戦後70年特別企画 アーサー・ビナード『探しています』

毎週土曜日 早朝5:00〜5:10
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中島飛行機の元工員、古内竹二郎さん

いまは子供連れの家族でにぎわう都立武蔵野中央公園ですが、70年前、この一帯には「東洋一」と称された中島飛行機武蔵製作所がありました。零戦などのエンジンを月に2千台生産していたこの工場から見つめた古内さんの戦争体験は、戦地での体験や空襲体験とはまた違う視点で戦争をとらえるヒントをアーサーさんに与えてくれました。

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はるか上空を飛ぶB29の4つのエンジンに驚いた話。池袋駅を降りた時に眺めた低空飛行のB29で敗戦を実感した話。どれも光景が生々しく浮かんでくる古内さんのお話でした。

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B29が1944年の10月に撮影した武蔵製作所の航空写真を手に解説する古内さんと、その話に聞き入るアーサーさん。
パンプキン爆弾の話や戦後の中島飛行機の話など興味深い話が続きました。木曜日更新のPodcastでお聴きください。

アーサーのインタビュー日記

戦争を想像するときは必ず戦闘の現場を思い浮かべます。しかし古内さんの証言から戦争が国家や企業の事業として進められることを冷静に考えると、もうひとつの俯瞰した視点が浮かんできました。日本の戦闘機を作った工場は戦前アメリカの指導で作られたこと、その機械もアメリカ製であったことを改めて知り、本当の戦争の状況が現れた気がします。軍事産業という名の工業製品が造られる現場こそが本当の「現場」なのかもしれません。日本が負けたことをどこで実感したのかというお話も印象的でした。故郷の宮城に戻って敗戦のニュースを聞いても納得がいかなかった古内さんですが、東京に戻ってきた時に池袋上空を飛ぶB29の姿と周りの人たちの反応を見て初めて「負けたんだ」と実感したそうです。古内さんは、一貫して飛行機というレンズを通して、飛行機があぶり出す現実を見つめて戦中、戦後を生きてこられた方です。

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