戦後70年特別企画 アーサー・ビナード『探しています』

毎週土曜日 早朝5:00〜5:10
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福島菊次郎さんが旅立ちました 

4月25日放送の「探しています」でご紹介した報道写真家の福島菊次郎さんが、今月24日脳梗塞のため山口県柳井市の病院でお亡くなりになりました。94歳でした。
「ピカドン」などの写真集で知られ、戦争を憎み権力を憎み差別に徹底的に反対しカメラ片手に追い続けた福島さん。今の日本の政治や社会に深い憂いや怒りを持ちつつも、なぜかそこに諦念の思いはなく命の大事さにこだわり続けた服しまさん。時にアーサーさんに挑発的な言葉を投げかけながらも温かく通じ合った対談でした。明るさとジョークにあふれた方でもありました。

インタビューしたのは、忘れもしない今年の1月1日の夜。収録順では、この番組で最初にお話を伺ったのが福島さんでしたが、いきなり頭をガツンとぶたれたような気分でした。「終戦70年の特別企画番組です」とお伝えしたら、「終戦という言葉の欺瞞から日本の戦後は始まった。できるなら敗戦特番にしてみなさい」とのいきなり叱咤激励の言葉。
ずいぶん考えました。「終戦という言葉もまた永遠に戦をしないという意味のある言葉ではないのか?」「70年前の終戦と、今の終戦の意味は違うのか?」など。「権力者の誤魔化しとは?」「その権力者とは誰をさすのか?」など長い自問自答の後、結局「戦後70年」というちょっと無難な言葉に落ち着いたのでした(汗) でもそれは良かったと思っています。
あの日の福島さんの一言一言に、「これは腰を据えてかかられねばならない番組だな」とアーサーさんも思ったことでしょう。忘れられない元日以来、アーサーさんも睡眠時間を削って、日本全国をマイク片手に駆け回る毎日が続いております。福島さんはインタビューの終わりにこんな風にも言ってくれました。「今の話は、あなたが遠慮なく好きなように編集しなさい」
あの日の3時間に渡るインタビューを「明日は明日とてわからない身ですから、語りますよ」と熱く話続けてくれた福島さんの遺言として伝えなければなりません。

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ちなみに葬儀・告別式は一切行わないということ。福島さんらしい旅立ちですね。
ご冥福をお祈りします。

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