企業文化とは、社員たちに根付いた思想や価値観を指します。その思想から社員のルール・文化など様々なものに影響を与え各々の行動へと繋がっていきます。そのため企業文化によって企業がどの様な成功を収めるのかにも影響する可能性があり、とても重要なものです。しかし、これは概念であるため、可視化出来ず、言語化も難しいものとなっています。また、シーンによっては切り替えていく必要のあるもの。だからこそ我々は企業文化というものを考えていかなければいけません。
【こちらもおすすめ】
保育をもっと豊かなものにするには #2
企業文化が確立する事でのメリットは様々なものがありますが、目立って言えることは、共通の価値観によって生まれる指針です。意思決定の際に会議が長引き多大な時間を割かなければいけない様な状況になることもあると思いますが、共通の価値観、目標が定まっていれば、これが迅速なものとなります。そして、同じ目標に向かって進むのですから当然、連帯感も強まっていき良いチームワークを形成できます。良いチームワークは、互いが互いを尊重し合う良い雰囲気を作りますし、これによって各々のパフォーマンスやモチベーションの上昇にも繋がってきます。
しかし、良いことばかりではありません。共通の価値観を持つ事で新しい風を起こすことが難しくなるといった面を併せ持ちます。限定的な考え方となってしまっては新たなイノベーションが起きづらくなってしまうのです。だからこそシーンによっては企業文化そのものを一新することや、部分的に改める必要が出てくるケースもあります。
長く社員の間に根付いたものに変化を与えるのは難しいもので、どういった変え方をしていくべきなのか、どの様に伸ばしていくか、そういったことを常に考えていく必要があります。また、企業文化というのは根付いていくもののため、エゴであってはいけません。企業のためであること、そして各社員のためであるもの、社員たちが自ら良い方向へと歩んでいける様な文化を形成することが重要です。
企業文化という概念の扱い方で、様々な結果が見えてくることになります。そういった中でも変わった文化を持つワークマン。今注目される企業として急成長を遂げたワークマンの名が挙がることは珍しくありません。何がワークマンで起こったのか、何をすることで、この様に変わってきたんでしょうか。
2020年11月23日の放送では、そんなワークマン専務取締役の土屋哲雄さんと、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二さんにご参加いただき「ワークマンの企業文化」から「組織文化と目標」について熱いトークが繰り広げられました。
ワークマンの企業文化
土屋 「しない経営」というのは否定形に思えるのですが、実はポジショニングでして、ワークマンは競争したことのない会社なので、闘っても負けてしまうから、競争せずに済む分野で自分たちが得意な部分を探してやっていく、それ以外はしない、というのが「しない経営」です。
入山 ワークマンといえば全社員がエクセルを徹底的に使いこなすということで成功したというのが注目されていますよね。
土屋 そもそも上の人間も50%は間違ったことを言うんです。それに変化の時代なので正しいことを言えないと思うんです。下の人間がちゃんと自身で考えて間違いを指摘できると言うのが良い会社だと思うんです。データを見て仮説・検証をして筋肉に脳があると言うか、センサーにCPUがあるといった会社にしたいと思っています。
組織文化と目標
中竹 文化というのは暗黙の問いかけだと思うんです。解を見つけられない心配や不安から上の人間に聞くんです。しかし、答えられない場合には暗黙の了解という前提を変えるしか無かったので、私が早稲田ラグビー蹴球部の監督の時には、何が正しいのかではなくて、何がしたいのか、何ができるのかを求める様にしました。
田ケ原 目標というのを定めると思うのですが、それが言語化できない、という悩みに対してどの様に考えていますか?
土屋 目標は難しいですね。トップが先見性のある方で決めることができればいいのですが、私たちは出来ないので、声のする方へ後追いで進化していくと言うのが会社の方針なんですよ。高機能であり低価格であることは外さずに、5年10年も先やっていくと言う形でやっていて、目標というのはあまり持っていないですね。
浜松町Innovation Culture Cafe
放送日:月曜 19:00~19:30
出演者:入山章栄
過去回:Podcast
毎週月曜日、午後7時から放送している『浜松町Innovation Culture Cafe』。パーソナリティは早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんが担当します。
当番組はさまざまなジャンルのクリエーターや専門家・起業家たちが社会問題や未来予想図などをテーマに話す番組です。自身の経験や考え、意見をぶつけて、問題解決や未来へのヒントを探ります。