褒め』/燕路『間抜け泥』/才賀『入門話（漫談）』/志ん輔『相撲風景』/出演順籤引き/笑組/らく次『鮫講釈』/才紫『熊の皮』/こみち『紙屑屋』//～仲入り～//花助『武助馬』/朝也『片棒』/朝太『垂乳根(上)』/和楽社中/龍志『義眼』/助六『春雨宿』＆かっぽれ/一朝『天災』/結果発表⇒⇒優勝者表彰⇒⇒講評</p>

<p>※優勝は春風亭朝也さん。</p>

<p>審査員をしたので余り細かくは書かないが、朝也さんはネタの選び方もまとめ方もお<br />
見事。ちゃんと受けていたし、人物表現に「作り物」めいた面が無いのは師匠譲り。<br />
優勝は当然の出来だった。朝太さんは地力のある事は分るけれど、古今亭のネタより<br />
も、目白系の噺の方が持ち味に似合うのではないだろうか。また、『垂乳根』を１５<br />
分にまとめられないのも寄席では困る。花助さんは蝠丸師⇒鯉昇師経由の譲り受けと<br />
はいえ、地味な噺を綺麗に面白く演じられるのに感心。二枚目芸の強みもある。才紫<br />
さんは噺のメリハリだけで噺を演じ過ぎる。そのため、分かりやすいが人物は全く出<br />
て来ない。らく次さんとこみちさんは明らかにネタの選び間違え。あと、６人のうち<br />
４人が飛び道具(講釈・音曲・芝居・祭り囃子)の入るネタってのも何だかなぁ。伝統<br />
芸能の素養は大切だが、中途半端な腕で出されても寧ろ減点材料になってしまう。</p>

<p>★燕路師匠『間抜け泥』</p>

<p>アクが抜けて結構なもの。弟子にお手本を示した。</p>

<p>★志ん輔師匠『相撲風景』</p>

<p>普段演っている『相撲風景』より多くの人物が出て来て無茶苦茶に可笑しい。</p>

<p>★龍志師匠『義眼』</p>

<p>結構際どい演出なのだが、全然クドくなく、真に洒落た出来。家元のベテランお弟子<br />
で一番巧いのは龍志師だなと再確認した。</p>

<p>★一朝師匠『天災』</p>

<p>高校一年生の団体がいても、楽々と受けてしまう凄さ。夜の小満ん師と並ぶ落語協会<br />
若手のお手本。</p>

<p></p>

<p>◆新宿余一会夜の部「柳家小満ん独演会」（新宿末廣亭）</p>

<p>一九『寝床』（中抜き）/小満ん『王子の狐』//小満ん『らくだ』//～仲入り～//小團治『一分茶番』/小菊/小満ん『笠碁』</p>

<p>★小満ん師匠『らくだ』</p>

<p>目白型だと思うけれど、非常にリズムが良く、終始そのリズムが狂わなかった。サ<br />
ラーッとしているが決め所の大声や、ストーリーの面白さと二人のキャラクターの配<br />
分が素晴らしい。割と早くから屑屋が酔ってしまうのも目白型として正しい。四代目<br />
小さん師の『らくだ』って、こういう感じだったのかなと思わせる、軽くて酒の怖さ<br />
があって洒落てる『らくだ』。</p>

<p>★小満ん師匠『王子の狐』</p>

<p>男が扇屋へもお詫びに行き、狐と思われて崇められる件の入る珍しい演出。狐を化か<br />
して化かされた、みたいな男の困惑の不思議さがシュールなのに分かりやすく、その<br />
可笑しさが堪らない。勿論、正体を現しながら、「勘定をどうしよう？」と、思案し<br />
て首をげてる狐の可愛さったらない。</p>

<p>★小満ん師匠『笠碁』</p>

<p>絶妙な面白さ。黒門町の文楽師が目白型の『笠碁』を演るとこうなる…という印象。<br />
メリハリを強く前に出した演出で、碁敵二人の癇癖の強さが物凄く面白く、友情だけ<br />
でなく、人間の弱さ故に醸し出される可愛さが相俟って表現される。過去に聞いた小<br />
満ん師の高座の中でも屈指の出来。黒門町と目白を心身に併せ持っている小満ん師で<br />
なきゃ出来ない、現代落語界の宝物のような高座。</p>

<p><br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石井徹也　（落語”道落者”）</p>]]>

</content>
</entry>
<entry>
<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　十月上席中席　合併号</title>
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<modified>2011-11-21T02:56:46Z</modified>
<issued>2011-10-20T13:56:02Z</issued>
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<created>2011-10-20T13:56:02Z</created>
<summary type="text/plain">東京はようやく秋模様。日によっては厚物を羽織りたいときもありますね。皆様いかがお...</summary>
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<name>落語</name>


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<![CDATA[<p><font size="3" color="#008080"><b>東京はようやく秋模様。日によっては厚物を羽織りたいときもありますね。皆様いかがお過ごしでしょうか。</b></font></p>

<p><font size="3" color="#008080"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の平成二十三年十月号上席・中席合併号をＵＰいたします。稀代の落語”道落者”・石井徹也渾身のレポートをお楽しみください！</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p><br />
◆１０月１日 前進座劇場プロデュース寄席《噺を楽しむ》その五十 さん喬喬太郎親<br />
子会　昼の部(前進座劇場)</p>

<p>喬之進『元帳』/さん喬『そば清』/喬太郎『錦の袈裟』//～仲入り～//喬太郎『夜の<br />
慣用句』/さん喬『中村仲蔵』</p>

<p>★さん喬師匠『そば清』</p>

<p>寄席でよく演じているネタだが、こんなに（ほぼノーカット）丁寧で細部まで演じら<br />
れた『そば清』は初めて聞いた。「汁っかぶりの見物」など初聞きの部分多数。言葉<br />
の端々までさん喬師の演出の手堅さ、普遍性の高い巧さを感じる（その点は目白の小<br />
さん師譲り）。オチも「そこに座ってるじゃねェか」「いや、違うんだ。そばが着物<br />
を着てるんだ」という言い回しで分かりやすく、しかも非常に絵が見えて無気味であ<br />
る。</p>

<p>★さん喬師匠『中村仲蔵』</p>

<p>前回聞いた時と違い、芝居部分に鳴り物を入れてタップリ目に演じた。言葉や設定の<br />
整合性には些か乏しく、言い間違いも多かった。それはかつての「アートな仲蔵」か<br />
ら「栁家落語的人情噺の仲蔵」への変化過程のためだろうか。仲蔵の女房がでしゃば<br />
らず、仲蔵が大当りに上気している辺りのキャラクターはやはり優れているし、團十<br />
郎は目白の小さん師を感じさせる骨太なキャラクターで面白い。『淀五郎』に較べて<br />
『仲蔵』は「中身の乏しい噺」という印象を持っていたが、仲蔵女房の「お客様は仲<br />
蔵だったら、どんな定九郎を見せてくれるんだろうと思ってらっしゃるんじゃない<br />
の」と、仲蔵が舞台上でしくじったと勘違いして呟く「こうなったら、俺の思うよう<br />
に演らせて貰おう」を聞くと、「自分ならではの芸」を求め乍ら、「客に合わせず思<br />
うままに演じる」という舞台人の気概を描く噺なのか…と感じた。</p>

<p>★喬太郎師匠『錦の袈裟』</p>

<p>与太郎の可笑しさ・可愛らしさは変わらないし、馬鹿馬鹿しさが充分出ていて気楽に<br />
愉しい。</p>

<p>★喬太郎師匠『夜の慣用句』</p>

<p>これはもう、喬太郎師が本質的に持っている「笑いのテンション」の部分が一番出て<br />
る演目だなァ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１日 前進座劇場プロデュース寄席《噺を楽しむ》その五十 さん喬喬太郎親<br />
子会　夜の部(前進座劇場)</p>

<p>喬之進『七段目』/さん喬『締込み』/喬太郎『ぺたりこん』//～仲入り～//喬太郎<br />
『七両二分～紙入れ』/さん喬『文七元結』</p>

<p>★さん喬師匠『締込み』</p>

<p>昼の『そば清』に続いて、これもほぼノーカットの演出。それだけでなく、「そこで<br />
す」のセリフをいつも寄席で演じている時のように溜めて低くから言わず、ストレー</p>

<p>トに煽って言うなど、笑いを取りに行かない演出に徹している。結果的に、やたらと<br />
明るい泥棒と割れ鍋に閉じ蓋夫婦の気持ちの応対だけで演じきった高座。それでいて</p>

<p>芝居っぽくないのは流石だなァ。</p>

<p>★さん喬師匠『文七元結』</p>

<p>こちらも芝居っぽいメリハリを全く付けず、キャラクターの応対で演じきろうという<br />
試みの途中段階にある噺というべきか。この噺では全然メソつかない(情が無いので<br />
はなく職人的に単純明快な性質を感じる)長兵衛が目白の小さん師っぽいのがユニー<br />
ク。冒頭も最後も長兵衛のかみさんは長兵衛を追い詰めないし（割と脇役的な扱<br />
い）、お久の可憐さ（泣かない）、文七の若さ故の愚かさ、可哀想さも整ってきてい<br />
る。従前の演出の佐野槌女将のような「怖い人」は一人も出てこないのも落語らしい<br />
(今の女将も長兵衛を追い詰めたりしない魅力的な人物像)。中では、近江屋主人の商<br />
人気質がまだ曖昧かな。中間の説明科白など、言葉数が非常に少なくなっており、表<br />
情とセリフのコントラストで噺を進めている。それでいて、枕橋で突き当たった男が<br />
「笑いながら去って行った」という文七の述懐は「後になってスリではなかったと感<br />
じさせる巧いな描写だな」と感心した。また、文七が財布の中を月明かりに当てて確<br />
認する動きの良さも忘れ難い(その月明かりの淡さの前提として、暮れの２３日夜の<br />
設定になっている)。半面、まだ全体に目白の小さん師的な一瞬の表情や間の詰め<br />
方、トントンと運ぶリズム感が充分とは言えず、間のかかる表情がセリフに伴ってい<br />
るため、全体尺が如何にも長いのは課題だろう。基本的に吾妻橋までに力点を置き、<br />
近江屋からは流し気味なのは３７～８分で演じる寄席の主任高座と変わらないが（終<br />
演時間を意識した事もあるだろうが）、それにしても佐野槌から吾妻橋が少し長い。</p>

<p>★喬太郎師匠『ぺたりこん』</p>

<p>さん喬師が『締込み』のマクラで話した「今日は師弟で研鑽して」に応えたような演<br />
目。圓丈師の馬鹿馬鹿しくも不条理な展開や、会社の非情に振り回される中年男の辛<br />
さは余り感じないが、主人公の「負け組が秘めるやり場のない憤り」への共感は遥か<br />
に身近に感じられた。高橋課長がちと類型的な敵役に感じられるのを改訂すると(圓<br />
丈師の課長はもっと無気味だったが、喬太郎師なら普通の会社人間で良いだろう)、<br />
より喬太郎師らしくなるのではないだろうか。</p>

<p>★喬太郎師匠『紙入れ』</p>

<p>ちょいと生々しさも感じさせマダム芸風のかみさんと、駄目な若者新吉の描き方は独<br />
特。だから、旦那にもっと浮世離れしたようなコキュぶりが欲しい。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２日 上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>さん坊『六銭小僧』/ろべえ(交互出演)『鈴が森』/仙三郎社中/禽太夫(琴調代演)<br />
『野晒し(上)』/文左衛門『道灌』/遊平かほり/小袁治(交互出演)『東北弁金明竹』/<br />
世津子/はん治(五人＋一人交代出演)『背中で老いてる唐獅子牡丹』//～仲入り～//<br />
紫文/喜多八(小三治代バネ)『明烏』</p>

<p>★喜多八師匠『明烏』</p>

<p>本来、小三治師の主任だから主任高座は一時間取ってあるし、前方の助演勢もいつも<br />
なら少しっつ詰めているのが、休演で全員タップリ時間はある。でも、客席は５０足<br />
らずだから(ちゃんと受ける良いお客さんだった)、演者は別に力まず、特に受けを狙<br />
わず、手は抜かず、丁寧に高座を勤めるという、不思議に穏やかな流れの夜。『明<br />
烏』も結構尺はあったが長さを感じさせず、「もう終わり？」という印象(これは悪<br />
いこっちゃない)。何だね、時次郎の印象が半病人か甚兵衛さんみたいなのではな<br />
く、分を弁えて時次郎を消した『明烏』にしてあるんだなと気付いた。源兵衛・太助<br />
の会話から始まるように、二人の可笑しな悲劇に変えてある。廓と気付いて逃げたが<br />
る時次郎の袖を捉えて離さない源兵衛の説得顔に、他人の金で遊ぼうてェ「町内の札<br />
付き」の性根が良く出ている。その二人が背負い投げを喰らうから愉しい。喜多八師<br />
は粋だね。こうなると馴染みの敵娼に二人が背負い投げを喰らう理由として、時次郎<br />
の「女郎なんぞ買ったら、どんな病を引き受けるか分からない」を活かしたいな。</p>

<p></p>

<p>◆１０月３日 新宿末廣亭昼席</p>

<p>川柳『ガーコン』//～仲入り～//吉窓『都々逸親子』/ロケット団/喜多八『目黒の秋<br />
刀魚』/小里ん『手紙無筆(上)』/翁家和楽社中/志ん橋『抜け雀』</p>

<p>★志ん橋師匠『抜け雀』</p>

<p>独特の硬く、武張った雰囲気だが、若い絵師の傍若無人ぶりも如何にも無邪気なので<br />
楽に聞けるのが持ち味。宿屋主のひょこひょこ温かい可笑しさは三十年間、変0わら<br />
ないなァ。また、とん馬師の「温かみの無い奴だ」の原典は志ん橋師だったのかと納<br />
得。</p>

<p></p>

<p>◆１０月３日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>はな平『牛褒め』/馬吉(交互出演)『笊屋』/東京ガールズ/喬之助『寄合酒』/甚語楼<br />
『権助芝居』</p>

<p>★甚語楼師匠『権助芝居』</p>

<p>脂っ濃いイメージが権助に似合って可笑しいだけでなく、テンションやセリフの使い<br />
方もちゃんと配慮されていて愉しい。先代馬の助師的な明るさ、濃さがあるから、<br />
もっと深い出番のレギュラーとして堪えうる存在だと思う。</p>

<p></p>

<p>◆１０月３日 第五回夢一夜(日本橋社会教育会館ホール)</p>

<p>明楽『饅頭怖い』/夢吉『元犬』/一之輔『宿屋の富』//～仲入り～//一之輔『代書<br />
屋』/夢吉『花見小僧』</p>

<p>★一之輔さん『宿屋の富』</p>

<p>古今亭型。一文無しにボヤッとした可笑し味はあるが、宿屋亭主や女房、更に二番富<br />
の男のキャラクターは粒立たず。一文無しにしても、キャラクターの一貫性に乏しい<br />
ため、当たって驚く件が弱い。客は二階で寝てる演出。</p>

<p>★一之輔さん『代書屋』</p>

<p>雲助師型に権太楼師型が混じっている。依頼人は終始一貫、フワッとして突っ込みめ<br />
キツイ調子ではないが可笑しい。代書屋が陰気というより稍平坦で、結果的に噺の抑<br />
揚に乏しい。妙に静かな代書屋。</p>

<p>★夢吉さん『元犬』</p>

<p>シロと隠居がひたすらエネルギッシュで、犬らしい習性を残しまくっている部分が見<br />
事に可笑しく爆笑。馬石師の『元犬』に続く可笑しさだ。</p>

<p>★夢吉さん『花見小僧』</p>

<p>定吉がニンバを踊り、山車の人形の真似をする演出。随分昔に聞いた記憶があるが、<br />
先代園遊師の『花見小僧』だったかな。これも定吉が非常にエネルギッシュで「平治<br />
師に教わったの？」と思うくらいに元気。旦那は旦那に見えないが、非常に可笑しく<br />
愉しい。人を巻き込む、落語らしい馬鹿馬鹿しさと光を持っている。落語芸術協会で<br />
平治師、遊雀師に続く花形候補はこの人になりそう。</p>

<p></p>

<p>◆１０月５日  上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>文左衛門『手紙無筆(上)』/遊平かほり/小袁治(交互出演)『夢の酒』/世津子/琴調<br />
『名月若松城』//～仲入り～//紫文/喜多八(小三治代バネ)『五人廻し』</p>

<p>★喜多八師匠『五人廻し』</p>

<p>小三治師型中心に、手洟をかむ田舎者と関取は稲荷町型。フワフワと余り力を入れず<br />
に客の色欲(未練というべきか)と、振られたの対照憤りを可笑しく描き出した。「玉<br />
代返して」が殆どないのも「色欲」が前に出る原因になっている（気持ちは分るがこ<br />
の方が遊びの噺としては野暮でない。野暮が可笑しいんだけどね）。官員が田舎訛り<br />
なので、田舎者とつくのは惜しいが、官員が最後に手をついて「女を回してくれ」と<br />
頭を下げる野暮さ加減が皮肉に可笑しい。江戸っ子と喜助の遣り取りは喜助側の余計<br />
な一言が可笑しい反面、江戸っ子の啖呵はスピード重視ではない割に呂律がおかしく<br />
分り難かった。通人も薄気味悪さが足りない。喜助は序盤の困り方と関取相手の醒め<br />
た言葉つきでは人物像が違って違和感あり。小三治型から稲荷町型へ繋いだ結果、人<br />
物の連結が上手く行かなかった、という事かしらん。</p>

<p>★琴調先生『名月若松城』</p>

<p>簡潔にして西村権四郎も蒲生氏郷も変に偉そうでなく、主従相聞の魅力を感じる。<br />
『名君行状記』なんか聞きたくなるね。</p>

<p></p>

<p>◆１０月６日  上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>小燕枝(交互出演)『不精床』/世津子/琴調『お民の度胸』//～仲入り～//紫文/小三<br />
治『猫の災難』</p>

<p>★小三治師匠『猫の災難』</p>

<p>体調不良と聞いて心配していた。この芝居、『廐火事』『百川』『廐火事』と演じて<br />
きたというが『猫の災難』とは、小燕枝師匠がマクラで話されたように今夜は元気と<br />
いう事かな。但し、座蒲団にはかいもん付きだったのは正座がキツいのかもしれな<br />
い。マクラ無しで、これまでに聞いた『猫の災難』に比べて全体のテンポが非常に早<br />
く</p>

<p>(湯飲みや燗徳利を飲み干す際の速い事！燗徳利など煽ってた)、それが幸いして弛み<br />
の無い出来で実に可笑しかった。チョコチョコと聞いた事の無い擽りも混じっていた<br />
が、何たって最初の一杯、二杯を飲むの嬉しそうな表情、飲み干した後のホワッと愉<br />
し気な表情は『青菜』で植木屋が鯉の洗いを食う場面に匹敵する良さ。惜しむらくは<br />
燗徳利に酒を一合取っておこうとする件や、全部飲み干して猫を追い掛ける支度をす<br />
る件になるとフッ、フッと酔いが醒めて素面の表情と顔になる。友達は少し意固地な<br />
のが小三治師らしく(笑)、矢鱈と気の良い奴で嬉しいが、「おめぇが呑んだんだろ<br />
う？」のセリフには目白の小さん師の苦笑いが欲しい。酒屋を「酢屋満」でなく「亀<br />
屋」と言ったがこれは度忘れかな。あと、硝子の一升瓶で一升徳利ではなかった。瓶<br />
を揺らし乍ら「揺れ方が違う。粘るようだ」ってセリフは、良い酒らしい実感があっ<br />
てステキだったが、これは硝子の一升瓶じゃないと無理だもんな。</p>

<p></p>

<p>◆１０月７日 宝塚歌劇団月組東京公演『アルジェの男』『DanceRomanesque』（東宝<br />
劇場）</p>

<p></p>

<p>◆１０月７日 第９回桂平治独演会「練る」（道楽亭）</p>

<p>平治『犬の目』/昇々『スパスパ』/平治『野晒し』//～仲入り～//平治『蒟蒻問答』</p>

<p>★平治師匠『犬の目』</p>

<p>鯉昇師匠譲りとのこと。脳下垂体腫瘍手術の体験談をマクラにして入った。盲人の動<br />
きが意外とリアルで、シャボン先生の馬鹿馬鹿しさと対照的。反面、この噺にしては<br />
雰囲気に軽さが乏しい。表情が独特で非常に可笑しい上に、サービス精神旺盛で声が<br />
大きく派手だから、ネタによっては、表情と声の可笑しさが打ち消し合ってクドさが<br />
出るのは課題だろう。</p>

<p>★平治師匠『野晒し(上)』</p>

<p>故・若馬師匠譲りとの事。調子が高く軽快だった若馬師に比べ、尾形清十郎の長屋か<br />
ら大川べりまでがテンポ、リズムに乏しい。志ん朝師を例に上げるのもなんだが、大<br />
きい声でも速いセリフは言える訳だから、大きな声だから間が開くという事はない。<br />
「分かって貰おう」というサービス精神の発露が過ぎるのかな。それが緩急や抑揚を<br />
弱めているみたい。「一人気違い」の妄想の会話は今のテンポでも女に色気があり、<br />
端の釣り師たちの迷惑顔も愉しい。更に男が川に落ちて流されて助けられるサゲの辺<br />
りが非常に馬鹿馬鹿しくて抜群に可笑しい。前半にリズムが出て化けたら、誰も敵わ<br />
ない持ちネタになりうるだろう。あと、サイサイ節の調子が少し違うのも調子の低さ<br />
ゆえか。妄想の喋りを聞いていて、『舟弁慶』の雷のお松を平治師で聞きたくなっ<br />
た。</p>

<p>★平治師匠『蒟蒻問答』</p>

<p>目白の小さん師⇒故・夢楽師経由とのこと。序盤がなく、権助と八五郎の会話から入<br />
るのは鯉昇師の影響か。場所も上州安中等といった具合に特定されていない。権助・<br />
八五郎の二人が見せる自棄みたいに乱暴な精神状態は、先代柳朝師や小三治師的キャ<br />
ラクターで非常に可っ笑しい。会話の中で「天蓋を買ってきて酢蛸にしろ」と八五郎<br />
が言うのは良い工夫で賛成。あれが思い出し話だと説明っぽさが増してしまう（噺が<br />
野暮になる）。そして、途中から登場する択善と六兵衛親方の八五郎・権助を遥かに<br />
凌ぐ存在感に圧倒された。如意棒を手にした択善は花和尚魯智深みたいだし、六兵衛<br />
親方はらくだの馬さんみたいで、どうみても堅気同士に見えない(笑)。この怪物的な<br />
二人の問答はゴジラ対キングコングを見てるようなもの。唖然として見ていた。こん<br />
な凄い『蒟蒻問答』は聞いた事がない。展開と可笑しさは完全にマンガなのに、こう<br />
いう存在感が出てしまうのが平治師の最大の魅力だな。歴代最大最強の桂文治になる<br />
可能性大。</p>

<p></p>

<p>◆１０月８日 シス・カンパニー公演『泣き虫なまいき石川啄木』(紀伊国屋サザンシ<br />
アター)</p>

<p>井上ひさしはやはり作劇が巧いなぁと感心。「旧左翼的」と分析する人もいるが、こ<br />
の作品の啄木の父や『人間合格』の太宰家執事の持つ「時任せ」の東日本人体質は<br />
「旧左翼的価値観」を凌ぐ。演出も兼ねた段田安則の啄木父に正邪不明の存在感あ<br />
り。「小ぶりなすまけい」という印象（但し、色気が無いんだな）。啄木の稲垣吾郎<br />
は『ぼっちゃま』に続いて弱く駄目な人間が似合う。『人間合格』の太宰や『三人姉<br />
妹』の長兄が観たくなった。啄木妻節子の貫地谷しほりはセリフがハッキリしており<br />
舞台向</p>

<p>けだね。そんなにが巧いとは思わないけれど、髪を切った場面から異様に色気が出た<br />
のに驚いた。</p>

<p></p>

<p>◆１０月８日 第１１回東西笑いの競演『三喬・喬太郎二人会』（国立演芸場）</p>

<p>阿か枝『煮賣屋』/喬太郎『綿医者』/三喬『鹿政談』//～仲入り～//三喬『善哉公<br />
社』/喬太郎『竃幽霊』</p>

<p>★喬太郎師匠『綿医者』</p>

<p>殆ど大腸検査を受けた話に終始したマクラ(笑)。医者のいい加減さがもっとスーダラ<br />
な感じに出るともっと可笑しくなると思う。『犬の目』や『藪医者』とか演らないん<br />
だっけ？</p>

<p>★喬太郎師匠『竃幽霊』</p>

<p>幽霊が熊さんの前に出てきてからは愉しくなるのだが、どうも其処までがまでが筋運<br />
び重く感じる。喬太郎師に限らず、三代目三木助師型の『竃幽霊』と『御神酒徳利』<br />
は演者を選ぶとこがあるのを感じる。三代目三木助師のはどちらも終始軽妙洒脱な傑<br />
作だが、長いといえば長いし、演者によっては中盤までが筋運びにしか聞こえなくな<br />
る。熊さん・銀ちゃんの件に至るまでの道具屋と客の遣り取りも「道具屋」の繰り返<br />
しがかったるく聞こえがちなのである。演者個々による上方版のアク抜きが些か足り<br />
ないとも言えるかもしれない。また、この噺のポイントである熊さんと幽霊、博打に<br />
淫しきった二人の馬鹿な勝負の可笑しさに、序盤・中盤までのストーリーが敵わない<br />
のではあるまいか。ならば、熊さん・幽霊に絞られた目白の小さん師や志ん生師型を<br />
演じた方が面白くなるだろう。</p>

<p>★三喬師匠『鹿政談』</p>

<p>麟太郎さんと声と雰囲気が似ているのが良く分かる。やはりホノボノして、サラリと<br />
軽い、良い芸なのだが、奉行(曲淵甲斐守だから米朝師型か)の権威、意志が出難いの<br />
が惜しい。これまた奈良の名物から鹿に関するマクラが長すぎたせいもある。金馬師<br />
のように奈良名所案内としてまとめてあると楽しみやすく、長さを忘れられるのだ<br />
が、知識の羅列になってしまった印象。</p>

<p>★三喬師匠『善哉公社』</p>

<p>サラサラとした演出だが、食堂に歴代首相の色紙があったり、役人の使う「内閣総理<br />
大臣某」のハンコがシャチハタなのは「あんまりコロコロ変わるので象牙では勿体な<br />
い」といった皮肉なギャグや、医者が担当医なりに役所の煩わしさを馬鹿にした口の<br />
ききかたをするなど、随所に施された工夫と三喬師の淡い芸風のバランスが良い。小<br />
南師型の「ヒラ」みたいな自虐的でインパクトの強いギャグが一つあっても良いとは<br />
感じたが…</p>

<p></p>

<p>◆１０月８日 第２９３回三遊亭圓橘の会（東京深川モダン館）</p>

<p>橘也『位牌屋』/圓橘『五人廻し』//～仲入り～//圓橘『半七捕物帖～獺』</p>

<p>★圓橘師匠『五人廻し』</p>

<p>圓生師型から稲荷町型への繋ぎ。「筋を言うから細切れだ」、関取が柱に鉄砲をかま<br />
している、など初耳の擽りあり可笑しい。調子の強弱で言うと強の方が強いので(圓<br />
生師的なメリハリだが圓生師より音域が低いためだろうか)廓噺の柔らかみと夜更け<br />
の雰囲気が乏しいのは惜しまれる。</p>

<p>★圓橘師匠『半七捕物帖～獺』</p>

<p>稲荷町の師匠が演じていた『半鐘』に似た噺だが、半七老と新聞記者の会話になる終<br />
盤が「噺」としての印象を薄くする。十右衛門という因業な隠居のキャラクターに圓<br />
生師的な味があるだけに、会話中心にリライトして演じた方がより魅力が出るのでは<br />
なかろうか。</p>

<p>★橘也さん『位牌屋』</p>

<p>明らかに圓生師型。赤螺屋の吝嗇な感じは出ている。小僧から煙草をくすねて来たと<br />
聞いて「偉い！」と褒める調子と形が馬鹿に可笑しかった。芋屋が段々怒り出す様子<br />
も可笑しい。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１０日 新宿末廣亭昼席</p>

<p>川柳『ガーコン』//～仲入り～//馬の助『味噌豆』百面相/ロケット団/喜多八『元<br />
帳』/小里ん『夏泥』/和楽社中/志ん橋『片棒』</p>

<p>★小里ん師匠『夏泥』</p>

<p>終始、泥棒と家の主である裸の男の見事な会話が続いて、絶妙に可笑しい佳作。目白<br />
の小さん師的落語の典型。</p>

<p>★志ん橋師匠『片棒』</p>

<p>声質が重く、囃子の形容になると音が割れてしまうので長男次男は面白味に乏しい。<br />
矢鱈と頭を下げる三男と親父の馬っ鹿馬鹿しい会話になると、囃子と縁が離れるので<br />
俄然精彩を放つが、そこまでが如何にも長くかかり過ぎる。</p>

<p>★喜多八師匠『元帳』</p>

<p>噺全体が軽くて明るく、亭主のキャラクターが可愛く愉しい。音曲を入れる演出でな<br />
い後半が聞きたくなった。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１０日 新宿末廣亭夜席</p>

<p>しん歩/『桃太郎』/左吉(交互出演)『代書屋』/マギー隆司(東京ガールズ代演)/喬之<br />
助『短命』/金時(甚語楼代演)『水屋の富』</p>

<p>★金時師匠『水屋の富』</p>

<p>明らかに巧くなったなァ。噺に重苦しさがなく、それでいてドスが利き、尺はちゃん<br />
と寄席サイズの演出。声も柔らかく聞きやすい。もっと受ける噺を聞きたい。</p>

<p>★喬之助師匠『短命』</p>

<p>病気前の軽快さにほぼ戻ったみたいで安心。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１０日 第一回桃月庵白酒独演会「セゾン ド 白酒 秋の巻」(成城ホール)</p>

<p>扇『牛褒め』/白酒『だくだく』/白酒『ずっこけ』//～仲入り～//白酒『五人廻し』</p>

<p>★白酒師匠『だくだく』</p>

<p>寄席サイズ簡略型。マクラがタップリだったので、「取り敢えず落語も演りました」<br />
くらいの印象。いわば、小三治師の「マクラタップリ⇒小言念仏」みたいなもの。</p>

<p>★白酒師匠『ずっこけ』</p>

<p>全体的には面白かったが、ほぼ雲助師の演出そのまんま。雲助師の演出が優れている<br />
のと、主人公・小僧の可愛さと兄貴の世話の貫目が良き対照をなしているのがよ～く<br />
分かる。白酒師の場合、小僧は可愛いが(ビブラートのかかる「有難うございま～<br />
す」は笑った)、主人公は普通の酔っ払い程度の愛嬌、兄貴分は貫目がなく主人公と<br />
似てしまう。かみさんも雲助師だともっと世話の雰囲気で、まとまりはあるが対照が<br />
無い、という雰囲気。</p>

<p>★白酒師匠『五人廻し』</p>

<p>圓生師型・稲荷町型・古今亭型、色々混じっているが余り面白くない。この噺は廓噺<br />
の中でも『二階素見』『お直し』以上に難しい噺になっているのを感じる。白酒師の<br />
場合、客は四人だが、それぞれの「振られている状況」という入り口と、「玉代を返<br />
せ」という出口は一緒とはいえ、「鬱憤の捌け口」という中身には当然個々の違いが<br />
ある。その違いの表現が曖昧というか、十羽ひと絡げなので、単なる鬱憤晴らし比べ<br />
に陥ってしまい、展開がどうしても単調に聞こえる。江戸っ子がなんで啖呵を切るの<br />
か、壮士態の男がなぜ居丈高なのか、通人がネチネチ迫るのか、関取がどうして暴れ<br />
るのか、腹の違いがまだ落語の表現として作られていない。「落語は人物と季節感が<br />
描ければ可笑しくなる」という目白的落語解釈で言えば「人物」が描けていない。志<br />
ん生師・先代馬生師的解釈で言えば「人物と世界の雰囲気が出ていない」という事に<br />
なる。「見栄」や「気取り」「義理合い」「肉欲」など、四人それぞれの行動の「理<br />
由」の持つ「共感出来る野暮」がもっと愉しく描けないとね。小三治師が先代可楽師<br />
から持ってきた、官員の愚痴る「妻の病気」みたいな「独特の人物像・背景の描き<br />
方」が必要なんである。さもなきゃ、小燕枝師が演じていたアメリカ人が出てくる、<br />
くらいまで人物そのものを色々と変えちゅうか。最後に登場する杢兵衛大尽は、『お<br />
見立て』みたいに狂暴ではないのが結構であるが、まあ普通の田舎者。喜瀬川の態度<br />
はかなり冷淡で、リアルに女郎らしい（こんな女郎に廻しをするほど客が付くかね？<br />
とも思うけれど）。最後の杢兵衛大尽の件で少し噺が走ったのは？マーク。</p>

<p>-----以上十月上席-----</p>

<p>◆１０月１１日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>伸＆スティファニー/とん馬『鮑熨斗(上)』/昇之進『善光寺由来』/Ｗモアモア/米丸<br />
『地見屋と胎児の話（漫談）』/笑遊『壺算』/今丸/遊吉『五十銭芝居』//～仲入り<br />
～//ぴろき/伸之介『六銭小僧』/小柳枝『金明竹』/健二郎/遊三『たが屋』/大喜利<br />
遊三・伸乃介・遊吉『二人羽織』</p>

<p>★米丸師匠『地見屋と胎児の話』</p>

<p>漫談だが、「胎児」の部分は新しい噺のとっかかりとのシメ。今年に入って新作を卸<br />
されているから、その可能性は十分にある。</p>

<p>★笑遊師匠『壺算』</p>

<p>こちらは、権太楼師系ネタの試演かな。まだ師匠らしい引っ張りが入っていない。</p>

<p>★とん馬師匠『鮑熨斗(上)』</p>

<p>「息をタップリ吸って言ってごらん」「(息を吸って)う…け…た…ま…わ…り…ま…<br />
す…れ…ば…言えた」には笑った笑った。</p>

<p>★遊三師匠『たが屋』</p>

<p>相変わらず骨格正しい演出で、伴侍が刀の柄に手を掛けてグッと引く動きの怖さと、<br />
その刀が赤錆びである対比が可笑しさの元なんだなと分かる。単に「サンピン」と罵<br />
るばかりが可笑しさではないのだなァ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１１日　柳家三三『島鵆沖白浪』連続公演６(にぎわい座)</p>

<p>市楽『悋気の独楽』/三三『小菅屋の仇討』//～仲入り～//三三『花鳥召捕り』</p>

<p>★三三師匠『小菅屋の仇討』</p>

<p>２５分くらいのサイズにまとめてある。三尺物の縁切りと仇討といった内容で、勝五<br />
郎と嫁さんの侠客物的な別れがメインとなり、仇討は一瞬の付け足し。小菅屋の残っ<br />
た金を店の者から女郎全員に分け与えて、自らは自訴する勝五郎は良い役になるけれ<br />
ど、庄吉は仇討まで小菅屋で遊んでいるだけだし、仇討後の自訴の件＝男二人の道行<br />
き(東映任侠映画の殴り込みに引き継がれた世界)の感覚は微塵も無いので(普通の三<br />
三ファンは嫌がるだろうが)、あたしゃ物足りない。喬太郎師なら、男二人の道行き<br />
をどう演じるだろうか？なんて考え乍ら聞いていた。</p>

<p>★三三師匠『花鳥召捕り』</p>

<p>前回の大文字屋の強請から少し話は飛んで、春木道斎こと梅津長門（原作だと春木道<br />
斎はお寅の古馴染みで梅津長門とは別人。そのため、時間経過がおかしく感じられ<br />
る）を敵と思う娘が春木宅で女中をしており(というほどの家には聞こえないから女<br />
中がいるのも変)、強請に来たお寅の会話から長門・花鳥の訴人を予見させる件と、<br />
身体中腫物だらけになって三宅島で殺した女の悪夢に苦しむ(この女の話は初耳)玄若<br />
をお寅が殺した所へ捕手が取囲み、花鳥が召捕られる件の二つがメイン。長門宅の強<br />
請場で見せる、前回までとは全く人物像の違うお寅の「黒い心」が六ヶ月の中で一番<br />
三三師に似合って存在感も圧倒的。色気はさのみ感じないが、玄若を脇差しで刺し殺<br />
す件まで(喉を突いても直ぐには死ななからリアルな演出ではない)、雲助師の描き出<br />
す幕末ピカレスクの粋や退廃ではなく、心底からヒヤリとする「人の心に巣食う闇」<br />
を感じさせる。『乳房榎』の磯貝浪江と並んで、三三師の代表的人物像だろう。つく<br />
づく、落語に向かない芸風なんだなぁ。花鳥召捕りの後は長門切腹、花鳥斬首(三三<br />
師の場合、ここも丁寧に描けば、土壇場での山田浅右衛紋と花鳥の対峙が凄いだろう<br />
に)、喜三郎は自訴後、火事での解き放ち中に病死と末路を語るが、妙にアッサリし<br />
て物足らん。『Ｇｅｔ　ａ　Ｗａｙ』みたいに誰か一人は逃げちまうか、『白熱』の<br />
コディ・ギャレットみたいに炸裂して破滅するか、何かもう一つ、現代的な無常さが<br />
しめくくりに欲しい。三三師に限っても、この作品よりも、園橘師の演じている岡本<br />
綺堂版『大坂屋花鳥』の実説的人物像の方が似合うのではないかな？</p>

<p></p>

<p>◆１０月１２日  宝塚歌劇団月組東京公演『アルジェの男』『DanceRomanesque』<br />
（東宝劇場）</p>

<p>★フィナーレで主役・霧矢大夢が大階段で唄う声を聞いていたら「トップスターにな<br />
るまで病気など実に多くの山坂があったのに、苦労の陰を留めない、何と屈託のない<br />
明るい声で唄えるのだろう」と感じて涙が出た。「天を翔け、地を満たし、人を癒<br />
せ」の『天地人』がエンタテインメントの基本だね。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１２日  池袋演芸場夜席</p>

<p>竹丸『漫談』/ぴろき(章司代演)/小南治『胴乱幸助(上)』/桃太郎『カラオケ病院』<br />
//～仲入り～//ひでややすこ/蝠丸『猿後家』/歌春『看板のピン』/ボンボンブラ<br />
ザーズ/伸治『宿屋の仇討』</p>

<p>★歌春師匠『看板のピン』</p>

<p>お馴染みの演目だが非常に気合いの入った良い出来で、普段は端折るセリフも入って<br />
丁寧。隠居の旦那が若い頃は「マムシ」と呼ばれていた雰囲気、ピンを真似する馬鹿<br />
の軽さも活きていた。</p>

<p>★伸治師匠『宿屋の仇討』</p>

<p>先代柳好師的なフワフワッとした可笑しさ。落語協会にはいない芸風である。特に河<br />
岸の三人連れの軽～い江戸っ子がりの愉しさと、色話の際に前屈みになる様子が良<br />
い。喜助の軽さもなかなか真似手はあるまい。萬事世話九郎は姿勢がフラフラするの<br />
が惜しいけれど(手はちゃんと打てる)、セリフは確りしている。特に、最後の「座興<br />
だ」と「よっぴて寝る事が出来ん」の軽い良さは正しく落語。</p>

<p>★桃太郎師匠『カラオケ病院』</p>

<p>「明後日、東京落語会で演って、『日本の話芸』で放送するんで稽古」とマクラで<br />
言っていたが、患者が８曲唄う(増えた)中に、ＮＨＫでは絶対に放送出来ない内容あ<br />
り(笑)。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１３日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>伸&スティファニー(小泉ぽろん)/とん馬『垂乳根』：かっぽれ/南なん(圓馬代演)<br />
『熊の皮』/Ｗモアモア/笑遊『壺算』/遊吉『粗忽の釘(下)』今丸/金遊(米丸代演)<br />
『六十銭小僧』//～仲入り～//ぴろき/伸之介『ろくろ首』/小柳枝『甲府ぃ』/健二<br />
郎/遊三『船徳』/大喜利遊三・伸乃介・遊吉『二人羽織』</p>

<p>★金遊師匠『六十銭小僧』</p>

<p>  受けないように、ソッと間を取り乍ら演ってるけど、子供の間が可笑しい。突然大<br />
きな声を出す場面があったから驚いた。</p>

<p>★笑遊師匠『壺算』</p>

<p>段々笑遊師らしい、「ヒヒヒ」と可笑しい場面が増えてきた。「あれからあたしの人<br />
生の歯車が狂った」には笑う。</p>

<p>★小柳枝師匠『甲府ぃ』</p>

<p>勿論短縮型で最初のおから泥棒など無いが、小柳枝師らしく最後の「甲府ぃ～お詣り<br />
願ほどき」に清涼感あり。そう言えば小柳枝師も嫌なとこを感じた事の無い師匠だ<br />
ね。</p>

<p>★遊三師匠『船徳』</p>

<p>親方の貫禄が一番(目白の小さん師的な職人感覚は現在一番感じる)。船頭たちも腕っ<br />
ぷしの強そうな面々。若旦那も仕種はらしいのだが声が立派過ぎて職人じみる。客二<br />
人は蝙蝠傘を持ってる方の臆病ぶりが可笑しい。もうちょいと柔らかみがあると御手<br />
本なのだが。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１３日  池袋演芸場夜席</p>

<p>小天華/文月『看板のピン』/竹丸『漫談』/章司/小南治『写真の仇討』/桃太郎『カ<br />
ラオケ病院』//～仲入り～//ひでややすこ/歌蔵(蝠丸代演)『蛙茶番』/歌春『強情<br />
灸』/ボンボンブラザーズ/伸治『お見立て』</p>

<p>★歌春師匠『強情灸』</p>

<p>凄く良い出来だったのに殆ど受けなかったのは客席が１１人しかいなかったからでは<br />
なく、前の高座で客席が冷えきったため。</p>

<p>★伸治師匠『お見立て』</p>

<p>シリアスと無縁な芸風だから、少ない客席でも緊張感を感じずに済んだ。緊張感に苦<br />
しみ続けた(入った時が８人。最大で１１人止まり。最後までいたのも８人。)夜のと<br />
しては有難い。喜瀬川がまたヘラヘラしていて、冷淡な感じがしない。『上方はな<br />
し』の『豆炭』の挿絵みたいな花魁で、ここまでマンガなのは珍しい。杢兵衛大尽は<br />
こんなに良い人は珍しいというくらい、飄々とした良い人。あんまり田舎弁を強調し<br />
ない。その狭間で喜助がひたすらアタフタするのはアメリカンコメディ(脂濃くない<br />
けど)みたいだ。先代柳好師をヘラヘラさせた感じで、ほんと、落語協会には皆無の<br />
芸風だなァ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１４日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>昇之進『村の会議』（正式題名不詳）/遊之介(圓馬代演)『浮世床：芸と講釈本』/Ｗ<br />
モアモア/笑遊『寿司屋は楽し』（漫談）/とん馬『垂乳根』今丸/米丸『昔の上方落<br />
語』（漫談）//～仲入り～//章司(ぴろき代演)/伸之介『肥瓶』/小柳枝『甲府ぃ』/<br />
健二郎/遊三『お見立て』/大喜利遊三・伸乃介・遊吉『二人羽織』</p>

<p>★米丸師匠『昔の上方落語』</p>

<p>懐古漫談。米丸師の話からすると、昔、故・小南師から聞いた初代小南師のゆったり<br />
した口調というのは、初代・二代の春團治師以外の古い上方落語の典型だったのか<br />
な。それじゃ東京へ来た初代小文治師は大変だったろう。</p>

<p>★遊三師匠『お見立て』</p>

<p>喜瀬川の隣に間夫がいて、喜助に杢兵衛大尽を追い返す手間を払うという演出は初め<br />
て聞いた。「注文流れの墓石」「花魁が姿が良かったですから墓もスラーッとした」<br />
など初見のセリフ多数。平治師の「他の花魁に上がってみろ、吉原中の若ェ女、殺し<br />
ちまう」の原典は遊三師だったのね。杢兵衛大尽は東京で演じるられ中で一番の山家<br />
者(出身も信濃で納得感あり)。喜瀬川もリアル過ぎず、醜男ぶりを嫌っているので極<br />
端に冷淡ではないから聞き心地が楽。杢兵衛は如何にも大柄で武骨な醜男でいて、結<br />
構二枚目気取り。墓参りの途中、喜助に「花魁と御大尽の中なんてものは」とおだて<br />
られ、ヤニ下がって小遣いをやるのも可笑しい。喜瀬川の夢を見たという件はリアル<br />
で、喜助の呆れるリアクションが一種のアクセントになっている。喜助が「ホォッ」<br />
と見渡すと墓の広さが感じられるんだなぁ。ギャグ沢山ではないが落語として十二分<br />
に面白い。</p>

<p>★小柳枝師匠『甲府ぃ』</p>

<p>今日は頭から。終始、芝居臭くない、清々しい出来栄えで(尺が短い寄席サイズとは<br />
いえ)堪能した。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１４日  人形町市馬落語集（日本橋社会教育会館）</p>

<p>市楽『芝居の喧嘩』/市馬『二十四孝』/市馬『風呂敷』//～仲入り～//市馬『不動<br />
坊』</p>

<p>★市馬師匠『二十四孝』</p>

<p>八五郎の「許してね」などは目白の小さん師とは違う味で可笑しいのだが、大家の調<br />
子に稍張りが乏しい。口慣れないためか、腹に入って楽々と演じている印象が弱いの<br />
だ（そりゃ聞いた記憶が無いもん、仕方ないか）。</p>

<p>★市馬師匠『風呂敷』</p>

<p>サラッとして可笑しいが、志ん橋師ほど、兄貴もかみさんも酔っ払いも女房も無邪気<br />
でないのが惜しい。市馬師匠なら無邪気になれると思うが。古今亭の噺の方が栁家の<br />
噺より、登場人物の馬鹿度が高いから、無邪気さも濃くなるんだね。</p>

<p>★市馬師匠『不動坊』</p>

<p>前半、お滝を嫁に貰えると聞いてポーッとなった「３５歳未婚」の吉公が、晩年の稲<br />
荷町みたいなヒョワヒョワ声で銭湯に行く件は馬鹿に可笑しい。最後の場面でも吉公<br />
が妙な強面にならないのも市馬師らしい配慮。三馬鹿トリオは個々のキャラクターは<br />
濃くないが、幽霊役の前座を含めて気楽なお馬鹿ばかりで結構。特に前座の調子の良<br />
さは実に飄々と可笑しい。萬さんの「胸が焼けるよ」や最初にドーン、ドーンと打つ<br />
太鼓の具合も軽妙。徳さんにもうひと色、「男の嫉妬の可笑しさ」が出ると噺全体に<br />
もっとコクが出るだろう。十分に愉しいんだけど、目白にはコクがあった。鉄さんの<br />
色黒に対して、萬さんが「耳が遠い」（だからアンコロと間違える）などの工夫が<br />
あっても良いのでは？又はアルコール抜きでボロに火を点けて大変な事になりかかる<br />
とか。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１５日  よってたかって秋らくご２１世紀スペシャル寄席ｉｎＯｎｅＤａｙ<br />
(よみうりホール)</p>

<p>辰じん『金明竹』/一之輔『粗忽の釘(下)』/喬太郎『うどん屋』//～仲入り～//百栄<br />
『あの姉妹』/白鳥『砂漠のバー止まり木』</p>

<p>★喬太郎師匠『うどん屋』</p>

<p>ギャグは色々と入れていたが、酔っ払いに立ち去られて、思わずうどん屋が仏頂面を<br />
して以降(この表情は些かリアル過ぎたけれども)、小商人の身すぎ世すぎと寒さので<br />
た良い『うどん屋』になった。当人が精神的に疲れているらしいのが皮肉にも幸いし<br />
たみたい。うどんを食う男が恥ずかしそうに、見つめているうどん屋からそっと視線<br />
をそらすのが馬鹿に面白い。目白の小さん師型の愛想笑いの変形だけれど、恥ずかし<br />
そうな方が喬太郎師には似合う。</p>

<p>★白鳥師匠『砂漠のバー止まり木』</p>

<p>癒されるファンタジーだなぁ。こんなに馬鹿馬鹿しいのに、マスターは間違いだらけ<br />
の類型的蘊蓄おじさんなのに、このバーに行ってみたくなる魅力がある。中島らも氏<br />
的な「虚構なればこそ、ハッピーエンドでいてほしい」に通じる愛しさがこのバーに<br />
はある。</p>

<p>★百栄師匠『あの姉妹』</p>

<p>発想は抜群だけれど、途中から駄洒落の連発になって尻すぼみ。百栄師の場合、発想<br />
されたある状況の中での可笑しさは抜群だけれど、そこから状況が転がって、新たな<br />
可笑しさへと展開はしないから、長尺の噺にはならないのが特徴なんだね。白鳥師だ<br />
と「あの姉妹」が「あの人は今」という状況を打開しようとするにせよ、状況に流さ<br />
れるにせよ、転がって行こうとするけれど(別に百栄師が悪いとは言わぬ。噺は十分<br />
可笑しいんだから)。</p>

<p>★一之輔さん『真打昇進騒動２～粗忽の釘』</p>

<p>今日の真打昇進騒動２はビデオを撮った話。かなりプレッシャーが来てるようで、マ<br />
ジに心配。本題は、大工が怖い嫁さんを今でも愛してる事を自覚する展開で、一之輔<br />
さんの演目としては『抜け雀』に似てる。可笑しいんだから、嫁さんを愛してると感<br />
じて帰る所から後は蛇足に聞こえる。新婚時代の大工夫婦が行水の後、二人とも素っ<br />
裸で転げ回って笑ってる場面は誰よりも愉しい。一之輔さんのおかみさんって、どう<br />
いう人なんだろう？と思っちゃうなァ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１５日  第５９回扇辰喬太郎の会(国立演芸場)</p>

<p>辰じん『ひと目上がり』/扇辰『目黒の秋刀魚』/喬太郎『廐火事』//～仲入り～//喬<br />
太郎『石返し』/扇辰『藪入り』</p>

<p>★扇辰師匠『藪入り』</p>

<p>ほぼ、三代目金馬師の演出通りだが、最後に泣きじゃくる亀にオフクロが「亀、いい<br />
加減におし！黙ってばかりじゃ分からないじゃないか！」とキツく叱るのが素晴らし<br />
く利いて、これまで父親と倅の噺だった『藪入り』の世界を変えると同時に、親父と<br />
オフクロの夫婦像まで一瞬で分かってしまうのに感心した。しかもオフクロが「ほら<br />
御覧、私の子だよ」を言わない「加減の良さ」がまたステキだなァ。親父は持ち味の<br />
職人気質でピッタリ。亀は帰って来て挨拶をした後、「ただいま」と小さい声で言う<br />
のが良い。菊志ん師の「お父っつぁん、ただいま」と並ぶ亀の名セリフ。無理に泣か<br />
せようとせず、親子の関係を見事に描いて涙を呼んだ佳作。</p>

<p>★扇辰師匠『目黒の秋刀魚』</p>

<p>ビリケンさんみたいな殿様が好き勝手をするのが無闇と可笑しい。中でも、秋刀魚を<br />
旨くて堪らないという、子供がご馳走を食べるみたいに無言で延々と食べる様子が可<br />
愛くて、殿様の我儘勝手も憎めなくなる。家臣が侍らしい割に、殿様は侍らしくない<br />
と言えばそうなんだけどね(笑)。</p>

<p>★喬太郎師匠『廐火事』</p>

<p>喬太郎師古典落語のエポックメーキング的な作品になるかも。黒門町型がベースだ<br />
が、「古典」の枠内にお崎さんと亭主の熊の男女関係が納まらないで、相談されて<br />
困っている旦那を含め、かつて聞いた誰の『厩火事』にない記憶のない親近感があ<br />
る。古典味でなく、もっと身近な「同時代感覚」の「落語」だから、お崎さんのハイ<br />
テンションも落語として楽しめてしまうのだ。</p>

<p>★喬太郎師匠『石返し』</p>

<p>与太郎はいつも通り可愛いんだけれど、与太郎が「狸の仕業だ」と言って騙されるの<br />
も無理もないと思ってしまうような、ドヨ～ンとした雰囲気が序盤の親父と与太郎の<br />
遣り取りから漂っている。なんというか、セミホラーっぽい『石返し』なのだ。い<br />
や、ホラーというより、岡本かの子の小説風の「魔界としての江戸・東京」の気分が<br />
高座に広がる（題名を忘れたけど岡本かの子の泥鰌屋が舞台の小説）。その分、可笑<br />
し味は薄まるが。こういう味わいも捨て難い。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１６日  第１２回柳噺研究会(下谷稲荷神社社務所)</p>

<p>市也『のめる』/小里ん『提燈屋』/雲助『蒟蒻問答』//～仲入り～//ダーク広和/小<br />
燕枝『三軒長屋』</p>

<p>★小里ん師匠『提燈屋』</p>

<p>前半は稍調子が低く、リアクションの良い割に盛り上がり切らなかったが、後半は提<br />
燈屋の意固地な親父が段々怒り出す様子が実に可笑しく(無言で頷く表情が絶妙)、盛<br />
り上がって非情な可笑しかった。</p>

<p>★雲助師匠『蒟蒻問答』</p>

<p>六兵衛の貫禄、択善の固真面目は良く出ているし、八五郎と権助も能天気で無責任な<br />
キャラクーと揃っている。半面、「初演同様」と師匠自ら言われるだけに、問答で択<br />
善の驚くリアクションが弱い。択善は択善なりに六兵衛の和尚を舐めてかからないと<br />
いけないんだな。</p>

<p>★小燕枝師匠『三軒長屋』</p>

<p>侍が不得意でもない筈なんだけれど、楠先生に余り張りがないのは不思議。頭は職人<br />
らしい半面、智謀を巡らす「人の上に立つ人の」らしさに乏しいのが惜しまれる。感<br />
じに乏しい。伊勢勘は町役人的貫禄は示せるが、助平なヒヒ爺には見えない。結果的<br />
に全体的な出来は平板。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１７日 第３６２回日本若手演芸研精会神無月公演(日本橋劇場)</p>

<p>辰じん『寿限無』/小駒『肥瓶』/志ん吉『九郎蔵狐』(の途中まで)/市楽『明烏』//<br />
～仲入り～//鯉橋『風呂敷』/一之輔『富久』</p>

<p>★一之輔さん『富久』</p>

<p>黒門町型がベースか(目白型や古今亭型も混じっている)。黒門町型にしては余り観客<br />
を緊張させ過ぎない展開なのは、ヘラヘラとした芸人らしい人物像の久蔵の軽みゆえ<br />
だろう。長尺の高座乍ら長さは感じさせなかった。久蔵の欲や悲しみに芸人らしい<br />
「俗っぽさ」があるのが特に良い（黒門町の久蔵は安藤鶴夫的聖人君子過ぎると思<br />
う）。それでいて、帳付けをしている久蔵に色々な嬉しさがある中、旦那の店が焼け<br />
なかった嬉しさも感じられるのが更に良い。旦那、頭、番頭は目白型の、厳しさと暖<br />
かみのある良き人達。千両貰えないと分かって啖呵を切る後の久蔵も、雲助師ほどて<br />
ばないが泣きすぎない良さがある。客席の落ち着きに見守られてか、久しぶりに良い<br />
出来の大ネタを一之輔さんから聞けたのは嬉しい。</p>

<p>★鯉橋さん『風呂敷』</p>

<p>マクラが自棄みたいな口調だったが、本題はクドくなく、軽く面白い中に人物像のコ<br />
クがある。小柳枝師みたいな雰囲気を感じた。</p>

<p>★市楽『明烏』</p>

<p>源兵衛・太助が似合う。時次郎は柄違いだが「孔子様に謝りなさい」は可笑しく、最<br />
後に太助が怒って言う「孔子様に謝れ！」も凄く可笑しい。子供っぽさなどが余りな<br />
いから、『悋気の独楽』や啖呵に軽さの必要な『芝居の喧嘩』（口慣らし訓練用なら<br />
兎も角）より、源兵衛・太助系間抜けオジサン噺や泥棒ネタ、『天災』系の噺を磨い<br />
た方が良いと思う。子供や若旦那はドミニコ市也くんに任せて（笑）。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１８日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>昇之進『看板のピン』/伸&スティファニー(小泉ぽろん)/遊吉『黄金の大黒』/遊之介<br />
(圓馬代演)『六銭小僧』/Ｗモアモア/笑遊『元帳』/とん馬『雑俳』今丸/米丸『地見<br />
屋の話(漫談)』//～仲入り～//ぴろき/伸之介『長短』/小柳枝『小言幸兵衛』/健二<br />
郎/遊三『子は鎹』/大喜利遊三・伸乃介・とん馬『二人羽織』</p>

<p>★遊三師匠『子は鎹』</p>

<p>亀「患う暇なんか無いって言ってるよ」熊「患う暇なんか無い…」と、女房がまだ一<br />
人である事を熊さんの感じる短い間が実に良かった。亀相手だとかみさんが「長屋の<br />
阿っ母ァ」なのに、熊相手だと色気の出るのも独特で、母と女の違いが面白い。亀に<br />
小遣いを渡し忘れたみたいだけど、全体の出来は「長屋の子は鎹」として結構なも<br />
の。亀を見送る熊さんの大きな声が距離感と心情を如実に感じさせる。</p>

<p>★小柳枝師匠『小言幸兵衛』</p>

<p>トントン運んでいるが丁寧で良い出来。但し、最近、声が部分的に小さいのが気にな<br />
る。</p>

<p>★とん馬師匠『雑俳』</p>

<p>入り方は『道灌』と同じ。『雑俳』に入ってからはトントン運ぶが、何となく柳昇師<br />
の暢気な雰囲気が出るのは面白い。道歌七度返しで「芸術協会の理事会というのもあ<br />
るぞ。“写楽茶楽と燃え上がり、夢楽、茶楽でちゃっちゃ無茶苦茶”」には笑った。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１８日 月例三三独演(国立演芸場)</p>

<p>小太郎『鷺取り』三三『不動坊火焔』//～仲入り～//三三『三枚起請』</p>

<p>★三三師匠『不動坊火焔』</p>

<p>市馬師と同じ型がベースだけれども、マクラが長過ぎた事も含め、序盤から屋根の上<br />
までが陰気。雰囲気としてはさん喬師の『不動坊』に近い。吉公は冒頭三尺物の喋り<br />
方をしていた。屋根の上で「俺は馬鹿じゃない、みんなに美味しいあんこを食べて貰<br />
おうと」と泣く萬さんが一番可笑しいが、遊雀師の「泣く男」ほど馬鹿馬鹿しくない<br />
し、『鮑熨斗』の甚兵衛さんほどにも楽しめない。鉄さんは丸っきり人物不明のまん<br />
まで、これは一寸手抜が酷い。徳さんは威張り方が恐い。駄洒落を直ぐに言う幽太の<br />
林家正脳は『三枚起請』の亥之さんと似ている。幽太の方が三馬鹿トリオに対して客<br />
観的でってもも噺としての違和感は少ないが、噺の中に心情を抱えた傍観者を置くの<br />
は、観客という客観的存在を三三師が信用してない証だろうか。</p>

<p>★三三師匠『三枚起請』</p>

<p>という訳で、二席目も三馬鹿トリオの『三枚起請』と来たのは無神経なのか意図的な<br />
のか理解に苦しむ。最後の喜瀬川の啖呵が持っている愛しさが全く出ない。まして、<br />
棟梁に訊き返させて、喜瀬川に「烏を殺したいね」を二度言わせたのには唖然。亥之<br />
さんが戸棚から出てくる時、膝立ちになるので「小太り」の印象が消えるのは演出ミ<br />
スだろう(三馬鹿トリオは圓太郎師が棟梁、小せん師が清さん、小太郎さんを太らせ<br />
たみたい（これは知人のアイディア）なのが亥之さん、というイメージではあるまい<br />
か)。亥之さんの醒めた客観性は三三師自身なのだろうが、お茶屋の女将の言葉通<br />
り、聞いてて心持ちが愉しくなくなってくる。第一、亥之さんの「あれを打つなら俺<br />
を打て」のセリフと客観性は矛盾する(その子供っぽい残酷さが三三師なのかな)。あ<br />
る御席亭が「某師匠は“世の中には馬鹿な奴がいるもんで”と言わないと与太郎噺や<br />
『三枚起請』『不動坊』みたいな噺が出来なかったとこがあった」(実際、持ちネタ<br />
にはなかった)と称した某師匠そっくりの「落語にならない落語」を感じてしまう。<br />
「寄席育ち」のエリートってのは時代を超えて似てしまうのかなァ。</p>

<p></p>

<p>◆１０月１９日 ぎやまん寄席番外編白鳥・白酒ふたり会(湯島天神参集殿一階ホー<br />
ル)</p>

<p>市也『のめる』/白鳥『初めてのフライト』/白酒『粗忽長屋』//～仲入り～//白鳥<br />
『もし寄席の席亭がドラッカーのマネージメントを読んだら』/白酒『付き馬』</p>

<p>★白鳥師匠『初めてのフライト』</p>

<p>今回のテーマは「消えゆくネタ」だと語っていたが、これは「消えゆくネタ」だろう<br />
かね。時代時代の憎まれ役に主役を代えて通じる噺だと思うんだけれど。観客参加型<br />
の珍しい落語だしさ。</p>

<p>★白鳥師匠『もし寄席の席亭がドラッカーのマネージメントを読んだら』</p>

<p>ドラッカーの理論と現在の世界的な新自由主義、格差受け入れ経済の破綻や、主要国<br />
経済の帝国主義的方向への流れを考えると、確かに時期の終わりかけている噺かもし<br />
れないが、白鳥師らしい諧謔や下から視線の喜怒哀楽がベースにあるから強烈に可笑<br />
しい。それは「某師匠へのマネージャー転向の勧め」の件みたいに、みんなが思って<br />
いる真実を暴露したエネルギーがあるからだろう。ならば、続編として『もし寄席で<br />
ウォール街のような暴動が起きたら』を期待したくなるなァ。</p>

<p>★白酒師匠『粗忽長屋』</p>

<p>また進化して可笑しくなり、「誰」または「誰が」がキーワードになってきた。</p>

<p>※この噺で、もし長屋の二人の男が一卵性の双子だとどうなるのかな。更に六つ子<br />
だったりしたら…「生まれた時は一緒だったが、ある理由で別々に育ってしまい、こ<br />
の長屋でまた一緒になれたけど、死ぬ時は別々かもしれない」なんて、因縁因果付き<br />
の双子や六つ子になったりして。</p>

<p>★白酒師匠『付き馬』</p>

<p>「白鳥⇒白酒」という出番は「歌之介⇒白酒」の出番同様、白酒師に凄く負担が掛か<br />
るね。久しぶりに色々入れて、実に良い出来の高座で、客の男も詐欺師芝居になり過<br />
ぎず軽快な調子で、妓夫と早桶屋主人の噛み合わない会話の可笑しさも力を増してい<br />
るのに、ミサイルが辺りを廃墟に変えた後にゴルゴ１３が出て来たみたいな印象で、<br />
笑いの絶対量で明らかに不利なのは気の毒(それでも白酒師だから此処まで対応出来<br />
るので、後は…昇太師、喬太郎師くらいしか対処出来ないだろう)。前席のように、<br />
『もし寄席の席亭が』の後に長くマクラを振ったとしても、そこから入る本題の演目<br />
が『粗忽長屋』の内容的なシュールさと酌の短さのネタなら兎も角、長い噺でハネる<br />
としたら、全く毛色の違う朝物か怪談噺でもないと雰囲気を変え難い。白酒師のＪ亭<br />
独演会で雲助師が『もう半分』を演ったみたいに。人情噺や怪談噺はこういう状況用<br />
に持っている必要があるのかもしれない(その意味で喬太郎師の旧作・新作を問わな<br />
い人情噺系ネタは強いんだな)。</p>

<p></p>

<p>◆１０月２０日　新宿末廣亭昼席</p>

<p>伸＆スティファニー/竹丸(遊吉代演)『漫談』/遊之介(圓馬代演)『六銭小僧』/Ｗモ<br />
アモア/笑遊『町内の若い衆』/とん馬『元帳』今丸/米丸『夢のビデオ』(ネタ卸し。<br />
正式題名不詳)//～仲入り～//ぴろき/伸之介『粗忽の釘(下)』/小柳枝『金明竹』/健<br />
二郎/遊三『高砂や』</p>

<p>★遊三師匠『高砂や』</p>

<p>謡の稽古と最後で一寸端折ったが、熊とかみさんの遣り取りも入り、トリらしい尺の<br />
高座で堪能。大家さんと熊の遣り取り、特に羽織を借りる辺りが本格的に可笑しい。<br />
大家さんが詠う謡の調子が目白の小さん師とは少し違っていた。婚礼の席で意気揚々<br />
と謡を始めた熊が「親類は誰も出来ない」と訊いて慌て出す表情でドッと受ける。そ<br />
の辺りの的確さに感心。マクラでいつも演じる小噺の羅列にしても、人物の気持ちの<br />
入れ方がちゃんとしているから受ける。そういう手堅い面白さである。</p>

<p>★米丸師匠『夢のビデオ』（正式題名不詳）</p>

<p>　何と８６歳にして、今年２席目のネタ卸し拝聴である。ＤＶＤや最新の六がシステ<br />
ムでなくビデオという辺りに世代は感じるが、「最近の科学に関するメディアの情報<br />
から新作を作ろう」という姿勢には敬服する（意識の映像化、という点は今年のネタ<br />
卸し２作に共通するが）。但し、この噺では夢の映像化と、主人公の博士がタイムス<br />
リップしちゃうという、全く別のストーリーを無理矢理繋げてある印象が強い。タイ<br />
ムスリップの部分はキムタクの信長とたけしさんの秀吉のドラマにでも影響を受けた<br />
埜かな？「夢の映像化」に話の展開を絞った方が良いと思う。さもなくば、マクラで<br />
先日話されていた「胎児と話の出来る最先端科学システム」というストーリーを落語<br />
として発展させる方が米丸師匠の持ち味に適すると思うのだが。</p>

<p>★笑遊師匠『町内の若い衆』</p>

<p>これも、『宿屋の仇討』や『壺算』同様、権太楼師型の試演かしらん。落語芸術協会<br />
では滅多に聞かない噺だもん。かなり凄いかみさんだが「腹が大きいの？」と訊かれ<br />
てテレる辺りが笑遊師独特で馬鹿に可笑しい。</p>

<p>★とん馬師匠『元帳』</p>

<p>おでんのネタがどんどん増える以外、特に変わったクスグリはないけれと゜、確実に<br />
受けている。特に、最初に大声を上げてから近隣を憚って夫婦が声を潜め加減で喋る<br />
のが陰気にならず、雰囲気を出せるのは面白い。</p>

<p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石井徹也　（落語”道落”者）</p>]]>

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<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　九月下席号</title>
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<modified>2011-10-01T03:39:23Z</modified>
<issued>2011-09-30T03:34:58Z</issued>
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<summary type="text/plain">お彼岸すぎになって、ようやく秋めいてきました。皆様いかがお過ごしでしょうか。 今...</summary>
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<name>落語</name>


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<![CDATA[<p><font size="3" color="#008080"><b>お彼岸すぎになって、ようやく秋めいてきました。皆様いかがお過ごしでしょうか。</b></font></p>

<p><font size="3" color="#008080"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の平成二十三年九月号下席号をＵＰいたします。この号では落語芸術協会の高座にあらたな発見をされている石井さん。落語”道落者”・石井徹也渾身のレポートをお楽しみください！</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p><br />
◆９月２１日 宝塚歌劇団月組東京公演『アルジェの男』（柴田侑宏作。大野拓）史<br />
演出）『ＤａｎｃｅＲｏｍａｎｅｓｑｕｅ』（中村暁作・演出）（東京宝塚劇場）</p>

<p></p>

<p>◆９月２１日 遊雀玉手箱“大家さんは大変だ！の巻”(内幸町ホール)</p>

<p>談春・遊雀「御挨拶」/遊雀『風呂敷』/遊雀『小言幸兵衛』/談春『煮賣屋』//～仲<br />
入り～//遊雀『五貫裁き』</p>

<p>※談春師はシークレットゲスト（東京かわら版には「ゲスト＝Ｔ・Ｄ」と書いてあっ<br />
たが）。台風のため、入場者は５０人いるかいないか。ここ数年では「らくごカェ」<br />
以外、最も小人数で談春師を聞く機会になった。</p>

<p>★遊雀師匠『風呂敷』</p>

<p>亭主が女房の乱暴さに泣き出す辺り、「泣きの遊雀」らしさを発揮して可笑しい。そ<br />
こまで虐げられている亭主なら原作に戻して『風呂敷の間男』にしても良いと思う<br />
が。</p>

<p>★遊雀師匠『小言幸兵衛』</p>

<p>序盤の豆腐屋は良かったが、仕立て屋の途中から急激に小声になり、トーンダウンし<br />
て覇気の無い高座になってしまった。あと、最後が常盤津や清元の太夫には見えな<br />
かった。見台の押さえ方も語り方も、どうみても義太夫の太夫。圓生師型なら常盤<br />
津、他に清元で演じる人もあるが、義太夫ってのは見た事がない。</p>

<p>★談春師匠『煮賣屋』</p>

<p>目白より当然家元に近いが、茶店の婆さんの怪人ぶりが先代今輔師の『峠の茶屋』以<br />
上で物凄く可笑しい。『おしくら』の婆さんもだが談春師の落語では婆が一番愉し<br />
い。</p>

<p>★遊雀師匠『五貫裁き』</p>

<p>更に刈り込んで、八五郎と徳力屋の最初のやり取りはカット。最初の白州もトントン<br />
運んで「一文納め」の件になる。「毎日、町役五人組同道せよ！」のお白州での命令<br />
があって、次なる八五郎の一文運びをまた簡略化。夜中に店の前で八五郎が寝ていて<br />
役人に起こされ、徳力屋が罰せられる件になる。こうなると、困って徳力屋の番頭が<br />
訪れて来て、大家に小言を言われる件も省いて、直ぐに徳力屋本人が長屋へ来てもよ<br />
いのではないか？と思ったほど。最後は徳力屋の持参した二十両は「借りた金」とし<br />
て、八百屋を始めた八五郎が「真面目に働いて喩え一文ずつでも返します」「一文ず<br />
つはもう勘弁」とサゲたが、これは少し「良い噺」にしすぎで、家.元の乱暴な可笑<br />
しさに敵わない。とはいえ、芸術協会の主任時間でも十分演じられる噺になりそうだ</p>

<p></p>

<p>◆９月２２日 新宿末廣亭昼席</p>

<p>小圓右/『千早振る』/圓遊『猫久』/章司/米丸『洗濯物』//～仲入り～//右左喜『善<br />
哉公社』/Ｗモアモア/雷蔵『虱茶屋』/小柳枝『粗忽長屋』/ボンボンブラザース/と<br />
ん馬『抜け雀』</p>

<p>★とん馬師匠『抜け雀』</p>

<p>終始ボヤーッとした甚兵衛さん的な亭主の少し暗めのキャラクターが長閑な落語味を<br />
醸し出す。闊達な若い絵師の明るさ。老絵師の風格。口喧しいかみさんの可笑しさ。<br />
トントントンと澱みなく運んで無駄な溜めが無く、粒立った口調と揃い、寄席の主任<br />
芸として何の文句もない。老絵師が若い絵師に残す言葉に「温かみのない」のあめの<br />
が鳥籠や止まり木を忘れた傲慢にピタリと刺さるのも説教がましくない名科白だろ<br />
う。落語芸術協会は怖いなぁ。金遊師匠やとん馬師匠みたいな「寄席名人」が何の欲<br />
気もなく番組の中に隠れている。「受け狙い」ばかりの若手に聞かせたいね。</p>

<p><br />
◆９月２３日 落語教育委員会(にぎわい座)</p>

<p>コント「犬神家の一族」/朝也『そば清』/歌武蔵『天災』//～仲入り～//喜多八『目<br />
黒の秋刀魚』/喬太郎『宮戸川』</p>

<p>★喜多八師匠『目黒の秋刀魚』</p>

<p>出来は良かったけれども、会場の広さの割には小声で噺が粒立たなかったのは残念。<br />
殿様が秋刀魚恋しさに妙なパントマイム風になる動きが一番可笑しかった。</p>

<p>★喬太郎師匠『宮戸川』</p>

<p>前半から後半の展開を意識したキャラクター作りなので噺が余り弾まない。半面、後<br />
半に入り、亀の物語になってからが一番冴える。三回忌の半七の鎮静した表情も独<br />
特。亀の物語で「慰んだのも三度、四度」「四度目だかにあっしがのしかかると」<br />
「女が下からあっしの顔を見て」と、表現が次第にリアルさを増して、或る意味、扇<br />
情的ですらある。私なんかだと「下からあっしの顔を見て」というのが「谷ナオミで<br />
すか？」と訊きたくなる(谷ナオミでは、手込めにされるお花にしては年増過ぎるの<br />
だが)。こういうリアルな心象は圓生師や馬生師は勿論、今の中堅若手真打でも少な<br />
い。演者の「心の空白(闇でなく空白なんだなぁ。闇が覗けるのは三三師)」がチラッ<br />
と覗けるのである。</p>

<p>★歌武蔵師匠『天災』</p>

<p>八五郎が本質的に無邪気なので聞き心地が良い(歌武蔵師の噺は本質的に無邪気だ)。<br />
長屋に戻った八五郎が隣の熊五郎相手にペラペラと受け受けりを喋った揚げ句、途中<br />
で「あたしもここまでは分からなかった」と言ったのには笑った笑った。</p>

<p></p>

<p>◆９月24日 ラクゴオルタナティブvol.7「柳家と立川②」(よみうりホール)</p>

<p>こしら『時そば』/喬太郎『ほんとのこというと』/談笑『粗忽長屋』//～仲入り～//<br />
談笑『居酒屋改』(イラサリマケ)/喬太郎『小町～道灌』/座談</p>

<p>★喬太郎師匠『小町～道灌』</p>

<p>小町から聞いたのは初めてかな…ほぼ真っ当な演出で楽に楽しめた。欲を言うと、御<br />
隠居と八五郎のテンションにかなり差がある。隠居がおとなし過ぎるのが惜しい(絶<br />
叫して欲しい訳ではない)。</p>

<p></p>

<p>◆９月24日 上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>豆緑『垂乳根』/左吉(交互出演)『後生鰻』/夢葉/柳朝(喬之助代演)『牛褒め』/燕路<br />
(扇辰代演)『粗忽の釘（下）』/のいるこいる/才賀『台東区の老人たち』/琴調『お<br />
民の度胸』//～仲入り～//小菊/文左衛門『夏泥』/仙三郎社中/左龍『茶の湯』</p>

<p>★左龍師匠『茶の湯』</p>

<p>ダレ場や無駄なセリフを刈り込んで非常に可笑しい噺になった。序盤の隠居と定吉の<br />
やり取りからオムツの件などを省き、茶の飲み方もくどくない演出に変えてある。隠<br />
居が茶釜を扱う様子はマクベスの魔女が鍋を掻き回すようで無気味に愉しい。「不幸<br />
の手紙」を受け取った孫店三人のパニックは豆腐屋と頭の混乱ぶりに妙味あり。手習<br />
の師匠が子供たちに語るセリフをカットして「茶の湯と引っ越し」から噺がズレない<br />
ようにしたのも偉い。三人が茶を飲むときの体のくねらせ方は二丁目のママが身悶え<br />
してるみたいでこんなに可笑しいのは初めて見た。羊羹泥棒から利休饅頭もトントン<br />
運び、蔵前時代の知り合いも利休饅頭を袂に入れず、頬張ったまま廊下に出るので噺<br />
が途切れない。キャラクターも過不足無く描かれ、近年聞いた中では一番可笑しい<br />
『茶の湯』である。</p>

<p>★琴調先生『お民の度胸』</p>

<p> お民に色気があるけれど嫌らしくないのが結構。</p>

<p>★文左衛門師匠『夏泥』</p>

<p>泥棒の気弱さにもだが、好き勝手を言う相手の博打好きの大工に何とも言えない可愛<br />
らしさがあるのは文左衛門師の強み。「殺せ殺せ殺せッー」のリズムも良いが若干<br />
ヴォリュームが大きいのが惜しい。それでも、全体的には十二分なる佳作。</p>

<p></p>

<p>◆９月２５日 文左衛門倉庫ｖｏｌ.１２(ことぶ季)</p>

<p>ホルモン『道灌』（四天王入り）/文左衛門『短命』/二楽/アンケート読み//～仲入<br />
り～//文左衛門『文七元結』</p>

<p>★文左衛門師匠『短命』</p>

<p>先代圓楽師型で久しぶりに「ブリのアラ」を聞いた。かみさんが凄まじく、「色っぽ<br />
く」と言われて手にした茶碗を握り潰したのには笑った。</p>

<p>★文左衛門師匠『文七元結』</p>

<p>『短命』のマクラで圓朝の話をしていたから『芝浜』かと思っていた。元は家元型だ<br />
が了見がすっかり文左衛門師に入れ換わっている。とはいえ、仕種の端々に家元系の<br />
名残はある。また、長兵衛が実は気が小さい、そこに可愛さのある、子供っぽい人物<br />
である事も家元と共通している(だから佐野槌の女将も可愛がる)けれど、家元ほど言<br />
葉の上で悪ぶらないのが特徴。佐野槌の女将が長兵衛を気持ちの上で追い込まないの<br />
は聞き心地が良い(まぁ、子供みたいなものだから)。文七は気の小さい、少し可笑し<br />
な若者で、その若さが出ているのが良い。近江屋の旦那と番頭は良いコンビで、旦那<br />
の長兵衛に対する気の使い方は如何にも大店の旦那らしく、番頭は良きコメディリ<br />
リーフになっている。最後の場面で近江屋の「手前どもの用意致しましたお肴の味は<br />
如何でございますか」が高慢に聞こえないのは極く珍しい。お久は最後、駕籠から出<br />
ても訳が分からず「女将さんがもう良いって…このおじさんに連れられて来たの」と<br />
上気している様子が素晴らしい。佐野槌の藤助の廓者らしさも良き香辛料。冒頭の長<br />
兵衛のかみさんに稍物足りなさはあるが、生志師と並ぶ、この世代を代表する落語の<br />
『文七元結』の一つである事に変わりはない。</p>

<p>◆９月２５日 落語協会特選会圓太郎商店その十(池袋演芸場)</p>

<p>フラワー『道灌』/圓太郎『青菜』//～仲入り～//圓太郎『一人酒盛』</p>

<p>★圓太郎師匠『青菜』</p>

<p>熱烈な鯉の洗いの食べ方に現れされる、植木屋の一人合点なテンションの高さが実に<br />
可笑しい。特に友達を呼び込んでからの、渋団扇をバサッバサッとさせる動きが抜群<br />
に可笑しかったが、途中で止めてしまったのは残念。友達はいわば巻き込まれた被害<br />
者。声はデカイが植木屋の言いなりになっている所はお人好しで、植木屋のテンショ<br />
ンと好対照。かみさんは余り物知りでなく、割れ鍋に閉じ蓋夫婦らしさはクドくなく<br />
十分に出ている。全体に調子が強すぎるので、些か固真面目かつ荒く感じる面もある<br />
が本質的に似合う噺。</p>

<p>★圓太郎師匠『一人酒盛』</p>

<p>圓生師型だと思う。留さんが熊の家に着いた所から始まる。職人が似合う圓太郎師は<br />
どう来るか？と思ったが、圓生師とは雰囲気が違い『おかしな二人』みたいな展開を<br />
感じる。熊は『化物遣い』の隠居みたいに、命令タイプである。熊の一人語りで殆ど<br />
進むが、熊の言葉で語られる留さんに燗奉行みたいな「上燗まであと何秒」みたいな<br />
拘りがあったり、「かくやのこうこは生姜だけで醤油を垂らさなくても旨い」といっ<br />
た細かさがある。つまり、一見、正反対のようで、考えの押し付け方に強弱があるだ<br />
けで似た者同士なのだ。それが『おかしな二人』的であり、割と乱暴な酒飲みである<br />
熊さんとの対比としても面白い。その対比が、勝手に盛り上がる熊さんを前に留さん<br />
が不機嫌になる様子の可笑しさを伝えるだけでなく、留さんの不機嫌に連れて稍酒乱<br />
的な言動を見せる熊さんを圓生師ほどは嫌な奴に感じさせない(ベロベロにならない<br />
せいもある)。熊さんの「おめえと飲まなきゃ良かった」のセリフは余計だが、もう<br />
少しこなれれば、目白型と圓生師型の間を行く面白味が更に高まると思う。</p>

<p></p>

<p>◆９月２６日　上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>才賀『台東区の老人たち』/琴調『赤垣徳利の別れ』//～仲入り～//ペペ桜井(小菊代<br />
演)/文左衛門『手紙無筆(上)』/仙三郎社中/左龍『甲府ぃ』</p>

<p>★左龍師匠『甲府ぃ』</p>

<p>客の少なさに合わせたのかもしれないが擽りを減らして演じた。豆腐屋親父の固法華<br />
ぶりも余り出さないから笑いは少ない。しかし、如何にもさん喬師の一門らしい情話<br />
として魅力がある。特に、若夫婦を見送る親父が大きく笑ってから善吉を黙って見る<br />
辺りは市馬師の『淀五郎』終景の團蔵に通じる「引き立てた側の思い」があってホロ<br />
リとした(親父の笑いから善吉の受けの表情などなく長屋のかみさんの「ご覧よ」に<br />
直ぐ変わるカットバックも素晴らしい)。サゲの「甲府ぃ～」の声も情があり格段に<br />
良くなった。半面、善吉は確かに善なる人だが、圓太郎師の善吉のような立身出世を<br />
願う地方出身らしいエネルギッシュな面が物足りず、些か人物像が平坦なのは惜し<br />
い。</p>

<p>★琴調先生『赤垣徳利の別れ』</p>

<p>松鯉先生のような講釈独特の侍気質は乏しいが、如何にも兄弟の話である。源蔵が兄<br />
の羽織を前に、母に耳掃除をして貰った話をする件は聞いていて思わず涙が出た。源<br />
蔵が終始明るいのがまた切ない。作左衛門が源蔵の剣を誉める話をする件、一次に源<br />
蔵形見の呼子の笛を吹かせて酒を酌むラストにも兄弟の情が漂う。先代圓楽師以降、<br />
噺家で『赤垣』を殆ど聞かないが、今の時代なればこそ、誰か演じても良いのにと思<br />
う。</p>

<p></p>

<p>◆９月２７日 新宿末廣亭昼席</p>

<p>北見伸＆スティファニー/小圓右『道灌』/鯉昇『犬の目』/章司/小柳枝『妾馬』//～<br />
仲入り～//右左喜『英会話』/Ｗモアモア/雷蔵『虱茶屋』/米丸『まちがい』/ボンボ<br />
ンブラザース/とん馬『宿屋の富』</p>

<p>★とん馬師匠『宿屋の富』</p>

<p>古今亭型で物凄く口調が速い。スウィングがあればもっと良いだろう。一文無しの客<br />
は最初、割と威勢が良くて明るいが、宿の主人が去ってから陰気になる。そのまま、<br />
湯島天神境内でも陰気に「当たらなかった」とボヤいて富札を捨てるが、拾い直して<br />
札を見ながら一番富の当たり番号と見比べて「何処が違うんだ、これ」と呟いたのが<br />
無茶苦茶面白かった。先代柳好師の『宿屋の富』を稍陰にした可笑しさが此処で光<br />
る。宿の主人はボヤッとしたキャラクターが目白型に近い。二番富の男は軽快。序<br />
盤、一文無しと宿の主人の遣り取りで、主人側にもう少しメリハリがあれば佳作であ<br />
る。</p>

<p>★小柳枝師匠『妾馬』</p>

<p>余り聞いた記憶のない型。「うんちは、うんちは」のセリフからすると夢楽師の『妾<br />
馬』かな。赤井御門守の家来がみんな訛りが酷いので、余計に八五郎との会話がこん<br />
がらがるのが可笑しい。門番・取り次ぎの侍・田中三太夫と揃って硬い野暮さが愉し<br />
い。御門守は稍品格不足。八五郎は職人態で乱暴というよりはそそっかしい雰囲気で<br />
世話味がある。割と泣くが嫌らしくは感じないのが長所だ。</p>

<p>★桂米丸師匠『まちがい』</p>

<p>　マクラが長く、極く簡単に演じただけではあるが、米丸師がこういう噺を演じると<br />
は思わなかったので驚いた。新作っちゃ新作だけどね。</p>

<p></p>

<p>◆９月２７日 第６３回桂平治独演会(日本橋社会教育会館ホール)</p>

<p>昇也『雑俳』/昇々『アゴビヨン』（正式題名不詳）/平治『饅頭怖い』//～仲入り～<br />
//昇太『人生が二度あれば』/平治『お見立て』</p>

<p>★平治師匠『お見立て』</p>

<p>大声の応酬で荒く聞こえるが、杢兵衛大尽の純情と自惚れ(「この顔ォ」や「吉原中<br />
の女を死なせちまう」は笑った)、喜瀬川に掘れて馬鹿みたいになっているキャラク<br />
ター、喜助が廓者とは思えない困り方をしている様子、二人の遣り取りはちゃんと描<br />
かれている(寧ろ擽りが少ないくらい)。喜瀬川の色気づいたトドみたいな様子も可笑<br />
しい。尤も、ズーッと大声の応酬で、『らくだ』みたいに締める所がないから、トリ<br />
ネタだと聞き疲れもするな。</p>

<p>★平治師匠『饅頭怖い』</p>

<p>細心・気弱なとこが出て、客席で携帯が鳴ってからリズムが狂い、前半の「象」だけ<br />
でなく「葛饅頭」の仕込みも抜けた。栗饅頭を食べる様子が妙に可愛いのは強み。</p>

<p>★昇太師匠『人生が二度あれば』</p>

<p>松の精が出てからのハチャメチャな過去の破綻の可笑しさ、爺さんがバタバタ動く可<br />
笑しさはやはり得難いものだ。</p>

<p>★昇々さん『アゴビヨン』（正式題名不詳）</p>

<p>発想は分かりやすく可笑しい。半面、マクラから同じ、あの凭れ掛かってくる口調に<br />
まだ馴染めない。</p>

<p></p>

<p>◆９月２８日 宝塚歌劇団月組東京公演『アルジェの男』『DanceRomanesque』（東宝<br />
劇場）</p>

<p></p>

<p>◆９月２８日 第１１８回立川談笑月例独演会(国立演芸場)</p>

<p>談笑『粗忽の釘』/談笑『シシカバブ問答』/談笑『命のかね』//～仲入り～//談笑<br />
『大工調べ』</p>

<p>★談笑師匠『粗忽の釘』</p>

<p>馬鹿馬鹿しくて結構。特に箪笥を運ぶ間、引出しが飛び出して何人にも迷惑を掛けま<br />
くるのは粗忽者らしくて愉しい。</p>

<p>★談笑師匠『シシカバブ問答』</p>

<p>こんなに短かったっけ。旅のムスリムの陰な調子が妙にリアルで可笑しい。</p>

<p>★談笑師匠『命のかね』</p>

<p>「古典の掘り出し物だ」というが、見たり読んだりした記憶がない噺。『七面堂』や<br />
『人参騙り』と似た詐欺噺だけれど、作りが遥かに緻密(演出で工夫したのかも)で面<br />
白い。言えば、こすっからい乞食婆が詐欺師を息子のように思ってしまう心理過程が<br />
稍弱いけれと、サゲのドライさといい、一寸『一文笛』の詐欺師版である。演じ方と<br />
しては、詐欺師が最初から猫なで声過ぎるのが惜しい。市馬師や正蔵師など「良い人<br />
芸」か（新国劇の出し物だった『アリラン軒』みたいなもの）昇太師みたいな芸風の<br />
師匠が「意外な持ちネタ」として持っていると噺のドライさがなお活きるだろう。</p>

<p>※談笑師には『東海道御油並木』を掘り出して欲しい。</p>

<p>★談笑師匠『大工調べ』</p>

<p>与太郎＝大岡越前守版。終演時間の関係か、前と変わって与太郎の「あたぼう」はな<br />
く、棟梁の啖呵も短く、与太郎の混ぜっ返しも殆ど無い。お白州が長く、大家が嘘つ<br />
きで卑怯で徹底した悪人なのは『お奉行ドラマ』の田口計等の雰囲気か。棟梁がひた<br />
すら分が悪いから、そのシリアスさに初聞きの観客はシンと鎮まり返った。だから余<br />
計に最後に大岡越前守、実は与太郎と分かると大爆笑は落語らしくて良い。今回は棟<br />
梁、実は遠山金四郎(肌脱ぎになる)も加わって「仕方ないから、あっしが自分で裁こ<br />
うかと思ってた」のサゲになる。時代は違うけど、まあいいや、落語だから（笑）。</p>

<p>※そのうち、暴れん坊将軍まで出てこないだろうな(笑)。</p>

<p></p>

<p>◆９月２９日 新宿末廣亭昼席</p>

<p>マキ(北見伸＆スティファニー昼夜代わり)/小圓右『初天神』/圓遊『崇徳院』/章司/<br />
米丸『漫談』//～仲入り～//右左喜『猫と金魚(上)』/Ｗモアモア/雷蔵『虱茶屋』/<br />
小柳枝『野晒し(上)』/ボンボンブラザース/とん馬『代わり目』</p>

<p>★とん馬師匠『代わり目』</p>

<p>九官鳥と猿の小噺を振ってから酒のマクラに入り、元帳で終らずサゲまで。鍋焼きう<br />
どん屋に燗を付けさせ、新内流し(「訳あり」ってのがやはり良い)に都々逸、小噺の<br />
アンコ入り都々逸を唄わせ、かっぽれを弾かせて踊る。雲助師とほぼ同じ演出。その<br />
代り、序盤が少し違う。家の戸は亭主本人が叩き、おでんの具での言葉縮めの遣り取<br />
りはない。代わりに「ちょいとあれば良いんだ…はんぺんが一つ、すじが二つ、竹輪<br />
が三つ、大根が四つ、がんもどきが五つ、白滝が六つ」と亭主が言う可笑し味が入<br />
る。亭主のざっかけない甘え方、色気は余り無いが女房の世話味、うどん屋のらしさ<br />
が然り気無く良い。また、新内流しの女が「兄妹なんですよ」と言うセリフに仄かな<br />
色気のあるのは出色。うどん屋の売り声と都々逸の調子が少し変だったが、栄馬師の<br />
『代わり目』ともひと味違う愉しさあり。昼席の主任らしく腹に凭れない良さだ。</p>

<p>★雷蔵師匠『虱茶屋』</p>

<p>　仕種が全部流れてしまい、先代助六師匠のように「フォルム」として固定しないの<br />
が惜しい。</p>

<p></p>

<p>◆９月２９日 真一文字の会(内幸町ホール)</p>

<p>辰じん『金明竹』/一之輔『真打昇進騒動～つる』/一之輔『黄金の大黒』//～仲入り<br />
～//一之輔『らくだ(上)』</p>

<p>★一之輔さん『つる』</p>

<p>隠居に聞いた話を兄貴分に受け売りする鸚鵡返しの部分を『天災』や『青菜』のよう<br />
に膨らませた演出。相手が嫌がっているのが分からない無神経さは可笑しいが、ディ<br />
スコミュニケーションを手法によく使い、芝居落語の面が強い一之輔さんだと、その<br />
丁寧さがまだクドく感じる。</p>

<p>※「真打昇進騒動」は実名バンバンで面白すぎて書けない。</p>

<p>★一之輔さん『黄金の大黒』</p>

<p>大家さんの猫を食った件から入る。一番笑ったのは「掘り出したのが金の将軍様」と<br />
いう言い間違い。口上の途中で泣き出して楽屋裏をバラしてしまう金さんも可笑し<br />
い。「（貧乏長屋の連中が工面した）羽織の紐がサキイカ」ってのと「左の紋が三界<br />
松、右が鬼蔦、背中が花菱」「談志に志ん朝じゃねぇか！背中がなんで三平一門なん<br />
だ」にも笑った。「恵比寿も呼んで来る」のサゲまで演ったが、これは必要あるか<br />
な。とはいえ、こういう気楽な噺で真打昇進興行の主任が取れるといいね。</p>

<p>※この噺、親分の家の祝儀に呼ばれて困る、貧乏で馬鹿な子分たち（つまり侠客の世<br />
界）の設定に出来ないかな。</p>

<p>★一之輔さん『らくだ(上)』</p>

<p>割と古い家元型がベースだが、カンカンノウまでで５０分以上もあるので聞きダレし<br />
た。家元型という事は、噺の焦点が「笑い」になく「屑屋の被った悲劇の愚痴」にあ<br />
る以上、テンポでなく、言葉をかれる演じ方をされると辛い。兄貴分の変に丁寧なと<br />
こは似合わなくもないが、序盤の「らくだが死んだという報せ」から長く、屑屋が呑<br />
み出してからの愚痴の数も多過ぎる。無駄山程状態。もしも火屋まで演じたら、と考<br />
えると７５～８０分掛かるサイズだし、それじゃ六代目松鶴師か先代小染師くらい全<br />
体に「酔っ払い噺」のコクが満ち溢れていないと、落語としての世界を保ちきれない<br />
なァ。一朝師から、もっと中ネタや『黄金の大黒』のような演目を浚って貰わないと<br />
マズイのではあるまいか。５０日の披露興行で四苦八苦しかねない。例に出すのもな<br />
んだが、小朝師の披露目のように「上野初日が愛宕山、二日目が明烏」と来ても全然<br />
違和感がない、なんて離れ業はそうは出来ない（小朝師も５０日間トータルのネタは<br />
２０くらいだったと思うし、大抵は２５分前後の高座だった。『稽古屋』や『七段<br />
目』のような飛び道具もあったからなァ。或る意味、一之輔さんは「普通の優れた若<br />
手真打」なんだから『浮世床』や『鮑熨斗』でハネて当然くらいの気持ちでないと）</p>

<p></p>

<p>◆９月３０日 新宿末廣亭昼席</p>

<p>鯉昇『粗忽の釘』/北見伸＆スティファニー/小圓右『元犬』/圓遊『猫の災難』/章司<br />
/米丸『日本貧乏記』//～仲入り～//右左喜『猫と金魚(上)』/Ｗモアモア/雷蔵『虱<br />
茶屋』/幸丸『１９６０年代歌謡曲』/ボンボンブラザース/とん馬『稽古屋』</p>

<p>★とん馬師匠『稽古屋』</p>

<p>踊り手とは知っていたが、こういう飛び道具もあるのか。古今亭系や先代小文治師の<br />
演じていた『歌火事』で『色事根問』が冒頭に一寸付く。見た目のパッとしない職人<br />
のガサガサした可笑しさが出ていて、草履を鉄瓶の湯気で乾かしそうな能天気さも柄<br />
に合う。女師匠にもう少し色気が欲しく、また「昨晩、歌い過ぎた」とかで(笑)、<br />
「喜撰」の調子は変だったが、「声を段々に上げて」と言われて這ったゴリラが立ち<br />
上がるみたいな格好をするのが馬鹿に可笑しかった。『道成寺』の毬唄は真っ当だが<br />
小朝師のようにシナを作った方が得だろう。或る意味、一朝師の『稽古屋』に近いシ<br />
ンプルな良さがある。</p>

<p>★鯉昇師匠『粗忽の釘』</p>

<p>本題は５～６分だけど「頭を叩いて」と言われて自分の頭を金槌で叩く大工は、なん<br />
て可笑しく可愛いのだろう。直解主義のギャグは枝雀師の発掘した「笑い」の素だけ<br />
れど、枝雀師や鯉昇師みたいに、変な可愛さのある噺家さんが使うと一番活きる。</p>

<p>★米丸師匠『日本貧乏記』</p>

<p>戦後の焼け跡時代、省線の座席のビロードをカミソリで切り取って靴磨きに使った<br />
り、靴磨きのおじさんに話を聞いたり、という話で、そんなに目新しい内容ではな<br />
い。しかし、先代枝太郎師の『漫談東京百年』同様、その時代を目撃した人から聞か<br />
ないと実感を伴わない内容でもある。今、米丸師の戦後懐古漫談が私には本当に面白<br />
いし、寄席でないと聞けない演目だなァと思う。都電に自分で金を払って乗った記憶<br />
のある世代の私だから面白いのかもしれんけど。</p>

<p>※新宿の喫茶店『楽屋』の御主人から聞いた「小芝居の『かたばみ座』は池之端の不<br />
忍通り沿いにあって、坂東鶴蔵(小芝居の名優と呼ばれた人)を何度か見た」や「湯島<br />
天神の隣が岩崎さんの豪邸で、切通の下、今、居酒屋『シンスケ』のある辺りに門が<br />
あって玉砂利の道が内玄関まで続いていた」「３月１０日の東京大空襲で黒門町の文<br />
楽師匠の家に避難した」なんて話も私には面白い。「東京らしさ」への愛着というか<br />
…</p>

<p></p>

<p>◆９月３０日 Ｊ亭落語会柳家三三独演会(ＪＴアートホール)</p>

<p>一之輔『夏泥』/三三『五目講釈』//～仲入り～//三三『品川心中(上)』/三三『五貫<br />
裁き』</p>

<p>★三三師匠『五目講釈』</p>

<p>手慣れた噺で、或る意味、三三師の飛び道具噺なんだけれど(飛び道具のない一之輔<br />
さんへの当て付けではあるまい)、聞く度に「家元の『居候講釈』の快感は素晴らし<br />
かったな」と較べてしまう。だって、そんなに修羅場の講釈としては巧いと思えない<br />
んだもん。</p>

<p>★三三師匠『品川心中(上)』</p>

<p>小三治型で心中場までしかない。演出自体が説明沢山に聞こえて、人情噺の発端みた<br />
いな雰囲気を感じる。金蔵が醜男なのは構わないが、お染に惚れてる弱みがちっとも<br />
感じられないから落語としての愉しさには乏しい。本質的にニンに無い噺を、更にニ<br />
ンにない演出で演じている印象。人情噺的なドラマとしては「心中の片殺し生き残り<br />
はほぼ死罪」という事の説明を入れないと心中場の緊迫感から金蔵の間抜けな生き残<br />
り、という落差の笑いが取りにくいのでは？(普通の演出で演る落語の『品川心中』<br />
にそんな無駄な緊迫感は要らない)。結果的に、人間の愚かさに対する慈しみのない<br />
噺に聞こえるが、それは小三治師の意に添う事なのかなァ。</p>

<p>★三三師匠『五貫裁き』</p>

<p>噺としての面白さは家元以上。大家の啖呵が大分良くなったが、まだ三尺物の口調が<br />
混じる。大家は町役だけれど素人でなきゃ。八五郎のキャラクターは暢気さを増して<br />
結構。徳力屋のキャラクターは相変わらず曖昧。これがハッキリすると終盤の人格変<br />
化に面白味が出る。徳力屋が功徳に目覚める、ってラストは前から入れてたっけ？大<br />
家の啖呵がいつも気になって、その後は余り覚えてない。遊雀師みたいにオチをつけ<br />
た方が落語らしさは増すかも。</p>

<p>★一之輔さん『夏泥』</p>

<p>大工の上げる声の手順からすると、小三治型の変形かなァ。声が最初からデカ過ぎる<br />
のは感心しないけれど、泥棒の気弱さは魅力がある(良い人でなく気弱な人なのは喜<br />
多八師っぽい)。出来は悪くないが、文左衛門師の『夏泥』みたいな可愛さが二人の<br />
遣り取りにもっと必要なんじゃないだろうか？</p>

<p><br />
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石井徹也（落語”道落”者）</p>]]>

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<title>石井徹也の「らくご聴いたまま」　九月中席号</title>
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<modified>2011-10-01T03:34:17Z</modified>
<issued>2011-09-21T03:29:55Z</issued>
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<summary type="text/plain">九月・・・とは言えどもまだまだ暑い日が続きます！ 今回は石井徹也さんによる私的落...</summary>
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<name>落語</name>


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<![CDATA[<p><font size="3" color="#008080"><b>九月・・・とは言えどもまだまだ暑い日が続きます！</b></font></p>

<p><font size="3" color="#008080"><b>今回は石井徹也さんによる私的落語レビュー「らくご聴いたまま」の平成二十三年九月号中席号をＵＰいたします。この号では立川流や圓楽一門会の落語会レポも読めます。落語”道落者”・石井徹也渾身のレポートをお楽しみください！</b></font></p>

<p>------------------------------------------------------</p>

<p>◆９月１１日　生志のにぎわい日和(にぎわい座)</p>

<p>昇也『動物園』/琴柑『出世の馬揃え』/生志『寝床』//～仲入り～//夢葉/生志『ね<br />
ずみ』</p>

<p>★生志師匠『寝床』</p>

<p>茂蔵の報告は稍たどたどしく、旦那の怒りも稍強すぎたが、番頭が旦那を宥める辺り<br />
から出来は上昇。旦那の「“でもありましょうが”のひと言が何故言えない。お前が<br />
言わないから私が言うけど」が実に可笑しく、集まった長屋連中が演目を聞きに行っ<br />
て墓穴を掘る圓生師型が入るのも、旦那がトントン演目を並べるから気軽に愉しい。<br />
「あなたは分家から来たから知らないんだ」と先代番頭の悲劇(蔵の中で髪が真っ白<br />
になる)を長屋の衆が今の番頭に語るのも、理が通っていて理屈っぽくない。旦那の<br />
義太夫が始まると刺身の色が真っ黒に変わるのには笑った。更に、某大臣の失言を直<br />
ぐに取り入れた「あの長屋もやがて●の町になる」にも受けたが、「どうせ私は下手<br />
です」が後ろにあるのでラストまでテンションが下がらない。いずれ十八番になる演<br />
目だろう。</p>

<p>★生志師匠『ねずみ』</p>

<p>非常に会話の遣り取りに配慮の行き届いた演出。卯兵衛の話を聴いた甚五郎の「済ま<br />
ないね。辛い事を思い出させてしまって」や、甚五郎と知った卯兵衛が慌てて「うち<br />
などでなく生駒屋にお泊まりを」と謙って勧めるのを「あたしは卯之坊に惚れて、お<br />
たくに泊まりたいんだから」と甚五郎が差し戻すのも、嫌みさなどサラサラなくて気<br />
持ち良い。卯兵衛の話は前妻との馴れ初めからあり、卯之吉が十年目に生まれた一粒<br />
種、三歳の幼子を残してかみさんは五年前に没。一周忌を終えてお紺が後添えに、と<br />
いう細部は独特で、これも理が通っている。また、卯兵衛夫婦の惚れあいぶりと悲し<br />
み(泣いたりはしない)、凡そ４０代前半という卯兵衛の年齢も分かるのが結構(卯兵<br />
衛は大抵、爺過ぎる)。甚五郎は徹頭徹尾職人で巨匠ぶった所など皆目なく、如何に<br />
も職人気質溢れる苦労人。それは、最後に鼠に話しかける調子にも良く現れている。<br />
卯之吉は序盤、笑っているのに目が泣いているのが哀れで、ふと涙がこみ上げて来<br />
る。ねずみ屋の繁盛に、嫌々虎屋で働いていた奉公人がねずみ屋に次々と移ってき<br />
て、正々堂々(笑)丑蔵・お紺の悪口を世間に言う、ってのも実感のある演出。飯田丹<br />
下が最初は虎を断るが甚五郎と聞いて態度を変えるのも一興。ラスト、甚五郎が長め<br />
に鼠に声を掛けると、ユックリ顔を上げた鼠が「お久しぶりです」と挨拶をしてか<br />
ら、改めて甚五郎の言葉を聞き直し、サゲになるのも独特の工夫。志ん橋師みたい<br />
に、顔を上げた途端、鼠にしか見えない(笑)個性の持ち主ではないが、可愛くて良い<br />
鼠である。鯉昇師、志ん橋師と並ぶ『ねずみ』の佳作。</p>

<p></p>

<p>◆９月１１日　扇辰日和ｖｏｌ．４２(なかの芸能小劇場)</p>

<p>辰じん『ひと目上り』/駒次『鉄道戦国絵巻』/扇辰『五人廻し』//～仲入り～//馬る<br />
こ『牛褒め改定版』/扇辰『蒟蒻問答』</p>

<p>★扇辰師匠『蒟蒻問答』</p>

<p>喉を絞った発声の、ビュッフェの人物画みたいな印象を与える択善の真面目馬鹿ぶり<br />
が際立っておかしい。しかし、択善に限らず、択善を謀るのを「喧嘩ですねェ！」と<br />
勇み立つ八五郎の能天気さ(袈裟輪の代わりが蚊取り線香ってのは笑った)、「おら、<br />
勧める訳ではねェだよ」と怪しげな視線で八五郎を誘う権助、「衣で飲むな」と諭し<br />
ながら択善から馬鹿にされたと勘違いするや「なんだァ彼奴はァ！」と絶叫する六兵<br />
衛と、先代柳朝師や小三治師の演じていた『蒟蒻問答』に漂う自棄っぱちぶりを引き<br />
継いだ印象がある。つまり、みんな変な人。これだけ怪人物揃いで可笑しい『蒟蒻問<br />
答』は珍しい。</p>

<p>★扇辰師匠『五人廻し』</p>

<p>小三治師型だが、官員の横柄、田舎者の珍奇、通人の奇っ怪、それぞれのキャラク<br />
ターが際立つ。特に田舎者はドナルドダックが高音でが喚いているみたいであり、通<br />
人は立派なヒステリー性変態。悩んでいる喜助の一番まともなリアクションがまた良<br />
い。最後に出てくる喜瀬川の色気があって冷淡というシニカルさが良いアクセントに<br />
なっている。江戸っ子の啖呵がスピード重視で内容と自慢ぶりが明瞭でないのと、廊<br />
下を回る喜助の声に夜の雰囲気が乏しいのは惜しい。</p>

<p>★馬るこさん『牛褒め改作版』</p>

<p>高級住宅地にデザイナーブランドの豪邸を建て乍ら、何故か牛も飼い始めた金持ちの<br />
伯父さんの家を与太郎が褒めに行く。滅茶苦茶なパロディでギャグ満載だが、ここま<br />
で破天荒だと皮田の春團治師匠的なナンセンスになり、シュールな今様ポンチ絵に<br />
なってくる。数あるギャグの中、「畳はビンラディンの・・・」が私は一番笑った。</p>

<p></p>

<p>◆９月１２日　池袋演芸場昼席「白鳥三題噺十日間」</p>

<p>丈二『目薬』/白鳥・丈二「お題取り」/馬石(交互出演)『安兵衛狐』/美智・美都/扇<br />
治『割引寄席』（正式題名不詳）/喬太郎『竈幽霊』/順子/文左衛門『千早振る』//<br />
～仲入り～//圓太郎『棒鱈』（彦いち代演）/わたる(二楽代演)/白鳥『三題噺～鰌・<br />
上越高田・バーテンダー』</p>

<p>★白鳥師匠『三題噺』</p>

<p>題名は『マキシム・ド・どぜう』かなァ(笑)。六本木でバブリーな鰌屋をやってた男<br />
が左前になって故郷上越高田に引っ込むが、鷹匠のアドバイスでバーみたいな鰌屋を<br />
開いて成功する、という展開。サゲは先日の喬太郎師の『三題噺』のパクリっぽい<br />
が、Ｕターン組が地元の清流鰌を知って立ち直る、という「良い話」的展開ではある<br />
けれど、勿論、白鳥師的に馬鹿馬鹿しいが)は筋が通っており、最後は矢張り明るい<br />
のが結構。</p>

<p></p>

<p>◆９月１２日　池袋演芸場夜席</p>

<p>いっぽん『桃太郎』/市江(交互出演)『寄合酒』/燕路『もぐら泥』/アサダ/蔵之助<br />
『善哉公社』/志ん橋『鮑熨斗(上)』/鏡味仙三郎社中/さん喬『天狗裁き』//～仲入<br />
り～//玉の輔『マキシム・ド・呑兵衛』/小里ん(権太楼休演交代)『蜘蛛駕籠』/正楽<br />
/扇遊(市馬代演)『お見立て』</p>

<p>★扇遊師匠『お見立て』</p>

<p>客席にズーッと変な声で笑ってる奇怪なオバサンがいて邪魔されたが、それを弾き返<br />
す出来。喜瀬川から「あれが、兄貴ィ？！」と酷く嫌われているにも関わらず杢兵衛<br />
大尽が実に良い人なんである。田舎者ぶりを強調し過ぎず、「そうだよ」というアク<br />
セントに何とも素朴な味わいがある。「骨ェ分けて貰って」というくらい喜瀬川にベ<br />
タ惚れしている様子が愛しい。また、喜瀬川は徹頭徹尾、薄情な花魁で冷静なのが可<br />
笑しい(余り色気は感じない)。間に挟まれて、稍大尽に気持ちが傾き乍ら悩む喜助<br />
が、見事に妓夫らしい軽薄さと色気の持ち主なのが良く、三人三態のバランスが取れ<br />
た佳作。</p>

<p></p>

<p>◆９月１３日　第２５０回小満んの会（お江戸日本橋亭）</p>

<p>半輔『間抜け泥』/小満ん『二十四孝』/小満ん『文様』//～仲入り～//小満ん『カラ<br />
ンコロン』</p>

<p>★小満ん師匠『二十四孝』</p>

<p>　タップリ４０分近く。八五郎の、小粋ささえ感じさせる能天気さと小満ん師の端正<br />
な見た目がアンバランスで余計に可笑しく、言葉の一つ一つが活きていて爆笑。大家<br />
さんは四代目小さん師を見る如くでピッタリ。八五郎の孝行に呆れる友達、急な孝行<br />
に警戒して身構える阿っ母さんと揃った佳作。</p>

<p>★小満ん師匠『お文様』</p>

<p>こういう計略を立てる旦那を小満ん師が演じると洒脱になるのが持ち味の強み。妾で<br />
あるお文の健気さがまたしとやかで、矢鱈と悋気心の強いかみさんとの好対照も面白<br />
い（かみさんがキィキィいうのは黒門町譲り）。定吉の利発も可愛くて、２５分程に<br />
まとめられた尺も筋物として長過ぎず、洒落た喜劇を見たような中品の印象。</p>

<p>★小満ん師匠『カランコロン』</p>

<p>「お露新三郎」から「カランコロン」まで５０分。新三郎の線病質な真面目さ・野暮<br />
さ、お露の清麗な事はそう聴けるものではない。抱き寝をする場面などないが、因縁<br />
を感じさせる面妖な色気が柳島の場からカランコロンまで漂っている。間を取り持つ<br />
山本志丈の圓転洒脱なキャラクターも他の追随しかねるものがある。伴蔵はまだ活躍<br />
しないが植木職人上がりという設定は初耳。白宝堂(白翁堂ではなかった)勇斎も良い<br />
が、良石和尚の壮健かつ賢聖が自ずと現れているのが素晴らしい。圓朝物に有りがち<br />
な演劇的な重さがなく、瓢々たる粋譚に親しむような雰囲気に包まれた５０分間であ<br />
る。較べて、三遊派の芸系は矢張り野暮なのかな。</p>

<p></p>

<p>◆９月１４日　上野鈴本演芸場昼席</p>

<p>喬之助(交互出演)『子褒め』/川柳川柳『ガーコン』/ニューマリオネット/藤兵衛<br />
『江ノ島の風』/正朝『蔵前駕籠』/ホームラン/圓窓『つる』//～仲入り～//仙三郎<br />
社中/雲助『権助魚』/歌奴『お花半七』/ペペ櫻井（小円歌代演）/喬太郎『死神』</p>

<p>★喬太郎師匠『死神』</p>

<p>咳き込んだりしたため、前半客席が乱れたのが逆に幸いして、余り煮詰まった感じは<br />
しなかったが、雲助師などに較べると「そうはしまい」としながら芝居落語の要素が<br />
終盤で濃くなる印象。いっそ、開き直って手を入れて、徹底的に芝居落語にした方が<br />
良かないかなァ。</p>

<p>★歌奴師匠『お花半七』</p>

<p>伯父さんのキャラクターが立っていて、骨太でおおらかな笑いがある。半七お花の若<br />
さにも違和感が無い。闊闥な中に硬めだが艶のある『お花半七』として魅力あり。</p>

<p>★圓窓師匠『つる』</p>

<p>　もって回ってグルグル同じ展開を繰り返した。悪改作の見本。</p>

<p>★正朝師匠『蔵前駕籠』</p>

<p>　この噺の馬鹿馬鹿しさと、一種のシニカルさが適っているのだと思う。最後に駕籠<br />
の中で浪人たちを睨む江戸っ子の表情も如何にも似合っているし、浪人が茫然として<br />
「もう済んだか」も良い。稲荷町のより面白い。</p>

<p></p>

<p>◆９月１４日　月例三三独演(国立演芸場)</p>

<p>市楽『芝居の喧嘩』/三三『のめる』/三三『出来心』//～仲入り//三三『猫定』</p>

<p>★三三師匠『出来心』</p>

<p>冒頭の泥棒の親分と子分の遣り取りから最後までズーッと平坦。「ケツから縁が離れ<br />
ないな」「血縁関係」ってのは笑ったが。大家さんの帳付けの辺りから足首が攣った<br />
という。それもあろうが、八五郎の悪ノリの仕方に感情が伴わないし、大家の呆れ方<br />
もありきたり。筋の無い遣り取りは本当に不得手・・・というか、落語の馬鹿馬鹿し<br />
さを信じてないんだろうか。</p>

<p>★三三師匠『のめる』</p>

<p>ま、十八番である。</p>

<p>★三三師匠『猫定』</p>

<p>この夏、立て続けにこの噺を聞いたが流行りなのかな(噺としては『猫怪談』の方が<br />
面白いと私は思う)。足首の攣りは続いていたそうだが、下手な筋物の講釈を聞いて<br />
いるようで、ただストーリーの起伏のままに噺が進み、演者が膨らました部分を感じ<br />
ないから味気ない。定吉と猫の遣り取りに怪異な面白さが乏しく(正確には猫に怪異<br />
はあるが定吉のリアクションに怪異が皆無)、お滝と間男の遣り取りも圓生師をな<br />
ぞっているみたいなまんま。定吉は博打打ちだが、人柄の良い男なので、極悪人を描<br />
くようには人物が出て来ない。兎に角、前半は極く詰まらない。死体が棺桶から立ち<br />
上がる怪異以降は滑稽怪談的になるが、三味の市が何も分からず死体の前にいる絵が<br />
浮かんでこないのは、長屋の連中も含めた「普通の人々」の描き方の浅さ故か。一時<br />
期、『長屋の花見』を立て続けに何度も聞いてもピンと来なかったが、長屋暮らしの<br />
人々に実感を与える何かが足りないのだ。職人や労働者が実感出来る落語らしい描き<br />
方を学ばないと。</p>

<p></p>

<p>◆９月１５日　上野鈴本演芸場昼席</p>

<p>小太郎『やかん』(交互出演)/ダーク広和/左龍(交互出演)『六銭小僧』/カンジヤマ<br />
マイム(ニューマリオネット代演)/川柳『ガーコン』/藤兵衛『のめる』/正朝『から<br />
抜け』/ホームラン/伯楽(圓窓代演)『お花半七』//～仲入り～//仙三郎社中/雲助<br />
『夏泥』/歌奴『転失気』/小円歌/喬太郎『井戸の茶碗』</p>

<p>★喬太郎師匠『井戸の茶碗』</p>

<p>「梅毒」も「瘡毒」も無いくらいで、大分刈り込んでいたが(本題は３０分弱か)、闊<br />
達で新ギャグ挿入による停滞も殆ど無く、トントントンとテンポ良く進み、久々に良<br />
い出来の喬太郎師古典を聞いた気分。息が詰むと仕種などが非常にさん喬師と似てい<br />
るのも分かる。高木作左衛門、屑屋、千代田卜斎、良助と人物像も悪くない(千代田<br />
が稍作り過ぎだがテンポで気にならず)。終盤、清兵衛「娘を百五十両で売るんです<br />
ね？」⇒卜斎「娘は屑ではな～い！」の遣り取りの後、屑屋が畏れ入って頭を下げた<br />
息が良すぎて、団体のお客がサゲと勘違いして一斉に拍手をしてしまったが（喬太郎<br />
師も驚いていた）、こんな場面は東横落語会の志ん朝師『子は鎹』以来である。</p>

<p></p>

<p>◆９月１５日　喜多八激闘正蔵　浅草落語番外地ｖｏｌ．７(ことふ季亭)</p>

<p>はな平『鮑熨斗』/正蔵『伊予吉幽霊』/喜多八『目黒の秋刀魚』//～仲入り～//正蔵<br />
『猫の皿』/喜多八『鰻の幇間』</p>

<p>★喜多八師匠『目黒のさんま』</p>

<p>特に品が良いという訳ではないが、屋敷帰還後、最上階から目黒の方を向いて秋刀魚<br />
を想い涙ぐんでいる殿様の子供っぽさが可愛い。</p>

<p>★喜多八師匠『鰻の幇間』</p>

<p>割と「その場ギャグ」を入れて、遊びのある珍しい高座。とはいえ、自分から声を掛<br />
けて来る「先のとこの男」の狡滑さや、無神経な女中の態度を見ていると、如何に自<br />
分から脂濃く飯をねだったとはいえ、「こっちをお向きよ！」と扇子の要で床を叩き<br />
ながら一八が怒るのも納得してしまう。部分的に最近の市馬師はこれを参考にしてい<br />
るのかな？と思える場面もある。</p>

<p>★正蔵師匠『猫の皿』</p>

<p>馬桜師型。設定が詳細過ぎるのが正蔵師匠向きとは思わないが、茶店の主人からアク<br />
が抜けて、如何にも謀っているという雰囲気をさせないのは良い。半面、夏の暑さが<br />
足りないので季節不明の噺になっている。また、『伊予吉幽霊』にも言えたが、サゲ<br />
を言いながら頭を下げてしまうので、誰に言っている言葉かが曖昧になる。サゲに<br />
よって、誰に向かって言っているのか明確に変化をつけないと、噺が尻窄みになる。</p>

<p>★正蔵師匠『伊予吉幽霊』</p>

<p>噺全体が更に明るさをましているのと、伊予吉と友達の八五郎の遣り取りが仕込みの<br />
段取りセリフでなく、極く普通の会話になっているのが良い。</p>

<p></p>

<p>◆９月１６日 上野鈴本演芸場昼席</p>

<p>喬之助(交互出演)『六銭小僧』/ニューマリオネット/川柳『ガーコン』/藤兵衛『元<br />
帳』/正朝『浮世床・講釈本』/ホームラン/圓窓『垂乳根』//仲入り//仙三郎社中/雲<br />
助『笊屋』/歌奴『子褒め』/小円歌/喬太郎『幇間腹』</p>

<p>★喬太郎師匠『幇間腹』</p>

<p>本人が愉しそうに演っている雰囲気が客席を温める。若旦那の稍ブラックな性格付け<br />
が強まったかな。一八はだいぶ幇間っぽくなってきた。</p>

<p></p>

<p>◆９月１６日 第１１回北沢落語名人会瀧川鯉昇・栁家喜多八ふたり会（北沢タウン<br />
ホール）</p>

<p>しん歩『強情灸』/しん平『御挨拶』/喜多八『明烏』//仲入り//ニックス/鯉昇『船<br />
徳』</p>

<p>★喜多八師匠『明烏』</p>

<p>「源兵衛太助に誘われて」と時次郎が報告する件をカット。時次郎は銭湯と髪結床の<br />
帰りから登場。時次郎がグズっぽい印象を強めているのが特徴的。</p>

<p>★鯉昇師匠『船徳』</p>

<p>『湯屋番』みたいに、船宿のかみさんの愚痴から夫婦喧嘩に入って、その後、二階か<br />
ら若旦那が降りてくる。正に『湯屋番』の若旦那に匹敵する能天気な若旦那で、後半<br />
のしっちゃかめっちゃかさにキャラクターがちゃんと繋がる。船頭たちの失敗談は無<br />
く、四万六千日の由来(一升桝の米粒の両)が入って客二人の登場となる。棹捌き、船<br />
の揺れ、煙草点けと非常に細かく工夫された仕種の可笑しさは特筆物だが、鯉昇師の<br />
語り口だと慌ただしくなく、ノンビリした雰囲気になるのがユニーク。前の『明烏』<br />
を受けたギャグも幾つか交えたが、尖がらないで、ひたすら能天気な若旦那の我儘ぶ<br />
りと、手酷い目に遇う客二人の悲劇が炎天もゆる下の川面で展開するマンガとして楽<br />
しめる。</p>

<p>※今夜の若旦那は二人とも全く二枚目には見えない(笑)。</p>

<p></p>

<p>◆９月１７日　雲助蔵出しふたたび９(浅草三業会館二階座敷)</p>

<p>市楽『孝行糖』雲助『黄金の大黒』雲助『目黒の秋刀魚』//～仲入り～//雲助『やん<br />
ま久次』</p>

<p>★雲助師匠『黄金の大黒』</p>

<p>猫を食べちゃう型だが長屋の連中の羽織騒ぎ、口上騒動などから終始能天気に可笑し<br />
い。寿司の件もわざとらしいクサ味が、先代馬生師匠譲りでサラリと軽妙に感じられ<br />
るのが雲助落とし噺の良さ。</p>

<p>★雲助師匠『目黒の秋刀魚』</p>

<p>殿様の我儘さが愉しく、初めて秋刀魚を食べての「美味である！」の大声には大爆<br />
笑。家来連中がひたすらマジなのが一寸物足りないかな。</p>

<p>★雲助師匠『やんま久次』</p>

<p>最後の芝居掛かりまでは如何にも説教がましい噺で雲助師匠もその線に則って侍気質<br />
を厳めしく堅苦しく演じている。それ以外には「切腹の場」が用意される、という事<br />
ぐらいしか聞いていて面白い箇所が少ないのは事実。最後の芝居掛かりになって「沢<br />
庵の美味いまずいを」辺りの科白廻しは河内山の「ひじきと油揚の煮た物を有難がっ<br />
て食っているようでは」と同じ幕末の退廃と小市民的生活への嘲笑がある。スカッと<br />
するというより「ざまぁねェや」という面白味で、其処に雲助師匠的ピカレスクの味<br />
わいが加わる。実は、目糞鼻糞みたいな罵りなんだけどね。</p>

<p></p>

<p>◆９月１７日 上野鈴本演芸場夜席</p>

<p>志ん公(交互出演)『転失気』/和楽社中/馬石(交互出演)『堀ノ内』/はん治(市馬代<br />
演)『君よモーツァルトを聞け』/紫文/菊志ん(扇辰代演)『紙入れ』/文左衛門(百栄<br />
代演)『笠碁』//～仲入り～//遊平かほり/琴調『小政の生い立ち』/アサダ(夢葉代<br />
演)/白酒『抜け雀』</p>

<p>★白酒師匠『抜け雀』</p>

<p>寄席サイズに簡略化されてはいるが、絵師親子が自ら墨を摺ったり、衝立を持たせて<br />
「息を止めろ」など先代馬生師匠の細かい演出が次第に入って来ている。ラストの衝<br />
立前における若い絵師の端正、精神的成長は過去に表現されなかったもの。</p>

<p>★文左衛門師匠『笠碁』</p>

<p>今までになくじっくりと演じてコクがある。最後に碁盤を出してからは稍受け狙いの<br />
演出となったが、その前に待つ側の旦那が言う「行っちゃった！」「碁会所か<br />
な？！」の気弱な可笑しさ、心情の現れはステキに愉しい。</p>

<p>★菊志ん師匠『紙入れ』</p>

<p>　スピーディーで可笑しく、それでいておかみさんには色気もある。「女役」を売り<br />
物にしているみたいな、変な下品さのないのが良い。</p>

<p>★馬石師匠『堀の内』</p>

<p>　『松曳き』といい、この噺といい、白酒師匠とは全く違うコンタクトの仕方で「粗<br />
忽者」が見事に描かれる。小ネタの可笑しさではベテランをも凌ぐ。</p>

<p></p>

<p>◆９月１８日　 第２９２回圓橘の会(深川東京モダン館)</p>

<p>橘也『子褒め』圓橘『夢の酒』//～仲入り～//きつつき『狸賽』/圓橘『鹿政談』</p>

<p>★圓橘師匠『夢の酒』</p>

<p>簡略化というか、枝葉を刈り取って親父の酒好き中心に構成してある。嫁の嫉妬深さ<br />
など出さない(嫁のセリフを親旦那が引き取る)。親旦那の「こんなことをしに伺った<br />
訳では、本日は貴女に申し上げにくい事を申し上げに参りまして」のセリフが効いて<br />
いる。嫁が親旦那を起こした際に、奥の座敷の静かな雰囲気が出るのにも感心した。<br />
目白の師匠的に刈り込んだ佳作。</p>

<p>★圓橘師匠『鹿政談』</p>

<p>圓生師匠風で稍硬いが、奉行の迫力、与兵衛のクサくない人間味と揃った慈味ある高<br />
座。</p>

<p>★きつつきさん『狸賽』</p>

<p>狸を助ける件から始まるが、疑わしそうな子供が仲間にそっと告げる「仲間だな」か<br />
ら可笑しい。熊さんが今日で博打を止める前に一度儲けたいと狸を賽子に化けさせる<br />
演出は初めて聞いた。この狸の賽が少し毛が生えていたり、真っ直ぐに落ちて身動き<br />
しなかったりと可笑しさは抜群。特に、噺と熊の締まらない性格に適した演出やセリ<br />
フの可笑しさは図抜けている。白酒師・馬石師に近い、キャラクターギャグ仲間だな<br />
のセンス溢れる高座だ。一之輔さんと二人会をさせたいなぁ。</p>

<p></p>

<p>◆９月１８日　池袋演芸場夜席</p>

<p>燕路『やかん舐め』/アサダⅡ世/蔵之助『佃島』/志ん橋『熊の皮』/仙三郎社中/馬<br />
の助(さん喬代演)『お見立て』・百面相//～仲入り～//玉の輔『マキシム・ド・呑兵<br />
衛』/</p>

<p>小里ん『棒鱈』/正楽/市馬『鰻の幇魔』</p>

<p>★市馬師匠『鰻の幇間』</p>

<p>この芝居では『首提燈』『松曳き』『猫の災難』『笠碁』と演じていると聞いたが、<br />
この所、私は矢鱈と『鰻の幇間』に合う。その度にアドリヴが入るのだけれど、その<br />
アドリヴの穿ちの良さが毎回堪らない。今夜は一八が女中に「何かあったら手を叩く<br />
から」と言って、先のとこの男への世辞に手を叩くと女中が来ちゃうので一八が手を<br />
叩けなくなり、空振りする演出が入った。手を打てない幇間の困り方ってのが馬鹿に<br />
可笑しい。「横を向いて笑うな」と言われても平気で、自ら洒落を言い、一八の洒落<br />
にも突っ込んでくる女中に、一八が散々弄ばれる可笑しさは曾てどんな『鰻の幇間』<br />
にも無かったろう。志ん朝師以降、最強の『鰻の幇間』に近づきつつあるのではない<br />
だろうか。</p>

<p>※先の男を見て、「秋元さんの旦那かな、安田の大将かな？」って一八のアドリヴに<br />
も笑った。詳しくは出番をどうぞ。</p>

<p>★小里ん師匠『棒鱈』</p>

<p>少し簡略化していたが、素晴らしい出来。田舎侍の唄に酔っ払いの江戸っ子がジレる<br />
調子を派手にせず、「おれァ、あの唄、覚えちゃったよ」でドカンと受けるまでバラ<br />
けさせない人物描写が巧く、仕種のキレも抜群。流石は「安田の大将」である。</p>

<p></p>

<p>◆９月１９日 池袋演芸場昼席</p>

<p>はな平『垂乳根』/玉々丈(交互出演)『シロの恩返し』（正式題名不明）/扇治『寿限<br />
無の稽古』（正式題名不明）/白鳥・丈二「お題取り」/菊志ん(木久蔵・馬石代演)<br />
『御血脈(『地獄巡り』入り)』/美智美都/丈二『極道のバイト達』/白酒(喬太郎代<br />
演)『元帳』/順子・文左衛門/文左衛門『笠碁』//～仲入り～//彦いち『キレる』/二<br />
楽/白鳥『三題噺～敬老の日・釣竿・アルツハイマー』</p>

<p>★白鳥師匠『三題噺～敬老の日・釣竿・アルツハイマー』</p>

<p>少し手を入れれば『フィッシングの殿様』てなタイトルの噺として、寄席にも定着出<br />
来るのではあるまいか？白鳥師だと、普通は怪談・因縁噺になるでろう題材の噺が落<br />
語になるから妙である。※『殿様と海』という正式題名になったらしい。</p>

<p>※そういえば、昔実際に「虎狩りの宮様」と呼ばれた華族が日本にいたなァ。ああい<br />
う話は落語にならないかな。瓢右衛門先生の『自転車の宮様』も懐かしく可笑しい作<br />
品だが落語化はされていないね。</p>

<p>★文左衛門師匠『笠碁』</p>

<p>登場人物に何とも言えない可愛さがある。この噺と『猫の災難』はやはりこの世代で<br />
は文左衛門師匠のものになりそう。</p>

<p>★菊志ん師匠『御血脈』</p>

<p>『地獄巡り』を取り入れて、善光寺由来からの中ダルミを防いだのは偉い。軽快さを<br />
増して面白い。</p>

<p></p>

<p>◆９月１９日 池袋演芸場夜席</p>

<p>扇『金明竹』/市楽(交互出演)『道灌』/馬石(燕路代演)『反対俥』/アサダⅡ世/志ん<br />
馬(蔵之助代演)『のめる』/志ん橋『間抜け泥』/ストレート松浦(仙三郎社中代演)/<br />
さん喬『蟇の油』//～仲入り～//玉の輔『宗論』/小里ん『悋気の独楽』/たかし(正<br />
楽代演)/市馬『らくだ』</p>

<p>★市馬師匠『らくだ』</p>

<p>簡略化しながら３５分で火屋のサゲまで。剃刀から先は付けたり程度の軽さである<br />
が。前半は大分変化して、兄貴分の凄みと屑屋の軽い可笑しさが好対照を為しながら<br />
展開する。兄貴分の凄みは何やら陰鬱な雰囲気を伴うようになって怖さを強く感じ<br />
る。屑屋はカンカンノウを唄ってから「面白くなってきた」とセリフにある如く軽妙<br />
で可笑しい。「死人のやり場に困っております」を芝居気取りで演じて、相手の八百<br />
屋に「何がお前をそうさせる」と言われ、更に「こうお座敷が多くちゃ」と帰りかけ<br />
ると今度は八百屋に「跳ねて行くなよ」と声を掛けられるのも無理はない、貧乏人の<br />
明るい可笑しさに溢れているキャラクターが酔いと共に反転するが、家元的な精神錯<br />
乱には至らず、剃刀を取りに出かける兄貴分を見送り乍ら、「可愛らしいとこがあ<br />
る」と言い放つ可笑しさに戻る。「いずれ５０分前後で、桂平治師と甲乙を争う『ら<br />
くだ』になるでろう」という期待の高まる高座だった。</p>

<p>★さん喬師匠『蟇の油』</p>

<p>久しぶり。一寸間違えていたが、やはり安定感が違う。</p>

<p>★小里ん師匠『悋気の独楽』</p>

<p>これまた久しぶり。ラストの独楽廻しは故・文朝師のシニカルさに敵わないが、定吉<br />
の可愛さ、上方の「後をちゃんと閉めとこぞ」に当たる悪戯をする洒落っ気、旦那の<br />
主人らしい硬さ、おかみさんのきつ過ぎない嫉妬と言った具合に、以前と較べて表現<br />
のバランスと人物像の深みを明らかに増している。</p>

<p></p>

<p>◆９月２０日 池袋演芸場
